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ぎんこさんの読書ノート

2003年読んだ本
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 6

ローマ人の物語 (2) ― ローマは一日にして成らず(下) 新潮文庫

著者 : 塩野 七生

出版社:新潮社

発売日:2002-05

評価 :

完了日 : 2003年01月19日

この巻では、ローマの仕組みについて書いてあります。だから、私のように理解力に乏しい人間には、ついていけない所もあったかも…。あ、でもこれは私だからであって、作者はかなり分かりやすく書いてると思います。こんな事いうと、「これ以上優しくかけない!」と作者に怒られそうです(^_^;)
 
 まぁ、そんなところはサラっと流してもいいんじゃないかと…(オイオイ)。ケルト人の襲撃により、大きな被害を受けたローマは1つにまとまっていきます。貴族と平民の間にあった亀裂を修復し、国を1つにしなければまた襲撃される、そんな気持ちが広がったようです。
 
 でもさー、なんでローマという国はこんなに多彩というか、寛容なんだろう?戦争で勝っても他国を滅ぼすより、取り込んでしまうし、地位も守られたというし。始めは小さな国だったから、その方がてっとりばやい部分もあったと思いますが。
アリストテレスだって、奴隷は家畜と同等に扱っていたのに、ローマ人であれば、奴隷でも一般市民になることも出来た。
 
 現代を考えると、2000年前のローマより宗教に非寛容だし、人種や民族でバリバリ差別してるし、今までの人類の歴史ってなんだったんだろう?と不思議に思っちゃう。「新しいものはつねに古いものの中にある」ってゴダールだったかなぁ、言ってたけど、まさにローマの歴史の中に「21世紀の世界が目指すモノ」があるんじゃないかな。そんな事をつらつらと考えてしまいました。


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 1

新版 指輪物語〈3〉/二つの塔〈上〉

著者 : J.R.R. トールキン,J.R.R. Tolkien,瀬田 貞二,田中 明子

出版社:評論社

発売日:1992-05

評価 :

完了日 : 2003年01月17日

 前作の「旅の仲間」に比べ、物語は苛酷になってきました。上巻はアラゴルン達がローハン国の騎士と出会い、大きな戦闘へと発展していきます。下巻はフロドとサムとゴクリの微妙な関係、そしてボロミアの弟、ファラミアとの出会いとこちらも盛り上がっていきます。
 
 二つの塔というのは、映画ではサルマンの住む「オルサンクの塔」と、サウロンが建てた暗黒の塔「パラド=ドゥア」の事です。原作の方では「オルサンクの塔」と「ミナス・モルグル」を指すのですが、トールキンはこの解釈に固執してたわけではないそうです。私は「二つの塔」のほかにも「2」という記号が多く出てくるような気がします。ストーリーも2つに分かれるし、フロドとゴクリ、ガンダルフとサルマン、ボロミアとファラミア、というある意味鏡のような存在でもあり、対称的な存在でもある人々。それに、人間やエルフ達の多種族集団vsサウロン軍勢の大規模な戦闘も世界を2つに分けての戦いです。
 
 個人的には、やっぱゴクリ好きですね。あ、そういえば彼も二重人格っぽいなぁ。ゴクリがきっかけで「指輪物語」にはまったと言ってもいいぐらいで。あの哀れっぽくて、凶悪で、でもどこかかわいい(?)ところがたまりません。映画の方も良かったんですが、サムも良いですよね。「勇気」という言葉が似合うと思います。蜘蛛との戦闘シーンは、手に汗握りますよね!
 
 ゴンドール以外の国、ローハン国も出てきました。ローハンって騎馬民族みたいなイメージですよね。王のセオデンは蛇の舌というサルマンの部下に操られちゃってます。王の親戚であるエオメルとエオウィンって、私は好きな人物ですね。映画でもこのローハン三人はイメージ合ってました。
 
 あと、忘れちゃいけないのがエント。メリー&ピピンが出会うことになる木の精霊です。エント女を探してるのね…。哀しい物語だわ、と思ったけど、今回読み直すと…かなり自業自得な部分もあるんでは。だって、ほったらかしてたんでしょ! しかもエント女は優秀だったみたいだし。男やもめ…ならぬエントやもめ?
 
 「話はまだまだ続いてますだねぇ。えらい話というのはおしまいにならないんですかね?」というサムのセリフ通り、まだまだ話は続くのでした。(2003.1.17)


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 1

バベットの晩餐会 (ちくま文庫)

著者 : イサク ディーネセン

出版社:筑摩書房

発売日:1992-02

評価 :

完了日 : 2003年01月12日

 「バベットの晩餐会」は1987年にG・アクセル監督によって映画化されている。

「バベットの晩餐会」
 今から65年前、ノルウェーに姉妹が住んでいた。美しい姉妹だったが、監督牧師の父の手伝いで、結婚をせずに静かな生活を営んでいた。そこにフランスから亡命してきたバベットという女性が姉妹を頼ってきた。バベットは女中として働くようになり、14年の月日が流れた。ある日、富くじが当たったバベットは、1万フランという大金を手に入れる。彼女の使い道とは?

 表題作。映画を見たことがあったので、風景を想像しやすかった。
物語は昔話的な静かでシンプルなもの。敬虔なキリスト教徒である姉妹と村人に、女中バベットは富くじの賞金を使って晩餐会をしようと思いつき実行する。その料理たるや、見た事もない豪華さで村人たちは驚く。
 私は映画見てるので、料理を思い浮かべることが出来た。「うずらの石棺風パイ」などが、美味しそうだった。どんな味がするのだろう。当時は食材なども、わざわざ船便で時間をかけて運ぶしかなく、現代人が考えるよりずっと贅沢で、豪華なものだったと思う。料理人バベットは自分が「芸術家」という事をすごく誇りに思っており、その態度は厳しいとも言えるくらいだ。作者の「芸術」というものへの深い信頼と神格化が伺える。映画ではこういった部分は少し希薄だったかもしれない。

 
 「エーレンガート」
 これはある貴婦人が語る話。今から120年ほど前に、ドイツに小さな公国があった。その妃は、やっと子供に恵まれ、王子が誕生する。美しく賢く育つ王子だが、彼は女性への興味が少なかった。妃は画家のカゾッテに相談する。その後、王子は結婚するのだが、ある問題が持ち上がり王子夫婦は別の地へ。そこで侍女に選ばれたのがエーレンガートだった。画家は彼女を崇拝する。

 「バベット」も昔話のような雰囲気があったが、これはさらに昔話的。というか、神話の方が近いのかもしれない。タイトルにもなっている侍女(と、いっても良家のお嬢様)エーレンガートは、神話の女神のように美しく、気高い。その姿に「美」を見い出す画家。彼は「誘惑」こそが芸術の本質であり、対象から「美」を誘い出すことに生き甲斐を感じているのだった。エーレンガートと画家は話をすることも少ないながらも、微妙な関係が生まれる所が面白かった。
想像する部分が多く、読む人それぞれの解釈が出来そうな作品。難しいテーマなのだが、「物語」としての楽しさもある一遍だった。(2003.1.12)


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 1

スタジアム 虹の事件簿 (創元推理文庫)

著者 : 青井 夏海

出版社:東京創元社

発売日:2001-04

評価 :

完了日 : 2003年01月08日

 この本は、5つの短編が収録されています。どれも虹森多佳子が探偵役である、事件の解決は球場で、などの共通点がある連作です。1つ1つ独立した話でありながら、東海レインボーズという架空のチームのペナントレースも追うことができちゃうのです。
 
 1話「幻の虹」
【多佳子の野球観戦のお供&解説につき合う選手の朱村。彼は、故障中で今期のプレーは危ぶまれていた。複雑な想いでチームの試合を見つめる朱村だったが、そこへ不審な男が現れて…】
野球を勉強中の多佳子が、あるプレーをヒントに奇妙な事件を解決します。選手の朱村がいい味出してます。ですが、彼は多佳子のお供はこれっきりでした…。ま、選手だから仕方ないか…。
 
 2話「見えない虹」
【レインボーズの話題で文通を始めた真波。その文通相手と会うことになるのだが、つい見栄をはってしまい、姉の方を自分だと写真を送ってしまう。文通相手と野球を観戦する真波だが、近くの観客がある高校教師の殺人事件について話しだす。その高校は、文通相手の出身校だった】
嫌疑をかけられた人物が、犯人をかばう動機がちょっと希薄なのが気になるけど、ラストはサワヤカで好印象。
 
 3話「破れた虹」
【2話から多佳子の付き人になってる色摩。亡くなった多佳子の夫、虹森小太郎社長を尊敬していた色摩は、現在の社長陰山に多佳子の中傷を聞かせれウンザリ。息抜きによった喫茶店のママがレインボーズファンで、多佳子との観戦についてくることになった】
レインボーズの新社長はどうも球団を売る事を考えているらしい。事件を解決するついでに、多佳子は身売りをふせぐ大胆な提案もしちゃいます。
 
 4話「騒々しい虹」
【レインボーズファンの小学生の男の子。夏休みにある家の観葉植物に水をあげるバイトをひきうける。水やりをしている最中、電話から家の主である「ユキエ」を脅迫する内容の男の声が留守番電話に入る。びっくりして逃げ出す少年だったが…】
この事件はとっても地味なんだけど、現実にありそうな感じが良かったです。少年の視線からみたある夏の出来事って感じかなぁ。
 
 5話「ダイヤモンドにかかる虹」
【きままな生活を楽しむ裕香。親友の昭治が「レインボーズが優勝したら結婚なんてどう?」と言い出し、戸惑っている。ある日、見ず知らずの女性から「谷さんの手帳を拾いました。彼の住所を知ってますか?」と電話がかかってくる。谷は、裕香と昭治の同級生で、最近全く連絡が無かった。裕香は彼の事が気になり始める】
裕香の思いこみと、ある殺人事件が絡んだ糸を多佳子がサクっと解決。レインボーズは優勝できるのか?フラフラしていた裕香も、少し前へ進むことが出来そうです。1話で出てきた朱村が活躍しててウレシイ。
 
 全体的に、すっごいトリックとかあるわけではないですが、フラッと寄った店が意外と美味しかったみたいな、そんな楽しさのある作品でした。(2003.1.8)


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 6

航路〈上〉 (ヴィレッジブックス)

著者 : コニー ウィリス

出版社:ソニーマガジンズ

発売日:2004-12

評価 :

完了日 : 2003年01月07日

 この小説の舞台は大病院です。他の場所も出てきますが、ほとんど病院のシーンぱかりです。病院が舞台、というと、私としてはアメリカのドラマ「ER」を思いだしちゃうわけです〜。実際、この小説の中でもジョアンナはERで聞き取り調査をしています。ドラマを見ていた方なら、大体どんな感じか思い浮かべやすいかもしれません。
 
 「臨死体験」。これがこのストーリーの最も重要なテーマです。人は死ぬ前に、何を見るのか?そして、そこからジョアンナと研究のパートナー、リチャードは人を救うための何かを見つけようとしています。そのために人為的に「臨死」を体験させる実験を繰り返すのですが…。こんな実験に参加するなんて、勇気あるよなぁ〜。私だったら、どんなに金積まれても、安全だと言われても絶対ヤダー!
本の中でも、ビビってしまう人やら「天使を見た!」など言い出す人やらが続出で、実験は難航するのでした。
 
 当然といえば、当然なんですが、この世の誰もが「死」を知りません。そりゃそうですよねぇ、死にかけた人はいても、本当に「死」んだ人はこの世には帰ってきませんから…。ですから、死はあくまで今生きている人の想像にすぎないワケです。「航路」では、「臨死」英語では「Near Death」つまり死に近いもの…を扱っているのですが、やはり「死」というものに抱く想像は、人種的な違いとか、もちろん個人によっても違うと思うのです。だから、私はこの本にある「死」が、自分の考えと違う…と感じて、そこにリアリティを見い出せなかったのかな?と思いました。ま、仕方ないんですけど、白人のジョアンナは日本人とは違う死生観を持ってますからね。
 
 ですが、さすがウィリスというか、小説を作る手腕はこの作品でも十分に振るわれていると思います。この本がもう初めっからダメ!という人を除いて、途中でやめる事が出来る人って少ないと思いますよ?とくに第2部が終わってから、読むの辞めた人はいるんかいな…ってぐらいです。上下巻が長いとは決して思わなかったです!
 
 それと、登場人物の作りが良かったかな。それぞれ個性的な人々が出てくるのですが、多分故意に性格をわかりやすく、面白く設定していると感じました。テーマがとにかく重たいですからね。人物は楽しめるようにしたんじゃないかな。このへんのバランス感覚もウィリスのいいところかな?と。
 
 「臨死体験」というテーマにチャレンジしながら、エンターティメントとして楽しめる作品です。ウィリスの「挑戦」に、素直にのせられちゃってドキドキハラハラしつつ、ちょっとだけ「死」について考えてみるのはどうでしょうか?(2003.1.7)


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