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ya_kenさんの読書ノート

2008年 読了
2008年に読んだ本をすべて掲載します。
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 13

ダンス・ダンス・ダンス〈下〉 (講談社文庫)

著者 : 村上 春樹

出版社:講談社

発売日:2004-10

評価 :

完了日 : 2008年05月08日

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 6

神を見た犬 (光文社古典新訳文庫)

著者 : ブッツァーティ

出版社:光文社

発売日:2007-04-12

評価 :

完了日 : 2008年04月16日

 この作家のことは今まで知らなかったのだが、古典新訳文庫コーナーを見ていてタイトル買いしてみた(余談だけど、この古典新訳文庫は本当に良い企画だと思う。このコーナーを制覇したくなるくらいだ)。ブッツァーティという名前は日本人には覚えにくいこと極まりない。

 この本には22の短編が収録されていて、寓話的、童話的な作品がほとんどだ。神を擬人化したり、ポップな雰囲気の中で神を描いてみたりと、全体的に読みやすが実は奥深い作品が多いように思う。タイトルになっている『神を見た犬』などは私の中では大ヒット。神という抽象的な存在とその抽象的存在に踊らされる人間を”犬”を通すことでSF的手法を使うことなく、かつリアルに描いている。とんでもなく良い作品だと思う。
 ここで俺が感じた感動はドストエフスキーのカラマーゾフの兄弟の1篇である『大審問官』を読んだ時の感動に近い。少し皮肉った、婉曲的な表現を用いて神を描いているのだ。それによってはるかに分かりやすく神を描いている。

 これこそ文学や小説といったものの一つの存在意義だと思うのだ。つまり、分かりにくい世界や構造、宗教感や社会的問題といったものを直感的に、または適切なメタファー(暗喩)を用いて表現することにこそ、文学的な価値があるのだ。もちろん面白いことは読む上での最高の動機付けになるから当然必要だけど、その裏にどれだけの深さをもっているかが重要なのだ。

 そういう意味で、このブッツァーティ(すでに作家名を忘れかけていた…)の作品は良い作品を書く。ぜひとも他の作品にも手を出してみたい。


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 8

小説の読み書き (岩波新書)

著者 : 佐藤 正午

出版社:岩波書店

発売日:2006-06

評価 :

完了日 : 2008年04月15日

割と古典的な作品のその細部を一つ取り上げて追及する。全体のストーリーだとか、メッセージだとかは置き去りにして、文体や言葉の選び方にすべての重きを置く紹介のしかたは個人的に潔くて面白かった。

普通の人はこういう風には読まないからこそ、商業作家がどういう読み方をしているのか? というものに興味を持つのだろうな。


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 7

土の中の子供

著者 : 中村 文則

出版社:新潮社

発売日:2005-07-26

評価 :

完了日 : 2008年04月10日

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 7

しょっぱいドライブ

著者 : 大道 珠貴

出版社:文藝春秋

発売日:2003-02-25

評価 :

完了日 : 2008年04月10日

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 3

死の家の記録 (新潮文庫)

著者 : ドストエフスキー,工藤 精一郎

出版社:新潮社

発売日:1973-07

評価 :

完了日 : 2008年04月10日

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 1

本を読む女 (新潮文庫)

著者 : 林 真理子

出版社:新潮社

発売日:1993-03

評価 :

完了日 : 2008年04月03日

林真理子という作家がどういうものか全然わかっていなかった。読んだことがなかったが、もっと俗っぽい作品を描くのかと思っていた。

ところが、凄く味のある良い作品で、ある意味ちょっと驚いてしまった。ほかの作品も読んでみたい。


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 2

黒い雨 (新潮文庫)

著者 : 井伏 鱒二

出版社:新潮社

発売日:1970-06

評価 :

完了日 : 2008年04月03日

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 1

質屋の女房 (新潮文庫)

著者 : 安岡 章太郎

出版社:新潮社

発売日:1966-07

評価 :

完了日 : 2008年03月07日

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 19

1973年のピンボール (講談社文庫)

著者 : 村上 春樹

出版社:講談社

発売日:2004-11

評価 :

完了日 : 2008年03月01日

 村上春樹という作家の雰囲気を知っている人んらば安心して読める作品です。透明な空気感、透明な人たち、一見無意味なエピソード。
 無理して、そのメッセージ性とかを読み取ろうとしなくても、十分楽しめる作品になっている。


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 1

白鯨 (上) (新潮文庫 (メ-2-1))

著者 : ハーマン メルヴィル,田中 西二郎,Herman Melville

出版社:新潮社

発売日:1952-02

評価 :

完了日 : 2008年02月26日

(下巻にて感想をまとめた)
http://review.webdokusho.com/note/2171/11031/1?id=111484


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 2

白鯨 下  新潮文庫 メ 2-2

著者 : ハーマン メルヴィル,田中 西二郎,Herman Melville

出版社:新潮社

発売日:1952-02

評価 :

完了日 : 2008年02月26日

 本当に疲れた。
 最後まで読むことの難しさでいえばドストエフスキーのカラマーゾフの兄弟の比じゃない(実際、俺はカラマーゾフを難しいとは思っていない)。

 この作品の描く世界、人物、思想、鯨の持つオーラ、そういったものは素晴らしい。名作と言われるだけのことはあると思う。

 しかし、しかしね。中盤全体が鯨と捕鯨についての資料みたいになっていて、ストーリーがまったくない。お情け程度の会話や展開はあるが、やっぱり「鯨とは」「捕鯨とは」というテーマの章が圧倒的に多いのだ。
 たしかにそのいくつかは読者に独特な鯨の印象を植え付けるのに大きな効果のある描写もあった。その大きさ、荒々しさは確かに伝わった。ただ、いかんせんその量が多すぎる。

 あれを文庫一冊分程度に縮めてくれたら、それだけで評価が一つ上がるかな。

 でも言っておく。けっして駄作ではない。


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 8

アルケミスト―夢を旅した少年 (角川文庫―角川文庫ソフィア)

著者 : パウロ コエーリョ

出版社:角川書店

発売日:1997-02

評価 :

完了日 : 2008年02月04日

 パウロコエーリョ3作目読破。
 「11分間」「ベロニカは死ぬことにした」に引き続いて、この「アルケミスト」を読んだのだが、実は本当に読みたかったのはこの「アルケミスト」なのだ。他の作品は「アルケミスト」を買いに行ったのに、本屋に置いてなかったから代わりに買ったに過ぎない(読んでみたら面白かったので安心)。

 やっとのことで本命の「アルケミスト」を読んだのだけど、この作品は本当に物語的な面白さがある。寓話的で教訓を秘めた作品になっていて、かつ、読んでいて朗らかな気持ちになってくる。まったくストレスを感じさせない作品だ。
 サラッと読んでも面白いし、じっくり読み込んでも面白い。例えば、後半で錬金術師が言う「人の口に入るものが悪いのではない。人の口から出るものが悪いのだ」という台詞は聖書でイエスが言う台詞と同じだ。たまたま聖書を読んでいたので、それに気付いた。そういう背景を知って読むと一つの台詞が訴えかけてくるメッセージが一段と深く感じられる。

 やっぱり村上春樹的な作家だな。


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 5

晩年 (新潮文庫)

著者 : 太宰 治

出版社:新潮社

発売日:1947-12

評価 :

完了日 : 2008年02月01日

 太宰治の処女作である『晩年』。
 この作品は短編集であり、決して『晩年』という作品があるわけではない。この短編集の集合体を『晩年』と命名したわけだ。処女作にして『晩年』というタイトルに強い違和感を感じるのだが、その内容を読むとなかなかしっくりくるタイトルであることが分かる。
 全体を通して、太宰治の死生観が漂っていて、それを隠す様子もない。そして彼のロマンチストぶりも発揮されていて、間違いなく彼の代表作なのだろう。人生や生き死に対して達観している部分もあり、自殺を図った後にのんきに友達と楽しんでいる様子などは異常な、でもなぜか読み手である俺までも達観してしまい「まぁ、そんなもんだろう」なんて思えてしまうほどだ。


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 7

ベロニカは死ぬことにした (角川文庫)

著者 : パウロ コエーリョ

出版社:角川書店

発売日:2003-04

評価 :

完了日 : 2008年01月29日

 生きている意味を見失って死ぬことにしたベロニカ。しかし死ぬことなく、助けられる。目が覚めたときに、後遺症で一週間の命であることを告げられ、死にたい気持ちと生きたい気持ちのバランスが変わり、最後には生きたい気持ちが勝つ。

 メッセージとしては「命は限りあるものだから、大事にしましょう」というものであり、凄く分かりやすい。だけど、それだけじゃないのが作者であるパウロコエーリョのいいところ。
 例えば、『狂人』とは何か? 人が狂っているというのはどういう状況を指すのか? 狂っているのは自分か、相手か、一般人か? 狂っているのは悪いことなのか? 人と違うことは悪いことなのか? そういうメッセージが全面的に込められている。
 
 今回でパウロコエーリョ2作目なのだけど、村上春樹と似ている気がしてきた。もちろんどちらかがどちらかを真似しているという意味ではなく、作風が近い印象だ。読みやすく、サラッと深いことを語るとでも言えばいいのだろうか? パウロコエーリョの作品にSF的要素を詰め込めば、村上春樹風になりそう。そういう意味でハルキストに薦めたい作家の一人だ。


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 3

恐るべき子供たち (光文社古典新訳文庫)

著者 : コクトー

出版社:光文社

発売日:2007-02-08

評価 :

完了日 : 2008年01月20日

 意外だ。もっとやわらかい作品かと想像しながら読み始め、途中までは少し特殊ながらも大体想像通りだと思っていた。だけど、最後であの展開。

 解説で、何人かの読者が「凄く面白かった、最後意外は」という表現していると書いてあったが、とんでもない。最後こそがこの作品の醍醐味であり、最初からそういう空気が漂っていたじゃないか。

 この作品の根底に流れる近親相姦、友情と愛情の違い、悪への憧れ。そういった流れが最後の展開を必然にする。そして兄弟が初めて理解しあう。最後の結末に向かって一直線に進んでいく。

 読んでない人にはなんの事か分からないだろうが、意味深い作品であることだけは保障しよう。

 初めて彼の作品を読んだが、細かいことをちゃんと突き詰めていく作家であることは良く分かった。パッとあらすじだけ読んで面白いわけではなく、場面場面での登場人物の思いや、それぞれの性格の違いによる物事の捉え方の違いが面白い。他の作品も読んでみたい。

(最近、読んでみたい作家が多すぎる……)


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 6

地下室の手記(光文社古典新訳文庫)

著者 : ドストエフスキー

出版社:光文社

発売日:2007-05-10

評価 :

完了日 : 2008年01月17日

 この作品をちゃんと理解できたか凄く不安だ。
 不安だから、まず作品について触れてみたいと思う。この作品は架空の人物が40年間地下室に引きこもるに至った経緯を『手記』という形式で描いている。
 日記という形式でありながら、強烈に読者を意識しており、その設定自体からも主人公の自意識過剰な一面を垣間見ることが出来る。そう、彼は自意識過剰なあまりいろんなことに失敗する。人間関係も築けず、恋愛もうまく出来ない。『愛とはつまり、相手よりも精神的に優位に立つことだ』と言い切っているくらいだから、分かりやすい。
 ポイントは彼がそういう自分の悪い部分に気付いていながら、直せないところにあると思う。三つ子の魂百までなんて言葉もあるくらいだから、少し意識改善したってすぐに元に戻る。元に戻るどころか、反動で(ダイエットでいうリバウンド)より一層悪い方に揺れていく。

 相変わらず、ドストエフスキーは強烈な独白を書くなぁ。普通の作家がやったら途中で飽きてしまうような長台詞も、楽に読めちまう。
 俺は本を読みながら、メモを取るようにしているのだけど、中盤の独白で「普通ならこれ以上の台詞は読めない」とメモしている。


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 2

11分間 (角川文庫)

著者 : パウロ・コエーリョ

出版社:角川書店

発売日:2006-01-25

評価 :

完了日 : 2008年01月14日

 パウロ・コエーリョの作品を初めて読んだ。きっかけは『たなぞう』。たなぞうをブラブラしていたら、パウロ氏の別の作品への感想で印象的なものがあり、彼の作品への興味が湧いたのだ。

 それはともかく、この『11分間』という作品だが、これは良い。あらすじ等はAmazonでも見ていただくとして、タイトルの由来は書いておこう。11分という時間はセックスで挿入してから、終わるまでの時間を表している。そして、この作品全体も売春婦の恋愛やらセックスやらが話題の中心だ。
 俺が読む限り、この作家は凄く愛に満ちた人なんだと思う。ちゃんと愛について考えていて、しかもそれに盲目的ではなく、自分の意思でコントロールしてやろうという意思が読み取れる。
 しかも愛について語るだけで終わらない。例えば、芸術家のあり方といった内容にも触れている。凄く印象的で好きだったのは以下の文章だ。

P149から引用---
(画家が自分の仕事について語る場面)
「君は自分の前にあるこのアニス酒を見ている。君に見えるのはもちろんアニス酒だけだ。ところが僕は、(省略)これを生んだ植物を見るんだ。その一本の植物が立ち向かった嵐を、その実を摘んだ手を、(省略)僕はその全てを描きこむことになる。しかし、その絵を見てもアニスのリキュールの入ったグラスにしか見えない」
---------------

 この作品も一見売春婦の恋愛事情・セックス事情を描いているわけだけど、作家が込めた思いはこれだけじゃない。画家がアニス酒を生んだ植物の立ち向かった風を描くように、パウロ氏もこの作品にたくさんの思いを込めていると思う。すぐにでも別の作品を読んでみるつもりだ。


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 33

夏と花火と私の死体 (集英社文庫)

著者 : 乙一

出版社:集英社

発売日:2000-05

評価 :

完了日 : 2008年01月10日

 ごめんなさい。俺の口に合いませんでした。
 『死体が主人公である』という仕掛けは確かに斬新で惹きつけられたけど、それだけ、だと思った。ストーリーは予定調和。読者にいわゆる「ハラハラ」させようとする場面もあるのだけど、正直都合主義的な印象。
 なにか賞を取った作品らしく、この作品で「乙一凄い」という印象を世間に抱かせたようだけど、この作品を読む限り魅力を感じない。乙一氏の作品は今まで『ZOO』と『暗いところで待ち合わせ』の2作品を読んだわけだけど、共通して感じたのはなんとなく漫画的な話が多いということ。少年ジャンプとかヤングマガジンとか、そういったコミック誌に掲載されていそうな印象なんだ。読んでいて、なぜか漫画の絵が浮かんでくるんだなぁ。「絵が浮かぶ」のは描写がうまいからかもしれないんだけど、どちらかというと漫画に良く出てくる(または出てきそうな)場面が多いのだと思う。


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 17

春琴抄 (新潮文庫)

著者 : 谷崎 潤一郎

出版社:新潮社

発売日:1951-01

評価 :

完了日 : 2008年01月08日

耽美派。ただただ、それが美しいことがその存在価値である。
初めて、俺が耽美派というものを理解したのが谷崎潤一郎の作品だ。ただ、美しい官能の世界を描いた文学。谷崎作品では難しい言葉、聴きなれない言葉が多い。古い作品だから、という理由もあるが、これらの言葉の響きによって彼の作品らしさをひきたてているのも確かだ。そして、それらの言葉によって自然と読むペースが下がり、気付けば一行一行しっかりと読み、その美しい表現に舌鼓を打つというわけだ。
 
 さて、この春琴抄という作品も例外ではない。解説にもあるとおり、人の心理や情景の描写というのはほとんど無い。いわゆる物語調の形をとっている(いわゆる「昔々あるところに……」という文体だ)。
 
 ネタバレになってしまうが……
 佐助が自身の目に針を刺すシーン。その前後の春琴の心情の変化も痛々しく、儚い。佐助と春琴の本当に悲しい、だけど二人にとってはある種充実の日々を描いている。悲劇。


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