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ホンスミさんの読書ノート

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 83

風に舞いあがるビニールシート

著者 : 森 絵都

出版社:文藝春秋

発売日:2006-05

評価 :

完了日 :

言わずと知れた直木賞受賞作。でもね。ごめん。冒頭2作で挫折して表題作まで辿り着けなかった。女性の自立がテーマなのかな? なんだか80年代の柴門ふみの漫画を読んでいるような、すごく古臭い感じと気恥ずかしさを感じてしまいました(泣)


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 2

被爆のマリア

著者 : 田口 ランディ

出版社:文藝春秋

発売日:2006-05

評価 :

完了日 :

幼少期に戦渦を潜り抜けてきた母は、遠くで炸裂する爆弾の光を見て、「きれい」だと思ったという。母の言葉は、少しだけ僕と戦争、あるいは原爆との橋渡しをしてくれた。だが正直、信じられないという思いも持ち続けていた。爆弾の光が綺麗に見えるはずないじゃないかと――ところが田口ランディの『被爆のマリア』に登場する被爆者のセリフに、同様なものを見つけて驚いた。もちろん著者による想像なのかもないが、執筆に5年をかけたというから、実際に取材した被爆者の言葉なのかもしれない。個人的には後者だと推察する。

『被爆のマリア』は原爆をテーマとした連作短編集である。「永遠の火」「時の川」「イワガミ」、そして最後に表題作が収録されている。被爆者を主人公に置いたものはない。むしろ原爆とは遠くにある人々の日常を、原爆へと繋げる試みである(被爆者は何人も登場するが)。だから一見すると、原爆との関連性が薄く感じられる。村上春樹のファンであれば、『神の子どもたちはみな踊る』を連想するに違いない。

ただ、村上が故郷である神戸へのオマージュとして同作をしたためたのと異なり、田口の場合はまったくの部外者として原爆と対峙する。それゆえか、いずれの作品も対象との距離の取り方に戸惑いを感じているように思えた。その戸惑いは、おそらくは自身をモデルとした作家が主人公の「イワガミ」において、最も素直に吐露されている。対象をできる限り自分の場所まで引き寄せて表現する、という手法が田口の持ち味だが、それがよく現れているのが「イワガミ」といえる。戸惑いも迷いもひっくるめて、どう原爆に向き合えばよいか?――それは田口に限らず、僕を含む多くの日本人にとっての課題だ。その手立てのひとつを示したと言う意味で「イワガミ」は評価できる。


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