たなぞう

WEB本の雑誌

RIESLINGさん > 読書ノート

RIESLINGさんの読書ノート

SF
SFって流通量が少ないから、品切れ絶版になると入手するのが大変ですな。近年の、過去作品復刊ブームが有難い。ガチガチのハード小説だけで埋めるのは辛いので、少し不思議系や微妙なのも混ざってます。
<前のページ 1  2  3  4  次のページ>

 

みんなの感想を読む
 2

エイリアン・テイスト (ハヤカワ文庫SF)

著者 : ウェン・スペンサー

出版社:早川書房

発売日:2008-10-08

評価 :

完了日 : 2008年12月20日

早川SF文庫から出ているけど、途中までは全くSFっぽくない。狼に育てられた少年が、私立探偵の相棒となり殺人鬼を追うのだが、そこからとんでもない事件へと巻き込まれて行く。

女子大生三名を殺した犯人を追いかけた狼少年はいきなり襲われ、やむを得ず反撃する。後で知るのだが、付近には暴走族のリーダーが何かを探っており、事件に深入りする過程で彼らに殺されそうになる。狼に育てられたと信じていた少年は、謎の暴走族集団と関わり、自らのとんでもない出自を知ってしまう。まさか、自分の存在自体が地球存亡に大きく関わっていたなんて!

後半からいきなり物語が大きく広がりSF風味に。シリーズ化しているのだが、火星にあるアレがなくなってしまったら、後は小さく纏ってしまいそうな気がする。


この感想へのコメント


みんなの感想を読む
 1

マザーズ・タワー (ハヤカワSFシリーズ―Jコレクション)

著者 : 吉田 親司

出版社:早川書房

発売日:2008-07

評価 :

完了日 : 2008年11月11日

インド亜大陸とスリランカに架かる巨大な橋を拠点とするマザーズ教団。難病の子供達を看取るという表の顔とは別に、裏では臓器売買を手掛けているという疑惑が浮上。しかし、これが敵ではなくてインドにいる野心ある政治家が悪玉になる。教団側は黒い一面を見せつつも、教祖飛巫女に惚れてしまった四人の男が命懸けで彼女を守るという、妙な方向へ。

国境無き医師団の潜入捜査官である天才医師、天才ハッカー、裏家業で富を築いた男、世界最強の傭兵、この四人が飛巫女らぶらぶ! で、彼女を救うために戦う。なんか、動機が微妙ですな。飛巫女の魅力もいまいち伝わって来ないし。

人類存亡の危機も迫る中、世界を救うためではなく、教祖様を救うために、世界初の軌道エレベーターを建造しようとする四人組。物語は突拍子も無い方向へと転がって行くが、「この時はまだほにゃららである事に気づいていなかった」形式のネタバレだらけで興醒めしてしまう。

四人のうちの誰かに視点を合わせてくれないので、誰を軸にして読み進めたら良いのか判らずに戸惑うし。まあ、最後の方で次々と……な訳で、これでは誰も主人公に据える事は出来ないけどね(汗)。

強引な力技でラストまで運びつつ、最後の最後で大風呂敷を広げて物語が終わる。なんだか蛇の足っぽいエピローグだなぁ。どうもラノベ臭さが抜けきらず、力量不足が目立つ作品だった。


この感想へのコメント


みんなの感想を読む
 6

ようこそ女たちの王国へ (ハヤカワ文庫SF)

著者 : ウェン スペンサー

出版社:早川書房

発売日:2007-10-24

評価 :

完了日 : 2008年08月08日

これはSFなのか? 限りなくファンタジーっぽいけど、SFとファンタジー両方の文庫を持っている早川書房がSF文庫のほうに分類しているので、SFに入れておく。

男性の出生率が異様に低い世界での物語。世界は女性が支配し、男はモノとして扱われている。男性が5%にも満たないので、その存在だけでお宝なのである。よって、男は他の家系の男と交換されるか、高額で売られて行くのである。

男女比が違いすぎるので、一夫多妻制となっているのだが、男が女をかき集める形式ではなく、家族ごと結婚させられるのである。つまり、家そのものと結婚し、その家に20人の女性がいれば、長女から末っ子までが妻となるのだ。

主人公は、美形で優しく有能という、いかにも腐女子が好みそうなご都合主義仕様。隣の農場に住む醜女家族と交換されそうで脅えていたが、ある日、悪党に殺されそうになっていた女性を助けたら王女様だったから……。

王女10人まとめて妻か! しかも美女美少女だらけ。ハーレム状態で究極の逆玉。いや、この世界だと普通に玉の輿か!? 鼻血が止まらなくなりそうに恵まれた仕様なのに、あんまり羨ましく感じられないのは、やはり書き手が女性だからでしょうかね。でも、この設定で男視線で書かれても、ただの駄作でしかないだろうなぁ。

ハーレム世界なのだけど、男よりも女が読んだ方が素直に楽しめるかもしれない。


この感想へのコメント


みんなの感想を読む
 3

ティンカー (ハヤカワ文庫SF)

著者 : ウェン スペンサー

出版社:早川書房

発売日:2006-07

評価 :

完了日 : 2008年08月08日

中国が開発した異次元間転移装置ハイパーフェーズが不完全だったため、異次元への回廊が開いてしまったという、SFとファンタジーが融合した設定。異次元間転移装置の影響で、ピッツバーグだけがエルフホームに飛ばされてしまったのだが、完全に異世界に行ってしまったのではなく、月に一度は地球に戻るので、行き来が出来てしまうのだ。

ピッツバーグに住んでいる天才少女ティンカーが主人公。ある日、狛犬に襲われていたエルフを助けた事から、とんでもない事件に巻き込まれて行く。実は、地球、エルフホーム以外にもうひとつ、オニヒダという世界があって、かつては三世界が繋がっていたのだ。
普通、科学と魔法が出てくる物語は、双方が対立する概念になっているのだが、この話では魔法も科学の中に組み込まれている。エルフは妖精でなく宇宙人扱いだし、寿命が長いのは、やはりテロメアを伸ばしていたからですか……。

一応、SF文庫から出てはいるけれども、ファンタジーとも融合している分、中途半端な感じである。程度の高いラノベ的な扱いをされてしまっているなぁ。


この感想へのコメント


みんなの感想を読む
 1

鈴木式電磁気的国土拡張機 (キュンコミックス)

著者 : 粟岳 高弘

出版社:コスミック出版

発売日:2006-08-19

評価 :

完了日 : 2008年08月08日

題名からして変だけど、中身も昭和の匂いがする世界観でSF仕様、しかも妙な姿のエイリアンが多数登場する。鈴木式電磁気的国土拡張機によって広げられた閉鎖空間の中にエイリアンが住んでいたり、境界面で地球と異星が接続されていたりと、よく判らない摩訶不思議世界だらけで面白い。

文化の違いからか、衣装をまとうのは戦闘行為だと看做されて脱がされたり、制服を取られたりするので、やたらと裸族になっている美少女が出て来るけど、別にアダルトではない。

これとは別に「プロキシマ1.3」というのも出ているらしいけど、すでに品切れ状態で入手出来ない……。


この感想へのコメント


みんなの感想を読む
 4

愛はさだめ、さだめは死 (ハヤカワ文庫SF)

著者 : ジェイムズ,Jr. ティプトリー,ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア

出版社:早川書房

発売日:1987-08

評価 :

完了日 : 2008年07月29日

「たったひとつの冴えたやりかた」ほど面白く感じられないのは、短編だからだろうか。どれも出来は良いと思うのだが、やはりSFを背景世界等の予備知識が不足したままで、限られた字数で追うのは辛い。短いから、語られない部分があまりにも多すぎる。それにしても、こんな硬質な作品の書き手が女性とは驚きである。当時、SF者が男性作家だと思い込んでいたのも仕方が無い気がする。

とにかく、普通じゃない内容のものが多く、背景設定も難解なのが多いので読み難い。おまけに、短編なので与えられる情報も限られているから、さらに読み難い。異星生物が主人公だったりするので、ますます読み難い。かなり読み込んだ上級SF者じゃないと厳しい気がする。もっと楽なSFで修行してから出直して来いという事か(笑)。ティプトリーを読むなら、無難に「たったひとつの冴えたやりかた」から始めたほうが良いかもしれない。

サイバーパンクの先駆みたいに言われている短編は、遠隔操作出来る人型で新しい人生と恋を手に入れるブスが出てくるのだが、サブカルチャー的表現で言うところの「中の人」になるのである。しかし、未来世界のシンデレラはハッピーエンドで終わってくれない。これに限らず、バッドエンドが多い短編集だった。


この感想へのコメント


みんなの感想を読む
 4

擬態―カムフラージュ (海外SFノヴェルズ)

著者 : ジョー ホールドマン

出版社:早川書房

発売日:2007-05

評価 :

完了日 : 2008年07月21日

他の場所から飛来し、長く活動を続けるうちに、すっかり記憶を無くしてしまった存在は、サメの擬態を止めて陸へと上がる。そして、人間になる事を学び始める。21世紀になって、深海に埋まっていた謎の物体が引き上げられ、調査が始まるのだが、どんな方法を用いても傷ひとつつけられないので、中に何があるのか判らない状況になっている。

擬態を続ける人間ではない何かとは別に、カメレオンと呼ばれる生物が出てくるのだが、そいつも人類社会に入って生活していた。20世紀になって擬態生物が陸へ上がるパートと、21世紀に入って正体不明の構造物が調査されるパートの二つが交互に展開され、さらにカメレオンのパートが加わって行く。

擬態している生物が女の子に変形して科学者に恋してしまったりと、何だか萌え小説みたいな展開もありつつ、カメレオンとの決戦。しかし、このラスト部分が全く盛り上がらない。結局、カメレオンの正体は謎のままだし。


この感想へのコメント


みんなの感想を読む
 1

終りなき戦い (ハヤカワ文庫 SF (634))

著者 : ジョー・ホールドマン,風見 潤

出版社:早川書房

発売日:1985-10

評価 :

完了日 : 2008年07月21日

正体不明のトーランによる攻撃を受けた人類が、果てしなき星間戦争に巻き込まれてしまうというシチュエーションで、ハインラインの「宇宙の戦士」と比較されやすいが、思想的なものは入っておらず、無理やり戦争に放り込まれてしまった男のやるせない状況が続く。

主人公マンデラはコラプサー・ジャンプに付随するウラシマ効果により、老いる事もなく、実時間にして延々1200年近く戦う事になってしまう。もちろん、本人にとってはほんの数年間に過ぎない。奇跡的に軍事作戦から生還する度に世界は変貌し、時には人口抑制政策のため自分以外の全員が同性愛者に矯正されてしまった世界へ放り込まれたりもする。

徴兵された直後は二等兵だったマンデラも、戦争を継続するうちに軍曹、少尉、少佐と、無理やりな感じで格上げされてしまい、退役する事も叶わず、いつのまにか初期から戦う最古参の1人に! 

少佐になってしまった時点で、同じく最古参兵である恋人メアリゲイとは別部隊に配属されてしまい、絶望する。攻略先が違えば、例え作戦が成功して双方が生還したとしても、ウラシマ効果により生きて逢える可能性はほとんど無くなってしまうのである。たった数分違いでコラプサー・ジャンプを行った場合でも、そのズレは地球に帰還すると数十年も隔たってしまうのだ。生きて戻れたとしても、先に戻った方の寿命が尽きてしまうに違いない。

20世紀後半から始まって、終わりは3143年。厳密には西暦ですらなくなっているらしい。いくらなんでも、超光速航法の発明が早すぎる気がするけれども、そんなご都合主義は殺戮の渦中へ放り込まれるうちに、さほど気にならなくなる。ベトナム戦争から生還した作者によって書かれているだけに、戦争の愚かさ、無理やり戦わされるやるせなさが良く演出されていると思う。

で、結局のところ、やはり人類のほうが悪だった訳ですね(笑)。


この感想へのコメント


みんなの感想を読む
 3

天体の回転について (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)

著者 : 小林 泰三

出版社:早川書房

発売日:2008-03

評価 :

完了日 : 2008年06月21日

『海を見る人』ほど奇想天外な異世界っぽいSFではなくて、普通になっている。表題作であり、表紙にもなっている「天体の回転について」は、遥か未来、すでに科学文明が終わってしまい、軌道エレベーターが遺跡化している時代の物語である。科学技術を失い、後退してしまった世界の少年が軌道エレベーターに乗ってしまい、ホログラムとして現れるエレベーターガールに惹かれつつ、そのまま宇宙旅行をする事になってしまう。この話は「宇宙旅行はエレベーターで」を読んでいると、非常に判りやすい。

「銀の船」は人面石の話が出てくるので、すっかり火星探査隊の近未来物だとばかり思っていたら、その結末にしてやられた! 小林泰三らしい作品もあるけれども、『海を見る人』と比べたら無難なものが多いかな?


この感想へのコメント


みんなの感想を読む
 1

イリーガル・エイリアン (ハヤカワ文庫SF)

著者 : ロバート・J. ソウヤー

出版社:早川書房

発売日:2002-10

評価 :

完了日 : 2008年06月20日

飛来した人類外の何者かによる宇宙船。中から出てきたのは、人類とはあまりにも異なる姿をした、αケンタウリ星系のトソク族だった。

このSFは普通じゃない! ファースト・コンタクトを描いた物語に留まらず、殺人事件が発生して、宇宙人が容疑者として逮捕されてしまうのである。荒筋を聞いただけだと、単に殺人犯を普通の人間から宇宙人に置き換えただけのゲテモノみたいに思えるが、さすがソウヤー、ただでは終わらない。

宇宙人が容疑者という前代未聞の裁判だけでも面白いのだが、物語の終盤になって、恐るべき真実が明かされる。単に容疑者を宇宙人にしただけの法廷小説じゃない。この凄さは実際に読んでみないと判らないだろう。


この感想へのコメント


みんなの感想を読む
 1

宇宙旅行はエレベーターで

著者 : ブラッドリー C エドワーズ,フィリップ レーガン

出版社:ランダムハウス講談社

発売日:2008-04-23

評価 :

完了日 : 2008年06月15日

SFじゃなくて現実としての話であるが、SFに入れておいたほうが参考にしやすいので。
 
 
えっ!? エレベーターなんかで宇宙まで行けるの? と思ってしまうが、本書を読めば、それが決して夢物語ではないという事がよく判る。かつては軌道エレベーターと呼ばれていたもので、今では宇宙エレベーターと呼ばれるのが普通になって来た。

SFに出てくるエレベーターがバベルの塔構造になっている場合が多いので、どうしてもそのイメージで捉えてしまうのだが、実際に計画されているのは蜘蛛の糸構造のものである。エイリアンテクノロジーでも使わない限り、現段階では人類がバベルの塔方式の宇宙エレベーターを建造する事は出来ない。

蜘蛛の糸でも無理なのではと思うかもしれないが、バベルの塔のように巨大な重量を地上で支えるのではなく、宇宙から梯子を垂らす状態になるので、十分実現が可能なのである。

現在、垂らすための糸として使用可能なカーボンナノチューブという新素材が発明された事により、夢物語から一気に現実の物となりつつある。但し、どこにでも建造可能という訳ではなく、地球上における気象条件等を加味した結果、その予定地はある程度決まっている。

それにしても、物凄い予算が必要なのでは? と思っていたら、著者は2兆円程度と試算している。たったの2兆円!? それなら、ビル・ゲイツ級の金持ちなら1人で出資出来る金額ではないか! 2京円くらいはかかるのかと思っていたのに……。どこかの馬鹿な島国がドブに捨てたお金で何百本も宇宙エレベーターが造れるじゃないか……。

新素材の登場により、技術的にはほぼ可能な状態が整った。(実際には、理論値まで新素材の強度を高める必要があるが、これは数年でクリア可能だと考えられている。)予算も、国家どころか人によっては個人で賄える金額。後は、政治的な調整と駆け引きだけである。宇宙エレベーターを所有した勢力が、21世紀の勝者となるので、利害調整は絶対に必要となる。国家ではなく勢力としたのは、巨大企業や投資家でもその利権を獲得出来る可能性があるからである。

宇宙エレベーターが出来れば、世界はどう変わるのかという点についても言及している。現在、宇宙へ行くためにかかるコストの98%は打ち上げにかかっている。これがなくなるので、98%オフの値段で宇宙へ行けるようになる。材料も燃料もエレベーターで運んでから使う事が出来るので、宇宙ステーションやコロニー、太陽光発電施設を簡単に建造出来るようになるし、月や火星まで探査船や移民船を飛ばせるようになる。これにより、人類の版図は木星まで広がると予想される。(宇宙エレベーターまでのテクノロジーだと、土星より遠くは手が届かない訳だが、それでも地面にへばりついているだけの現段階からすれば、格段の進歩である。)

月へ到達してから四十年近く経ても火星にすら行けないのだから、もうすっかり諦めていたのだが、自分が生きているうちに人類が火星よりも遠くに行ける可能性が出て来たのは驚きである。

どこかの島国がドブに捨てたお金でエレベーターを造っていれば、今頃は借金帳消し、エネルギー問題解決、月や火星の資源取り放題だったのにな(笑)。まあ、アダルトゲーム規制でピーピー啼くような小物政治家しかいない国では不可能ですが。

実際に造る順番は本書予測の通り、アメリカ、アメリカ、EU、ロシア、中国、インドで、日本はその後になるのだろうな。アメリカが二回なのは、間違いではなくて、最初の二本はアメリカだろうという予測である。

アメリカが最も覇者に近い。EUも恵まれている。ロシアは立地的に不利で、中国とインドは技術力と立地に難あり。日本は、立地、技術力、政治力、全てが問題となるだろう、ご愁傷様。


この感想へのコメント


みんなの感想を読む
 2

ミッドナイト (文春文庫)

著者 : ディーン・R. クーンツ

出版社:文藝春秋

発売日:1991-01

評価 :

完了日 : 2008年05月27日

SFとホラーが融合した感じの作品で、海辺の町が舞台になるのだけど、そこは化け物に支配されていて……。某暗黒神話、インスマウス人が住んでいる町の話みたいになっていて面白い。SFホラーという位置付けだけど、エンタ方向に走っているので、怖い話を期待してはいけない。


この感想へのコメント


みんなの感想を読む
 2

残虐行為記録保管所 (海外SFノヴェルズ) (海外SFノヴェルズ)

著者 : チャールズ・ストロス

出版社:早川書房

発売日:2007-12-14

評価 :

完了日 : 2008年03月16日

名前がこんなのだからリクエストし難いと躊躇していたら、誰かが入れてくれていた。若しくは、図書館チョイスで入れたのか!?

SFとホラーを合体させたような話で、決して表には出てこない特殊な組織のエージェントが主人公となるのだが、彼らが戦うのはテロリストやスパイといった相手ではなくて、別の場所から進入してくる邪悪な存在なのである。

事件に巻き込まれた女性を助けようとして、敵がやってきた異世界まで侵入するのだが、そこにいたのは……。最初、異世界まで逃げていたナチのオカルト部隊が敵かと思ったのだが、彼らはすでに邪悪な何かに洗脳されていた。

それにしても、敵が大きすぎて、かえって話が盛り上がらない。別世界宇宙のエネルギーを全て消費し尽くした何かが、死にかけた宇宙から次元を超えてこちら側の宇宙に入ろうとするのだが、この敵は何者!? ハストゥールか、ヨグ・ソトースか、それとも最悪のアレか!?


この感想へのコメント


みんなの感想を読む
 3

ヤミナベ・ポリスのミイラ男 (光文社文庫)

著者 : 梶尾 真治

出版社:光文社

発売日:2006-02-09

評価 :

完了日 : 2008年02月03日

ちょっと気になっていたのだが、ここまでおバカな作品だとは……。作品紹介ではスペースオペラという区分になってはいるけれども、限りなくラノベっぽい。これをそのままSFに分類してしまって良いものか、迷ってしまう。

ズヴゥフル総合大学で学ぼうとしたものの、不合格となりヤミナベ・ポリスでフリーター状態の浪人生カズヒコ。ある日、テロに巻き込まれてしまうのだが、気がつけば、テロで死亡した各種超人達の残骸をつぎはぎしたミイラ男に改造されてしまっていた。とっても馬鹿っぽいヒーローの誕生である。かくして、本人の意思など関係なく、強引に悪の組織パンドラと戦わされる事に。

無理やりヒーローにされてしまったカズヒコも馬鹿っぽいが、敵方の構成員も馬鹿っぽいのばかり。作者のお遊び満載なので、好き嫌いが分かれるだろう。最後には、世界の危機が迫り、上方世界から“神”が降臨して終末を迎えてしまう。ある意味、究極の反則技である。


この感想へのコメント


みんなの感想を読む
 1

SFベスト201

著者 :

出版社:新書館

発売日:2005-05

評価 :

完了日 : 2008年01月08日

このジャンルは読者が限定されるのか、情報が乏しくて困る。旬を逃すと、どこにも見当たらなくなる作品も多々あり。きっと、かなりの力作、良作に出会えないまま、知る事も無いまま終わっているのだろうと思っていたら、こんな本があった! やはり、知らない作品が結構ある。とても参考になります。

しかし、せっかく紹介されて読みたくなっても、入手難易度の高いものばかりなのが難点。この本の責任ではないけれども、サンリオSF文庫や、何十年も前のハヤカワや創元社発行書籍が意外に多く紹介されている。流通していないし、図書館にも無いので読めません……。

金にモノを言わせれば、どれでも読めるのだろうけど、さすがに、プレミアム価格ついたサンリオSF文庫を買う気にはなれないし。Amazonの個人売買でも、ちょっと前に品切れしてしまった商品が、数万円も値上がりしていたりするけど、ボッタクリバーより性質が悪いと思う。仕方がないから地道にブックオフ回りますよ。出版業界も、新古書店に責任転嫁する前に、欲しい本が新品では買えない現状をどうにかするべきだと思う。


この感想へのコメント


みんなの感想を読む
 1

銀河北極 (ハヤカワ文庫 SF レ 4-4 レヴェレーション・スペース 2) (ハヤカワ文庫SF)

著者 : アレステア・レナルズ

出版社:早川書房

発売日:2007-12-14

評価 :

完了日 : 2008年01月03日

アレステア・レナルズの壮大な宇宙史を背景に綴られた、レヴェレーション・スペースというシリーズの中短編集。先に出た「火星の長城」と同じもので、日本では二分冊されている。無理に一冊で出版されなくて良かった。

人類が宇宙に出てからそれ程経過していない初期から、遥か未来の数万年後まで話が続く。長編の「啓示空間」や「カズムシティ」に絡んで来る部分もあるので、前半部分の「火星の長城」はもちろん、長編も先に読んでおくのが正解。

「時間膨張睡眠」は、融合疫直後の近光速船内部を描いた話で、本編と少し設定が違うのは、まだ背景世界設定が完成していない頃に書かれた作品のため。「ターコイズの日々」は、海洋SFになっていて、舞台設定が数少ない癒し系か!? この作家の小説は、廃棄宇宙船内部とか、異星文明の遺跡ダンジョンとか、衛星の深海底とか、あまり楽しくなさそうな場所が多いからね。

「グラーフェンワルダーの奇獣園」は、気味悪い異星生物ばかり集めている奇特な金持ちの話で、最後のオチも気味悪い。次の「ナイチンゲール」も、ある星系の戦乱時に使用されていた病院船内部で生き残っているらしい戦争犯罪人を捕らえようとして、一行が酷い姿に変えられてしまう気持ち悪い話である。怖くは無いけどSFホラーっぽい感じがする。

この作者の世界には、人類の遺伝子を改変したらしい気味悪い生き物がいろいろ出てくる。豚人間(ファンタジーならオークか?)みたいなハイパー豚とか、エウロパの海底で使役させるために作られた半漁人みたいなデニズンとか……。「ナイチンゲール」の登場人物なんて、最後には戦争反対の広告塔として人間団子状態ですからね。
 
 
 
表題作となっている「銀河北極」は壮大すぎて、逆に脱力感がいっぱいである。近光速船が衝突事故で故障してしまい、修復するために資源を取りに行けば、ハイパー豚海賊のトラップに嵌められ、冷凍されている客を奪われてしまうのである。2303年から始まるのだが、客を奪われたイラベルと裏切り者マルカリアンの追いかけっこは40000年後の未来まで!

もはや、長編シリーズで人類に立ち塞がる星間文明の破壊者たるインヒビターとの戦いすら過去の時代になっている。未来世界では、インヒビターに代わり、テラ・フォーミング機械による銀河規模の大災厄に見舞われている。

船に積んであったテラ・フォーミング機械がハイパー豚海賊側から流出し、しかもどういう誤作動をしたのか、周囲の星々を飲み込んで自然界には存在しない、緑色に輝く恒星に変えているのだ。

銀河系は、人類どころか周囲にいたであろう種族まで巻き込んで滅亡しそうになっているのである。狂ったテラ・フォーミング機械は、周囲の星系に広がり、惑星を分解し、恒星を緑色の膜で覆っていく。40000年後の未来には、すでに銀河系の一部の腕(恐らくオリオン腕でしょうね)は緑色に変色した状態に! 数少ない人類の生き残りが脱出して来て追いかけっこ状態の二船に助けを求めるのだが……。

数多くの星間文明を滅ぼしてきたインヒビターよりも、人類が開発したテラ・フォーミング機械の方が危険だというのは一体!?


この感想へのコメント


みんなの感想を読む
 2

火星の長城 (ハヤカワ文庫 SF レ 4-3 レヴェレーション・スペース 1) (ハヤカワ文庫SF)

著者 : アレステア・レナルズ

出版社:早川書房

発売日:2007-08-25

評価 :

完了日 : 2008年01月03日

アレステア・レナルズだから、また異様に分厚いんだろうなと思ったら、そうでもなかった。とは言っても500ページを超えているので分量はかなりある。しかし、今までの長編が1000ページを超える嫌がらせみたいな分厚さなので、その半分しかないというだけで、薄く感じてしまうのだ。ちなみにこれは中短編を纏めて二分冊で出版されるものの第一弾らしく、本編となる壮大な宇宙史の第三弾はきっと1000ページを超えているに違いない。

短編集なので、そう気張らずに読める。一応は短編だけど、連作になっているものもあるし、長編に関わる部分も出てくる。次第に生息域を広げていく人類史になっているが、宇宙へ進出する過程で、人類には三種類の亜種が派生する。過酷な宇宙空間に適応するために、機械化を進めたウルトラ属。脳に大量の機械を埋め込んで拡張し、精神をネットワーク化した連接脳派。その中間にいるのが無政府民主主義者である。

「火星の長城」では、火星に築かれた長城内部で、地球型環境の居留地に囲い込まれた状況にいる連接脳派が宇宙に脱出して太陽系からも離脱して行く。「氷河」は、太陽系から離れた連接脳派が辿り着いた、寒冷期にある惑星での話。「エウロパのスパイ」は、木星圏におけるニ勢力の諜報戦で、エウロパの海に特化した半漁人みたいな改造種族が出てくる。「ウェザー」は、海賊に追いかけられる近光速船の話で、連接脳派の独占技術となっている近光速船の動力の秘密が明らかにされる。「ダイヤモンドの犬」は、異星文明が遺した遺跡にある部屋で、問題を解いて奥に進み、間違えると致命的な罰が与えられるという、キューブという映画みたいな話。奥に進む過程で、主人公は罰により体を失って行く。修復を続け、さらに奥へ進むために、ダイヤモンド犬のような姿へと変貌してしまう。


この感想へのコメント


みんなの感想を読む
 3

カズムシティ (ハヤカワ文庫SF)

著者 : アレステア レナルズ

出版社:早川書房

発売日:2006-07

評価 :

完了日 : 2008年01月03日

またしても長い! これは本当に嫌がらせでしょうか!? アレステア・レナルズが分冊禁止とでも注文つけたのか? 何でこんな分厚いままなのか疑問である。全部で1135ページ。前作よりも長くなってしまった。背表紙に負担がかかりすぎて本が痛むっちゅうに!! 読んでいる間も重くて手が疲れるし。

圧倒されて読む気力すら無くなりそうな、まるで辞書のような分厚さではあるが、テンポは良いのでそれほど苦労はしない。これで文章が難解なら悪夢だろう。「啓示空間」は異なる恒星系と近光速船という、空間を隔てたパートで別々の話が収束していく形だったが、この作品では時間によって各パートが隔てられている。

愛する者を奪われた戦士が復讐のために敵を追い、戦乱に明け暮れる辺境惑星スカイエッジから繁栄を極めたイエローストーンへ。別パートでは人類初の大規模移民計画で他の恒星系へと向かう五隻の宇宙船内部の出来事が語られる。今回は空間ではなくて時間によって隔てられているので、最後に繋がるとは思えなかったのだが意外な接点で纏ってしまった。

次から次へと事件が起こり、一見すると本筋には全然関係無い脇道にしか思えないのだが、全てがラストへ向けて張り巡らされた小道具であり、過去と現在も最後で繋がる。隠し味的に、「啓示空間」の登場人物もさりげなく登場する。

それにしても長かった。しかしこの長さが英国標準? 当初は半分の長さだったのを、短くて売りにくいから長くしてくれと言われて、こんな長編になってしまったらしい。日本人にとっては、半分でも十分に長いですよ(笑)。続編も翻訳進行中っぽいので、出たらきっと読むだろうけど、また異様な分厚さなんだろうなぁ……。


この感想へのコメント


みんなの感想を読む
 2

啓示空間 (ハヤカワ文庫SF)

著者 : アレステア レナルズ

出版社:早川書房

発売日:2005-10

評価 :

完了日 : 2008年01月03日

無茶苦茶長い! 嫌がらせかと思うような分厚さである。文庫なのに、全部で1039ページ。値段も税込み1,470円と高額。どうして上下二冊に分けなかったのか謎である。読む時も重くて腕が疲れるし、こんなに太かったら背表紙が痛むだろうに……。

99万年前に滅亡した異星人アマランティン族の遺跡を発掘調査する考古学者、その考古学者を狙う暗殺者、融合疫に汚染された船長を救うために考古学者を探す近光速船。このバラバラの物語が出揃い、一箇所に纏るのは500ページを超えてから。並の小説ならもう終わっている頃にようやく中盤戦なのである。

全てのカードが出揃った後は、近光速船で中性子星であるハデス星系に存在する謎の惑星ケルベロスへ。近光速船内部の描写がまた気持ち悪くて、映画「エイリアン」みたいな雰囲気。終盤(とは言っても終盤だけで200ページくらいあるのだが)にむけて明らかにされる銀河の歴史。銀河系に生命体が存在していない理由が明らかにされて行く。

かつては生命が満ち溢れていたのだ! それが、周辺にある二つの銀河(恐らくは大マゼランと小マゼランだと思われる)まで巻き込んだ黎明期戦争と呼ばれる大戦争により数百万もの知的種族が巻き込まれて荒廃してしまったらしい。そして、戦後現れたインヒビターと呼ばれる存在によって、二度と銀河大戦を起こさないために、新たに勃興した星間文明はことごとく滅ぼされていたのだ。考古学者が調査するアマランティン族もその餌食となっていた。知らぬうちに人類存亡のキーパーソンとなってしまった考古学者だが、気づいた時にはすでに……。


この感想へのコメント


みんなの感想を読む
 2

銀の弦

著者 : 平谷 美樹

出版社:中央公論新社

発売日:2006-04

評価 :

完了日 : 2008年01月02日

一週間の長期休暇を得て、渓流釣りに出かける主人公。だが、山中で意識を失い、気づくと一緒に来た仲間が岩と融合して死んでいる。直後、自分達のドッペルゲンガーと遭遇。正確には、自分がパラレルワールドに迷い込んだので、向こうが本物であり、自分自身こそが彼のドッペルゲンガーなのだが。自分がいた世界とほぼ同じでありながら微妙に異なる平行世界で行き場を失った彼は、この世界の自分自身に助けを求めるが攻撃され、反撃しているうちに自らを殺害してしまう。

これ、途中までは非常に良いのだが、後半になると無数に存在する弦世界が崩壊し始め、重なり融合しながら場面が転換しまくるので訳わからなくなってくる。この作者は、話を大きく広げすぎるのが特徴で、難しくなりすぎでついて行けなくなってくる。次々に変化し続ける世界に放り込まれて行く主人公。正確には、主人公自身が湾曲しつつ、本来は交差する事の無い平行世界を通過しまくる状態なのだが。もう最後のほう、本当に訳がわからないです。脳みそシェイクされまくり。


この感想へのコメント

<前のページ 1  2  3  4  次のページ>

Copyright c 2006 WEB本の雑誌 All rights reserved.