たなぞう

WEB本の雑誌

ヨッチンさん > 読書ノート

ヨッチンさんの読書ノート

お気に入りの本
何回も読み直してしまう、大好きな本。
<前のページ 1  2  次のページ>

 

みんなの感想を読む
 42

ザ・万歩計

著者 : 万城目 学

出版社:産業編集センター

発売日:2008-03

評価 :

完了日 : 2008年05月13日

 天気の悪い日にコインランドリーへ行く。その待ち時間に本を開く。洗濯物の乾燥終了時間を気にしていたはずなのに、すっかり忘れて読みふける。それがこの本だった。
 
 万城目さんエッセイ上手だ! 小説は独特の世界観で「ホルモー」も「鹿男」も「んな馬鹿な!」という設定だけれど、その世界を生み出す彼の素の部分が垣間見えるエッセイ。「こういう人なら、あの物語も生まれるわな」と合点。
 今まで彼の小説世界に入り込むために少々の努力が必要だったけれど、これからはすっと入っていけそうな予感。


この感想へのコメント


みんなの感想を読む
 11

花まんま (文春文庫)

著者 : 朱川 湊人

出版社:文藝春秋

発売日:2008-04-10

評価 :

完了日 : 2008年05月01日

 直木賞受賞作というのに読んでいなかった朱川さんの作品。待望の文庫化ということで、買いました。
 1篇目から私の心を揺さぶります。帯に、解説を担当した重松さんのお言葉があるのですが、その通りだと。
 ――曰く
「懐かしさの「懐」とは、「ふところ」である。頭の知識や記憶ではなく、そのひとのふところに深く根ざした――まさに〈このへんがシクシクする〉懐かしさを、朱川さんの小説はそっと取り出してくれるのだ、と。

 朱川さんのお話は本当にうまい! 人には知られたくない暗部を描かせたら右に出る者はいないんじゃなかろうか? 「トカビの夜」ではユキオがチュンジとチェンホに対して抱く気持ち、私にも同じような経験があり胸が痛くなった。
「花まんま」は切ない。切なくて悲しくて……加藤家のお母さんが可哀想で涙、涙。
「妖精物語」は人間のグロテスクさにげんなり、ドーンと落とされ、「摩訶不思議」でフフフと笑わされ、いや~絶妙な配置です。
東日本生まれ東日本育ちの私。「パルナス」の歌とは? とちょっと検索。――なるほど、これは……トラウマになっているという人の気持ちわかります。


この感想へのコメント

2.ヨッチン (2008/04/18)
 早く読みたいのに、図書館で予約した本が一気に4冊! ほかにも積んである本がたくさん。いつ読むのでしょう? トホホ……。でもなるべく早く読もうと、ぺこぽんさんのコメントを読んで思いました。泣いちゃうのね? この本の内容とか皆さんの感想など全然知らないので、ちょっと楽しみ。
3.ぺこぽん (2008/05/06)
「トカビの夜」だけでやられちゃうんだったら、これは決まりかもね。私は「花まんま」が一番。「送りん婆」と「凍蝶」も好きだな。どれも切ない・・・。ヨッチンさんの読了後の感想が楽しみです。

もっと読む(3件)

 

みんなの感想を読む
 4

告白 (中公文庫)

著者 : 町田 康

出版社:中央公論新社

発売日:2008-02

評価 :

完了日 : 2008年02月25日

 私に衝撃を与えた1冊が、ついに文庫化!
 以前は図書館で借りたので、つい急ぎ足で読んでいた。文庫を購入したので、今度はじっくり町田康氏の訴えたかったことと向き合おう。


この感想へのコメント


みんなの感想を読む
 13

レディ・ジョーカー〈下〉

著者 : 高村 薫

出版社:毎日新聞社

発売日:1997-12

評価 :

完了日 : 2008年02月20日

 肉厚で濃厚で……。おなかいっぱいになった。
 ネタバレしていますので、ご注意を。



 

 この作品の中で起きたすべての事件、そして実際に起きている事件など、『表面的な因果関係は明らかになったが、そこにはほんとうの発生源はなかったのだ。(中略)解きあかされたのは個別の事犯の個別のメカニズムだけであり、そのメカニズムを動かしている真の駆動装置は見えず、どこに、どんな形で存在しているのかも分からない。辿っても辿ってもどこかで途絶え、決して発生源に行き着くことがない』と久保が思い至る、これこそこの作品のすべてではないかと感じた。(間違っているかもしれないが)
 この世の真の悪が滅びない限り、この世に真の平和・幸福は訪れないだろうし、そしてそのようなことが起きることはないと悟っている自分が悲しい。

 毎回、合田雄一郎には悩まされる。彼がいったいどんな人物なのか、私には把握しきれない。優秀な刑事なのか、駄目な刑事なのか、表面的には優秀な刑事なのだろうが、考えや内面に触れる文面になると、「頭がおかしい人かも」とも思ってしまう。捉えきれない複雑な人物だ。


この感想へのコメント


みんなの感想を読む
 3

クロノス・ジョウンターの伝説∞インフィニティ (ソノラマノベルス) (ソノラマノベルス)

著者 : 梶尾 真治

出版社:朝日新聞社

発売日:2008-02-07

評価 :

完了日 : 2008年02月19日

 きゃー「クロノス・ジョウンター」!つうことで、即買い。内容は朝日ソノラマ文庫版に新たに3篇が追加され、文庫版にあった〈外伝〉を削除。その他加筆修正がある模様。文庫版さえも「増補版」になっているので「何度目だ!」と思わずにはいられない。けれども、新作も読みたいので買わずにはいられない。
 
 現在読んでいる途中だけれど、やはりいいものはいい。ベタで先が分かる展開だけれど、それがいい。過去を変えることによって今の苦しみや悲しみから逃れられると分かったら、どんなリスクを冒してでも時間を溯る決意をする、その決意の固さ、愛する人への想いに胸を打たれるのだ。
 映画版「この胸いっぱいの愛を」というタイトルの通り、彼らの胸には愛がいっぱい。

 「未来から来ました」と言う人間がいたら、きっと私は信じるだろう。それくらいこの作品が大好きだ。


この感想へのコメント


みんなの感想を読む
 50

死神の精度 (文春文庫)

著者 : 伊坂 幸太郎

出版社:文藝春秋

発売日:2008-02-08

評価 :

完了日 : 2008年02月14日

 映画化ということで、タイミングを合わせたのかな? 文庫になりました。私の働く書店では、初回配本数が2日でさばけてしまいました。映像化って凄い影響力がありますね。「チーム・バチスタ~」なんて映画公開前はまったく動かなかったのに、2月9日からの3日ほどで50冊は軽く売れました。

 伊坂作品では一番好きな作品かな? 死神といっても怖くないし、伊坂らしさも◎。最後の章で「う~ん、いい話や」と思うし。


この感想へのコメント

1.ぺこぽん (2008/02/14)
このミスで評価が高かった作品ですよね。ヨッチンさんも評価が高いですね。私は☆四つぐらいかな。
で、映画化ですか?
最近・・・ほんと、何でもかんでも映画化ですね。私は見ないから別にいいんだけど。でもな~んか、読んだ本の映画化って気になりますよね。
2.ヨッチン (2008/02/16)
 原作があると映像化が簡単なのかもしれないけれど、映像の人たちは自分たちで何かを創り出そうという気持ちがないのかな? がんばれよと言いたい。
 この作品の死神「千葉」は自分の中の「千葉」より男前だから許す!(単に金城武が好きなだけだったりする)
 

みんなの感想を読む
 89

サクリファイス

著者 : 近藤 史恵

出版社:新潮社

発売日:2007-08

評価 :

完了日 : 2008年01月31日

 07’12.06図書館にて予約。
 自転車競技といえば日本人はまず「競輪」だろう。ロードレースの名前は知っていても、ルールはまったく知らなかったし、スプリントと山岳では求められる筋力が違うなんていうのも、深く考えれば分かるけれど、気にも留めなかった。エースのためにアシストをする選手がいることなんて想像もしなかった。まさにサクリファイス(犠牲)。
 思いがけない真相に胸が苦しい。
 チカは優男っぽいけれど、誰よりも強い男だな。石尾さんに何かされるんじゃないか、目の敵にされるんじゃないかとチカの身を案じつつ読んでいた。真相を知り、もう一度読むと最初に抱いた気持ちは一掃される。
 とても心に響いた作品。「正々堂々、スポーツマンシップに則り……」なんて選手宣誓するけれど、プロの世界ではそんな甘い考えは通用しないんだな。


この感想へのコメント


みんなの感想を読む
 89

ラッシュライフ (新潮文庫)

著者 : 伊坂 幸太郎

出版社:新潮社

発売日:2005-04

評価 :

完了日 : 2007年12月15日

 時系列がこんがらがって、一回読んだだけじゃわからない。泥棒だの拳銃だのバラバラ殺人だの死体だのリストラだのとネガティブ大放出だけれど、まあ、終わりよければすべてよし。イッツ・オールライトだわ。。
 伊坂作品が大好きとか言いながら、全部は読んでいないし、「フィッシュストーリー」を先に読んでしまったけれど、逆の発見で人とは違う楽しみ方ができたということにしよう。
 万有引力を発見したタダシって、あの内角の和を発見した今村のことなのね! 河原崎の父は動物園に通い続けた男なの! といやぁいろいろとリンクしているってのは楽しいですなぁ。

 物語の先はこうなってこうつながっていくんだろうと予想できるし、そうなるけれどそれでも読んでいて楽しい。伊坂幸太郎って天才だな。

 ラッシュライフ→豊潤な人生でいきたい。決してのんだくれのやけっぱち人生じゃなく。


この感想へのコメント


みんなの感想を読む
 8

レディ・ジョーカー〈上〉

著者 : 高村 薫

出版社:毎日新聞社

発売日:1997-12

評価 :

完了日 : 2007年11月30日

 高村薫さんの作品は常に重厚で、読むこちら側にも体力と覚悟を求めてくる。だからいつもなかなか読み進められないのだが、この作品はモデルとなった事件を知っている分、読みやすい。事件が動くまでの描写さえもとても丁寧で、あっという間に出てこなくなる人のことも詳細に描いてある。その筆力にただただ頭が下がる。こちらもその作品に負けないように、丁寧に1ページ1ページ大切に読んだ。ああ、これからどうなるのだろう? 合田はどうするのだろう。。。


この感想へのコメント


みんなの感想を読む
 38

ブラックペアン1988

著者 : 海堂 尊

出版社:講談社

発売日:2007-09-21

評価 :

完了日 : 2007年11月30日

07’09.24図書館にて予約。

 舞台はお馴染み東城大学医学部付属病院。ただし時は1988年。田口センセはまだ医大生。高階院長は講師。藤原さんは婦長。みんな肩書きが違い、当たり前だけれど若い。ほかにも黒崎、垣谷、速水、島津、猫田、花房とバチスタ・シリーズの面々が登場し、「登場人物に歴史があるっていいなあ」と思わずにやけてしまう。ブラックペアンを読んでいると、続けて「チーム・バチスタの栄光」を読みたくなる。
 さて「ペアン」て何? 表紙の絵のハサミのことか? でもどうやらハサミのように切るために使うものではないらしい。「オペナース養成講座」というサイトへGO! ふんふん、止血用鉗子。で、それが佐伯教授の場合、黒いものもある、と。しかし術中の描写、今ひとつうまく想像できない。専門知識のある方、羨ましい。まあここは「華麗な手技」ということだろう。
 外科の佐伯教授VS高階講師の話なのか? 
 佐伯教授は、これぞ大学病院の外科教室の教授として描かれており、すごく傲慢&石頭。対する高階講師は外部から招聘された改革派。この2人の対立に周りが巻き込まれて~とよくあるパターンかと思いきや、そうではなかった。佐伯教授は決して石頭ではなかった。まあ立場上、そうするしかなかったんだろうけれど、志は高階と同じようなものだったのね。
 個性的な渡海先生や新人医師・世良先生の奮闘、やはり外科医の話には華がある。読んでいて楽しい。
 高階院長は、ずっと以前から一筋縄ではいかない曲者で、でも病院や医療をどうにかせねばと思っていたのね。ここでも言っています、新人君に。「ルールは破られるためにあるのです。そしてルールを破ることが許されるのは、未来に対して、よりよい状態をお返しできるという確信を、個人の責任で引き受ける時なのです」と。

 最後の最後に、ブラックペアンが何ゆえ作られたのかがわかります。渡海先生もわかってくれたのでしょうね。後味は悪くなかった。病院長選挙の様子も知りたかったな……。


この感想へのコメント


みんなの感想を読む
 4

ALWAYS 続・三丁目の夕日―もういちど、あのときへ。 (小学館文庫) (小学館文庫)

著者 : 山本 甲士

出版社:小学館

発売日:2007-09-06

評価 :

完了日 : 2007年11月04日

 前回同様、映画の原作というより、西岸良平さんのマンガをノベライズにしたもの。マンガはたくさんあってどうも手を出しにくい。この文庫のシリーズは、秀逸なエピソードばかりなので涙なくしては読めない。でも最後までまだ読んでいない。なぜなら、映画を観てからにしたいから。茶川が芥川賞をとれるのかどうか、まだ知らない。


この感想へのコメント


みんなの感想を読む
 1

サイケ (集英社文庫)

著者 : 姫野 カオルコ

出版社:集英社

発売日:2003-06

評価 :

完了日 : 2007年10月21日

 


この感想へのコメント


みんなの感想を読む
 13

対岸の彼女 (文春文庫)

著者 : 角田 光代

出版社:文藝春秋

発売日:2007-10

評価 :

完了日 : 2007年10月11日

 初めて手にした角田光代さんの小説。直木賞受賞作であるのでご存じだとは思う。受賞前に読み、心を強く揺さぶられた作品。待望の文庫化。私の「バイブル」かもしれない。小夜子は子育てしつつ働き、葵は仕事に邁進する。私自身はその二人の中間だ。結婚していても子どもはいない。仕事にはプライドと責任とやりがいを持って取り組んでいる。どちらかに感情移入して読んだわけではない。気づくと物語の世界へスーッと入り込んでいた。


この感想へのコメント

1.ぺこぽん (2007/10/11)
へぇ~、そうなんだ。やっぱり良いのね、これ。
角田さんは最近少し読み始めましたが、これは未だ未読です。文庫化ですか?んじゃひとつ買って読んでみましょう。なんてったってヨッチンさんの☆五つは期待大。
2.ヨッチン (2007/10/12)
 ぜひ読んでみてください。きっとお気に召すと思います。
 

みんなの感想を読む
 6

平成よっぱらい研究所―完全版 (祥伝社コミック文庫)

著者 : 二ノ宮 知子

出版社:祥伝社

発売日:2003-03

評価 :

完了日 : 2007年10月10日

 二ノ宮知子さんの作品との出会いは「天才ファミリーカンパニー」。そのときは「面白い作品を書く人だな」で終わった。そして「のだめカンタービレ」でハマッた。この平成よっぱらい研究所は、1巻完結だからと軽い気持ちで手にとった。
 大笑いだよ、酒飲みには「あるある」「あったあった」と共感大の1冊。若いって素晴らしい! そしてこんな楽しい酒飲みは大歓迎だ。
 内容的に今じゃ批判の対象になりそうな部分もあるけれど、まあ大らかな気持ちで、酒でも片手に読んでほしい。


この感想へのコメント


みんなの感想を読む
 14

6時間後に君は死ぬ

著者 : 高野 和明

出版社:講談社

発売日:2007-05-11

評価 :

完了日 : 2007年07月27日

「6時間後に君は死ぬ」
「時の魔法使い」
「恋をしてはいけない日」
「ドールハウスのダンサー」
「3時間後に僕は死ぬ」
「エピローグ 未来の日記帳」

「時」「時間」をテーマにした短編集。すべてに山葉圭史という、特殊な能力を持った男が登場する。スリルあり、感動ありで満足の1冊。高野氏の作品は「13階段」しか読んだことがなく、今作も手にするまではずっと長編だと思っていた。

 どの作品も先が気になり読み出すと止まらない。タイムトラベルものが好きな私としては、「時の魔法使い」がお気に入り。読んでいる間、胸が苦しくなるくらい切なかった。

 もし子どもの頃の自分に会ったら、あなたはどうしますか? この「時の魔法使い」では主人公・未来(みく)が9歳の頃の自分と会ってしまう。戻るのではなく、会ってしまうという設定がいい。
 未来は脚本家になる夢を叶えるために努力しているがなかなか思うようにはいかず、生活も苦しい。現実逃避からか、「自分の人生はこんなに惨めなのかと思うと、小さい頃に戻りたいと思った。ささいな幸せがどんなに幸せなことかわからなかったあの頃に戻りたい」と未来は思う。
 私も人生30数年生きてきて、未来のように小さい頃に戻りたいと思うことがある。もしも今、9歳の自分に会うことができたら……。今では思い出せない子どもの頃の気持ちを聞きだしてみたい。何が楽しいのか好きなのか、何がいやなのか楽しくないのか。自分のことなのに自分のことじゃないように思うのかな? それとも忘れていたことがぶわーっとよみがえってくるのかな? ほしいおもちゃが買ってもらえないとか逆上がりができないとか、子どもなりの不満や悩みはあるのだろうけれど、両親の愛情をいっぱい受けて、食うことにも困らず生きていることに感謝しろって説教しちゃうかもしれない。
 生きていくために必要なものや場所などのすべてを無償で与えてもらえることのありがたさ。いつか両親と永遠にお別れしなければならない日が来てしまう。だから感謝の気持ちは言葉にして伝えなければいけないな、と反省した作品。

 いい作品だと思っていたら、ドラマ化だそうです。


この感想へのコメント


みんなの感想を読む
 6

ああ正妻

著者 : 姫野 カオルコ

出版社:集英社

発売日:2007-03

評価 :

完了日 : 2007年05月09日

 07.4.1に予約。早く読みたい!

 例えば恋愛小説やドラマの主人公。いろいろな障害や誤解を乗り越えて恋人と結ばれる。恋に恋する乙女の季節なら、目がハートになり、主人公と同化してゆく。本を読むとき、主人公に感情移入するのは人の常。いくら苦しくても悲しくても辛くても、最後に希望があるのなら、いちばんの理想形の結末が訪れるのなら、そんな苦労は屁とも思わない。どころか、その苦しみがあったからこその幸福感に涙したりする。
 しかしこの作品の主人公・小早川正人に感情移入すると憤りと悲哀・疲労しか感じられない。彼は決して悪しき人ではない。否、作者が言うように善き人なり。されど悪しき人でもある。
 なにが疲れさせるのか、それは小早川の妻・雪穂にほかならない。雪穂といえば、東野圭吾氏の『白夜行』の雪穂。あの雪穂をしても太刀打ちできるかどうか――。「雪穂っていったら……」と思っていたら、作中にも『白い夜を行く』なる作品名が出てきて、ちょっと嬉しかった。
 この雪穂、同性から見ても理解不能。そりゃ私だってだんなのことをウザく思うこともあるわ。でも、集金マシンだとは思っていないぞ! それに加え、この雪穂、無自覚という最大の武器で小早川を滅多打ちにする。他人事なら「あの奥さんすご~い」と笑って済ませられるが、もし自分の妻だったら、絶対に即離婚だ。金遣いは荒いし、世界の中心でキィーっと理解不能なことを叫ぶような女、お断り!! なのに、小早川ってば……そんな反撃の仕方って……ショボーン。。

 この作品は哲学書だと思う。姫野カオルコという人の哲学がみっしり詰まっている。「しこめのいいわけ」(負け犬の遠吠えのことだと思われる)の誤読っぷりには、姫野作品愛読者ならば「あっぱれ!」と快哉を叫ぶだろう。川田教授の口を借りて行なわれる「しこめのいいわけ」考察には何度も何度も首を縦に振った。とか偉そうなことを書いているが、100%理解できたわけではない。言いたいことはわかるのだが、ボヤーッとしか理解できない。「第六章 川田教授の藁半紙」の部分をレポート提出せよ、と言われたら、きっと採点は低いだろうな。

 とにかく、なにがすごいって、これがほんとうのはなしだってこと。出てくる出版社の名前や登場人物の名前は仮名だが(なにせ瓶野比織子という作家が出てくるし)、事実は小説より奇なりってホントですね。


この感想へのコメント

1.パートママ (2007/10/14)
姫野で哲学と言ってくれる人に出会えて嬉しいです。
図書館で借りた本なので一部書き残しておけばよかったと思う部分があるのですが、残ってません。
パパ、ママと呼び合うことについて姫野流の解釈があったと思うのですが解りますか。符号で呼ぶことで個としての存在に目をつぶるというような・・・
2.ヨッチン (2007/10/15)
 ああ、あったような……。私も図書館で借りたのでその箇所について覚えておりません。(本筋が強力すぎてやられてしまいました)ごめんなさい。ちょっと職場で調べてみますわ。(ちゃんと文庫になったら買いますので姫野さん、許してください)
 

みんなの感想を読む
 16

6ステイン (講談社文庫)

著者 : 福井 晴敏

出版社:講談社

発売日:2007-04-13

評価 :

完了日 : 2007年05月07日

 単行本として発売されたときは図書館で借りて読んだのだが、今回文庫化にあたり購入。(びっくりするぐらい内容を覚えていなかった)
 福井氏は長編、それも大長編の作品ばかりだけれど、この短編集もとてもよい。長編が苦手、福井氏の作品が苦手という方にぜひ読んでいただきたい。
「いまできる最善のこと」「畳算」「サクラ」「媽媽」「断ち切る」「920を待ちながら」の6篇収録。いずれも福井氏の作品ではお馴染みの「市ヶ谷」関係の人々の物語。(「断ち切る」はちょっと捻ってあるけれど)
 個人的には「畳算」「920を待ちながら」が好きかな?なんといってもあの「如月行」に再会できるんだから!!


この感想へのコメント

1.ぺこぽん (2007/10/14)
うん、私も「920を待ちながら」が好きです。やっぱ行に逢えるのが嬉しい。この装丁、ちょっと引いちゃうけど、中身はいいから是非読んで~という一冊です。勿論「亡国のイージス」の後にね。
 

みんなの感想を読む
 3

整形美女 (新潮文庫)

著者 : 姫野 カオルコ

出版社:新潮社

発売日:2002-09

評価 :

完了日 : 2007年03月28日

 容姿端麗な美女、平々凡々な女。あなたならどちらになりたいですか? 美女なら平凡な女になりたくて、平凡な女なら絶世の美女になりたいんだろうな……。
 人間の美意識ってなんなんだろう? 女としてのしあわせってなんなんだろう? と考えさせられる1冊。
  誰もが羨むスタイルと顔だったら……と思うこともあるけれど、美人だったらこんな苦労もするのかと驚き、フツーでよかったと思った。
 甲斐子と安部子というネーミングも憎い。


この感想へのコメント

1.パートママ (2007/10/14)
もう一度読み返したい本ベスト1です。哲学書です。
2.ヨッチン (2007/10/15)
パートママさん、コメントありがとうございます。
姫野さんの本はどれも姫野哲学満載で、頭を使いますね。その分1回読んだら忘れないけれど、それでも何回も読みたくなる作品が多いですよね。
 

みんなの感想を読む
 8

君の名残を

著者 : 浅倉 卓弥

出版社:宝島社

発売日:2004-06-15

評価 :

完了日 : 2004年07月15日

 大好きなタイムトラベルもの。
 『四日間の奇蹟』は苦手だったけれど、これはよかった。
 ただ、後半は雑な印象が拭えない。しかし、ちょうど源義経を大河ドラマで放送している時期に読んだので、ハマッた。「どうなっちゃうの?」と先が知りたくて知りたくて猛スピードで読みました。図書館で借りて読んでいたのだけれど時間が足りず、結局購入してしまったぐらい大好きな1冊。


この感想へのコメント

3.ぺこぽん (2008/02/14)
いえいえ。でも朝倉さんっていえば、世間は「四日間の奇跡」でしょ。あれは読んだけどこれは読んでないって人、多いですよ。
かつて私はこれを絶賛したんですよ、別のサイトで。そしたらその後読んだ人のコメントがありまして、ぼろかすにけなされました。私はいいと思ったんだけどなあ・・・。という苦い思い出のある作品でした。ヨッチンさんのコメントを読んで、とても嬉しかったです。
4.りんだ丸 (2008/06/07)
おはようございます( ^ ^ )/
コメントをありがとうございましたm(_ _)m

この作品ワタクシも大好きです!!!
とても感動しました。
歴史は苦手なので史実をほとんど知らず;
物語にすんなり入って行けました・・・
そしてハマりました(T_T)

もっと読む(4件)

 

みんなの感想を読む
 17

川の深さは (講談社文庫)

著者 : 福井 晴敏

出版社:講談社

発売日:2003-08

評価 :

完了日 : 2003年08月14日

 人間は簡単には死ねない。ダイ・ハード。


この感想へのコメント

1.ぺこぽん (2007/10/14)
デビュー作にしてこれか・・・。全くもって、福井さんにはノックダウンだ。金谷もいい味だしやがって、コノヤローなどと思ってしまう。好きだなあ、この作品も。
<前のページ 1  2  次のページ>

Copyright c 2006 WEB本の雑誌 All rights reserved.