たなぞう

WEB本の雑誌

NYPDさん > 読書ノート

NYPDさんの読書ノート

ミステリ食わず嫌い
現実的思考が強過ぎるせいか、ミステリの類を読む度に「そんなアホな!」と突っ込みを入れてしまう小生。だからあまり数は読んでないのだけれど、ありえねーからくりを堂々と展開する作品には容赦なく罵倒します。
<前のページ 1  次のページ>

 

みんなの感想を読む
 15

顔に降りかかる雨 (講談社文庫)

著者 : 桐野 夏生

出版社:講談社

発売日:1996-07

評価 :

完了日 : 2008年05月06日

乱歩賞受賞作品ということで期待して読みましたが……。

掴みの時点で大きな欠陥というか不条理な展開に引っかかってしまいました。親友が愛人から預かった一億円と共に失踪。これってあまりのB級さにウンザリさせられた北方謙三の『逢うには遠過ぎる』とよく似た始まりではないか!

ちょっとネタバレになりますが、主人公のミロってバカ? と言いたくなるようなお間抜けさんだ。ヤクザに脅されて失踪した親友探しを始めるのだが、仮に見つけたところで事がシャンシャンでは終わらないと察しがつくだろうに。
一億円が無事返還されても、親友は落とし前をつけられるのは必至であるからして、なぜ警察に駆け込まないのか?

それではミステリーが成り立たないということになるが、ならば事前に著者は、ミロが警察に頼れない理由を伏線話として張っておかねばならないのではないか。その点は『逢うには…』もまったく同じである。

まったくリアリティに欠けるミステリはファンタジーだ。 


この感想へのコメント


みんなの感想を読む
 5

キムラ弁護士、ミステリーにケンカを売る

著者 : 木村 晋介

出版社:筑摩書房

発売日:2007-11

評価 :

完了日 : 2008年03月02日

いやー待ちに待ったミステリぶった斬り本の登場だ!。

さすが本の雑誌社の監査役としてもご活躍されている著者だけあって文章の切れ味も鋭く、期待していた『バチスタ』や『半落ち』も見事に矛盾点を追求されていて納得納得。

やっぱり、ミステリって現実に沿った臨場感がないとねぇ~。ありえないトリック設定や強引な帳尻合わせをするとファンタジーになってしまうとワタシは思うのですよ。

ミステリスノッブの面々は、単に最後で「あっ、そうだったのか!」という驚きでご満悦に浸れるメデタイ方が多くおられるようですが、出版社側は、今後、『本格ミステリー本』などと謳う作品には、ゲラの段階で法曹関係者に監修してもらうべきでしょうな。


この感想へのコメント


みんなの感想を読む
 41

葉桜の季節に君を想うということ (文春文庫 う 20-1)

著者 : 歌野 晶午

出版社:文藝春秋

発売日:2007-05

評価 :

完了日 : 2008年01月10日

『女王様と私』でも憤慨したが、この作品でも最後は、なんだこりゃ~と脱力してしまいました。ネタバレになりますけど、肝心の悪徳業者への成敗は、ほったらかしで年齢当てクイズみたいな成り行きで読者を翻弄するなんてねぇ~。これがミステリ部門の賞を総ナメにしたなんて開いた口が塞がりません。ミステリ通の人々ってただ単に最後で「あれま!」と思えば納得できるんですかね。あたしゃもう歌野作品はご免被ります。


この感想へのコメント


みんなの感想を読む
 89

サクリファイス

著者 : 近藤 史恵

出版社:新潮社

発売日:2007-08

評価 :

完了日 : 2007年10月01日

 杉江さんが『炎の~』で絶賛していたし、学生時代、自転車競技をやっていた者としては絶対読まねばなるまいと、手に取った作品。

 物語の冒頭で、著者自身、自転車レース自体が日本ではマイナースポーツであることを考慮し、主人公が自転車レースに興味を抱く場面と併せて他の競技とは異なるレースの仕組みを説明している事に上手いなあと感心させられたのだけんど……ちょっとその説明の対象となったレースの展開が納得できないのでちょっと書かせて貰います。

 物語では、黒ジャージの選手が青ジャージ(黒ジャージ自体、昔のツールで総合最下位の選手が着せられた屈辱的な色である為、チームカラーとして普通は存在しないのだが…)の選手にゴール直前で勝利を譲る場面がありますが、現実では、むしろ青ジャージが区間優勝、黒ジャージが総合トップを狙っていた場合において、チーム間を超えた協力関係が生まれ、勝利を譲ることが多々あります。もし両者ともアシストマンで、その役目を果たした後であるならば、容赦無く勝ちを取りに行きます。先頭を引かなかったからといって、みすみす勝利を譲る選手なんて、まずいないと思うのですが……。

 そんなこと言ったら、主人公が感動するきっかけが無くなって、物語が成り立たないではないか!とおっしゃる方もいるでしょうが、著者がもう少し自転車レースについて勉強するか、実際にレースをやっている人に監修して貰っていれば、別の感動シーンを描いてくれたと思います。例えばゴール前のスプリントでライバル達のブロックを蹴散らし、直後ろに控えるエースに道を譲った選手がエースの勝利を見届けてガッツポーズ取るところなどは、自転車レースならではの醍醐味です。

 批判めいた書評となってしまいましたが、自転車レースを小説の舞台としてくれたことについては嬉しくもあり、この作品がきっかけとなって自転車レースがマイナーの域から脱してくれたらいいなぁなんて考えています。

 あと付け足しですが、自転車レースにおけるアシストマンの心情を見事に描いた作品としては、『茄子』(黒田硫黄 著)の一巻に収録されている『アンダルシアの夏』が最高です。近藤氏もこの作品を執筆する前に読まれていたら、もっと良い作品になっていたと思うのですが……。

 
 


この感想へのコメント

1.似子 (2007/11/09)
経験者が書いた話であればそれに勝る臨場感はないでしょうね。作者がどのくらいの取材をしたかはわかりませんがNYPDさんのような経験者の目から見ると、違和感を感じてしまうんでしょう。
でも自転車レースがなんたるかの素人への説明は、くどくどと理論的ではなく主人公からの目線での説明でとても上手いと思いました。経験者である方の感想はなかなか重みがありますね。
2.るん (2007/12/08)
著者のサイトを見ているとけっこうロードレース好きな印象だったのですが、詳しい方が見るとちがうんですね。意外でした。
 

みんなの感想を読む
 4

ヴィズ・ゼロ

著者 : 福田 和代

出版社:青心社

発売日:2007-06

評価 :

完了日 : 2007年09月01日

 著者とは、まったく面識は無いのですが、我が母校(大阪創作サポートセンター)で小説の書き方を学んだ同志であり、この度そこで非常勤講師をされている青心社の社長の目に留まったこの作品でデビューをされました。

で、早速嫉妬半分期待度半分で購入しました。帯には、なんと大森望氏絶賛とのコピーがあり、ぬぬぬ!とばかりページをめくる。果たしてその内容は……関空を舞台としたハイジャック事件を核にその事件の首謀者一味と公安との手に汗を握らせる展開だぁ!

 その文体は、福井晴敏を彷彿させ、著者の職業である金融PC関係の実情と多くの参考文献から得た知識が如何無く発揮された内容に13年前の殺人事件と今回のハイジャック事件を繋ぐミステリアスな展開を織り込むといった新人とは思えぬ筆力で、いやはやもう脱帽脱帽の連続でした……。

 しかしながら、やっかみ半分で揚げ足を取らせて貰うなら、ハイジャック事件の仕掛けを担う男の正体が、余りにも意表を突き過ぎだということ。事前に「まさか、もしかして!」と臭わせるような伏線があっても良かったのではないかと思うのは私だけか?

 なにはともあれ、乱歩賞にエントリーしても受賞に至るのではと思えるくらいの完成度を誇る作品なので、次回作も期待しております。


この感想へのコメント


みんなの感想を読む
 34

半落ち (講談社文庫)

著者 : 横山 秀夫

出版社:講談社

発売日:2005-09

評価 :

完了日 : 2007年07月29日

映画化もされて注目された作品だけれど、北方御仁の指摘は私的に納得できる。

自白、状況、物的の3証拠が揃っていれば、空白の日があっても警察、検察供にシャンシャンと起訴してしまうであろう。

多くのコメントでも言われている通り、その空白期間の理由においてインパクトが無さ過ぎたように思う。 その空白が真犯人を庇わなければならないものであったとしたら良かったのにと私は思った……。


この感想へのコメント


みんなの感想を読む
 3

ミスティック・リバー (ハヤカワ・ミステリ文庫)

著者 : デニス ルヘイン

出版社:早川書房

発売日:2003-12-20

評価 :

完了日 : 2007年02月27日

三人の男が少年時代に巻きこまれた事件がトラウマとなって絡む深い内容の物語。

二つの殺人事件が偶然同じ日に起こった事がきっかけで疑心暗鬼となり、幼馴染としての友情、夫婦の絆がそれぞれ崩壊していく様が見事に綴られており、突っ込み所は皆無だった。だけど、唯一惜しいなあと思えたのが、娘が殺された事件の起因で、それがあまりにも脆弱に思えるので減点1。


この感想へのコメント


みんなの感想を読む
 2

赤死病の館の殺人 (光文社文庫)

著者 : 芦辺 拓

出版社:光文社

発売日:2005-04-12

評価 :

完了日 : 2006年02月28日

本格ミステリ作家との誉れが高い著者の作品として期待して読んではみたけれど……。

タイトル作品と共に収録された短編はいずれも「ええかげんにせえよ! 読者ナメとんか」と怒鳴りたくなるようなもので、しばらくミステリの類に触手を伸ばすのをやめたくらいの後遺症を被った。

いくら睡眠薬で眠らせたからとはいえ、寝てる間にコンタクトレンズなんか入れられたら目覚めた時に違和感つうか痛みを感じるだろ!

その他にも死体を見て、その仏さんの人格を写取ってしまう精神病患者とか、もう突っ込みを入れるのも疲れて脱力しまくりました。

それに謎解きに現れる森江春策って、現場検証もせず、最初から判っていたように解決してしまう手法には、ただただ唖然。これって少年少女向けの作品だったのか?


この感想へのコメント


みんなの感想を読む
 10

女王様と私

著者 : 歌野 晶午

出版社:角川書店

発売日:2005-08-31

評価 :

完了日 :

小学生の女の子に振り回されるオタク青年が主役。その女の子の仕掛けた罠に嵌って、殺人犯に仕立てられ……。後半に差し掛かるまで、このピンチをどう切り抜けるのかと物語に引き込まれますが、その脱出方法には脱力。北上オヤジは「ビックリするぞ!」と書評されていましたが、これって小説においてはタブーな展開なのでは? 激怒した読者も絶対いると思います。


この感想へのコメント


みんなの感想を読む
 101

チーム・バチスタの栄光

著者 : 海堂 尊

出版社:宝島社

発売日:2006-01

評価 :

完了日 :

手術に関わったメンバーを一人ずつ面談し、犯人探しをしていく展開は圧巻。でも最後の締めは、現実的にちょっと手ぬるいのでは? 『黒革の手帳』の不合理部分を指摘した木村弁護士に是非読んで頂きたい一冊。 


この感想へのコメント

<前のページ 1  次のページ>

Copyright c 2006 WEB本の雑誌 All rights reserved.