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2007年 読んだ本(57)

ニセ人事課長さんの読書ノート

2007年 読んだ本
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 52

カラフル (文春文庫)

著者 : 森 絵都

出版社:文藝春秋

発売日:2007-09-04

評価 :

完了日 : 2007年12月29日

仕事も終わって年末年始休暇。幸い余り仕事も残さずに休み中に会社へ出なければならないようなこともなく仕事仕舞い。年末で混んでいると思っていた散髪屋さんも空いていてそこで読むこともなく、しかし、見るテレビもない家でスイスイと、Dive!で始まりカラフルで終わる1年。
死んだ筈の魂が、天使の抽選にあたったということで生れ変りに挑戦させられ、数日前に服薬自殺を図った小林真という少年の体に入り込む。
そこからこの魂は小林家の父、母、兄、クラスメイト、好きな女の子、視野にも入っていなかった女の子等々と、真として、これまでの真とは違ったやり方でもう一回付き合うことになり、いろんなことが見えてくる。
人生はカラフル。何事も沢山の色を秘めていて、こっちから見るとこの色だけど、こっちから見ると違った色で、なんでもひとつの色と決め付けちゃいけないと。
しかししかし、他人事だと上手く回せる人生も、自分のこととなると色々慎重になるし不安になるしケチにもなる。それを「人生は長めのホームステイ」と言い放ち、自分で自分を縛らず自由に動けと、支えてくれる人は必ずあるのだと。


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 12

Twelve Y.O. (講談社文庫)

著者 : 福井 晴敏

出版社:講談社

発売日:2001-06

評価 :

完了日 : 2007年12月24日

何読もうかと物色していて子どもの本棚にあった、今更だけど福井晴敏のデビュー作。少し前から読んでいたのだけど、途中、他の本読んだりして漸く読了。
少し読むのに難儀した。生硬な文章で、唐突に出された名詞の説明はずっと後になって出てくるし、物語も色んなことが絡み合い、ちょっと突飛なところもあって、最後までもうひとつつかみ切れないし。
しかし、12歳のまま大人になり切れずにここまで来てしまったこの国のだらしなさに対する作者の熱い批判がひしひしと表現されていて、また後半の辺野古基地侵入からGUSOH崩壊に至る描写は早くもこの作家の片鱗を示す。既に920部隊も登場し、後に続く福井ワールドに持たせる期待津々。


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 26

東京奇譚集 (新潮文庫)

著者 : 村上 春樹

出版社:新潮社

発売日:2007-11

評価 :

完了日 : 2007年12月16日

仕事がとても忙しくてこの前の水曜は23時まで仕事。でも木曜は神戸まで出張で行き帰りの電車の中は寝るか本読むか出来るのでまあいいかと。結局、疲れて大半寝ていたのだけど、この本、電車待ちのホームや少しは電車の中で読んでると結構読み進められていて、本日読了。
最初の話がホントにあった話として紹介されるので、その後の話もその気で読んでると段々違うのではないのかいってことに気が付いて、多分、全部作り話。
最初の話は良さげで何となくしばらく会ってない弟や妹に電話してみたい気になって、ハナレイ・ベイも物語としてきれい。そこからが謎で、どこかあれそれは、それでって感じで好みは分かれるところかな。腎臓石の話は良く分からんし、猿はまあいいとして落ちはあまり感心せず。


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 13

明日の記憶 (光文社文庫)

著者 : 荻原 浩

出版社:光文社

発売日:2007-11-08

評価 :

完了日 : 2007年12月02日

映画でご承知の通り、若年性アルツハイマーと診断された50歳のサラリーマンが、記憶を失っていく恐怖と不安に必死で戦っていくお話。
会社について駐車場から出ると、出たばかりの車にキーをかけたか気にかなる。駐車場からロッカーへ向かえば、今歩いてきた道の記憶がない。考え事をしていたからだと思うことにする。ロッカーで着替えて居室へ向かうと、離れたばかりのロッカーに鍵をかけたか気になる。父も痴呆で介護中。そういう私がこの本を読むと、これはもう他人事ではなく、読んでいる最中から怖いし、息苦しいし、主人公の備忘録に漢字が少なくなり誤字が増えるのを見て、自分では書けるか確認して安心するけど、しかしキツかった。せいぜい、緑黄色野菜と青魚を摂り、酒はほどほどにタバコは吸わず、を続けよう。
とても救いのない話の中で、夫婦の愛情とか親子の絆とか色んな人との繋がりとかそれらをひっくるめての人間が生をつなげて来たことの意味とか、ぽつぽつと思う。
ラストの絵は辛い。女は強い。ウチの母を見ていてもそうだが、枝実子さんもそう。どれほどの愛情の裏打ちがあってそう振舞えるのか、畏敬の念さえ抱く。そして、そんな愛し愛された妻の顔さえ覚えおれなくなった時のことを思うと、また涙する。


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 25

幸福な食卓 (講談社文庫)

著者 : 瀬尾 まいこ

出版社:講談社

発売日:2007-06

評価 :

完了日 : 2007年11月23日

勤労感謝の日なのに枚方で研修で、帰りの東福寺の駅は紅葉見物の人でビッシリ。朝にズームインで中継やってたしね。そういう年に1度の混み合ったホームで最後のほう読んでいてちょっと泣けてきて困った。
不思議な佇まいの本です。一見、普通に暮らしているように見えて、実は、父は5年前に自殺未遂を起こし、母はそのせいで精神不安定で別居中、兄もトラウマを持っていて…、という家庭。その中で、せめて自分だけは普通に生きたいと願う、私・佐和子。普通に起こりそうで、どこかビミョウにズレた出来事の描写が積み重ねられる中で、少しずつ心が成長していく。
大浦君の死はショックではあるけれど、確かにヨシコが言うように、若さはそれを乗り越えさすのだろう。そして、それは若さゆえということだけでなく、大切なものや人がいくつもあって、それらとつながり守られて生きているからだということを、改めて感じさせられて切ない。


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 7

間宮兄弟 (小学館文庫)

著者 : 江國 香織

出版社:小学館

発売日:2007-11-06

評価 :

完了日 : 2007年11月18日

今週も淀へ出撃。先週はスカーレット、今週はメジャー。スカブの子どもが2週連続GⅠ制覇で、世間にはこんな立派な兄妹もあって、という訳でもないですが昨日の晩から今日にかけて「間宮兄弟」読了。
私、江國香織って読んだことなくって、読んだことないのにこう言うのは変なのだけど何となく好きでなく、だけどこの本買ったのは、間宮兄弟ってやつらにちょっと興味があった訳ね。映画で塚地とかやってたし。
読んでみて、細部もしっかりしていて、話としても悪くはないと思った。…のだけど、“全然恋愛の対象にならないけれどほのぼのとしていい人たちよね”ってところに導かれるのがミエミエで、やっぱし、あんま好きになれなかったですねぇ。


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 16

臨場 (光文社文庫)

著者 : 横山 秀夫

出版社:光文社

発売日:2007-09-06

評価 :

完了日 : 2007年11月16日

定期健診で引っかかって今日は会社を休んで大腸の内視鏡検査。1.8ℓのマグコロールを2時間かかって飲干す間、退屈な病院の中の友が読みさしだったこの本で。
事件現場に臨み初動捜査に当たる検視官・倉石。自殺と他殺を見間違うと、いずれにせよ大変な事態になる重要な仕事。ちょっと出来過ぎと思わない筋立ても無いではないけど、それを上回って余りある読みの深さ、着眼の鋭さ。検視の場面のリアルさも見事で、そこかしこに植物や鳥が重要な役割を果たすが、「植物は死体ほどに物を言う」、なんて新鮮な驚き。
そして倉石の、組織に与せず自ら生き方に拘る様と、その怜悧さとは裏腹の、僅かひと月部下であった元婦警の生き様に自らの経歴に傷をつけてまで拘る情の深さ。全8編、切れに斬れた。


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 39

チーム・バチスタの栄光(下) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 600) (宝島社文庫)

著者 : 海堂 尊

出版社:宝島社

発売日:2007-11-10

評価 :

完了日 : 2007年11月11日

昨日からわが街に天皇・皇后両陛下がお見えになっていて、朝の散歩コースは閉鎖されているわ、お巡りやガードマンはうじゃうじゃいるわ、パトカーは走り回るわ、ヘリは飛んでるわ…。
今日の夕方にはうちの前の道も通られるので、ご送迎奉ろうかとも思ったのだけれど、今日は両陛下よりも女王陛下の日なのね。そういう訳で喧騒の街を離れ、申し訳ないながら京都競馬場へ。その往復の車中も含めてソッコーで読了。
下巻になるや否や、火喰い鳥・白鳥の登場。上巻でもそれぞれ登場人物のキャラが立っていて、そこにこの本の魅力もあるのだけれど、この白鳥、その中でも一等、キャラ立ち過ぎ。
ネガとポジという形で語られたこの物語だけど、正に田口と白鳥表裏一体でズンズン進む物語。様々な社会の矛盾と人の心の深淵を描きながら小難しくならない娯楽性に溢れて。巻頭と巻末に語られる抒情が、騒がしい話を落ち着けて。


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 48

チーム・バチスタの栄光(上) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 599) (宝島社文庫)

著者 : 海堂 尊

出版社:宝島社

発売日:2007-11-10

評価 :

完了日 : 2007年11月10日

ついこの前、息子とTVで「医龍」を見ながら、この本がなかなか文庫にならないねぇなんてことを話していたのだけれど、今日、本屋さんを覗いたら文庫になって並んでいたのでビックリ。映画になるみたいでそのタイミングに合わせたようだけれど、バチスタなんて言葉が馴染みになって映画にもなるのは、チーム・ドラゴンのお陰かね。
しかし、この本、面白れぇ~!
チーム・ドラゴンみたいな連戦連勝の“チーム・バチスタ”が、立て続けに手術に失敗。何らかの作為がそこにあるのか、窓際講師の俺・田口に、この問題を調べるよう何故か白羽の矢が立って。
登場人物もそれぞれにキャラが立ち、病院内部の描写のリアルさや手術の場面の緊迫感は相当なもの。
ケース31で少年の息は吹き返り、こちらもフ~ッと息をついたも束の間、ケース32ではよたび術死が発生。最早これまでかとリスクマネジメント委員会が臨時招集されて…。下巻へ続く


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 3

未練―女刑事音道貴子 (新潮文庫)

著者 : 乃南 アサ

出版社:新潮社

発売日:2005-01

評価 :

完了日 : 2007年10月28日

今回の貴子さんは、この間に『鎖』があったと思しき構成もあって、結構ハード。
事件は単なる発端で思わぬ物語の展開をみせる『聖夜まで』。
中途半端に終わったかと思わせた話がもう1回希望の火を灯す『立川古物商殺人事件』『殺人者』。
それぞれの物語に、登場人物の人生がじんじんと沁み込んで、きつい。そして、それに真摯に向き合うことの大事さを知る。
白眉は『山背吹く』、今の状況を諦めて受け容れることの何と難しいことか、耐えて生きることの何と美しいことか。


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 2

下流社会 第2章 なぜ男は女に“負けた"のか (光文社新書)

著者 : 三浦 展

出版社:光文社

発売日:2007-09-14

評価 :

完了日 : 2007年10月14日

いつもは秋華賞なんてレースは見に行かないのだけど、今年はダービー馬が出るからね。GⅠ馬も4頭いて菊花賞よりよっぽど豪華。それで出掛けた電車の中でほぼ読了。
ほんとは数字やグラフをもっとじっくり読むともっと面白いのだろうけど、取り敢えず触りだけフンフンと。
フィールドでのアンケート結果を元に検証を深めていく手法は前作と同様。読んでる本とかよく行くお店とかで括る、その括り方がうまいところで、「下流社会」という言葉とともにこの本がベストセラーになった所以もそのあたり。
それにしても、世の中、色んな人がいるもので、この本読んでると、私もそんなに自信があるほうではないけれど、その割にはきちんとやっているほうなのだと、妙な自信を持った次第。


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 45

予知夢 (文春文庫)

著者 : 東野 圭吾

出版社:文藝春秋

発売日:2003-08

評価 :

完了日 : 2007年10月13日

時間つぶしに引き続き第2弾をということで。
話がますますオカルトっぽくなって、世話話的におちて、無理無理科学ってところも。相変わらず文系の人間には作者が導くストーリーとトリックについていくしかないといったところだけど、明日からの福山のTV、どんな映像になっているか、仕事が早く終わって、見れるといいけど。
しかし、全てを科学で解決してきたけれど、作者は全てをそうして律し切れると思っているわけでもないのね。最終話「予知る」のラストはそうした意味での余韻を残した。


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 29

君たちに明日はない (新潮文庫)

著者 : 垣根 涼介

出版社:新潮社

発売日:2007-09-28

評価 :

完了日 : 2007年10月06日

わざわざ休みの日に藤沢まで出張を命じられ、新横から湘南台まで32ある地下鉄の駅の内25を費やして到着。主にその車中で読了なのだけど、これは身につまされますねぇ…。
銀行員の池田の気持ち、良く分かる。やりたい訳でもない仕事を忸怩たる思いでやっている、こんなところにいたい訳でないのに飛び出した時のイメージが湧かない、それで仕方なくここで淀んでいる…。なんとなく自分のサラリーマン生活を言い当てられているようで。だから、彼が妻に話す言葉とそれを受け止める妻の姿に涙する。
私、仕事柄、真介のようなことを社内ですることもあり、こんな仕事するためにこの会社に入った訳でもねぇと思うことも良くあるのだけれど、一方、真介がこの仕事を嫌いではない、といった描写に触れると、その気持ちも何となく分かる。こんな仕事するためにと思いながら、実はこの仕事を好きだった自分に気がつく。ちょっと勇気付けられた。
サラリーマンってこういうことの中で生き延びにゃいかんのだ。現実はこの小説の中のようにうまいこといかないのだけれど、リストラの小説を正面きって描かれても悲惨になるだけで、そうならないところがこの小説の値打ち。
人と人とのつながりを描いてきた中で、人は気が付かなくても色んな人との関わりの中で生きているのだというラストの情景が秀逸。


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 72

探偵ガリレオ (文春文庫)

著者 : 東野 圭吾

出版社:文藝春秋

発売日:2002-02-10

評価 :

完了日 : 2007年10月05日

今週は出張が多くて、列車の友に何かないかと子どもの本棚からちょいと拝借。
月9になるやらで、TVの中では福山が出ている番宣がちょろちょろ流れていて、おー、これが髪の毛が燃えるシーンか、っていうところがあるけれど、確かに読んでいてもその場面の絵が浮かんでくるところ多々。
私、文系なので、草薙と同じく、事件のネタについて全く推理が聞かないので、その点がどうかと思うのだけれど、短編としては筋が通っていてひねりもあり、気軽に手に取るにはまずまず良いのではと。


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 10

反自殺クラブ―池袋ウエストゲートパーク〈5〉 (文春文庫)

著者 : 石田 衣良

出版社:文藝春秋

発売日:2007-09-04

評価 :

完了日 : 2007年09月30日

お馴染みのIWGP第5弾。中国に行った飛行機の中で読んでいたのだけど、質量ともに旅の友としては安心して持って行けるというところ。
今回は中国を扱った物語があったけど、持ち込まれる事件はその時代時代の風俗を切り取り、回りに描かれる細かな風景やファッションはそれを際立たせる。その辺はこの作家の真骨頂。
しかし、マコトは歳を取らんね。


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 20

犯人に告ぐ 下 (2) (双葉文庫)

著者 : 雫井 脩介

出版社:双葉社

発売日:2007-09-13

評価 :

完了日 : 2007年09月29日

うん、凄く良かった。
二転三転する物語の意外性、植草を嵌めていく小気味良さ。
これだけでも十分面白い作品なのだけど、犯人にも被害者にも警察にもそれぞれの家族にも、世の中に折り合いをつけながら生きていながら、しかし折り合い切れない心の襞があることがじんわり沁みてくる終章の余韻。
「いろんな意見がある社会で生きてるわけでね、みんな自分の落としどころを見つけてやってるわけですよ」そうなんだけどね、それだけでは生きていくのは辛いわけで、それぞれの心情の吐露とそれを受け止める回りがあってこその人生と。。。


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 20

犯人に告ぐ〈上〉 (双葉文庫)

著者 : 雫井 脩介

出版社:双葉社

発売日:2007-09-13

評価 :

完了日 : 2007年09月26日

この本、単行本の時からかなり話題だったので待望久しい文庫化という感じですかね。中国に行った帰りの飛行機から読み始めて、京都まで帰るはるかの中で読了。
誘拐事件から記者会見での失態までも緊迫した読み物になっているけれども、これは大掛かりな序章。
左遷された巻島が再び横浜に呼び戻され、行き詰まりを見せる連続児童殺人事件を担当させられる。足柄で雌伏した巻島がどのような人間になって帰ってきたか興味津々の中で、劇場型犯罪に対抗する劇場型捜査が始まる。
幸先は好調ながら、上司・植草の行動が胡散臭く、警察やメディアに対する批評も含んで、さて、これからどう収束していくか…(下巻に続く)


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 20

サウスバウンド 下 (角川文庫 お 56-2)

著者 : 奥田 英朗

出版社:角川書店

発売日:2007-08

評価 :

完了日 : 2007年09月22日

というわけで沖縄に到着。ここからは「ユイマール」と呼ばれるお互いが助け合って生きていく昔からの習慣に沿って、いかにして島の人が生きているかの描写のてんこ盛り。なるほど、これは読みようによっては政府も国家も関係ない理想のコミューンという感じ。悪くない、住んでみたいよね。
物語は「常識から外れるのは、どこか快感」を感じた二郎の物語にならず、父・一郎とそのファンであり続けた母の話になって進む。元・過激派が時代遅れが故に起こしてしまう悲喜劇として読んだ上巻の印象は薄れ、過激派とは規格にハマらず純粋に生きた一郎の仮の姿であったことを知る。誰におもねることなく島で木を切り畑を耕し魚を獲る一郎の姿の何と清々しいことか。
自由を愛する、力をもって人を押さえつけることを許さない魂を持ち続けること。『世間なんて小さい。正義でもないし、基準でもない』、そう言い切れる人生って、しかし、なかなか難しい。
せめて、上原家のようにお互いに認め合って生きれるような家族を持ちたいものと。


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 26

サウスバウンド 上 (角川文庫 お 56-1)

著者 : 奥田 英朗

出版社:角川書店

発売日:2007-08

評価 :

完了日 : 2007年09月16日

こちらは帰りの新幹線の中で読み始めて、家についてから一気に読了。
帯にある「父は元過激派だ。」って、僕ら少し世代は下だけど当事の空気は良く分かる。僕は自分で少し右よりの真ん中と思うのだけど、通った大学が左派の雄みたいなところでマル経を学び、かばんの中には岩波の白帯があって。しかし世の中は資本主義社会で、『いちご白書をもう一度』ではないけれど、就職面接にあたっては髪を切り、大企業に媚び諂うような受け答えをするような学生が大半では、いかにマルクスが理想の社会を描こうとも社会主義が資本主義社会に取って代ろうとは到底思えなかった。その後のソ連やベルリンの壁崩壊が表す通り。
「元過激派」が今の社会を生きて行こうとした時に起こる葛藤はいかがなものか。気持ちが純粋なだけに世間のフツーの人との間に起こる軋轢は、傍から見れば迷惑かあるいは滑稽か。上巻はそうしたことを下敷きにして、普通に今を生き悩み育つ小学生・二郎とその仲間の清々しい物語。
物語は急展開で、家族が東京から西表に引っ越すところで、下巻に委ねられる。これが普通と思っていて、今まで気にもしていなかった父の生き方に問いかけを始める一方で、「常識から外れるのは、どこか快感」を感じた二郎が、これから西表でどういう物語を歩むのか。乞うご期待。


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 16

ハードボイルド・エッグ (双葉文庫)

著者 : 荻原 浩

出版社:双葉社

発売日:2002-10

評価 :

完了日 : 2007年09月15日

3連休の新幹線は旅の老若男女で大賑わい。息子の本棚から借りたこの本、これまで少ずつ読み進めていたのだけど、博多行きの昨日、その喧騒の車内で読了。
多くの人がチャンドラーを読んだことがなくても「タフでなければ…」の台詞は知っている。男なら誰もが一度はきっとその姿に憧れて自分もそうありたいと思うマーロウの世界。私もずっと昔の学生時代に読んだ。全編そのオマージュに溢れていて気持ち良く読める。
しかし、現実はそう格好良くはいかんのだよ。
私は観光ではなく、病気の親を見舞う2日間だったのだけど、病院の中で父と同じような多くの老人たちを見る。どんな人生を送ってきたのか、それぞれの人生の成れの果て…。それぞれに価値があり、マーロウにはならぬとも、きちんと折り合いつけた生き方をせにゃならんとしみじみ思う。


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