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RIESLINGさんの読書ノート

直木賞、芥川賞
直木賞、芥川賞受賞作及び候補作を入れていきます。
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 2

眼と太陽

著者 : 磯崎 憲一郎

出版社:河出書房新社

発売日:2008-08-02

評価 :

完了日 : 2008年12月18日

第139回芥川賞候補作。

この回は楊逸の「時が滲む朝」が受賞したので、候補作で終わる。北米で勤務する日本人男性の生活を淡々と描いた作品で、も芥川賞系統な匂いがある。彼はデトロイトのクラブである金髪女性と出会い、次第に仲が良くなって行くのだが、彼女は子持ち。

ラストは真冬の風景となり、彼が飛行機で帰国してしまうので、どこにでもある離別の物語で終わるのかと思ったが……。


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 9

GO (角川文庫)

著者 : 金城 一紀

出版社:角川書店

発売日:2007-06

評価 :

完了日 : 2008年11月27日

第123回直木賞受賞作。

分類としては青春恋愛小説という事になっている様だ。しかし、主人公が在日であるために差別が絡んできて重い内容になっている。民族学校での洗脳教育、分断された祖国を反映した同じ民族同士での反目、そういう世界から飛び出したくて普通の高校を受験すると裏切り者扱いされてしまう。

高校でも日々挑戦者が現れ、相手を叩き潰す毎日。ある日、数少ない友人となった組長の息子が主催するパーティーで、1人の少女に出会う。次第に惹かれて行くのだが、自分が在日であるという事が重荷となって行く。

さすが、いきなり受賞してしまうだけあって上手い。ただの恋愛小説で貰っている人もいるのだから、このテーマを絡めての受賞は妥当だと思う。


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 20

切羽へ

著者 : 井上 荒野

出版社:新潮社

発売日:2008-05

評価 :

完了日 : 2008年08月06日

第139回直木賞受賞作。

本当は★★★だけど、(桜庭一樹の時にも書いたが)福井晴敏の『亡国のイージス』も、真保裕一 『黄金の島』も、伊坂幸太郎の『死神の精度』も受賞していないのに、このレベルで受賞させるのは納得出来ないので、抗議の意味を込めて★ひとつ減点させて頂く。

井上荒野はノーマークだったが、念のために図書館の予約を入れておいて大正解。今見たら予約殺到でもう読めない。受賞日前日に押さえたので、順番待ちしなくて良かった私は勝ち組である。井上荒野って女だったんだ。受賞するまで知らなかった。

そう悪くも無かった。単に、読み手に恋愛小説適正が欠如しているので素直に楽しめないだけである。文章だけ上手くてツマラナイという訳でもないので、ある程度齢を重ねた妙齢女性辺りには受ける物語なんじゃないでしょうかね!? まあ、恋愛小説が面白いと思えない私にとっては、単にネタにするため読み流すレベル。不倫の物語かと思ったが、乱れて泥沼化しているのは主人公じゃなくて別の女性。主人公本人は夫ではない別の男に惹かれつつも淡々としたままなので、ちょっと予想外。

それにしても、今回は伊坂幸太郎が「ゴールデンスランバー」でのノミネートを、執筆に専念したいからという理由で辞退した事が大きい。選考委員はおかしいので、「ゴールデンスランバー」を落としておいて「切羽へ」を受賞させた可能性大である。きっと、「ゴールデンスランバー」が落ちていたら貶しまくっていたと思う。

同じ直木賞なのに、ジャンルで難易度が違いすぎるのは如何なものか。恋愛小説だとそこそこで獲れるのに、ミステリーは完璧じゃないと貰えないからなぁ。女性が恋愛小説で狙うのと、男性がミステリーで狙うのとでは、同じ直木賞でも東大理科Ⅱ類と東大理科Ⅲ類くらいには難易度が違う。不公平である。もう、直木賞恋愛Ⅱ類とか直木賞ミステリーⅢ類とかに分類すれば?(笑)。

悪くはないかもしれないけど、これで受賞出来るなら、森見登美彦、畠中恵、北村薫、白石一文、荻原浩、伊坂幸太郎、恩田陸、恒川光太郎、古川日出男、福井晴敏、馳星周、真保裕一、横山秀夫、諸田玲子あたりにも受賞させないと……。今回だけで見ても「千両花嫁」が落ちて、これが受賞というのも納得出来ない部分が残る。


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 27

鼓笛隊の襲来

著者 : 三崎亜記

出版社:光文社

発売日:2008-03-20

評価 :

完了日 : 2008年08月01日

第139回直木賞候補作。

長編かと思ったら、9編入った短編だった。表題作だけでなく、どれもこれも有り得ない設定のズレた話ばかりである。この作家は、実際には有り得ない妙な物語を書くのが好きだな。

表題作は、台風みたいな感じで鼓笛隊が上陸して各地に被害をもたらすというもの。他にも、「失われた町」みたいな感じで電車が忽然と消滅してしまった後に残された人々の話や、隣町に住んでいるカップルなのに、片方が上空の都市に住んでいるので数ヶ月に一回しか逢えない話など、全てが有り得ない物語となっている。

淡々として盛り上がりに欠ける作風なので、長編だと疲れるのだが、短編は妙な物語のエッセンスだけ楽しめば良いので読みやすい。有り得ない設定に関しては、難癖つけるのではなく、ファンタジーの一種だと思って読めば良いと思う。


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 33

乳と卵

著者 : 川上 未映子

出版社:文藝春秋

発売日:2008-02-22

評価 :

完了日 : 2008年07月08日

第138回芥川賞受賞作。

前回の「わたくし率 イン 歯ー、または世界」が相当やばかったので、今回も同じような作品だったら芥川賞に失望どころか絶望してしまいそうだと思いつつ……。

わたくし率ほど酷くはなかった。文体は同じような感じだが、内容面に関しては物語になっているので、芥川賞を受賞しても憤らず妥協出来る範囲に収まっていた。ただ、あからさまに賞を狙いに行っている感じなので萎える。

低所得層の母子家庭を題材とした話は他にもあるが、これは登場人物の心の叫び声みたいなものが、脳内妄想含めて直球攻撃で迫ってくる。しかも、関西弁で! これは、関西人以外には読みづらいのではないだろうか? 

胸が萎んでしまい、大きくする手術を受けようとする母、自分の中に子供を産む細胞がある事が厭で堪らない娘のギクシャクした家族模様が描かれているのだが、特に娘のほうの思考が痛々しい。乳が母で卵が娘か!? 最後の卵攻撃は……。

多くの人が指摘している文章の読みにくさ。ダラダラと一文が長く、改行も少なめで、所謂悪文。特に、娘視点の時が酷い。これは作者が下手なのではなく、明らかに狙っている訳だが、それでもこの文体はマイナス評価だな。こういう文章を小学生が書いたら、先生に貶されるだろうから。小学生が悪文を書いたら駄目で、芥川賞作家だと許されるというのはおかしいので、やはり減点である。


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 15

ワンちゃん

著者 : 楊 逸

出版社:文藝春秋

発売日:2008-01

評価 :

完了日 : 2008年07月08日

第138回芥川賞候補作。

同じ回の「カツラ美容室別室」は、論外に酷かったが、これは結構読ませる。ちょっと日本語として違和感がある部分はあれど、中国と日本の文化の違いが、なかなか新鮮に思えた。

題名にあるワンちゃんは、犬ではなくて王(ワン)ちゃんだった。駄目男で散々苦労して、逃げても逃げても追いかけられ、ついには日本まで逃げて来るのだが、育った息子もまた、母を財布としか思っていないような駄目男に成長していてやるせない。

女は何故か駄目男やDV男に惹かれるという不思議現象があるよね。選択肢が無くてそういうハズレを選んでいるのならともかく、いい人と言われる男がこれだけ余っている現状を見ると、自ら不幸の泥沼に飛び込んでいく自業自得女なんて、傍から見ていても可哀想だとは思えない。

最近の芥川賞系統には珍しく、オナニーや実験作じゃなかったので良かった。自慰行為ではなく、小説として読めるように仕上がっているし、古き良き時代の芥川賞っぽさがあってよい。頼むから、受賞した「乳と卵」は、これより格上であってくれっ!!


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 21

テロリストのパラソル (講談社文庫)

著者 : 藤原 伊織

出版社:講談社

発売日:1998-07

評価 :

完了日 : 2008年07月02日

第114回直木賞受賞作。

江戸川乱歩賞&直木賞のW受賞。藤原伊織の最高傑作だと思うのだが、妙なアンチも多々出没するのがこの作品の特徴。W受賞に踊らされたのが悔しいのか知らないが、これで五段階評価の★ひとつなら、大半の純文学やラノベは★ひとつすら付けられなくなると思うのだが。

ご都合主義的な部分はあれど、無制限に何でもありな訳でもなく、最後はいつも物悲しいのが藤原伊織作品の特徴。これもハッピーエンドでは終わってくれない。痛い描写もあるし、人生の侘しさ、やるせなさを感じる。

どこかで人生を間違えてしまった男のやるせなさにシンクロしてしまったおっさんが高評価しているんじゃないかと勝手に邪推してみたりして……。私も人生の曲がり角をどこかで間違えているので、このやるせなさに同調して最高点の★★★★★で(笑)。


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 2

空で歌う

著者 : 中山 智幸

出版社:講談社

発売日:2008-02-02

評価 :

完了日 : 2008年05月08日

第138回芥川賞候補作。

事故に遭った兄の代わりに、兄の元カノと打ち上げを見るために種子島宇宙センターまで旅行をする男の話。面白くなりそうで、ならないまま唐突に物語が終わってしまう。文章もギクシャクした感じで、一応は物語になっているのだけれども、この面白くない感じは、やはり芥川賞系統の作品らしい。不倫っぽい旅行で元カノに迫り、蹴り入れられるだけのショボイ物語であった。

「木曜日に産まれた」も、流産してしまった夫婦の男性側が悶々としているだけで、どこかの面白くも無い日常を描いただけ。実験作や自慰作品じゃない分、他よりはマシか……。


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 3

仄暗い水の底から (角川ホラー文庫)

著者 : 鈴木 光司

出版社:角川書店

発売日:1997-09

評価 :

完了日 : 2008年04月12日

第115回直木賞候補作。

映画を観る位なら、原作を読んだほうが良い。というより、映画は駄作なので観なくていいと思う。水に絡んだ怖い話の短編集だけど、最初と最後で一つに連なるような感じ。『仄暗い水の底から』として映画化されたのは、この中の短編の一つである。

映画は、映像の薄暗さで安易に雰囲気出そうとしているので、非常に見づらい。水死した(と思われる)子どもが出てくるとこは少しだけ気味が悪いけど、そんなに怖くない。結局、貯水タンクに沈む死体も出てこないし、母親がどうなったかもわからないまま、意味不明のエンディング。黒木瞳が出るという以外に褒める点が見当たらない。


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 2

おどるでく

著者 : 室井 光広

出版社:講談社

発売日:1994-07

評価 :

完了日 : 2008年03月27日

第111回芥川賞受賞作。

いい感じに芥川賞らしく、文章は上手いけど全然面白くないという仕様。妙に言語学的知識を詰め込んで、アカデミックな作風を目論んでいるが、物語として観れば、ちっとも楽しめないのは、まさしく芥川賞という感じである。

まあ、文章作法が守られていて、妙な実験による自慰行為が前面に出てないだけ、近年の作品と比べたら多少マシと言った感じか……。


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 25

生きてるだけで、愛

著者 : 本谷 有希子

出版社:新潮社

発売日:2006-07-28

評価 :

完了日 : 2008年03月23日

第135回芥川賞候補作。

江利子と絶対に収録されている三篇と比べたら、ややインパクトが薄い。またしても出てくるのは頭がおかしい主人公。本谷有希子作品って、登場人物がキ印ばかりなのだろうか!?

過眠、メンヘル、二十五歳。最後の二十五歳は別に良いと思うが、残り二つは……。何事に対してもやる気が無くて、惰眠を貪ってばかりの女主人公。素敵なまでに駄目人間である。やる気が無さすぎなので、インターネットで駄目人間の溜まり場に毒を吐く位しかする事がない。

前の彼氏の部屋で別の女のヒールにゲロを吐いて別の男の部屋に逃げてくる。そのままズルズルと居続けるのだが、別れた女がヨリを戻そうと画策してきて攻撃される。しかし、やる気無し人間なので喫茶店に呼び出されて文句言われまくるのをひたすら聞き流すのみ。無理やり連れて行かれたイタリア料理店で、強引に働かされる事になったのだが、直後にキ印人間に相応しい言動を取って逃亡してしまう。

メンヘル女が主人公という内容はともかく、この後、青山七恵、諏訪哲史、川上未映子に受賞させているのだから、作品及び作家レベルを考えれば、伊藤たかみとW受賞で本谷有希子にも芥川賞をあげて良かったのでは? どう考えても青山七恵より上手いぞ! 諏訪哲史より面白いぞ!


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 4

オブ・ザ・ベースボール

著者 : 円城 塔

出版社:文藝春秋

発売日:2008-02

評価 :

完了日 : 2008年03月12日

第137回芥川賞候補作。

実験作臭さは拭えず、やはり作者のオナニー的なモノを感じてしまうのだが、これは良いオナニーだ。独りよがりな自己満足ではなく、妙な内容ではあるが作品として仕上がっている気がする。

それにしても、この題名でちっとも野球関連の話ではないのは意外だった。空から人が降って来る町で、レスキューチームの一員として働く男の話だった。野球のユニフォームを着てバットを持ち、空から落ちて来る人を助ける。しかし、誰も助かっている感じがしないのだが……。

ゴタクだらけの奇想天外小説。文學界新人賞で推した島田雅彦が好きそうな内容である。面白いかどうかで見れば微妙だが、そもそも小説という範囲から逸脱しかけで、文章作法無視な実験作の「アサッテの人」(受賞作)よりは良かった。


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 21

カツラ美容室別室

著者 : 山崎 ナオコーラ

出版社:河出書房新社

発売日:2007-12-07

評価 :

完了日 : 2008年03月06日

第138回芥川賞候補作。

何でこんなのが『各紙絶賛、話題の最新作』なのか、理解し難い。早くも才能が枯渇したのか、それとも最初から才能など無かったのにデビューしてしまったのか。激しく面白くない凡庸な一冊だった。こんな中身スカスカの小説を書いていると、飽きられて終わってしまうぞ。

一応、昨今の実験作品群とは違い、日本語としての作法をわきまえて書かれてはいるのだが、単に小説になっているだけでは辛い。文章も他の作家と比べて稚拙な上に、どこにでも転がっていそうな石ころみたいな話を読まされても全然楽しくない。

オレもエリもペラペラで、何も訴えかけてこない。淡々として盛り上がりも無く、どうでもいいエピソードばかりで、たった153ページなのに小説内の期間だけが長い。せめて、カツラ美容室別室のカツラをかぶったカツラ店長が良い味を出してくれたら面白かったかもしれないのだが、このカツラ店長まで凡庸。

結局、面白かったのは題名だけだった。このレベルなら、わざわざお金出して読む必要は無い。素人が書いたネット小説で、いくらでも転がっている程度の水準だった。とにかく、こんな凡作が受賞しなくて良かった。


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 75

私の男

著者 : 桜庭 一樹

出版社:文藝春秋

発売日:2007-10-30

評価 :

完了日 : 2008年02月29日

第138回直木賞受賞作。

本当は★★★だけど、福井晴敏の『亡国のイージス』も、真保裕一 『黄金の島』も、伊坂幸太郎の『死神の精度』も受賞していないのに、このレベルで受賞させるのは納得出来ないので、抗議の意味を込めて★ひとつ減点させて頂く。

回ってくるのが遅すぎる! これを図書館で予約したのは出版直後。まだ直木賞候補として注目もされていなかった頃。確か、初版発行日って2007年10月30日じゃなかった? 予約が2番目だったのに、年が明けて2月も終わりそうですよ。誰だよ!? 最初に予約入れて借りっぱなしにした奴!! 新刊で直木賞受賞となれば、予約殺到するの判るだろ!? 期限内に返せない人間は、そういう話題になる本を予約するな! 誰だか知らないけど、貴方のせいで予約20人くらい増えてますからね。こんなに時間かかったら、最後のほうの人は来年まで回ってこないんじゃないのか!?

やたらとブーイングが多かったこの作品だが、直木賞を受賞してしまったという点を除外すれば、そう悪くもないと思う。やはり、最大の汚点は直木賞を受賞させてしまったという事に尽きると思う。近親相姦も殺人も、もはや小説や現実世界に溢れかえっているし、芥川賞でエロ小説が選ばれてしまう時代だからネタとしては問題無いだろう。

それにしても直木賞はラノベ越境型の女性作家に甘いですな。実は、この人だけでなく今までにも数多くの移籍組が受賞しているのですよ。

第121回直木賞『柔らかな頬』の桐野夏生はMOE文庫スイートハート。第124回直木賞『プラナリア』の山本文緒、第126回直木賞『肩ごしの恋人』の唯川恵、第132回直木賞『対岸の彼女』の角田光代は集英社コバルト文庫。第129回直木賞『星々の舟』の村山由佳はジャンプJノベル。そして今回の桜庭一樹はファミ通文庫。

別に越境してきても、直木賞に相応しい出来栄えで受賞してくれたら問題無い訳であるが、これって前回の『赤朽葉家の伝説』よりもレベルが落ちてるんじゃないか? どっちにしても、未だ受賞させて貰えないベテラン組より落ちるのは明白。

ミステリー畑の作家があれ程不遇なのに、三浦しをんの時といい、今回の桜庭一樹といい、女に採点甘いのは何故だろう……。きっと、選考委員はスケベばかりなんだろうな。

三浦しをんの時にも言ったけど、もう一度言うよ!

桜庭一樹が受賞するなら、森見登美彦、畠中恵、北村薫、白石一文、荻原浩、伊坂幸太郎、恩田陸、恒川光太郎、古川日出男、福井晴敏、馳星周、真保裕一、横山秀夫、諸田玲子あたりにも受賞させないと不味いだろ!?
 
 
本作における選考委員の動向
浅田 次郎 ◎
阿刀田 高 ○
五木 寛之 ○
井上 ひさし ○
北方 謙三 ○
林 真理子 ●
平岩 弓枝 □
宮城谷 昌光 ■
渡辺 淳一 ●
 
 
◎ 積極的な賛成、自発的に推薦、最も高い評価
○ 中立的な賛成、最終的に賛成、2番目に高い評価
□ 消極的な賛成、授賞に異議はなし、やや評価
△ 態度不明、賛成か反対か読み取れず
■ 中立的な反対、賛成・態度不明から最終的に反対、長所も認めるが結果的に反対
● 積極的な反対


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 1

幻のザビーネ

著者 : 古川 薫

出版社:文藝春秋

発売日:1989-05

評価 :

完了日 : 2008年02月27日

第101回直木賞候補作。

社内の派閥抗争が原因で同僚の変死という厄介事に巻き込まれてしまったエリート社員は、嵌められて逃亡する羽目に。逮捕されればどんな扱いになるのか判らないフランコ政権下のスペインからドイツへと逃げるのだが、そこにはかつてペンパルだったザビーネがいるはずだった。

殺人事件の容疑者にされてしまっているのに、大学時代のペンパルに会いにハンブルクをうろついているし、暢気な主人公である。ザビーネとはなかなか出会えず、過去の幻として消えそうになるのだが……。

ザビーネが置かれている状況が悲しい。それにしても盛り上がりに欠けたままで淡々と物語が進む。やはりこれでは直木賞には届かない。しかし、これが芥川賞だったとしたら、十分に合格圏内だろう。


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 44

吉原手引草

著者 : 松井 今朝子

出版社:幻冬舎

発売日:2007-03

評価 :

完了日 : 2008年02月03日

第137回直木賞受賞作。

この回は、まだ全部は読めていないのだが、この作品が受賞しているのは妥当だと思う。

吉原一番の花魁、葛城が客と共に失踪してしまうという事件が起こるのだが、物語の中心人物でありながら、葛城は一度も登場しない。事件の謎を解くために若い男が吉原に関わった人物に聞き込み調査を行うという形式で話が進んでいく。その全てが、誰某の弁といった感じで、葛城について聞かれた人物の独り語りとなっている。

ちょっと変わった形式で書かれているので、慣れてくるまでは読み難いのだが、事件の真相に迫るにつれ、どんどん物語に引き込まれて行く。読み終えた時、一体何が起こったのか、明らかとなるだろう。


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 7

敵影

著者 : 古処 誠二

出版社:新潮社

発売日:2007-07

評価 :

完了日 : 2008年02月02日

第138回直木賞候補作。

敗戦前後の沖縄。無条件降伏直前に、死にかけで転がっているところを発見され捕虜になった下士官が、命の恩人と、その恩人の命を奪った男を捜し求める。真面目な者、律儀な者から死んで行く不条理。ならば、生き永らえた者は悪人か!?

捕囚となってからは、無理難題を突きつけた上官を探し出して逆に制裁しようとする兵達。それをしたたかにコントロールしつつ、占領統治に利用しようとする米軍。本当の敵など、どこにも見当たらない。一体、何が敵なのか!? やがて、この物語の意外な事実が明らかにされる。

死んだと思っていた命の恩人が、実は生きていたというようなご都合主義など無い。運不運や善意悪意で命の長さすら変わってしまう不条理極まりないこの時代。本当にやるせない。戦争が終わった途端に上手く立ち回って略奪行為に手を染める元看護学生に、最も人類の汚さを感じた。

テーマは重いのだが、物語としてややアッサリしすぎなのが直木賞に届かない原因か!? どうでも良いけど、これを書いている時点ではamazon品切れ状態で、5,980円ものボッタクリ価格がついていた。儲けるためとはいえ、大昔の絶版小説でもないのにこの価格は嫌らしいよなぁ。


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 49

失われた町

著者 : 三崎 亜記

出版社:集英社

発売日:2006-11

評価 :

完了日 : 2008年01月09日

第136回直木賞候補作。

賛否両論、読み手により当たり外れの大きい本書であるが……。勘弁して下さい。面白くない。ハイパー面白くない! これはもう三浦しをんどころではない。30年に一度町が消滅するという、とても魅力的な世界設定なのに、その特異な現状に成す術も無く翻弄される人間模様が主体であるが故に、魅力半減。淡々としすぎで盛り上がらないし、特殊な設定なのに十分な情報が与えられないので、読んでいて苦痛すら感じる。

町の消滅という現象について、語られない部分があまりにも多すぎて上手く物語に入り込めない。不親切なまでに説明が不足しているので苛立ってくる。意図的にやっていると見る向きもある様だが、本作品では説明されない事によるメリットは見当たらない。平山瑞穂の「ラスマンチャス通信」のように、描写や説明を省略する事によって物語の不気味さが増す様な場合にはやる意味があると思うが。作者は自らの脳内妄想でこの特殊な状況を把握しているだろうが、読み手はちゃんと説明して貰わないと理解出来ません。

「ニルスの不思議な旅」に出てくる封印されてしまった町や、手塚治虫の「プライムローズ」みたいに町が未来世界へ移転させられてしまうような物語を期待していたのだが……。消滅してしまうという部分だけ見ても平山瑞穂の「忘れないと誓った僕がいた」に負けている気がするよ。


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 1

平成3年5月2日、後天性免疫不全症候群にて急逝された明寺伸彦博士、並びに、

著者 : 石黒 達昌

出版社:福武書店

発売日:1994-05

評価 :

完了日 : 2008年01月09日

第110回芥川賞候補作収録。

なんか、異様に題名が長い! しかし、これは冒頭の文章から取ったものであり、本当は無題らしい。題名が無いままだと、書籍にして売る時に不都合があるからね。三篇入っているのだが、「今年の夏は雨が多くて」は、小説というよりも手紙みたいになっている。

表題作は、絶滅したハネネズミに関するある疑惑について。嘘論文みたいな形式で、表や写真までついているので、何も知らないで読んだらハネネズミが実在したと騙されてしまう人がいるかもしれない。他作品でも出てくる動物なのだが、これは作者が考えた架空の生き物です。

真ん中にある「鬼ごっこ」が結構良かった。身内に末期癌が発見され、患者の身内としての立場と、医者としての立場から宙ぶらりんになり、どちらにもなり切れない男の苦悩を描く。その方面でもプロであるから、手術シーンも生々しいしリアルである。

ちなみに本書は縦書き作品と横書き作品が混じっているので、両方から読むというスタイルになっている。最近の書き手オナニー作品群と比べたら、この頃の芥川賞関連作品のほうが出来が良いかもしれない。


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 18

花まんま

著者 : 朱川 湊人

出版社:文藝春秋

発売日:2005-04-23

評価 :

完了日 : 2007年12月24日

第133回直木賞受賞作。

ノスタルジックな雰囲気の、もっと普通の物語かと思っていたので、あんまり食指が動かなかったのだが、これも朱川作品らしい不思議系の物語だった。「都市伝説セピア」は少しホラー要素が強く、暗い作品が多かったけど、これはもっと温かみのある不思議な話が多い。

体が弱かった在日の少年が、死後トカビ(朝鮮の鬼みたいな妖怪?)になって近所で不思議な事が起こったり、露店で買ったクラゲのような妖精生物の不思議な能力で絶頂体験にハマる少女とか、助からない人の最期を看取り、死の呪詛により苦痛から解放する送りん婆などなど、全てが不思議な物語。

表題作は、前世の記憶を持って産まれて来た妹の話。まだ幼いのに急に大人びてきて、習った事も無い漢字を使い、どこの誰だか知らない人間の姓名を綴り、それが過去の自分であると言うのだ。住んでいた場所が彦根で、家族の名前まで覚えており、自分がどこでどうやって死んだかまで覚えているのである。聞かされた兄は、妹が別の誰かではなく、自分の妹のままでいるよう必死になるのだが……。


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