たなぞう

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daiさんの読書ノート

読み終わりました
読み終わった本の感想です。なるべく産地直送新鮮なままに書こうと思っております。☆評価は迷ったんですが、百点満点方式を基準にしようかと思います。0~25点が一つ、26~50点が二つ、51~75点が三つ、76~99点が四つ、満点五つで殿堂入りのイメージです。
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 1

かくれ里 (講談社文芸文庫―現代日本のエッセイ)

著者 : 白洲 正子

出版社:講談社

発売日:1991-04

評価 :

完了日 : 2007年05月05日

 「玉入れ」って、神事なのか!?と思う。
 京都の原地という場所には「松あげ」という火祭りが伝わっているらしい。高さ二十メートル程の「灯籠木(とろぎ)」の上に籠を乗せ、中を薪で満たす。そこに皆で火種を投げ込んで、誰が一番始めに燃やすかを競う行事だ。どう見ても、「玉入れ」だと思う。運動会でよくやる、あれだ。明日会う人全員に言いふらす気で、まんまんになる。
 能楽堂で、女性としては初めて能を舞った女、正子、恐るべしだ。どっから引っ張り出してくるのか凡人には見当も付かない博識でもって、近畿地方の「かくれ里」を語り尽くしている。凄いのは、次郎だけじゃない。
 証拠を求められ、ある意味それが制約となる歴史学には出来ない考察が、清々しい。再現不可能なもに対する「科学」という方法の危険性などを考えつつ読む。
 地名がぽんぽん出てくるので、グーグルマップなどを見つつ読むことを勧める。


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 1

失恋 (新潮文庫)

著者 : 鷺沢 萠

出版社:新潮社

発売日:2004-02

評価 :

完了日 : 2007年04月27日

 最近、良い恋愛をしていない。などと書き出すと、お前は何処の女性誌の回しモンだという話しだが、良い恋愛どころか悪い恋愛もしてねーよバーローと言いたい。
 のっけから失礼した。鷺沢萠の描く失恋についての短編集だ。失恋するためには恋愛をしなければいけないと思い知ったわけで、読後三秒程、暗黒面に落ち込んだ。
 どっこい這い登って感想を書く。主人公のきっぷの良さが小気味良い。いずれの主人公も、当然失恋するわけだが、思考の健全さが、印象を乾いたものにしている。風通しが良かった。個人的なお気に入りは『記憶』だ。
 時々「何であんなのと付き合ってるんだ」と思う人がいる。しかし心が理性でどうこう出来れば苦労は無く、心を動かすには具体的で実際的な行動が必要なのですな。「ですな」と言われても困ると思うが、その思いを強くする一編だった。
 はろーあいらぶゆー恋をしようよいぇい。


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 1

歩く影たち (新潮文庫)

著者 : 開高 健

出版社:新潮社

発売日:1982-05

評価 :

完了日 : 2007年04月21日

 ダンドンからモックバイまで、ベトナムを縦断したことがある。つい三十年程前、あそこで起こっていた風景がこの短編集に書かれてあることだとすると、人々はたくましい。
 「歩く影たち」には、戦争を主題に据えた短編が九編収められている。そのうち、ベトナムに関する描写があるものは、八編だ。
 物語の中で、米兵は三日の休暇を自ら二日に縮めて最前線に戻り(兵士の報酬)、「私」は東京の病院で負傷兵と死者のリストを照らし合わせ(フロリダに帰る)、前哨点では死体を舟に乗せて村へと送り返し(岸辺の祭り)、中国を追われた国民党の村では阿片が密売され(飽満の種子)、「私」は夜釣りの海上から戦争の明かりを眺め(貝塚を作る)、南ベトナムの保安機構の頂点にいた将軍は引退して日本製の爪楊枝製造機を捜し求め(怪物と爪楊枝)、村を焼かれた民衆は洗面器一つで新しい生活を始めなければならず(洗面器の唄)、そしてジャングルの生命は人間の営みに関わらず旺盛だ(戦場の博物誌)。
 ベトナムが描かれない残りの一遍において作家は、どちらにも座りたくない椅子に「選ばなければ殺す」と言われて腰をかけなければならない場合、しかも相手は二つの選択肢を用意してはいるが明らかに片方の椅子に座ることしか期待していない場合、どちらに座ることもせず切り抜ける方法はあるかと問いかける(玉、砕ける)。
 これら八つ、「玉、砕ける」まで含めれば九つの物語は、実際にあの地で起こったことなのか。この「どうしようもなさ」は、かつて本当にあの地を覆っていたものなのか。
 旅行者としてベトナムを訪れた時、この物語にあるような虚無は、一掃されているように感じられた。人々は活気に溢れていた。あるいはそれは、単に表層しか見ていなかっただけなのかもしれない。どちらなのだろう。
 ともあれ、この物語との断絶を感じたのは確かだ。その断絶が、恐ろしい。


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 2

空のオルゴール (新潮文庫)

著者 : 中島 らも

出版社:新潮社

発売日:2005-01

評価 :

完了日 : 2007年04月19日

 うむ。これは酷い。読んだ後に綺麗さっぱり、全く何も残らない。
 アル中のナイフ使いカリオストロ、箱抜けの名人フーディーニ、全身包帯男マミー、オカマのオキト、ヒロインリカ、そして合気道使いトキトモの奇術師軍団と、居合い使いの白虎、空手の達人青龍、爆発物の専門家玄武、紅一点の拳銃使い朱雀の殺し屋軍団との抗争が、一応のストーリーだ。
 しかしこの物語は、テーマがどうとか、プロットがどうとか、すでに関係がない次元にあるのではなかろうか。なんだか変な奴がいっぱい出てきて、あることないことしゃべって、酔っ払って騒いで、死んでいったり生きちゃったりする。それの繰り返しだ。それでいいじゃないかと思う。読み終わりパタンとページを閉じて、三秒後にはもうすでに忘れている。そういう物語が、あったっていい。
 さすが「B級はエイキューだ!」と叫んだ人の、物語だ。


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 1

セクシーボイスアンドロボ 2 (2) (BIC COMICS IKKI)

著者 : 黒田 硫黄

出版社:小学館

発売日:2003-02

評価 :

完了日 : 2007年04月11日

 「一点能力物」の漫画は面白い、と個人的に思っている。勝手に作ったジャンルだ。「百鬼夜行抄」などが、このジャンルに入る。主人公は一般人にはない能力を一つだけ授かっており、その能力によって引き起こされるよしなしごとが描かれた漫画が、「一点能力物」の定義だ。で、「セクシーボイスアンドロボ」もこのカテゴリーに当てはまる。
 十四歳の少女ニコが持つ能力は、「声」に関するものだ。七色の声音を自在に操り、声から相手の姿形や性格まで分析し、声に関する記憶は忘れない。その能力を駆使して、「宇宙に私だけ」しか解決できない難問珍問を解決していく様が描かれている。「一点能力物」の常として、「声」以外に主人公に与えられるのは、己の知恵でしかない。その奮闘振りが良い。つまりこの漫画における「声」とは、「長所」の誇張表現で、その点に我々読者は感情移入ができる。面白い。
 TVドラマ化もされるようだ。続編を望む。


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1.パル2パパ (2007/04/11)
へぇ~、TVドラマは漫画原作だったんだ、しかし、最近のTV屋は安直に漫画や原作モノをドラマ化するよね、それだけ人の作品を題材に脚本化する能力には長けていても、クリエイティブ能力は全く失っている事を、世間に晒している。恥ずかしい限りですな(~~;)ま、どんな話なのか、見てみます。
2.dai (2007/04/13)
黒田硫黄は、好き嫌いが分かれると思いますが、総じて良く考えてあります。オレは大好きです。「セクシー~」は一番読みやすいのではないかと思います。お勧め。
 

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 1

雁の寺・越前竹人形 (新潮文庫)

著者 : 水上 勉

出版社:新潮社

発売日:1969-03

評価 :

完了日 : 2007年04月07日

 もーびっくりした。
 作者が水上氏ということ、直木賞受賞作だということの二点以外、予備知識なしで読み始めた。ほほー、お寺さんが舞台なわけですか。和尚小説ですな。面白い、面白い。と読み進めて行くと、あれよあれよという間にそんな呑気なことが言えなくなる。何と言うか、定食屋で肉野菜炒めと書いてあったので頼んだら出てきた野菜が全部アボカドだった、と言った感じだ。しかし美味い。上手い。
 雁の寺、越前竹人形共に、背景となる設定が特殊だ。雁の寺は文字通り寺が舞台だ。越前竹人形は越前(福井県)の山村における、竹細工師の生活が描かれている。どちらもその描写の精緻さが凄い。水上氏は実際禅寺で修行をしていたそうで、寺の細部を知っているのは分かる。竹細工の方はどうやって調べたんだ。全く困ったもので、これでは氏の他の作品も読まなければいけないではないか。
 困った困った。


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 6

岬 (文春文庫 な 4-1)

著者 : 中上 健次

出版社:文藝春秋

発売日:1978-01

評価 :

完了日 : 2007年04月07日

 おそらくは作者の実際の出自に基づいているのだろう。複雑な家族関係と、そのことによって主人公が受ける心理的な影響を描いた短編が四編、収められている。
 時々垣間見える暴力への衝動が、実感はできないが、興味深かった。長い人生、時々は妙に攻撃的な人と知り合う機会もある。何故この人は、周囲に対してこうもつっかかるのか。それは単に損なだけではいか。そう思っている自分がいたが、「そうしたくはないのに攻撃的になってしまう」という気分について、分かりはしないが理解する一助にはなった気がする。しかしやっぱり、暴力はいけないよなと思ってしまう。
 惜しむらくは物語の設定が複雑な点だ。それが面白い部分でもあるのだが、「母親が三度結婚していて、一度目の結婚の時の子供が兄さんと呼ばれている人物で、三人の姉は二人目の子で・・・・・・」とやっていると、己の単純頭からは、煙が出そうだった。面目ない。


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 4

夏の闇 (新潮文庫)

著者 : 開高 健

出版社:新潮社

発売日:1983-01

評価 :

完了日 : 2007年03月28日

 ベトナム戦争の最前線を経験した「私」が、一度虚脱し、女との交渉に耽溺し、そして再びベトナムに戻るまでの様が描かれている。
 全編を倦怠が彩る中、釣りの場面の鮮やかさが一際印象に残った。糸の先の鉤に獲物がかかりそれが手元に伝わった瞬間、まるで物語全体に色が付いたような感触に陥る。その瞬間だけは、見てしまったベトナムの最前線も、女との行き違いも、そして「私」本来の性癖が持つ倦怠も、どこか遠くの「別のもの」に変わっている。「今」が全てを多い尽くしている。その描写が素晴らしい。
 一応、時間的にこの小説の前を描いた「輝ける闇」を読んでおくことをお勧めする。幸い「輝ける闇」を読んだ後だったので理解できる部分が多々あったが、いきなりこちらを読んだ場合、物語の厚みが相当違ってくるのではなかろうかと思う。
 それにしてもだ。「私」の気力を根こそぎにする戦争というもの、これは何だろうか。


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 1

ラブロマ 4 (4) (アフタヌーンKC)

著者 : とよ田 みのる

出版社:講談社

発売日:2005-04-22

評価 :

完了日 : 2007年03月27日

 川で例えるならば、山口県は岩国の名川、「錦帯橋」で有名な錦川のような、清く澄みつつサクサク流れる青春ラブコメ、「ラブロマ」第四巻だ。星野に取っての焼餅相手、若葉と、根岸に取っての焼餅相手、佐伯が初登場となる。
 今回の影の主役は、何と言ってもハシバだ。吹き出しでは決してしゃべらず、話しにはほとんど絡まない男ハシバは、しかし巻を重ねる毎にひたひたとその存在感を増していた。そしてついに四巻において、その驚くべき能力が発揮される。でもやっぱり話しには絡まない。いいキャラだ。後、百十五ページで牧村が読んでいる雑誌は、どう見ても「ジ○ンプ」だが、それはいいのか講談社!?
 毎年必ず「誰それの靴箱にチョコレートが入っていた」という噂が流れ、恐怖の的だった年中行事、通称『ブラック・バレンタイン』といった、己の過ごした男子校の思い出などを噛み締めつつ読み、泣く。


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 1

ラブロマ 3 (3) (アフタヌーンKC)

著者 : とよ田 みのる

出版社:講談社

発売日:2004-09-22

評価 :

完了日 : 2007年03月27日

 直角直線青春ラブコメ、ラブロマも第三巻に突入した。テンポの良さは相変わらずだ。星野ファミリーが初登場となる。だが今巻は、何といっても「アナザーラブロマ」だろう。
 男主人公星野の親友は塚原、女主人公根岸の親友は陽子だ。超直線カップルの星野・根岸に対し、この二人は超曲線だ。お互い好き合っていそうだが、良く分からない。読者にはもちろん分からなかったのだが、実は当の二人も分かっていなかったらしい。「私達って付き合ってんの?」という陽子の疑問と共に、「アナザーラブロマ」は幕を開ける。つまりこの巻には一話だけ、星野・根岸に代わって、主人公が塚原・陽子になる話しがあるのです。果たして塚原は何と答えるのか!?
 文化祭の打ち上げに女の子を誘って断られ男三人公園で管を巻いていた時にその公園の横を当の女の子達が別の野郎どもと一緒に通りかかった己の暗黒男子高生活などを思い出しつつ、読む。そして泣く。


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 6

ドグラ・マグラ (下) (角川文庫)

著者 : 夢野 久作

出版社:角川書店

発売日:1976-10

評価 :

完了日 : 2007年03月25日

 目が覚めると、記憶がない。自分が何者なのか、ここがいつなのか、今がどこなのか、もう何が何やらさっぱりだ。
 周りを見ればどうやら監獄か、あるいは精神病院の一室のような造りだ。隣の部屋からは若い女の、悲痛な叫びが聞こえてくる。「お兄さま。お兄さま。お兄さま・・・・・・」
 さぁどうする。そういう始まりの小説です。
 ハリウッド映画なら、ここから大脱出劇が始まるか、床には一丁拳銃があって、実は隣の少女を殺せばお前は助かるのですよただうまいことやれば二人とも助かるのですよさぁどうしますかどうですか謎解きますか・・・・・・。という話しになっていくのだろうが、これが書かれたのは昭和初期(推敲に十年かけたんですってよ、奥さん)の日本だ。やるな久作と言いたい。物語はここから奇想天外、五里夢中、奇妙奇天烈な展開を見せていく。
 さて、自分ならどうするか。
 まず、泣くしかあるまい。その後は歌う。踊れるなら踊る。疲れたら寝てしまえ。寝れば元気になる。元気があればなんでもできる。もう、自棄っぱちだ。
 突然ですが、「攻殻機動隊」という漫画があって、好きだ。近未来を舞台にしたSFで、中にこんな台詞がある。「ゲームの選択問題から脱出できていない様な状況ね・・・・・・/ちゃんと物理現実に戻れてるのかしら?まあどのみち行動アレイに大した差は無いんだけどあまりいい気はしないわね」ここが果たしてゲームなのか、現実なのか分からない状況に置かれた主人公が呟く台詞で、つまり「分けが分からなくても、やるこたぁ同じ」という、ある種の開き直りとも取れる信条の告白だ。マイ座右の銘、その十五となっている。
 「ドグラ・マグラ」は確かに奇書で、読んでいる途中何度も上記の言葉を投げかけて、主人公を応援した。頑張った主人公を褒めてあげたい。後、読み切った自分も褒めたい。
 しかしまぁ、やるな久作だ。


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 1

立喰師列伝

著者 : 押井 守

出版社:角川書店

発売日:2004-02

評価 :

完了日 : 2007年03月21日

 自分の無学を恥じるしかない。サンカや香具師のことは多少知っていたが、立喰師という人々のことはまるで聞いた事がなかった。
 立喰師とは、いわゆる「無銭飲食者」のことだ。だが、ただの無銭飲食者ではない。ほとんど芸と言える程の手並みで店主を煙に巻く、一群の人々の総称だ。その起源は古く、サンカや香具師と同じ位歴史を遡るという。
 本書は、立喰師に関して唯一とも言える学術的研究を行った犬飼氏の著作を土台に、戦後の立喰師達を追った労作だ。月見の銀二、ケツネコロッケのお銀、哭きの犬丸といった魅力的な人物が、当時の時代背景とともに語られている。単に人物紹介だけではなく、立喰師達の姿を通して我々が失ったものは何か、失った後の現代という世界とは何かと考えさせられる点が素晴らしい。著者の押井守とは、さぞ名のある学者かと思われる。
 惜しむらくは、立喰師の手管に具体性が欠ける点だ。まるで偽書のように見えてしまう。


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 1

ラブロマ 2 (2) (アフタヌーンKC)

著者 : とよ田 みのる

出版社:講談社

発売日:2004-04-23

評価 :

完了日 : 2007年03月20日

 超ストレート男星野と、「アネさん」根岸のラブコメ、ラブロマ第二巻だ。一巻に引き続き流れがいい。このサクサク感が癖になる。
 初登場になるのが、警備員のゾンビー、演劇部河原、新聞部日向、一の姉の零(こうやって書くとすごい名前だ)、「ザ・嫌な奴」屋敷だ。ギャグ漫画の常とはいえ、一話で出番が終わってしまうのがもったいない。いいキャラクターばかりだ。
 「ザ・嫌な奴」屋敷が出てくる回が、興味深い。今までこの漫画に登場しなかった『悪意』がある。もちろん流れを止める程ではない。そういう風に『悪意』を描き切る作者の力量だ。しかしこの話しによって、物語にコクが出てきたのは確かだ。胡椒のようだ。山椒のようだ。カレーに入れる砂糖のようだ。
 二巻は、文化祭、肝試し、クリスマスとイベントが多い。野郎数人でたこやきを食い、道行く人に「メリークリスマス!」と声をかけた己の男子高クリスマスを思い出し、泣く。


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 1

ラブロマ 1 (1) (アフタヌーンKC)

著者 : とよ田 みのる

出版社:講談社

発売日:2003-09-22

評価 :

完了日 : 2007年03月20日

 男子校において暗黒の高校時代を送った身としては、理想の青春だ。こんな高校生活を過ごしたかったーーーーーーー!!!!!と、星空に叫びたい気持ちでいっぱいになる。
 馬鹿を超える程真っ直ぐな星野一が、(性格が)男前な根岸由美子に告白するところから、物語は始まる。昼休みの教室でだ。男前根岸由美子は、当然「こんなトコで告白すんなー!!」と突っ込む。真っ直ぐ男星野一は、全く意に介しない。つまり星野=ボケ、根岸=突っ込みのラブコメなわけだ。東京下町を舞台に、二人は付き合い始める。
 テンポが良く、ドライヴ感がたまらなかった。専門的なことはまるで分からないが、絵柄や、時の経過を潔く文字で表すところなど、アニメに似ているのかもしれない。ストーリー展開も外連味がなく、さくさく読める。ギャグが早い。面白い。
 脇役陣もキャラクターが立っていて、いい味だ。星野の親友は、デブでクールな塚原だ。初めて根岸と一緒に下校をする星野に、コンドームを渡す。漢だ。生涯の友になると思う。根岸の親友陽子は、陰謀好きだ。様々な策を巡らし、二人を煽る。物語を転がす。オカルト研究会の和田、恋のテクニシャン義経、林先生、星野を好きな岸本涼子とその涼子を好きな牧村、そして吹き出しでは決してしゃべらず渋い存在感を醸し出すハシバ、一巻最終話では早くも根岸ファミリーが登場する。皆良くボケ、良く突っ込み、良く話しに絡んでくる。表情があり、動きがある。
 余計なものがそぎ落とされているのがいいのだろう。登場人物に悪人は一人もいず、三角関係による葛藤なども基本的には描かれない(あくまで二人はラブラブだ)。そういった意味では、幻想だ。しかし逆にそうすることで恋愛の要素を抽出し、笑いに転化することに成功している。
 明日は朝一番のバスで、海に行ってこようと思う。


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 1

輝ける闇 (新潮文庫)

著者 : 開高 健

出版社:新潮社

発売日:1982-10

評価 :

完了日 : 2007年03月19日

 どうしても人を殺すなら、徹頭徹尾、自分のために殺したい。民族やら、何とか主義やら、国家やらのために殺すなど、まっぴらご免だ。改めてそう思う。死ぬのだって嫌だ。
 開高健が描くベトナム戦争だ。もちろん、実体験に基づいて書かれているのだろう。悲惨で、出口が見えない。
 独立のための戦争だったはずが、いつの間にか大国の思惑に翻弄されている。同じ民族、同じ国家に属していたはずの人たちが、殺しあうことになる。誰もが戦争など望んでいないはずなのに、ずるずると、明らかに死には値しない理由で、人が死に続ける。まるでどこか別の国、例えばどこか中東の国で、現在起こっていてもおかしくはないような状況だ。作中、作家であるところの「私」は、マークトゥエインの空想小説を引き合いに出して、戦争の愚かさの再現性を嘆くが、現在の我々は、この本を引き合いに出して、同じことができるような気がする。
 印象に残った場面がある。最前線からサイゴン(現ホーチミンシティ)に戻ってきた「私」が、最前線を思い出している場面だ。「私」は女を抱き、中華料理を食べ、そして最前線で見た死体を思い出す。つい数日前までいた最前線のことだ。戦争をやっている当の国の、いつ攻められるのか分からない都市、そこにいてすら、戦争とはこんなにも実感されないものだろうか。
 本当にふと浮かんだ言葉だが、最前線とは常に遠くにあるものなんだと思う。そして気が付いた時には、もうそこに立っている。「戦争は他人にはどう理解もされず伝達もされない」これも作中の言葉だ。恐らくスイッチのON、OFFのような感触なのではなかろうか。最前線で、死ぬか殺すかという状況に置かれている時はONだ。それ以外ではスイッチが切れる。OFF、暗闇だ。分からない。
 殺すのは嫌だ。死ぬのも嫌だ。単純なことなはずだ。


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 1

全国水族館ガイド 2006-2007

著者 : 中村 元

出版社:ソフトバンククリエイティブ

発売日:2006-04-19

評価 :

完了日 : 2007年03月12日

 もう全部行きたい。
 沖縄美ら海水族館、大阪海遊館、東京葛西臨海水族園と制覇し、いい気になっていた自分には鉄槌だった。日本の水族館恐るべしだ。
 日本全国の水族館を網羅したガイドブックで、その数なんと99館に及ぶ。実際の川に面し野生の鮭の様子が見られる「イヨボヤ会館」、入り組んだ秘密基地的面白さを持つ「おたる水族館」、そして名古屋の雄「名古屋港水族館」などが気になるが、最終的には全て回りたくなっている。
 著者中村元さんの、熱意に絆された。あくまで著者の視点から見たガイドブックであり、紹介文、チャートの評価などは主観でなされている。その姿勢を気に入るかどうかで、ガイドとしての評価は分かれるとは思う。しかし個人的には、「客に見せる」ということを第一に考え、自ら写真も取り、一館ずつ自分で周り、裏事情まで理解して書くプロとしての姿勢に好感を抱いた。


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 1

珠玉 (文春文庫)

著者 : 開高 健

出版社:文藝春秋

発売日:1993-01

評価 :

完了日 : 2007年03月09日

 開高健の絶筆だ。襟を正して読む。
 三部の連作短編形式を取っている。それぞれ読後感が、寂寥、諦念、エロと続いた。ありがちながら、大河を思い浮かべてしまう。
 「うごくことだ、手と足を使うことだ、回転しつづけることだ(『破れた繭』より)」戦後闇市の中でのこんな感慨を源流とし、幾本もの支流が合流して流れ流れた大河は、河口付近になって、あらゆる雑多な滋養分を集め、こんな作品に結実したようだ。この河口は広い、そして深い。清濁入り混じったそれは、アマゾン河のようでもあり、長江のようでもある。雄大だ。ただし、ゆるやかで牛の歩みのようだが、そこにある水は、源流と同じく、流れ続けている。決して止まってはいない。河口特有の、膨大な水量が作り出す遅いが力強い流れが、確かに感じられる。
 各編にはそれぞれ、その一遍を象徴するような宝石が登場する。アクアマリン、ガーネット、ムーンストーンだ。無学浅財(そして才)な身としては、どれも具体的に思い浮かべられないのが悔しい。今後の人生の課題としたい。金、稼ご。
 三篇どれも好編だが、個人的には二つ目の「玩物喪志」が好きだ。ガーネットに当たる種々の光が反射して、作家に様々な「赤」の記憶を思い起こさせる。それは東南アジアの夕焼けや、魚類の体色や、フランスの酒場のワインや、そしてベトナム戦争の血の赤だ。そこから作家は一つの諦念を引き出すが、にも関わらずその裏に、語りえない前向きな「何か」があるように感じられてならない。作品冒頭の「道道無常道」の詩に戻っていくような感覚を抱いた。
 最後の一遍が「エロ」いのもいい。やっぱり人間そこだろ。素直にそう思える。作家としての人生で、最後に発表された作品の最後の一文が、本人がどう思ったのかは分からないが、とてもいい。
 豊かな作品だ。


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 1

破れた繭―耳の物語* (新潮文庫)

著者 : 開高 健

出版社:新潮社

発売日:1989-12

評価 :

完了日 : 2007年03月06日

 「戦後すぐ」という時代は、魅力的だ。
 物事の一つ一つを見れば、決して幸福とは言えない。日本は敗戦し、都市は焼け野原で、何より飢えがある。真実かどうかは分からないが、非合法な食物を口にしなかった裁判官が餓死した、などという話しも聞く。
 しかし、物語の記述として読むと、引き込まれる何かがある。混沌としていて、やけっぱちのような開放感があり、そこから出るエネルギーを誰もが持て余している感触だ。何故か郷愁をも誘う。それを感じたのが、阿佐田哲也の「麻雀放浪記」であり、この「破れた繭」だった。
 「うごくことだ、手と足を使うことだ、回転しつづけることだ」まだ若い主人公は、闇市でパンの売買を見てそう思う。「耳で描く自伝」というこの物語の性質を考えると、後の開高氏に長く影響する言葉のように思えてならない。「戦後すぐ」が生み出した言葉だ。
 相当好きな言葉だ。


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 13

ドグラ・マグラ (上) (角川文庫)

著者 : 夢野 久作

出版社:角川書店

発売日:1976-10

評価 :

完了日 : 2007年02月26日

ただ今読んでます。以前挫折したので、今度は読み切るぞと。

読了いたしました。感想は、下巻で書きます。


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1.ベアandリーチェ (2007/03/06)
こんにちは
私は最初がビデオでした。あまりにも奇妙で気持ち悪くて思わず本を手に取ってしまいました。
あまり一般ウケする本とも思えないのですがなぜか毎年「夏の1冊」に入ってるんですよね…
2.dai (2007/03/06)
ビデオ!確かにあんまり見たくないですね・・・。
オレの場合のきっかけは、やっぱり「一度は精神に異常をきたす」の殺し文句だったと思います。高校の始めの頃かな。で、上巻の半分くらいで「分からん」って放り出して、村上春樹に移りました。
最近友人が読んだとのことで、「負けるか」と再読です。現在22ページ目(遅(^^;)、まだまだ先は長い。
 

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 1

たびを

著者 : 花村 萬月

出版社:実業之日本社

発売日:2005-12

評価 :

完了日 : 2007年02月26日

 十九歳の虹児(こうじ)が、改造カブを駆って日本一周する旅の様子を描いている。とにかくぶ厚い。しかし名古屋、大阪、福岡という大都市圏を悉くすっ飛ばしているからだろうか、常に疾走感がありすんなり読めた。
 ページ数は丁度千ページで、作者だけでなく、編集者、デザイナーのこの作品に対する思い入れが伝わる。これだけ切りがいいと、半分の五百ページに何が書かれているのかなどと変な事が気になってしまった。読み返して納得する。また、読み終わった後何の気なしに帯を捲ってみて、ちょっと感動した。
 花村萬月は、倫理に対して非常に敏感だ。常人では気が付かない差別の構造や、心の動きを見せ付けてくれる。時に深く突き刺さり、時にえぐい。一種特殊能力的で、日常生活では疲れそうだと余計な心配をする。絶対音感を持つ人のような気分なのではなかろうか。
 作中「花村萬月という作家」に言及するのはいいが、さすがに三回も出てくると冷める。


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