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ヨッチンさんの読書ノート

2007年読了本
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 28

まんまこと

著者 : 畠中 恵

出版社:文藝春秋

発売日:2007-04-05

評価 :

完了日 : 2007年07月18日

 07’4.15に予約。「しゃばけ」シリーズが好きなので、これもまた楽しみ。
「まんまこと」
「柿の実を半分」
「万年、青いやつ」
「吾が子か、他の子か、誰の子か」
「こけ未練」
「静心なく」の6篇収録。

 江戸・神田の古名主・高橋宗右衛門の一人息子・麻之助と悪友・清十郎(女たらし)、吉五郎(同心見習い)の三人が、町の揉め事や厄介ごとを解決する。
 それぞれの話で麻之助が名主名代として、町人同士の揉め事を調停する。大事件ではない日頃のちょっとした諍いには遠山の金さんは首を突っ込まないので、町の名主が仲介に入る江戸のシステム。今では希薄となったご近所さんやお隣さんとの付き合いがなんだか羨ましい。現代にも町内にお目付け役や人格者のリーダーがいれば、昨今巷に溢れるDQNな方々も減るだろうに――。
 毎話、謎解きはあるけれど、ミステリと呼ぶほどでもない。けれども人情話としてとてもよくできていると思う。「しゃばけ」シリーズの若だんなともののけたちの代わりに、元気でお気楽な麻之助が活躍。江戸の市井の人々の暮らし(といっても十分富裕層だと思うが)を覗き見ている感じて楽しい。


この感想へのコメント

1.たむたむ (2007/07/18)
僕も見ました。自分もほんの中に入った錯覚にとらわれますよね。
2.ヨッチン (2007/08/17)
 コメントありがとうございます。時代小説は苦手なのですが、畠中さんの作品は読みやすくて大好きです。
 

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 45

きみはポラリス

著者 : 三浦 しをん

出版社:新潮社

発売日:2007-05

評価 :

完了日 : 2007年07月12日

07’06.01に予約。
 「永遠に完成しない二通の手紙」
 「裏切らないこと」
◎「私たちがしたこと」
 「夜にあふれるもの」
 「骨片」
 「ペーパークラフト」
◎「森を歩く」
◎「優雅な生活」
 「春太の毎日」
◎「冬の一等星」
 「永遠につづく手紙の最初の一文」の11編収録。◎がついているものがお気に入り。ちなみに「きみはポラリス」という話は載っていない。

 読後ずっと考え込んでしまったのは「私たちがしたこと」。主人公・朋代が高校時代の彼氏・俊介としたこと、そしてその結果。これでいいのか? この後、二人には何の進展もないのか? 最後の一文「素敵な不毛だ」というのは、朋代にとってはやはり俊介が一番ということなのか?
 私が朋代なら、俊介のことを諦められないような気がする。それぐらい「私たちがしたこと」は重大だ。俊介は高校生なのにすごく頼りがいがあるし、己を持っている。俊介がいたからこそ、今の朋代がある。そのくらい影響を与えられたと思うのに。一方で、一緒にいたなら「私たちがしたこと」でしか結びつきがなくなってしまっていたのかもとも考える。その時々で好きになる人がいても、朋代の心の中心には俊介がいて、それは二度と変わることがないのかもしれない。俊介もきっとそうなのだろう。それでも一緒にいない、いられないことが「私たちがしたこと」の重さであり、罰なのかもしれない。切ない。。。切なくて、ずーっとどうするべきだったのかを考えてしまう。


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 36

シー・ラブズ・ユー―東京バンドワゴン

著者 : 小路 幸也

出版社:集英社

発売日:2007-05

評価 :

完了日 : 2007年07月01日

07’06.01に予約。
「東京バンドワゴン」の面々に再会。それだけで★あげたいくらい。堀田家の皆さん、マードック、藤島さん……おなじみの名前が出てくるだけで顔がほころんでしまう。3世代同居、総勢9人、ネコ4匹、犬2匹の大所帯。家は決して広くないし、古書店とカフェ、常時勤めに出ている人がいるわけでなし、四六時中一緒にいるのに、いがみ合ったり不満を口にしない素晴らしい家族。それはやはり家訓のおかげなのか? それとも勘一さんや我南人さんのおかげ?

○冬 百科事典は赤ちゃんと共に
 『古事類苑」という明治時代の百科事典を男子大学生が売りに来たことからトラブルに巻き込まれる堀田家。しかし勘一さん、懐の大きな人だ。成古堂の伊藤さんに対してあれだけかい! 私ならもっともっと怒りまくるけどなぁ。人間ができていないな、私……。

○春 恋の沙汰も神頼み
 飯田蛇笏、植草甚一、直木三十五、二葉亭四迷、江戸川乱歩、坪内逍遥、寺山修司、国木田独歩、石川達三、北原白秋など、早稲田文学と呼ばれる本を50冊ほど売りに来た橋田さんという初老の男性。しかしそれを毎日1冊ずつ買い戻していく。その謎の行動に堀田家は首を傾げる。それからあのIT社長・藤島がマードックに宣戦布告。そして藤島社長の悲しい過去も明らかになり――。いや~いい話だ。堀田家の男衆には男気がある。我南人さんには「LOVE」がある。「LOVEを忘れちゃいけないねぇ。男の生きるエネルギーはぜーんぶLOVEなんだよぉ」この口調。我南人さんが出てくるだけで温かい気持ちになる。

○夏 幽霊の正体見たり夏休み
 夏休み、花陽と研人は葉山へ行き、仲良くなったおばあさんから1冊の古い本をいただく。その本には1枚の写真が挟まれていた。おばあさんの正体は? 意外な堀田家の過去が明らかになるが、ここでも我南人さん「LOVE節」炸裂!!
 また近所の正枝さんのところへ娘が息子を連れて出戻ってきたが、正枝さんは孫とどう接していいかわからず、堀田家へ相談に訪れる。そんな正枝さんを勘一さんが諭す。
「(前略)今の生活をよ、日々をすごしていくだけの暮らしじゃあ気持ちに余裕がでないってのは、まぁしょうがねえさ。そういうときはガキのわけわからない行動がいらつくもんよ。最近は皆そうなんじゃねぇか? 皆が自分のことばっかり考えてるからよ、子供の気持ちになれねえのさ」と。
 いつも勘一さんはいいことを言ってくれる。私に子どもはいないけれど、忙しくて人の気持ちを考えることを忘れがちだ。少し気持ちを切り替えるだけでものの見方が変わるのなら、心がけていこう。

○秋 SHE LOVES YOU
 すずみさんと亜美さんが臨月に入り、我南人の亡妻・秋実さんの七回忌も迫っていた。ここでようやく秋実さんの人となりが明かされる。また藍子とマードックの関係にも進展が……。
 この章では何事もなく――というわけにはいかず、また事件に巻き込まれてしまう東京バンドワゴン。今度は検印と〈呪いの目録〉。警察まで出てきてしまい、今まででいちばん大きい事件かもしれないけれど、関わり方は浅い。無事に赤ちゃんも生まれてますます賑やかな堀田家。
 「あの頃、たくさんの涙と笑いをお茶の間に届けてくれたテレビドラマへ。」という著者の言葉通り、下町の人情と大家族のあたたかさ。昭和の家族ドラマを観ているような、素晴らしい作品。終わり方も次作を期待できる。
「春」がこの中ではお気に入り。


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 10

遺品整理屋は見た!

著者 : 吉田 太一

出版社:扶桑社

発売日:2006-09-26

評価 :

完了日 : 2007年06月23日

 「遺品整理屋」初めて聞いた職業。その言葉からは、故人が残していた品から要るものと要らないものを分ける仕事なんだろうなとイメージした。しかし実際には、孤独死などで死んでしまった人の部屋の後片付け。つまり腐敗臭が満ち、時には蛆虫が溢れ、血溜まりや血しぶきで汚れた部屋を消毒、消臭、元通りにしてから形見分けを行う。人間の腐敗臭といわれても実際に嗅いだことがないから、読んでいてもぴんとこない。きっと凄まじい臭いなんだろうなとは思うけれど(近所から苦情が殺到するぐらいなのだし)想像できない分、読み進められたのかもしれない。それより何より驚いたのは、飛び降り自殺をしたら、その現場の後片付けは遺族がしなくてはならないということ。警察は後片付けはしてくれないんだって。あくまでも事件・事故現場しか片付けてくれないのね……。山で遭難することと飛び降り自殺だけはすまいと固く誓った。
 ある日突然、自分が死んでしまったらどうしよう。ああ、人に見られたくないものがたくさんある。だけどそのためにそれらを捨てることはできないし。突然死だけは避けたいけれど、それだって自分でコントロールできないし……。できることなら、病気で余命がわかって告知してもらえて、人生の片付けを自分でできる最期でありたい。

 この本はブログを書籍化したものということだが、いくつか気になった言葉遣いがあった。たとえば「お金のほう」の「ほう」というつかい方。まあ接客業の一種だから、接客用語の典型的なパターンが自然に出てきてしまったのだろうが、書籍化の際にはそのあたりを直したほうがいいのではと、揚げ足取りみたいだけど思った。私の場合、そういう部分が気になって中身が頭に入らなくなってしまうので……。


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 28

メタボラ

著者 : 桐野 夏生

出版社:朝日新聞社

発売日:2007-05-08

評価 :

完了日 : 2007年06月21日

 07’5.13予約。新たな桐野ワールドに期待。

 重い、本の重量が。寝転がって読みたくても腕が疲れる。内容も重い。現実の辛い出来事から逃避したい気分のときに、この本を手にしてはいけない。そりゃ、人間生きていくのに楽しいことばかりではないけれど、物語の中でまでこんなに辛くちゃやっていけないわ……。でもそれが桐野夏生さんの作品の持ち味で、嫌いではないのだけど……。

 舞台は沖縄。冒頭では何かから逃げている「僕」がジャングルを駆け抜ける。「こりゃ夢オチか?」と思いながら読み進める。とにかく肌にはりつくような湿気と痛み、暑さを感じた。本島北部から名護→那覇へと舞台を変え、記憶喪失の「僕」がギンジへと成長していく。登場人物たちが皆、何かを企んでいるような気がして少しも気が抜けない。救いの手を差し伸べてくれよと思う場面でも、それがない。だから読んでいるのが辛くなった。でもそれが現実なのだろうな。そう都合よく事態が好転することなんてないもの。。。
 だけどもう少しスッキリしたかった。桐野さんの作品にそれを求めちゃいけないとわかっているけれど、これを読んで希望を持つことは私にはできない。でも決して作品自体は嫌いではない。
 主人公が女性の作品(「アウト」「グロテスク」「顔に降りかかる雨」など)は共感できたのに、どうしてかな? 
 はっ、私が歳をとってギンジに共感できなくなったってことか? それはそれでショックだ……。

 ちなみに「夢オチ」ではありませんでした……。


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 53

家日和

著者 : 奥田 英朗

出版社:集英社

発売日:2007-04

評価 :

完了日 : 2007年06月13日

07.4.10に予約。
 「伊良部シリーズ」「サウスバウンド」「最悪」「ガール」。私にとっては奥田英朗にハズレなし。「家日和」も大当たり。いや~おもしろかった。短編集だがすべてのテーマは家、家庭、家族。①から⑥へ読み進めていくと、笑いもクレッシェンドしていく。もちろん各編ごとに★5つ。
 
 ①サニーデイ――ネットオークションにハマる主婦
 ②ここが青山――主夫業に目覚めるパパ
 ③家においでよ――ザ・男の城づくり
 ④グレープフルーツモンスター――非日常がほしい!
 ⑤夫とカーテン――転職ばかりの夫だけど……
 ⑥妻と玄米御飯――人とは違う私にうっとり

 特に好きなのが⑥。これって奥田氏の実話? と思わずにはいられない。近頃流行りの「ロハス」を強烈に揶揄している。これぞ奥田英朗の真骨頂! ロハスだの環境保護だのエコだの、それはとても大切なことだけど、善意の押し売りはいかん! それらにハマッている人たちは、「人とは違う私ってステキ」と自分に酔っているんじゃ? と、穿った見方をしてしまう私はへそ曲がり?

 主人公の康夫(N木賞作家)はこう断じる。
「先進国のエコロジーは衣食足りた人々の免罪符である。環境をダシにして人の上位に立とうとする態度がどうにも臭う。だいいち、どこからも反対されない正義を振りかざすのは人品の卑しさなのではないか」と――。
 しかしロハスという名の宗教にハマッた妻には言えない。黙って「玄米を食し」「ヨガ教室に行く」。なにしろエコロジーの話は、嫌いでも正しいから。

 最後はちょっと情けないけれど、本当は康夫って懐の深い大人物なのかもと思わされた。康夫さんが、ステキなエコ住宅を建てられますように――。


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 17

小袖日記

著者 : 柴田 よしき

出版社:文藝春秋

発売日:2007-04

評価 :

完了日 : 2007年06月12日

 07’5.7に予約。
失恋して「死んでやる」と思った「あたし」が雷に打たれ、千年前の平安時代へタイムスリップする――という話。正確には直線でつながる過去ではなく、微妙にずれた世界。つまりタイムスリップというより、どこか別の似たような世界の千年前に飛ばされる。そこであたしは「小袖」という名の女房の体を借り、香子さまと呼ばれる源氏物語の作者に仕える。
 「源氏物語」――わたしの感想は、光源氏がいろいろな女をたぶらかす話。平安時代の風俗や文化がよくわからなくて、現代語訳なのに途中で挫折した古典文学。「小袖日記」では源氏物語成立の裏事情を描く。幸い「小袖日記」に出てくる夕顔、末摘花、葵、明石、若紫の項は読んだことがあったので、楽しめた。
 夕顔は毒殺されたことになっているが、本当は○○だったとか、末摘花はブサイクといわれているが、それは○○○のために誤解されていたとか、葵の上には生霊がとり憑き殺されたといわれているが、真相は――などなど、ここで明かされる(もちろん著者の創作だが)ことのほうが合点がゆく。

 小袖と同様わたしも、源氏物語の中ではとりわけ、紫の上を寵愛する光源氏だけは理解できなかった。我が子のように可愛がり、育て、それをいただいてしまうのだから吐き気がする。でもこの物語では、紫の上にも事情があり、そこからの展開が面白い。また明石の君の項はちょっぴり切ない。

 いつの時代に生まれても、人との繋がりや情というのは変わらない、辛いことや悲しいことがあっても希望を見出して生きていこうと改めて思える1冊。人はいつかは必ず、絶対に死ぬ。自分だけはいつまでも生きていけると錯覚してしまうが、それは覆らない真実。だからこそ、自分から「死んでやる」なんて思ってはいけないのです。


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 17

ダーティ・ワーク

著者 : 絲山 秋子

出版社:集英社

発売日:2007-04

評価 :

完了日 : 2007年05月31日

 07’5.11予約。大好きな作家の作品。楽しみ。
 絲山秋子お得意の短編集。
 TTという人は男なのか女なのか、熊井が女だからTTも女? いや「彼ら」と言っているのだから、男女ペアなのか? あの人がここにも出てきて、この人は誰だっけ? と考えながら読んで頭がぐちゃぐちゃになり、それでも相変わらずの男前な登場人物たちに魅了された。
 フィアット・ムルティプラを思わず画像検索。


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 24

裁判官の爆笑お言葉集 (幻冬舎新書)

著者 : 長嶺 超輝

出版社:幻冬舎

発売日:2007-03

評価 :

完了日 : 2007年05月24日

 07.4.15に予約。裁判傍聴記だの裁判官の爆笑お言葉集だの裁判好きなんだな、わたし……。
「爆笑」じゃないな、これは。裁判官の人柄が表れている言葉がたくさん掲載されているけれど、笑えはしなかった。どちらかというとその反対だと思う。裁判官だって人の子であることがよく伝わる本だけれど、タイトルに納得できず……。


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 24

ひとがた流し

著者 : 北村 薫

出版社:朝日新聞社

発売日:2006-07

評価 :

完了日 : 2007年05月22日

06.12.6に予約。
読んだことのある北村薫作品は『スキップ』『リセット』『ターン』『街の灯』の4作品。そして今回『ひとがた流し』を読んだ。さすが国語の教師。いつも美しい文章。神韻縹渺(芸術作品が優れていて人間技を越えているさま、の意)なんて恥ずかしながら知らなかった。

 女3人のグループって難しいと思うことがある。どうかすると2対1になってしまうし、気づくといつも2対1で、自分が1のほうだと、同じグループなんだろうかって……。
 この作品も千波、牧子、美々の3人の女性が登場するのだが、美々の言葉に目からうろこだった。
「(前略)外野守ってる子とか、内野守ってる子とか、キャッチャーやってくれる子とかさ、ただ観客席にいて、コーラ飲んで、ポップコーン食べて、無責任なこというだけの子とか、色々いていいんだよ。そうだろう?」
 私はいつもピッチャーでいたいとか、ピッチャーがダメならキャッチャーでと思っていた節がある。でも、あえて外野を守ることも、人との繋がりでは大切なんだなぁ。「私が私が」とでしゃばりすぎず、時には人に身を委ねてもいいんだって気づかされた。
 
 女同士の友情、仕事、親子関係、体の不調等々、物語に盛り込まれていることは、本当に日常のことばかり。その平凡な日常の中にあるホンワカとしたひなたのような話。だったのだが、鴨足屋(イチョーヤくん)が出てきてから(決してイチョーヤくんが問題なわけではないが)流れが変わる。
 著者があとがきで記しているが、登場人物の流すものは「涙」ではない。でも私の目からは涙が溢れて止まらない。
 彼女たちは涙を流さないけれど、学生時代からつかず離れずの仲を続けてきた友だちと、このような別れ方をしなくちゃならないとしたら……千波がしなやかな強さを持っている分、よけいにせつない。

 いつか自分の肉体が滅んで、この世から消えてしまっても、かかわり合った人々の中に生き続けられますように――。


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1.ぺこぽん (2007/08/17)
私はこの本、好きです。時々おっぱいにアザのようなものがないかと気になるようにもなりましたが。
悔しかっただろうなあと思いました。また、幸せだったろうなあとも思いました。ありきたりの内容であるような気もしますが、私は心に残っています。
2.ヨッチン (2007/08/21)
初めて北村薫作品を読んだとき、女性作家かと思ってしまったほど女性の描写が上手ですよね。この作品もありきたりといえばありきたりの設定ですが、女同士の関係がうまく描かれていて、私も好きです。
 

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 12

匂いをかがれる かぐや姫 ~日本昔話 Remix~

著者 : 原 倫太郎,原 游

出版社:マガジンハウス

発売日:2006-11-22

評価 :

完了日 : 2007年05月21日

着眼点がすばらしい。
 日本語→英語→日本語と訳していくと、こうも違う話になるのか、なんじゃこりゃ!? と大笑い。「キャロライン」なんて出てきてないじゃん! 桃太郎→MOMOTARO→桃タロイモってどうなってんのこれ? ほんの1時間もあれば読破できるので、話のタネにどうぞ。
 私の働いている書店では社員の方が絶賛して、20冊も発注しておりました。売れるのか? という思いは杞憂に終わり、売れてます!


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 50

ジェネラル・ルージュの凱旋

著者 : 海堂 尊

出版社:宝島社

発売日:2007-04-07

評価 :

完了日 : 2007年05月16日

 07.4.15に予約。前作『ナイチンゲールの沈黙』が正直期待はずれだったので、どうかな? とあまり期待していなかった。が、とてもおもしろかった。

 『救命救急センターの速水部長は、医療代理店メディカル・アソシエイツと癒着している。VM社の心臓カテーテルの使用頻度を調べてみろ。ICUの花房師長は共犯だ』という告発書から、今回の騒動が起こる。前作で描かれていた事件と並行して起きているので、ところどころ同じ場面が登場するのも面白い。
 告発書の扱いをエシックス・コミティ(倫理問題審査委員会)に委ねたため、リスクマネジメント委員会との対立が激しくなる。エシックスの沼田は、さすが曳地助教授の愛弟子だけあって、遠回しで、グダグダと意味のないことを話し続けるイヤな奴。思わず「姑みたいな奴」と毒づいてしまうほど……。でもそこにあの白鳥参上! ムカつく奴を論破してくれて、スッキリ!!
 
 このシリーズを読むと、自分の健康や命のためなら、病院えらび、医者えらびを慎重にせねばとつくづく思う。速水部長のような医師なら、全信頼を寄せられる。「行動には危険がつきまとう。行動しない口舌の輩がよってたかって行動する人間を批判する。いつからこの国はそんな腰抜けばかりになってしまったんだ」「俺を裁くことができるのは、俺の目の前に横たわる、患者という現実だけだ」くぅー、シビれる格好よさ。口だけでなく、腕の立つ救命救急医だからこそ出てくる言葉なんだろうな。
 
 病院経営、エーアイ、トリアージ(患者重傷度分類)等、現在、医療界で問題になっていたり世間で注目を集めていたりすることを取り込み、それらを医師側の視点で提起している。本筋を楽しむだけではなく、こういったことを知るために読んで損はないと思う。
 医師が利益や評判ばかりを気にかけて、本来の医療行為がおろそかになったり手抜きになってしまっては本末転倒。厚労省はムダで意味のない統計をとったり研究していないで、その分の予算を現場に回してほしい。それが国民の納得する税金の使い方ですよ。


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 12

心にナイフをしのばせて

著者 : 奥野 修司

出版社:文藝春秋

発売日:2006-08

評価 :

完了日 : 2007年05月12日

 06.10.25に予約。

 非常に後味の悪い作品だった。
 今から38年前に起きた、少年による同級生殺人事件(それも被害者は全身をめった刺しにされ、首を斬り落とされている)のその後を記したルポルタージュなのだが、加害者・少年Aの動機がまったくわからないのと、未だに謝罪がない、この2点が後味を悪くさせているのだと思う。
 本書の4分の3は被害者家族のその後の人生を記したもので、加害者の側に迫る内容ではない。少年による凄惨な事件はなぜ起きたのか、少年Aはいったいどうしてこのような凶行に及んだのか? を知りたかった私にとっては、物足りなかった。(ただ本書はそのような趣旨で書かれたものではないと知らなかったので、私が間違った解釈をしていただけなのだが)

 「少年法」は誰のためにあるのか? 罪を犯した少年のためにあるのだろう。被害者、またその遺族側には一切のケアがないのに、加害者側には「国費」を使い、「更生」させる。「人権擁護」の元に分厚い壁に阻まれ、その後、少年がどうなったのかを知ることは容易ではない。それでも最近は、犯罪被害者側への予算も大幅にアップし、以前より改善されているとは思うが、それだって犯罪被害者遺族の方々が努力されてきたからだろう。
 
 苦しいことやつらいことは時が解決してくれる――とよく言うけれど、自分の愛する家族がわけもわからずに殺され、殺したほうは一切謝罪もせず、ではいくら時が経っても何も解決されないだろう。
 謝罪があれば赦せるのか? 心のどこか一点でも穏やかになるのかはまったくわからないが、本書の被害者遺族の方々にはいつか加害者と対峙してほしい。いや、加害者はきちんと被害者遺族と向き合わなければならないと思う。国家予算を使って全うな人間に「更生」したのであれば、その証拠を示せ! 少年Aだった加害者は今、弁護士として法律事務所を構え、地方都市で名士として名を馳せているらしいから。


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 6

ああ正妻

著者 : 姫野 カオルコ

出版社:集英社

発売日:2007-03

評価 :

完了日 : 2007年05月09日

 07.4.1に予約。早く読みたい!

 例えば恋愛小説やドラマの主人公。いろいろな障害や誤解を乗り越えて恋人と結ばれる。恋に恋する乙女の季節なら、目がハートになり、主人公と同化してゆく。本を読むとき、主人公に感情移入するのは人の常。いくら苦しくても悲しくても辛くても、最後に希望があるのなら、いちばんの理想形の結末が訪れるのなら、そんな苦労は屁とも思わない。どころか、その苦しみがあったからこその幸福感に涙したりする。
 しかしこの作品の主人公・小早川正人に感情移入すると憤りと悲哀・疲労しか感じられない。彼は決して悪しき人ではない。否、作者が言うように善き人なり。されど悪しき人でもある。
 なにが疲れさせるのか、それは小早川の妻・雪穂にほかならない。雪穂といえば、東野圭吾氏の『白夜行』の雪穂。あの雪穂をしても太刀打ちできるかどうか――。「雪穂っていったら……」と思っていたら、作中にも『白い夜を行く』なる作品名が出てきて、ちょっと嬉しかった。
 この雪穂、同性から見ても理解不能。そりゃ私だってだんなのことをウザく思うこともあるわ。でも、集金マシンだとは思っていないぞ! それに加え、この雪穂、無自覚という最大の武器で小早川を滅多打ちにする。他人事なら「あの奥さんすご~い」と笑って済ませられるが、もし自分の妻だったら、絶対に即離婚だ。金遣いは荒いし、世界の中心でキィーっと理解不能なことを叫ぶような女、お断り!! なのに、小早川ってば……そんな反撃の仕方って……ショボーン。。

 この作品は哲学書だと思う。姫野カオルコという人の哲学がみっしり詰まっている。「しこめのいいわけ」(負け犬の遠吠えのことだと思われる)の誤読っぷりには、姫野作品愛読者ならば「あっぱれ!」と快哉を叫ぶだろう。川田教授の口を借りて行なわれる「しこめのいいわけ」考察には何度も何度も首を縦に振った。とか偉そうなことを書いているが、100%理解できたわけではない。言いたいことはわかるのだが、ボヤーッとしか理解できない。「第六章 川田教授の藁半紙」の部分をレポート提出せよ、と言われたら、きっと採点は低いだろうな。

 とにかく、なにがすごいって、これがほんとうのはなしだってこと。出てくる出版社の名前や登場人物の名前は仮名だが(なにせ瓶野比織子という作家が出てくるし)、事実は小説より奇なりってホントですね。


この感想へのコメント

1.パートママ (2007/10/14)
姫野で哲学と言ってくれる人に出会えて嬉しいです。
図書館で借りた本なので一部書き残しておけばよかったと思う部分があるのですが、残ってません。
パパ、ママと呼び合うことについて姫野流の解釈があったと思うのですが解りますか。符号で呼ぶことで個としての存在に目をつぶるというような・・・
2.ヨッチン (2007/10/15)
 ああ、あったような……。私も図書館で借りたのでその箇所について覚えておりません。(本筋が強力すぎてやられてしまいました)ごめんなさい。ちょっと職場で調べてみますわ。(ちゃんと文庫になったら買いますので姫野さん、許してください)
 

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 8

作家の手紙

著者 : 北方 謙三,角田 光代,中村 うさぎ,小池 真理子,森 絵都,奥田 英朗,姫野 カオルコ,有栖川 有栖,新津 きよみ,佐藤 正午

出版社:角川書店

発売日:2007-02-28

評価 :

完了日 : 2007年04月15日

 作品を読んだことのある作家、名前は知っているけれど作品は読んだことのない作家。たくさんの作家さんが、「別離の手紙」「恋の手紙」「断りの手紙」などの主題についての手紙を書いている。
 虚実織り交ぜての手紙なので、どれもこれもが参考になるわけではないけれど、中には「ほぅ、このように遠まわしな言い方をすれば、相手に嫌な思いをさせないかも」と思わせるものもある。また、「こんな手紙もらったら、友達やめるだろうなぁ」「こんな手紙もらったら、すっごく嫌な気分になるわ」と思わせるものもある。

 枡野浩一氏の手紙は、同情を禁じ得ない。
 思わず、元妻って誰よ? とググッてしまったではないか!(ああ、こんなことを元妻のMさんに知られたら、もっと枡野氏の立場が悪くなるだろう)

 歌野晶午氏の手紙は、超短篇小説を読んだようで、得した気分。

 野中柊さんの手紙も素敵。


この感想へのコメント

1.ぺこぽん (2007/10/07)
へぇ~ なんか面白そうなのみっけ。著者が有栖川さんってだけで、多分手にとらなかっただろうな、コレ。でも書評を読んでびっくり。興味がわきました。小説以外ってあんまり読まないんだけど、図書館で検索してみますね。
2.ヨッチン (2007/10/08)
さらさらと読めるお手軽な1冊です。私のお目当ては姫野カオルコさんの手紙だったのですが、他の作家さんの手紙も素敵でした。さすが文筆業の方は違うなと感心しました。
 

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 84

一瞬の風になれ 第三部 -ドン-

著者 : 佐藤 多佳子

出版社:講談社

発売日:2006-10-25

評価 :

完了日 : 2007年04月15日

 06.12.18に予約。1巻、2巻はサクサクと順番がまわってきたのに、3巻はすごく待たされている。早く順番がまわってきてほしい!

 全三巻、長いと思えた。が、終わりが近づくにつれ、彼らの姿をもっと見ていたいと切望する自分がいた。ひとつひとつのセリフに胸が詰まる。涙がとまらない。(1年のときからずっと成長を見守っていたからこそ、なんだろうな)
 シンちゃんはもちろん、連や桃内、根岸(もうネギの大ファンだぞ私は)みんなとってもカッコイイ。高校総体にむけての県大会、南関東予選、「彼らならできる、大丈夫」と思いつつも、ドキドキがとまらなかった。
 みっちゃんが、シンちゃんと連の関係を偶然ではなく必然と言っていたけれど、みっちゃん、あなたでなければ彼らは伸びなかったと思うぞ。あなたも素晴らしい指導者だ!!奥田民生の「イージュー★ライダー」がこんなに泣ける歌だったなんて、さっそく聴き返そう。

 最後の最後に、懐かしの先輩たちが出てきて、涙の中にも笑いを提供してくれた。浦木さんサイコーだ、あんたは。

「高校で陸上やっててな、ほとんどの時が苦しいんだぞ。試合に負けたり、練習がうまくいかなかったり、怪我したり。九割がた悔しいんだ。嬉しい時なんてほとんどねえよ。だけど、そのぽっちりの嬉しい時が、全部の悔しいや苦しいに勝るんだよ。でなきゃ、誰が部活なんてやる?」
――このセリフは、陸上だけでなく、すべてのことに言えると思う。もう部活とか青春とかは遠い昔のことだけれど、仕事だってこれと同じ。ぽっちり嬉しい時を味わうために、苦しさをバネにしたいなぁ。

 世界陸上を観ていたら思い出してしまいましたよ、この作品を。いやぁ4×100メートル男子、すごかった!!


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1.ぺこぽん (2007/09/08)
良かったですねえ、コレ。一冊目は図書館で借りて、次の順番が待てずに本屋さんに走りました。一気読みでした。気持ちよかったなあ。本屋大賞受賞もうなづけます、うんうん。
2.ヨッチン (2007/09/11)
 順番が待てずに買いに走るなんて素晴らしい! 私は悶々としながら待ちました。でも買いに走る気持ちはわかります。続きが気になって仕方なかったですから。実際に走ることは好きじゃないけれど、読み物としては「陸上もの」ってすごく魅力的ですね。
 

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 36

夢を与える

著者 : 綿矢 りさ

出版社:河出書房新社

発売日:2007-02-08

評価 :

完了日 : 2007年04月15日

 07.2.7に予約。綿矢さんの作品は読んだことがないけれど、評判がよいので読んでみようかなと思っていたところ、ブランチのブックナビでも紹介されていた。思わず予約。

人生経験値の差なのだろうか。そっちへ行くとダメだよというほうへ、主人公の夕子が見事に行ってしまう。結局、なにが言いたかったのか? 夢を与える人は、夢を見てはいけないということ? 
 主人公の立場とか、芸能界が物語の舞台とか、それらがステレオタイプというか、どこかで読んだことある、聞いたことあると感じてしまう話だった。
 読者対象年齢がきっと低いんだろうな、高校生ぐらいの子が読んだらきっと面白いんだろう……。


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 2

混合男児

著者 : 三枝 玄樹

出版社:毎日新聞社

発売日:2007-01

評価 :

完了日 : 2007年04月15日

 
 新潮社から出ている「波」という小冊子に広告が載っており、「堤幸彦」氏が推薦文を書いていた(ような気がする)ので、図書館で借りた。
 そして著者紹介を見たら、「オフィスクレッシェンド」に入社と書いてあるじゃないっすか。「なんだ、身内に推薦文、書いてもらいやがって」と半分憤りつつページを繰った。

 いいじゃないの、なかなか(上から目線)。まだ全部読んでいないけれど、この気持ちが変わらないように願いつつ、読み進める。(’07.4.15)

読み終わった。あっさりと1日で読める。母親しかいない主人公が父親を捜す物語。その父親である可能性を持つ男が4人。その中のどれが父親なのか……という話。父親と思われる男たちが、それぞれいい味を出していて……。大きな番狂わせもなく、まああっさりと話が展開して、最後はずいぶんと調子がいいもんだ! とちょっと呆れ……。勧善懲悪とか予定調和が好きならば素直に受け止められるけれど、世の中、いいことよりも辛いことや悪いことのほうが多いような気がする私にとっては、ちょっと物足りない気分。ファンタジーとして捉えればいいお話。


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 40

ねにもつタイプ

著者 : 岸本 佐知子

出版社:筑摩書房

発売日:2007-01-25

評価 :

完了日 : 2007年04月15日

 なんというか、突拍子もない発想が多すぎて、ついていけないわ。(決して嫌いではないけれど)
 岸本さんのような発想力があれば、私の人生もっと楽しくなるような気がする。その分、大変なことも多くなるだろうけれど。

本作の紹介分に「ショートショートのような」と書かれていた。なるほどと膝を打った。


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 14

風の墓碑銘

著者 : 乃南 アサ

出版社:新潮社

発売日:2006-08-30

評価 :

完了日 : 2007年04月09日

 滝沢さんが相変わらず脂ぎっていて、いや~このバディもの、おもしろいです。
 実際の法改正を取り入れて、白骨死体の発見から、身元判明、犯人を逮捕するまでが実に生き生きと、音道貴子と滝沢保の心情を交えながら描かれている。この寒い時期に読んだというのに、夏場のような蒸し暑さを感じたもの。
 
 しかし! 読み終えてもわからないことがいくつかある。
 ここから先はネタバレです――




 今川のじいさんと桜井卓のつながりはなに? 桜井が不動産の仕事をしていたときに知り合ったの? それとも慧が借りていた部屋が今川のじいさんの所有するものだったの? 桜井がその建物の床下に遺体を埋めたの? その点に関しての記述ってありました? そのあたりは想像しなさいってことでしょうか?


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