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カーシーさんの読書ノート

絶対再読の約束!
絶対再読しなきゃなぁと思う本。生きる目印になったり、糧になったり、仕事上お手本にしなきゃいない本だったり。

※うーん、血肉本との差別化はからなあかんかなぁ。
一応血肉本は、昔読んだ本しか入れてなくて、こっちは
最近のも入ってる感じかな。
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 8

火怨〈上〉―北の燿星アテルイ (講談社文庫)

著者 : 高橋 克彦

出版社:講談社

発売日:2002-10

評価 :

完了日 : 2005年01月01日

「なぜもっと早く出会えなんだ!」
一読後、歯茎から血を噴出すほどに奥歯をきしらせ、
天を仰いで己が宿命を呪った本。
高橋克彦「火怨」である。

ここ10年の中でナンバー1と言ってもいい。
心に残る作品というよりは、活字を追ってるその瞬間の
パッションがすべて。時なぞ感じぬ。

蝦夷(えみし)のリーダー・アテルイの話だが、
まずもって人物造詣が群を抜いている。
どこかで見たようなキャラなど一人もいない。
敵も味方も皆、その時代その世界を呼吸している。
人間を丸ごと描きながら、なおかつ、娯楽を
微塵も踏み外さぬ筆の冴え。
この稀有な息吹に満ちた傑作を読まれませ。
母国情緒 此方(こち)に在りらむ。

こういうのは敵も天才じゃないと燃えないのだが、
これはかなり燃える!

有能な部下をもった天才たちが火花をちらす
戦国小説に目がない人には、これはもうたまらんです。

読めばわかるけど、ヒラテやタケヒコやモレは
まっことたまらんぞ!
智慧の果し合いのいくさにゴリゴリ興奮!
血がたかぶって胸がなんどもあつくなった。


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 2

パタゴニア―あるいは風とタンポポの物語り

著者 : 椎名 誠

出版社:三五館

発売日:1993-02

評価 :

完了日 : 2000年09月04日

僕が読んだ数少ない椎名誠の作品中で、個人的に
一番好きな本です。今も昔も…。
等身大の椎名誠は夢想を追い求めたがゆえに、
どうしようもなく、その代償を引き受けねばならなかった。
その記録がここにあります。
(以下、昔の手書きノートから掘り起こし)

--------------
くー! あとがきで泣くとは。
青い!せつない!重い!せつない!
そして、風…。

やっぱりこの人(椎名誠)は等身大ですごい人だ。
人間として、なんと赤裸々で、気持ちのいい人だー。
あなたの心の中を教えてくれてありがとう。
あなたの奥さん、もう大丈夫かい?
なんだかすごくよくわかって、困った。
(私の妻もケースは違うが似たようなことがあって…)

椎名のうちにかかってくる電話。
(仕事やセールス関係かな)
うちにいて、椎名の留守をあずかる奥さんのストレス。
椎名に電話のことを伝えるが、仕事の忙しさに流され、
余裕を失っている椎名は「んなもんほっとけ!」と
怒鳴って終わり。
それから奥さんは、椎名に留守電の話をしなくなった。
というより、あまり話をしなくなった。
椎名は旅ばかりで家にいないことが多い。

そんなある日、奥さんが
「頭の中でベルがなってるの…」
と言い出す。
これはなにか、とんでもないことが起きてるのではないか。
(ここで気が付くのは遅いのだけれど、
人間てそこまでいかないとダメなものなのかも)

しかし、椎名はノイローゼの妻を置いて、
旅(仕事)をしなくてはならない。
その旅が「パタゴニア」だ。

常に不安に襲われ、自分を呪う。
今この瞬間、妻が家で死のうとしているのではないか?
暗雲が胸の奥で立ちこめる。

すべてから解放された人生というものを夢想し、
追ってきた。その代償がこれか。
男なら誰でも抱くかもしれない夢想。
世の中のすべての煩わしいことから解き放たれて
自分の好きなことだけに夢中になれたら
どれだけいいかという願望。

しかし、それを決行しようとしてみると、
家族関係という歯車はきしまざるをえない。


パタゴニアへ出発の日の話。
その日、奥さんは椎名より先に勤め先に向かうために
自転車で家をでる。椎名はそれを見送る。
遠くの路地を曲がる瞬間、ひらりと振り返って
椎名の顔を見る奥さん。
その白くて頼りなげで弱々しい顔…。
車のトランクには、なぜかひしゃげた黄色い花が
入っていた。
これは、ひょっとすると妻の別れの挨拶?

なんかもうね、僕にはそのシーンがはっきりと
頭に浮かんで困ったのです。
胸が苦しーよー。

そしてパタゴニアから椎名が帰ってくる日。
椎名は道中、ひしゃげた黄色い花と
頼りなげな白い顔がちらついて、
奥さんがもう死んでいるかもしれない、
と不安でたまらない。

空港におりたつ椎名。

「――すると、ごったがえすロビーの
ずっとうしろのほうに、ひっそりと一人で立っている
妻の姿が見えたのだ…」

これがね、あとがきのところなんだけれども、
もうね、奥さんが生きてたとわかって
ホッとしたと思ったら、もう理屈抜きで
ボロボロ涙が出てきちゃって。

パタゴニアの旅が、不安なお話の背景と
すごくマッチしてて、雲や、荒れた海や、風が、
椎名の心とオーバーラップしてる感じでたまらんのだ。
というか、不安におびえる椎名の精神状態という
フィルター通しての風景だから、そう見えてたのかも
しれないけれど、とにかく奥さんの話と
この旅の風景が相乗効果をうんでいて最高なんです。
パタゴニア! ぜひ一読あれ!

---------
(ここから現代の僕です)

ああ、これも読み返したくなってきたぁσ(゚ω゚*)

このあとこの本をしばらく立てかけて
眺めてました。読み終わったやつは
ダンボールにいれることになってたんですけど、
表紙を見るたびに思い出して、いい気持ちになってました。

青臭くない、抑制のきいた大人の物語です。
興味のお持ちになった方はぜひ。


この感想へのコメント

3.NYPD (2007/12/29)
苦悩する椎名誠を初めて知った時、あのワイルドで逞しい風貌とのギャップに驚いたのを覚えています。短編『コッポラコートの私小説』では、その苦痛から立ち直る姿が描かれていてホッとさせられるのと同時にこちらも勇気づけられました。
4.カーシー (2007/12/29)
『コッポラコートの私小説』家の中探して読みました。もしかすると読んだことあったかもしれませんが、すっかり内容忘れていたので、新鮮でした。一度だけ小さな出版社にと勤めた経験があるですが、その時ほとんど本書の椎名さんのような状態だったので、今読むと感覚がすごくよくわかってつらくもあり、また、しみじみとした静かな勇気も湧きました。やっぱり椎名氏はいいですね!

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 1

クルー

著者 : 石和 鷹

出版社:福武書店

発売日:1994-04

評価 :

完了日 : 2000年08月11日

昔読んだ、相当なダメ男小説。
正直にいいます。嗚咽もれました。
ボロボロです。それだけは覚えています。
我慢できなかった…。

しかし、これは血肉本だろうか(-.-;)

(以下、昔の手書きノートから…)
----------
まじでやられた。
溜めるだけ溜め込んで、ラスト間近、そこに小さな光。
そこをはけ口にドバッとくる。

そこまでは本当に落ちるだけ落ちぶれてゆくような
どうしようもない男の話。

独特の文体からにじむ哀愁。憂い。
この本の中で人間が生きて、うごめいてやがる。
どうしようもない情欲が渦巻いてやがる。
悔しいけれど、我慢できず、泣いてしまった。
嗚咽。

途中で何度やめたくなったことか…。
それほど読んでいてブルーになる話なのだ。
主人公の男がね、まぁ、言葉では“不倫”という一言で
片付くのだけれど、そこには子供がいるし、
奥さんがいるし、家族がいるわけだよ。
本当にみんな生きてるようなかんじだから
(いや、生きてるんだけど)
とにかく生々しく痛々しく響くのだよ。

だからさ、あまりにも気が気でなくて
ついついやめたくなるのね。耐えられない。
ま、結局、やめられないくらい、ぐいぐい
読ませられちゃうんだけど。

でも、「お前、いい加減にしろよ!」と
絶対何度も叫びたくなる。

女の描き方や、性描写なんかは、
独特の文体も手伝って絶品!
(女性の方、女、だなんていってごめんなさい。
でも、やっぱり“女”と書くしかないのよ)

そして繰り返すが、ラスト間近で
どっとこみ上げてくるもの。
人間の中にうずくまる、ほのかな強さとでも言おうか?
(うーん、この表現あってないような…)

読んでくれ。とにかく。

-------------
(ここから現代です)

うーん、万人が嗚咽をもらすとは保障しかねますが、
ダメ男小説を求めてる御仁がいたら、
一度手にとってみてはいかがでしょうか。

あ、東野圭吾の「手紙」ってあるじゃないですか、
あれは、弟に迷惑かけるのも知らずに、
兄が刑務所からどんどん手紙送ってきて、
そのたびに弟が不幸をこうむって、
とにかくすんごくフラストレーションたまって
イライラするじゃないですか?

でもラストで、その溜まるだけ溜まった何かが
一気に噴き出すように、ドバーってくるじゃないですか。
あんな感じに似てるかもしれない。
まぁ、ぐっとこない人はこないでしょうけれど^_^;

そして手紙は不満もあるので4つだが、
クルーは変更してほしいような個所はない!
読むのがつらくなるほどうまい!満点です。

実はこれ今、感想読み返してて、自分ですごく
再読したくなっちゃったんですけどΣ(ノ∀`)ペチッ。
そんな暇ないなぁ~と。

いや、皆さんの中でもいらっしゃると思うんですけど、
本がもう数百冊は軽くたまってて、その、あのう…。
うー(-.-;)


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