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daiさんの読書ノート

読み終わりました
読み終わった本の感想です。なるべく産地直送新鮮なままに書こうと思っております。☆評価は迷ったんですが、百点満点方式を基準にしようかと思います。0~25点が一つ、26~50点が二つ、51~75点が三つ、76~99点が四つ、満点五つで殿堂入りのイメージです。
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 1

オーパ、オーパ!!〈モンゴル・中国篇・スリランカ篇〉 (集英社文庫)

著者 : 開高 健,高橋 昇

出版社:集英社

発売日:1991-01

評価 :

完了日 : 2007年02月22日

 開高健氏の釣り紀行「オーパ」シリーズ、完結編だ。もう何と言うか、肩凝りがひどくなってきた釣り好きのおっさんと、酒場で駄弁っている感じだ。ただしもちろん、ただのおっさんではない。このおっさんは、「十二メートルのイトウ」というネス湖の怪物みたいのを釣ろうとする。本気でだ。そのために中国奥地の湖まで人民軍の工兵隊を連れて行くのだから、恐れ入る。道が無いなら作ってしまえというわけだ。ダイナマイトで山をぶっ飛ばしつつ旅は進む。そんなおっさん嫌だ。
 相変わらず「人」と「食」を見る目がすごい。モンゴル的自由に憧れを抱く部分があったのだが、「“自然”を守るためにはここまで無欲にならなければならないのか、これより他に道はないのだろうか」という言葉に、一部粉砕された。後、羊肉を岩塩で煮ただけのモンゴル料理が、食べたくてしょうがない。
 晩年の作だからだろうか、倦怠成分が多い。しかし、それも味わいだと思おう。


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 1

新 水族館へ行きたくなる本

著者 : 鳥羽山 照夫

出版社:リバティ書房

発売日:1996-10

評価 :

完了日 : 2007年02月22日

 何故だか「水族館」に特別な思い入れがあり、図書館で目にして思わず手に取った。
 水族館の仕組みが、概説ながらだいたい掴める。文章の間から著者鳥羽山さんの姿勢が垣間見え、それがまた好感だ。
 飼育員の仕事に「捕獲」があるというのは、発見だった。漁船に乗り込む、あるいは自ら釣竿や投網でもって捕まえるなどするという。大変だ。「漁船のおっちゃんが昼飯用の魚をくれるがもちろん観賞用の魚とは別々に運ぶし、水槽で死んだ魚も学術利用はするが絶対に食べたりはしない」というような件に、仕事に対する誇りが感じられる。熱い。
 その他印象に残ったものとして、海水の値段の話し(一トン数千円~数万円、当然内陸に行く程高い)、イルカの出産の話し、イルカに芸を覚えさせる手順、移動中の水生哺乳類に精神安定剤を打って大人しくさせる話しなどがあった。
 個別の詳しい話しを、調べたくなる。


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 1

最後の晩餐 (光文社文庫)

著者 : 開高 健

出版社:光文社

発売日:2006-03-14

評価 :

完了日 : 2007年02月18日

 名エッセイだ。週刊誌(文春の「諸君!」)に掲載された文章を集めている。そのため、各章が週刊誌の記事一つ分に相当する。「腹のことを考えない人は頭のことも考えない」(サミュエル・ジョンソンという人の言葉らしい)を、看板に掲げている。
 まず度肝を抜かれるのは第一章(連載初回)だ。最終回予告として、「人肉嗜食」を挙げているから困ったものだ。恐れ慄きつつも、それを目指してページをめくらざるを得ない。術中にはまる。
 開高健という人はもともと体験が凄い。ベトナム戦争の最前線に従軍し、ピラルクーを釣りにアマゾンの奥地まで足を伸ばし、サントリーのコピーライターもやっていた。人脈も豊富だ。そこに加えて、どういう読み方をしているのか、古今東西の書物から、薀蓄がこれでもかと出てくる。激流に押し流されるようで、読まざるを得なくなってしまった。
 老舎(という作家も、このエッセイで初めて知った)、最期の食談がある。軍隊での食を安岡章太郎の文章から描き出す。ドッグフードの試食会があり、かと思えば辻調理師学校校長(当時)辻静雄氏による最高級フランス料理の描写では、こちらまで腹一杯だ。もちろん釣り、魚の話題にはことかかない。その他、非常食、芭蕉の句に見る食、プロ級素人による食、食食食・・・、書いていくと切りがない(本当に文庫一冊分か?)。最期はきっちり「人肉嗜食」の話しで締まる。
 バランス感に優れていると言えばいいのだろうか。例えば章の題名だ。「王様の食事」は分かるとして、「天子の食事」というものもある。内容はそれぞれ、フランス料理と中華(台湾)料理のフルコースだ。別にアラブ料理の羊を扱った章は、「神の御意志のまま」となっている。片手落ちがない。庶民と王、故郷と戦場、性欲と権力欲と食欲、一つを描く時には必ず対になる、あるいは並列するものも描写している。その姿勢に惚れる。


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 1

ロリータ

著者 : ウラジーミル ナボコフ

出版社:新潮社

発売日:2005-11

評価 :

完了日 : 2007年02月15日

 最初に書いておく。そんなにエロくなかった。がっかりはしていない。してないよ。
 読み終わった今、主人公ハンバート・ハンバート氏(仮)を目の前に正座させて、小一時間説教したい気分だ。「気持ちは分かる。分かる部分もある。ただなお前、他人に迷惑かけちゃいけないだろうが。な。分かるな」締めはやはりカツ丼を出したい。
 「ロリータ」には言葉遊び的な記述が多い。また、フランス語での会話や、諸文献からの引用も頻出する。訳が大変だったと思う。「血昇理、脈打知」など、かなりいいグルーブを出している。原文だとどうなっているのか、読んでみたい。訳者は若島正さんだ。
 犯罪者の手記という形で書かれたこの小説には、愛が溢れている。種類も質も様々だが、第二部二十九章から後の愛に共感する。そしてその噛み合わなさに笑う。「そりゃそうだぁ」といった気分だが、それでもやはり共感はしてしまっている自分がいる。


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 1

名もなき孤児たちの墓

著者 : 中原 昌也

出版社:新潮社

発売日:2006-02-23

評価 :

完了日 : 2007年02月13日

 自分には合わなかった。と書くと元も子もないので、以下、一応所感を綴る。
 全てにおいて中途半端だ。シュールな世界を描くのであれば、安部公房に遠く及ばないし、残酷な描写に力を入れるなら、新堂冬樹『毒蟲VS.溝鼠』位はやって欲しい。何らかのメタファーがあるのかもしれないが、別段読み解く気にもならない。物語中に書いてある「金のために原稿を埋める云々」といった趣旨の発言が本当だとすると、これは編集者が悪い。そんなものを流通機構に乗せるな。少なくとも自分は、今後二度と中原昌也の物語を、金を出して読もうとは思わない。
 唯一、『点滅・・・・・・』だけは、作者の言いたい事を直接言ってくれているようで、読めた。しかしまぁげんなりだ。『駄目過ぎて☆一つ』ということにすらならない。
 「描きたいこともないやつが連載をひきうけるなあーっ!!!」(島本和彦著『吼えろペン4巻より)と叫びたい。悪口は楽しいな。


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 5

たったひとつの冴えたやりかた (ハヤカワ文庫SF)

著者 : ジェイムズ,ジュニア ティプトリー,浅倉 久志,ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア

出版社:早川書房

発売日:1987-10

評価 :

完了日 : 2007年02月13日

 宇宙物の中篇集だ。一九八七年に初版が出ている。出てくるテクノロジーが、「昔考えられていた未来」であり、辺境惑星区域から送られてくる媒体がテープだったりする。SF初心者としてはその辺が楽しい。未来物のSFを読んでつくづく思うのは、「携帯電話の普及とはこんなにも予想外のことだったんだなぁ」ということだ。
 三篇の中では、最後の『衝突』が一番楽しめた。異文明間の接触を描いた一遍で、対話の重要性と、小さな事柄が大きな流れに及ぼす影響についてを描き出すシュチュエーションにスリルがある。ソ連の崩壊が一九九一年だから、発表された時は冷戦の終結時期だろう。当時読んでいれば、また違った感想になったかもしれない。
 三篇いずれにも、登場人物が自己犠牲で葛藤する場面がある。解説を読むと作者が夫(失明の上アルツハイマー病の疑いあり)を射殺した上で自殺しており、痛ましい。


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 21

告白

著者 : 町田 康

出版社:中央公論新社

発売日:2005-03-25

評価 :

完了日 : 2007年02月08日

 「河内十人斬り」を基にした物語だ。結末は決まっており、読み進める手が重かった。
 殺人を犯す人がいる。何故、人を殺すのか。その何故を微細に追求していった末、出来上がった小説だ。
 「生まれた環境が粗暴な性格にしてしまったから」だとか、「愛する女性を取られたから」だとかいった安易な理由は、(きっかけとしては描かれるが)この物語からは一切排除されている。生い立ちから語られる主人公熊太郎の生涯には、いくつも「まだ取り返しがつく」ポイントがあり、しかしその悉くが、現実への違和感によって拒絶され、やがて一点に収斂されていく。怖い。
 作者町田康は、恐らく熊太郎と似たようなことを感じているのだろう。そして、この物語を読んでいると、自分もどこかそうだと気付かされる。不気味だ。
 他の登場人物にも、同じ不気味さが混入されている気がする。誰にもある気がしてくる。


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 8

鳥類学者のファンタジア (集英社文庫)

著者 : 奥泉 光

出版社:集英社

発売日:2004-04

評価 :

完了日 : 2007年02月05日

 「ジャズ勝ち」という言葉を作りたくなる。
 「鳥類学者のファンタジア」はジャズ勝っている小説だ。ジャズなど某有名アニメのエンディングソング(をジャズと言うと、ジャズ好きの人から怒られそうだが)くらいしか聞いたことがない。良く分かっていない。しかし読めばジャズに触れた気になる。何故だ。
 主人公のノリがジャズだからか。
 自分で書いて意味が分からない。でもどうにもそう形容したくなってしまうから、困ったものだ。力ずくで、「これがジャズだ!」と納得させられるている。ジャズ勝っている。
 圧巻は最終章で、書きたくて書きたくて書きたくて書きたくてもう一つおまけに書きたくてしょうがなかったんだろう、最高だ。
 基本的に「第二次大戦末期のドイツ」に、「現代日本の女性ジャズピアニスト」という異質な組み合わせで、すでに面白かった。ただSF的な部分が、何というか、『ノッていない』気がする。


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