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ヨッチンさんの読書ノート

2008年読了本
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 23

医学のたまご (ミステリーYA!) (ミステリーYA!)

著者 : 海堂 尊

出版社:理論社

発売日:2008-01-17

評価 :

完了日 : 2008年04月24日

07’02.11図書館にて予約。今、読んでいる途中なのだけれど、皆さんが書いているように「横書き」が曲者で……。横書きの本なんて最近読んでいないから、違和感が。でも学生時代の教科書って国語以外はみんな横書きだったよな。とちょっと悪戦苦闘しながらも話は嫌いじゃないから頑張って読んでやる!

 舞台は東城大学医学部だし、出てくる人の名前にも馴染みがあるので、海堂作品に馴染みのある方はニヤリとしてしまうのでは? でも時代設定が2020年なので、皆さんの肩書きが変わっていてあの田口センセが――――。
 前半から中盤はダラダラとしておりますが、終盤戦は痛快! のひと言。いやぁ薫くんのお父さん、私にもくださいな、と言いたくなるくらいにいいキャラだ。中高生向きとのことだが、大人が読んでも充分読み応えがある。
 あとがきの海堂先生の言葉に、ちょっとウルっときてしまった。「医者や看護師になんか絶対になりたくないと思っていても、医学や病院のことは知っておいて」という内容の文に同意。そして「医者に、看護師になりたい」とか「医者や看護師になんかなりたくない」とか将来の職業を夢見たり、選択できる年齢のときにもっともっと世の中のことに興味を持っていればなぁなんて、思ったりして……。大人の言うことって大人にならないとわからなくて、大人の世界って汚い! と嫌悪することしかできなくて、でもそれがやっぱり「子ども」の特権であって。
 中高生のみなさんには素晴らしい本と出合ってほしいなと思った1冊。


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 1

死刑囚の記録 (中公新書 (565))

著者 : 加賀 乙彦

出版社:中央公論新社

発売日:1980-01

評価 :

完了日 : 2008年04月23日

 1980年初版、1955~57年4月末まで東京拘置所の精神科医官だった加賀氏。昨今の死刑判決の増加と、確定死刑囚の増加、死刑制度の賛否についての議論等、私の中でも死刑囚や死刑制度への興味・関心が増している。この本の中に出てくる死刑囚は、50年もの前の死刑囚たちで、帝銀事件、三鷹事件、おせんころがしの栗原源蔵等、なんだか歴史上の出来事のようだが、死刑囚の置かれている立場というのは、今も昔も大差ないのだろう。(最近、小菅は建物が新しくなり、冷暖房が完備され、人権についてもうるさくなったので少しはよくなっているのだろうけれど)
 加賀氏は精神科医なので、その方面からの観察・描写だが、あまり知られることのない拘置所や死刑囚の様子を知るための入門書としてはお手軽なサイズなのかもしれない。ただ如何せん、内容が古いので物足りない。

 死刑囚の最大の苦痛は、刑の執行ではなく、それまでの独房で味わう。だから拘禁ノイローゼになり、動物の如く退行してしまうのだろう。
 加賀氏は死刑は廃止すべきと言っている。私はどちらかと言えば存置派だ。よく犯罪の抑止力にはなっていないから死刑は廃止すべきという意見があるが、終身刑のない日本には、死刑はあるべきだと思う。ただし、現在のように刑の執行までが長すぎるのは考えものだ。独房で味わう苦痛を減らし、なおかつ抑止力云々を考えるならば、法に則り刑確定後、6ヵ月以内に執行されるべきだと思う。税金で罪人を生かし、また更生させるのならば(有期刑の場合)、そこのところをきちんとするべきだと思うのだ。あくまでも私の意見であるけれど。


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 9

ツバメ記念日―季節風 春

著者 : 重松 清

出版社:文藝春秋

発売日:2008-03

評価 :

完了日 : 2008年04月18日

08’03.16図書館にて予約。これから夏・秋・冬にも刊行されるシリーズものだそうで。
 12篇のうち5篇が上京物語。やっぱり上京ってドラマチックなんだろうなぁ。東京に通勤・通学可能な関東地方出身である私にはちょっと憧れる部分もあった。
「拝復、ポンカンにて」「さくら地蔵」がよかった。


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 3

夢の中まで語りたい

著者 : 松久 淳,大泉 洋

出版社:マガジンハウス

発売日:2008-04-12

評価 :

完了日 : 2008年04月16日

 ananで2年連載されていたふたりの対談というより雑談? を1冊に。
 大泉洋ファンとしては知っている話もあるけれど、面白かった。でもやはり彼のボヤキは聞いてこそなんだなぁ~。
 ネコ好きとしては洋さまが「大のネコ嫌い」というのがちょいショック。


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 14

スメラギの国

著者 : 朱川 湊人

出版社:文藝春秋

発売日:2008-03

評価 :

完了日 : 2008年04月14日

08’03.21図書館にて予約。
 朱川さんの長編小説。長編は以前挫折した気がするけれど、好きな作家さんなのでちょい期待。
ネコ好きにはたまらない。たまらないというのは、可愛くてたまらないではなくて、怖くてたまらない。怖いというのは、人間であり、ネコでもあるけれど、読み進めるのが辛い。
 ネコを見ていると、人間の言葉を理解しているんじゃないか? 本当はネコ語が話せるんじゃないかと思うことがあるけれど、いやぁ、人間の言葉を理解しているとしたら、怖いですね……。 
 ネコだけじゃなく、ペットとして飼っている動物は大切にしましょう。人間が一番偉いと思っちゃいけないよ。


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 22

こころげそう 男女九人 お江戸恋ものがたり

著者 : 畠中 恵

出版社:光文社

発売日:2008-01-22

評価 :

完了日 : 2008年04月10日

08.02.01図書館にて予約。
 江戸の庶民を描くお話は嫌いではないし、「しゃばけ」シリーズも好きだけれど、もういいんじゃないかな? どれも似たり寄ったりと思ってしまう。
 畠中さんの「アコギなんだかリッパなんだか」だっけ? あれは挫折したくせに、違う設定のお話が読みたいと思うのは贅沢? 


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 7

ウツボカズラの夢

著者 : 乃南 アサ

出版社:双葉社

発売日:2008-03-19

評価 :

完了日 : 2008年04月10日

08’3.25図書館にて予約。
 ありがちな話。でもそこは乃南さん、すごく面白く仕上げてありまして。。。同性だけれど「女って怖いわ~」と苦笑い。主人公の未芙由は天然なのか、計算なのか? うーん、計算だろうな。お幸せに。。。


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 21

警官の血 上巻

著者 : 佐々木 譲

出版社:新潮社

発売日:2007-09-26

評価 :

完了日 : 2008年03月31日

 07’12.05図書館にて予約。
 ネタバレしておりますので、ご注意を。
















佐々木譲氏の作品は初めて読んだけれど、すごく面白い。このミス1位だけれど、ミステリというよりも、警察小説、戦後の昭和史の趣が強い。ミステリとして読まなければ、とても面白いと思う。
 終戦後、混乱の中にある東京で治安を維持するために、警察官が増員される。その募集の仕方や採用法、研修期間など事実に基いて描かれているのだろう。制服のまま通勤、拳銃は自宅に持ち帰って保管など、今では考えられない姿にびっくり。
 上野公園に空襲で焼け出された人や浮浪者、戦災孤児が集まり、バラックを建て住んでいたなんて想像もつかない。

 清二のような志を持ち、己の身の丈に合った生き方をしている警察官ばかりなら、世の警察不祥事も減るだろうに。
 政治不信、将来への不安、現状への不満、たくさんのいやなことがあっても誰も立ち上がらない今、左翼とか学生運動の描写を読むと、「本当にこんなに(正否は別として)熱い人たちがこの日本にいたわけ?」と疑いたくなる。本当に革命を起こそうとした人や、左翼思想にかぶれた人はいまいずこ……。のほほんと優雅に年金生活を送っているのかしら?

 清二の息子・民雄は父のような警察官になりたいと、父を目指していたはずなのに、世の流れ、学生運動のために、ああなんともかわいそう。任務を遂行し、それもなまじ優秀だったばっかりに……。こんな展開になるなんて思いもしなかった。
 上巻の終わりに来て、父の死の謎を解くために警察官になったのだと民雄は思い出す。私も「そういえば清二を殺したのは誰なのだ?」と思い出す。清二の死の原因を知りたいと思う気持ちを忘れさせてしまうほど、内容が濃い。


この感想へのコメント

1.ぺこぽん (2008/03/31)
えぇ~?ほんと~?
このミスほど世間の評判はよくないので放置中。
未だ未だ図書館ではすっごい待ち状態なので、この波が終わった頃に読もうと思ってるんですが・・・。
2.ヨッチン (2008/04/01)
 ミステリとして捉えると、面白くないのかもしれないです。戦後史だと思えば、すごく面白いと思いますよ。私は昭和の話が好きなので、この作品が好きです。
 

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 19

警官の血 下巻

著者 : 佐々木 譲

出版社:新潮社

発売日:2007-09-26

評価 :

完了日 : 2008年03月31日

 07’12.05図書館にて予約。
 ネタバレしていますのでご注意を。







 清二は駐在、民雄は公安、和也は捜査二課(四課)の刑事と、それぞれ立場は違うけれど、「警官の血」のタイトルにふさわしい内容だと思う。
 和也は父・民雄の遺志を引き継ぎ、祖父の死の真相を探る。意外とあっさりと真相がわかるのだが、それはまあ、想像どおりというか、読者にも推理できるような真相で。それより民雄の死の理由のほうが驚いた。
 加賀谷のしていたことや民雄のしたことは、法律に照らせば違法なのだろうが、何が善で何が悪なのか? 罪に重い軽いはあるのだろうか? 誰かのためにはなり、誰かのためにはならない、と相対的にみて罪になるとかならないとかを決めたら法治国家ではないし。でも民雄のしたことを責められない和也の気持ちもよくわかる。

 ミステリというより、現在の警察が抱えている問題について、正義とは何か、おまえはどう考える? と言われたような……。


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 65

火車 (新潮文庫)

著者 : 宮部 みゆき

出版社:新潮社

発売日:1998-01

評価 :

完了日 : 2008年03月31日

 このミス ベスト・オブ・ベストの1位ということで、10年ぶりに再読してみた。まったく内容を覚えていなかったので、初読に近い。
 初出が1992年でしょ? もう15年ちかくも前の作品なのに古さを感じさせない。私がずっとクレジットカードを持たなかったのは「怖い」と思っていたからで(ネットで買物をするときなど不便なので持つようになってしまったが)、その怖いと思った理由の1つがこの作品だったことを思い出した。推理小説なのだけれど、推理よりも私の知らない経済の部分のほうが興味深かった。身の丈にあった生活、幸福を求めよう。


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5.percy (2008/04/08)
早速お返事ありがとうございます。
まだ、この本しか読んでいないのです(*^^)v
ヨッチンさんのオススメは何ですか?
6.ヨッチン (2008/04/19)
percyさん、お返事遅くなってごめんなさい。宮部作品は作風の幅が広いので、何をお薦めすればいいのかしら? とちょっと悩んでしまいました。個人的には「蒲生邸事件」が好きですけれど、一般的には「模倣犯」がやはり宮部さんの代表作でしょうか。いろいろと吟味して「宮部作品」を堪能してください。

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 29

ラットマン

著者 : 道尾 秀介

出版社:光文社

発売日:2008-01-22

評価 :

完了日 : 2008年03月23日

08.02.01図書館にて予約。
 いやぁ面白かった! 何が面白かったのかは書けないけれど、人間の「思い込み」ってのは……「ラットマン」とはそういうことだったのか。また騙された。
 どんでんどんでんどんでん返ってもう何がなにやら。


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1.ぺこぽん (2008/03/31)
あははは・・・
思い込みね、思い込み。
相変わらずの道尾作品でした。よく考えつくよね、ほんと。
2.ヨッチン (2008/04/01)
 そろそろ読んでいる途中で、「こうだろ!」って結末を当てたいのに、いやぁ当たらない。どんな頭の中なんだろうなぁ……。結末を当てるまで読まされるのか?
 

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 36

償い (幻冬舎文庫)

著者 : 矢口 敦子

出版社:幻冬舎

発売日:2003-06

評価 :

完了日 : 2008年03月22日

 何のために生きるのか。誰かのため、自分のため? 自分の存在が誰かのためになっている、誰かの支えになっている――自分はひとりじゃないと思えなければ、虚しいだろうな。ましてや、自分の存在によって、誰かの心が壊れてしまったとしたら、それが身近な人であればあるほど、自分を責めてしまうだろう。
 生きることは楽じゃない。何のためにこんなことをしているのだろうって感じることも多い。先の見えない不安、一体これから先、私はどんなふうになっているのか、想像もしたくない。
 社会的に認められた地位にいて、収入も充分にあり、傍から見れば恵まれた存在の日高が何故、世を捨てたのか? 真面目で熱い気持ちを持っている人が報われる世の中であってほしい。誰かひとりでもいいから自分を認めてくれさえすれば、生きる糧・力になる。真人は日高に認めてもらえたのだから、この先、生きることに懸命であってほしいものだ。

 話の進め方として、刑事(山岸)と日高が関わらなくてはならないのはわかるのだが、こうも警察が一市民をあてにすると、いくら小説だとはいえ、捜査情報漏らしすぎ!! と突っ込みたくなる。


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 4

フォトグラフール

著者 : 町田 康

出版社:講談社

発売日:2008-02-15

評価 :

完了日 : 2008年03月14日

08’03.05図書館から借りてきた。
 序にかえて、からしてまず笑わせてくれる。
 写真を見て、そこから喚起されるものを綴っているのだが、嘘は嫌いと言い切っているだけあって、その文章からは嘘は感じられないわけはない。うふふ、おほほ、くすって笑いで大笑いはないけれど、頭を使わずに読んで楽しめる。花粉症の私にとって、この季節、薬漬けになっているために頭を使う読書は辛い。辛いがゆえに軽い文章のものを好む。これはそんな私にとってとてもよい本だった。


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 14

月のころはさらなり

著者 : 井口 ひろみ

出版社:新潮社

発売日:2008-01

評価 :

完了日 : 2008年03月13日

 宮部みゆきさんが選んだ第三回新潮エンターテインメント大賞作ということで、かなり期待。
 主人公・悟がわけのわからない状態ですごしている「庵」。読者も悟と同じように「預かり子」「鈴鳴らし」「たまがけ」など意味のわからない事柄に触れ、悟の成長を見る話かな? 「夏の夜、月のころはさらなり」という枕草子の一節が、この作品の舞台では違う意味を持つという。その意味は――なるほどね。
 選考委員の宮部みゆきさんが好きそうな話だった。


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 2

津山三十人殺し―日本犯罪史上空前の惨劇 (新潮文庫)

著者 : 筑波 昭

出版社:新潮社

発売日:2005-10

評価 :

完了日 : 2008年02月29日

「八つ墓村」のモデルとなった事件ということは知っていたが、いつ、どこで何が起きたのか? ということは知らなかった。そして「八つ墓村」以外にもこの事件を下敷きにした小説がたくさんあることも知らなかった。「夜啼きの森」(岩井志麻子さんの作品)を過去に読んでいたのに、この事件が下敷きだったことは忘れていた。
 「事実は小説より奇なり」とはよく言ったものだ。帯に書いてある「その狂気、やむことなし!」だ。しかし、都井睦雄が死んでしまっているので、真相はわからずじまい。すべてその時代が起こした事件と言ってしまえば終わりだけれど、閉鎖的な村社会、結核が不治の病だった時代、軍国主義が色濃く、男はみな兵隊にとられていく時代……すべてがパズルのピースのように嵌ってこの事件が起きたように思う。今の時代ならば、もっとたくさんの人が犠牲になってしまう殺害方法があるだろうけれど、そこまでの憎悪や狂気が生まれる時代なのかどうか……。


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 1

脱線者 (朝日新書)

著者 : 織田 裕二

出版社:朝日新聞社

発売日:2007-12-13

評価 :

完了日 : 2008年02月20日

 私は織田裕二が好きだ! どのぐらい好きかというと、普通。ドラマ「ママハハブギ」ぐらいから好きだ。俳優の彼はもちろん、「世界陸上」の織田裕二も好きだ。
 この本は彼のファンに向けて書かれていると思っていたが、どうも進路や将来について悩み、考えている青少年向けのようだ。
 週刊誌などのゴシップ記事で、いつも悪者扱いされているが、今どき珍しいタイプの熱血漢なのだと思う。彼の熱い気持ちがそこかしこに表われている。たとえその熱さが笑いを誘うとしても……。


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 13

レディ・ジョーカー〈下〉

著者 : 高村 薫

出版社:毎日新聞社

発売日:1997-12

評価 :

完了日 : 2008年02月20日

 肉厚で濃厚で……。おなかいっぱいになった。
 ネタバレしていますので、ご注意を。



 

 この作品の中で起きたすべての事件、そして実際に起きている事件など、『表面的な因果関係は明らかになったが、そこにはほんとうの発生源はなかったのだ。(中略)解きあかされたのは個別の事犯の個別のメカニズムだけであり、そのメカニズムを動かしている真の駆動装置は見えず、どこに、どんな形で存在しているのかも分からない。辿っても辿ってもどこかで途絶え、決して発生源に行き着くことがない』と久保が思い至る、これこそこの作品のすべてではないかと感じた。(間違っているかもしれないが)
 この世の真の悪が滅びない限り、この世に真の平和・幸福は訪れないだろうし、そしてそのようなことが起きることはないと悟っている自分が悲しい。

 毎回、合田雄一郎には悩まされる。彼がいったいどんな人物なのか、私には把握しきれない。優秀な刑事なのか、駄目な刑事なのか、表面的には優秀な刑事なのだろうが、考えや内面に触れる文面になると、「頭がおかしい人かも」とも思ってしまう。捉えきれない複雑な人物だ。


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 3

クロノス・ジョウンターの伝説∞インフィニティ (ソノラマノベルス) (ソノラマノベルス)

著者 : 梶尾 真治

出版社:朝日新聞社

発売日:2008-02-07

評価 :

完了日 : 2008年02月19日

 きゃー「クロノス・ジョウンター」!つうことで、即買い。内容は朝日ソノラマ文庫版に新たに3篇が追加され、文庫版にあった〈外伝〉を削除。その他加筆修正がある模様。文庫版さえも「増補版」になっているので「何度目だ!」と思わずにはいられない。けれども、新作も読みたいので買わずにはいられない。
 
 現在読んでいる途中だけれど、やはりいいものはいい。ベタで先が分かる展開だけれど、それがいい。過去を変えることによって今の苦しみや悲しみから逃れられると分かったら、どんなリスクを冒してでも時間を溯る決意をする、その決意の固さ、愛する人への想いに胸を打たれるのだ。
 映画版「この胸いっぱいの愛を」というタイトルの通り、彼らの胸には愛がいっぱい。

 「未来から来ました」と言う人間がいたら、きっと私は信じるだろう。それくらいこの作品が大好きだ。


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 12

14歳 (MouRa)

著者 : 千原 ジュニア

出版社:講談社

発売日:2007-01-13

評価 :

完了日 : 2008年02月10日

 07’5.9予約。
 作文を読んでいる先生の気分だった。拙いけれど、彼の思いは強く伝わってくる。14歳という思春期。誰もが何かを悩み、迷うだろうが、彼の悩みはことさらに痛い。うまく自分の気持ちを伝えることができないために、周りとの齟齬が生じてしまい、またそれを「違うんだ」と説明できず……の悪循環。抜け出せるきっかけがあり、そのきっかけが正解であって、よかったね。初出が1998年の別冊カドカワとあったが、何ゆえ10年も寝かせたのか? 


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 11

相棒

著者 : 五十嵐 貴久

出版社:PHP研究所

発売日:2008-01-12

評価 :

完了日 : 2008年02月09日

 あの「坂本龍馬」と、宿敵である新選組の「土方歳三」がコンビを組み、幕末維新のオールキャストが周りを固める、スリルと感動のエンタテインメント長編小説である。
と帯にあり、08’1.22図書館にて予約。なのに、この本「歴史書」のコーナーに出してありました。誰だよ、そんなところに出した店員は!小説ですよ、小説。もちろん文芸書新刊のコーナーに出し直しました。

 日本史の授業が好きだったのに、幕末辺りから駆け足の授業になるためか、それとも加齢による記憶力の低下のためか、いやぁまるで覚えていなかった。坂本龍馬と土方歳三が相対する考え方の持ち主というのは覚えていたけれど、とくに新撰組が好きというわけでもないので出てくる人物の名前を聞いてもピンとこない。でも作中で説明してくれているので、知識が浅くても読めます。新撰組や幕末維新のことが好きな人は「史実と違っている」と思う部分で不満もあるかもしれないけれど、私は詳しくないので、楽しめました。新撰組が好きな人は「男のロマン」を感じているのでしょうか? 世の中をよくしたいと思っている人々というのは美しいですね。今の世の中にこんな人たちは……きっといないだろうね。
 坂本龍馬は先見の明があり、土方は武士出身ではないけれど、仕えている身として忠義に篤く、武士の中の武士だと思った。相容れないとはいえ、薩長の迅速な対応には感心し、坂本の「いずれ体制は変わる。変わらなければならぬ」という考えにも頷く土方。坂本と土方が実際に組んでいたなら――世の中は変わっていただろうか? 戦をせずに済んでいただろうか? 後の歴史で評価されることとはいえ、今の世の中にこのような人がいたら、日本は変われるのかもしれない。

 しかしいつの世も官僚というのは……駄目ですね。


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