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フィリップ・まろさんの読書ノート

星野道夫とKUMIさんの物語
いやはやすっかり極北の写真師・星野道夫の世界に引き寄せられてしまった。椎名誠、野田知佑、中村征夫、佐藤秀明、の怪しい探検隊の面々や、冒険家・植村直己、イヌイット研究家のCWニコルを追及していた頃、少し読んだきりの星野道夫に今やどっぷりである。“たなぞう”で友達となったKUMIさんによる紹介。星野道夫は植村直己と同様、文章がうまい!魅力的な言葉の数々を残してくれている。掬い取るかどうかは読者次第である。
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星の物語―Twinkling Tales (NATURE RELAXATION)

著者 : 吉元 由美,藤井 旭

出版社:ベストセラーズ

発売日:1997-11

評価 :

完了日 : 2007年12月15日

2007年12月15日午前3時。
僕は庭のベンチに仰向けに寝そべっていた。
この日、双子座流星群が降り注ぐ、との情報をキャッチしたからだ。

天文学はわからない。
だけど、星は好きだ。

何年前のことだったか。猛烈に降り注ぐ獅子座流星群に「これは現実の出来事なのだろうか」と自分の目を疑った。それほどあっちこっちで星が流れていた。奇跡の夜の出来事だった。

さて15日の深夜というか、未明というか、この夜、観測した双子座流星群は30分間で7つ。まずまずかな。

流れ星の発見はうれしい。冬の夜の天体ショーの美しいこと。寒いのは苦手な僕だが、見逃すわけには行かない天体ショーであった。

しかし冬の夜空には流星群が飛ぼうが飛ぶまいが心惹かれるものがある。

とりわけ僕は、大犬座シリウス、オリオン座ベテルギウス、仔犬座プロキオンで構成された“冬の大三角”が好きだ。見上げていると雄大な気分になってくる。

冬の星座でもう一つ忘れてはいけないのは、牡牛座。僕の生まれた星座でもある。ヒアデス星団とプレアデス星団を持つ牡牛座。プレアデス星団は日本では、平安の昔から馴染みが深い。そう、昴(すばる)のことである。

表題の本を読んで、遙々とした気持ちになった。

内容に関係はないのだけど『星の物語』のタイトルにかこつけて、僕の『星野道夫の読書ノート』に入れてみました。


この感想へのコメント

1.KUMI (2007/12/16)
綺麗な表紙ですね。藤井旭さんの著書は私も持ってますよ。
星の勉強をするには欠かせない一冊です!
最近、光害のせいか星が見えにくくなってきました。
以前、野営した時に見た満天の星が、本当はこの空で輝いている事など、信じられない程。猛烈に降り注ぐしし座流星群
なんて、羨ましすぎるんですけど~。(涙)
いつか、見れる事を流れ星に願います?(変?)
ちなみに私の星座は『獅子座』ですよ♪
2.フィリップ・まろ (2007/12/22)
単純に獅子座には憧れますね。
その昔、山口百恵が『乙女座宮』と言う歌を歌っていました。乙女座の彼女は山羊座に恋したり、牡牛座に寄ったりしながら、今は獅子座の彼に夢中なの、なんて歌詞でしたっけ。獅子座、カッコいいっす!あくまでも男性の場合だけど…。
 

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クマよ (たくさんのふしぎ傑作集)

著者 : 星野 道夫

出版社:福音館書店

発売日:1999-10

評価 :

完了日 : 2007年12月09日

「いつか おまえに 会いたかった」

極北の写真家・星野道夫のクマへの思いがたった一行の言葉に凝縮されている。

子供の頃、物語の中にいたクマ。
或る日、ふと、町なかの電車に揺られながら、その存在感をひしひしと感じ取ってしまう。
自分は、今こうして町にいるが、クマよ、君はこの瞬間にも見知らぬ山の中で草をかき分けながらのし歩いている、と。

この感覚、すごくよく解りますよ、星野さん。
僕にも、そんな瞬間が度々訪れます。

若い頃、何度もその感覚に襲われて、僕は、自分に語りかけてくる者のその正体を突き止めたくて放浪の旅に出たものでした。

星野さんの場合、正体ははっきりしていました。
そう。クマです。

僕にはクマに会いに行く勇気も決断もありませんが、遠くの僕に語りかけるものの正体の一つはクマであったかもしれません。
星野さんの作品に触れれば触れるほどクマを直に見たくてしょうがなくなってきましたもの。

地上最強の生き物、クマ。
ナチュラリストであり尚且つ、格闘技好きである僕が地上最強の生物に会いたくなるのは当然ではありませんか。
30年まえ、ヒグマと極真会館のウイリー・ウイリアムズの戦いを『地上最強の空手』という映画で見ました。あの戦慄的光景。忘れられません。
勿論、ああ言った、見世物興行的映画の世界にクマを引っ張り出すことの愚かさに気付いていない僕ではありません。
でも、知りたいのです。この地上で誰が一番強いのか。
これは愚昧な男の闘争本能なのでどうかお許し下さい。

話を戻しましょう。

星野さんにとっても、クマは地球上の友人であり、反面、恐怖の対象であったようですね。
正直な方ですね、星野さんって。
それだけ、場数を踏み、クマとの接触を続け、その生態を知ってしまうと、人間どうしても自分がその道の権威にでもなったように錯覚してしまいます。「クマとはかくなる生態を持つ、しかじかの存在である」なんて言い切っちゃいますもの。
実地にクマと対峙するほどの権威者でありながら、その存在を「愛すべき隣人」と捉えるとともに「恐怖の対象」とも自覚するところが僕に尊敬の念を抱かせます。

星野さんがカムチャツカ半島のクリル湖畔でヒグマに襲われた事故。あれにはたくさんの不可抗力と不確定要素が含まれていたことを僕は知っています。星野さんのクマに対する畏怖の念は、自然そのものに対する畏怖の念と何ら変わるものではなかったと僕は信じていますもの。

いけない。
福音館書店の意図する出版理念から大きく外れている感想を書いてしまったかもしれません。
例によって、裏表紙に「小学中級から」と注意書きがあります。
それでも、いい大人にもこんなにたくさんのことを考えさせてくれる良い本です。

クマ。恐いけど大好きな地球の仲間です。


この感想へのコメント

6.KUMI (2008/06/03)
あはは~♪
なんか、面白いんだよなあ~、まろさんは☆
これだもの。時間かかってもアクセスしたくなるわけですよ

たなぞう君もいままでのサボリ癖を改心したらしく、今日は
以外と早く、お隣のまろさん家まで来れました!
仕事も大事だけど、お茶の時間も大切にしたいんで、間隔あいても遊びに来ますね~♪
(幸い、パンツ一丁でも気にされない所は望ましい)
7.フィリップ・まろ (2008/06/03)
お~KUMI殿じゃ~!
良く来たね。さあさあ、入って入って。お茶でもどうぞ。
あらら、しかし、ホントにパンツ一丁で来ちゃったんだねー。いいよいいよ、そう言ったもんなあ。僕は相変わらずカシミアのスーツ姿で申し訳ないけど。気にしないでくれ給え。
たなぞう君もこれほどたくさんの情報量を処理してんだから仕方がないか。幾らか強靭になったシステムのお陰でKUMI殿が訪ねて来られたんだもの。文句言わないでおくよ。

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ムース

著者 : 星野 道夫

出版社:平凡社

発売日:1988-06

評価 :

完了日 : 2007年12月08日

また僕は写真集の面白い見方を発見したのでご紹介しましょう。

例えば、本書の最初の「秋色のツンドラに、水を飲みながら憩うムース親子。遠くに、北米最高峰デナリ山 (マッキンレー)がそびえている」とキャプションのついた見開き2ページ。

右掌を丸く望遠鏡のようにしてください。それを右目に押し当てます。ほら、子供の頃に、海賊ごっこをしたときみたいにね。でも両手のひらでつくる双眼鏡じゃだめですよ。あくまでも右掌だけで、やってください。

そしてフローリング(畳しかないお宅はそれでもいいですからね)(床暖房のお宅ならなおいいですね。ウラヤマシイ)に広げた見開き2ページを右手のファインダーから覗いてみてください。

どうです?ものすごい臨場感でしょう!まるで自分が極北の写真師にでもなったかのような。

遥か彼方に聳えるデナリ山。そこから沸き立つ雲。視線を少し下げると小高い丘が連なる。ここで風景の色彩が一変する。広がるツンドラの大地。やがて水辺に憩う親子のムースへと視線は集約されてゆく。

肉眼で見た風景から切り取るべきモチーフを選び取り、カメラのファインダーを覗き込んだ星野道夫氏。写真家もおそらくこの状態で幾日も幾日も待ち続けたのでしょう。

そして或る日。星野さんの思ったとおりの場所にやって来た親子のムース。ベストショットの誕生する瞬間です。これはもう写真家の執念に降参した自然がもたらしてくれた天の計らい以外の何者でもない決定的一枚です。

そんなことが、僕の発見した、なんて言うと大げさだけど“右掌覗き窓式風景写真鑑賞術”で解ってきます。
是非一度お試し下さい。


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アラスカ―極北・生命の地図

著者 : 星野 道夫

出版社:朝日新聞社

発売日:1990-04

評価 :

完了日 : 2007年12月02日

奇跡を体験した。

何時もの週末のように、愛チャリ・ブルーインパルスに跨り、図書館へ。
ここで星野道夫の『ムース』と表題作を借りた。

帰路、公園をぶち抜くコースを選んだ。そして初冬の風は冷たかったが日差しがあったので、公園内の芝生にでんと腰を下ろした。

『アラスカ』は」デッカイ写真集だ。しかし、広大な原野の写真としてはこれくらいデカイほうが臨場感に触れやすくなると言うもの。チャリのかごからは半分くらいはみ出してはいるが、なあに人目を憚る写真集じゃないから、どうぞ皆さん見ておくれ、ってなもんだ。

芝生に腰ををろして、ひと時、冬の散歩道の休息を取って帰ろうとした。が、かごからはみ出したデッカイ『アラスカ』が気になり、取り出した。

チョイ見のつもりが、結局、最後のページまで。

ここで、奇跡が起こることになるとは…。

この本の大半はカラー写真集。終盤に少し星野氏のエッセイが挟み込まれ、最期に写真のモノクローム小型判がそれぞれの写真の説明とともに掲載されている。
カラー写真の部分が高級アート紙を使っているのに対して、説明のところは少し厚手の上質紙が使われていた。僕はもと印刷会社の営業マンだったのでその辺りは一般の読者より詳しい。

最後のページには3枚のオーロラの写真。そして次をめくると、本の奥付がある。
ところが、この3枚のオーロラの写真の部分だけ、裏側には写真も文字も何も印刷されていなかった。このことが奇跡の重要なポイントだった。

僕が、奥付のある最終ページをめくった時、青空が広がる公園の一部に一片の雲が流れた。そしてすぐに雲は風に飛ばされたようだ。

ここで奇跡が起きた!

モノクロームのオーロラの写真が奥付のページの白紙の部分に、冬の日差しと一片の雲のイタズラで裏映りしたのである。
日差しから雲、そしてまた日差し。この光のグラデーションに写真のオーロラが呼応して動いたのだ!

僕は、一瞬、自分の目を疑い、次の瞬間、自分の目とともに奇跡を信じた。

「こんなことがあるんだ!」

これは間違いなく、星野さんからの僕へのプレゼントだろう。星野道夫を薦めてくれたKUMIさんには申し訳ないけど、お先に星野さんからクリスマスプレゼントを頂いちゃいました、って感じだった。

『アラスカ』写真もいいけど、短いエッセイがとてもいい。写真家であり、ナチュラリストであり、思想家、冒険者、文章家でもある星野道夫がこの本には余すところ無く表現されています。


この感想へのコメント

6.KUMI (2007/12/05)
それは、まろさんと、私の性格がめちゃめちゃ似ているから
ですよ♪書く事も読む事も、お話する事も大好きだし、興味のあるものも、似ているじゃん。
最近、毎日の様にお話しているのでなんだか、交換日記みたいだな、と思い始めてたりして。
(に、しては良く続くよね~。しゃべりすぎか?!)
『魂のパートナー』って、なんか運命的な感じがしすぎて
照れちゃいますよ。
7.フィリップ・まろ (2007/12/07)
この際、照れくささなんて捨てちゃいましょう。でないとやっぱり照れちゃうからね。

それにしても、不思議な運命に導かれて、僕はあの時本当に、オーロラを見てしまったんです。しかもあんな形でね。

そうそう、この本の文章のことをもっと言っておくべきだ。
ほんの数ページ。その中に星野さんの思いが濃厚に凝縮されています。濃縮されていながら胸焼けするようなしつっこさはない。見事な文章です。名人上手。文の達人です。

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 1

未来への地図―新しい一歩を踏み出すあなたに

著者 : 星野 道夫

出版社:朝日出版社

発売日:2005-04

評価 :

完了日 : 2007年11月11日

大田区立田園調布中学校で行われた講演の模様の出版化である。

この本の解説で柳田邦男がこう言っている。

「星野さんは、写真家であってただの写真家ではない。エッセイストであって、ただのエッセイストではない。探検家であって、ただの探検家ではない。思索者であって、ただの思索者ではない。それらすべてを兼ねそなえた文明批評家とでも言おうか」

まさにその通りだと思う。
写真家だけでも、文章家だけでも、冒険家だけでも、哲学者だけでもなく、オールラウンドの表現者、それが星野道夫である。

若き日、旅人としてアラスカに行ったときの事。そこが自分にとって旅する場所ではなくて、住まうべき場所であると認識し、移住する決意を固めることになった経緯が中学生にも判る言葉で書かれている。

妻である星野直子の「おわりに」の一文も見逃せない。

「夫には若い人へ伝えたい二つのメッセージがありました。一つは、なるべく早い時期に、人間の一生がいかに短いものかを感じとってほしいということ。もう一つは、好きなことに出会ったら、それを大切にしていってほしいということです」

『未来への地図』は、若い君たちが君たち自身の手で書いてゆくのだ、と訴えている。現に星野道夫は青年期から自分のための未来への地図を、広げられた白地図に書き込んできたのだ。

サブタイトル『新しい一歩を踏み出すあなたへ』はなにも中学生に向けただけの言葉ではない。
大人にも、明日から始まる新しい一歩を踏み出す勇気を持って、とのメッセージを送っている。星野道夫からのエールをしかと受け止めて明日を迎えよう。


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森へ (たくさんのふしぎ傑作集)

著者 : 星野 道夫

出版社:福音館書店

発売日:1996-09

評価 :

完了日 : 2007年11月11日

裏表紙に「小学中級から」と断り書きがある。
こういうのって必要なのだろうか。
とりあえず僕は規定以上の年齢なので読んじゃったけど、小さな子供が読んだって一向に差支えがない本ですよ。いや、むしろ、この生物の連鎖というか、連関と呼ぶか、輪廻と表現すべきかのお話は、幼い子供にこそ聞かせてあげたいなあ。

昔、僕らはおじいちゃんやおばあちゃんに自然への憧れや畏れを教わったものです。手に取ってみるべきもの、近づきすぎると大変な目に合う物を、そうして教わってきたもの。

ちょっと過激な意見かもしれないけど、よく「危険。ここで遊んではいけません」って看板を見かけますよね。そこって、僕らが子供だった頃には、絶好の遊び場でした。
危険なものに蓋をして安全対策とするよりは、危険なものが「何故、危険なのか」を身をもって体験させてあげるのが本来の教育じゃないのかなあ。危機管理能力は危険な目に会ってきた人ほど高い気がするね。

とまあ、これはこの本の内容に若干、一致することでもあれば、大きく外れちゃってることでもあるので本来の書評に戻りましょう。

この本に生命の連関を感じました。
僕は昔、長良川河口堰建設反対運動家でした。
当時の僕らの合言葉は「森は海の恋人」でした。そして川はその仲立ちを務めている、と考えていました。山で作られた豊富な栄養分が川を通じて海に流れ込む。そして豊穣の海をこしらえ、様々なプランクトンや魚や海洋生物を養う、というものです。
これは思想ではなくて生物学的食物連鎖の単純な構図です。それを人間の利権と経済の優先で断っていいものか。いいわきゃないのです。

そんなことがこの本には書かれてはいません。
でも、間接的にそれを写真と文章で訴えています。
地球規模の歴史、或いは生物的歴史、そしてインディアンの歴史を語っています。

海から森に入り込み、川を遡ってさらに深い森に潜り込み、また同じ道を確認しながら海に帰ってくるだけのお話。
それだけ。なのに僕は、日本から遙々とした場所の、考えられない永い時間にたゆとい、たくさんの発見をしました。


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2.フィリップ・まろ (2007/12/08)
釈迦に説法です!
と言いたい所ですが、浅学にして畠山重篤氏については存じ上げておりません。
僕のダムファイターぶりも「椎名誠のファン→怪しい探検隊が好き→いやはや隊は遊び上手で好感が持てる→野田知佑の生き方にロマンを感じる→野田さんは川のことを真剣に考えている→我が地元には長良川がある→ここは一丁何かしなくては」といった単純な構図の成れの果て程度です。
畠山さん、猟師作家って言うのがいいですね。
3.フィリップ・まろ (2007/12/08)
パル2パパさん、ごめんなさい。
畠山重篤氏は“猟師”ではなく“漁師作家”ですね。
でももし、猟師作家がいたなら、漁師作家の畠山さんと対談してもらって、もっかの日本の海山川の状況について語って頂きたいですね。

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 1

アラスカ 光と風 (福音館日曜日文庫)

著者 : 星野 道夫

出版社:福音館書店

発売日:1995-05

評価 :

完了日 : 2007年11月10日

大好きな星野道夫の著作なので評価点を厳しくした。

20年前に出版されたものに追記して、さらに10年後に再出版された本である。

あとがきに「今読み返してみると、文章に不備な点がたくさんありますが、アラスカの旅が始まったばかりの当時の自分の姿がそこにあり、あえて書き直しをしませんでした」と記されている。

確かにここには星野道夫とアラスカの出会いと、その思いの育みが窺がえる。
しかし、まだアラスカは星野道夫にとっての旅の場所に過ぎず、生涯の棲家とはなっていない。
その分だけ名文家・星野道夫にしては言葉に魂の力が感じられない。
人はどうも住まう土地からさまざまなパワーをもらって出来上がってゆくものらしい。

エスキモーに許されて鯨を獲りに行く機会に恵まれる。この最大の好機にウミアックという鯨獲りの舟にに乗り遅れてしまう星野青年。
カリブーの群が近づくのをじっと待つ原住民の気持ちを、まだ旅人気分で理解し得ない星野青年。
オーロラの写真を撮りたいがために厳冬期のマッキンレー山の麓にキャンプサイトを築いた時に、その慰めとなったのが日本の雑誌の1ページ。熱々の湯気を湧かせた紀文のおでんの宣伝のページであったり。

これらの出来事を笑ってはいけない。青年の行動力に失敗はつきものだ。また、気付きや責任感の希薄さも青年には許されるべきものだ。誰だって、無責任で、無思慮、無分別なのが青年期である。

しかし、その後の星野道夫のアラスカへの思いは原住民のそれと変わらないことを我々は既に知っている。
そういう意味で『アラスカ 光と風』は星野道夫の第一歩であり、読者が彼を知る上での第一歩でもある。


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14.KUMI (2007/12/11)
何かと失敗の多い私は、「人間だもの~♪」と、言っていつもごまかします♪だから、相田みつをさんの存在は私には
絶対必要なのです!!
ところが最近、主人もさるもの、「人間だものっていうより
KUMIだもの、だろ!?」と、反撃してきました。
いや、確かにそうなので、反論できないよー!!
相田みつをさんがだんな様なら、奥さんは幸せかな?
15.フィリップ・まろ (2007/12/12)
KUMIさんの言い訳、良いねえ。とっても可愛いですよ。僕なんて妻からそんな言葉を聴いたらすぐ許しちゃうダメ亭主です。
だけど、今回はご主人に分があるね。
座布団一枚やっとくれ~!の一言だね。
うん、己が配偶者の実態を知悉した者の実感の籠もった言葉だ!

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星野道夫 永遠のまなざし

著者 : 小坂 洋右,大山 卓悠

出版社:山と溪谷社

発売日:2006-09

評価 :

完了日 : 2007年11月03日

カムチャツカ半島、クリル胡で起きた事故の真実の姿を調査した星野道夫の二人の友人が書いた本。

TBSテレビ『どうぶつ奇想天外』の取材スタッフの一人としてアラスカからカムチャツカ半島に渡った星野道夫。この地で彼はヒグマに襲われてその生涯を閉じた。

しかし、TBS側が公式発表した事故の模様に不審を抱いた小坂洋右と大山卓悠はその後、独自の調査を始める。
そして見えてきた事故の真実。

このあたりはドキュメンタリーでありながら、推理小説仕立てに構成されているので、ここで結論を言ってしまうと読者の興味を削ぐことになる。控えておきますから、尚、真相が知りたい人は是非ご一読下さい。

僕は、この著書の主題である星野道夫の事故の真相を追究した第1章よりも、それに続く各章が面白かった。

星野道夫の人となりが、アラスカの互いの家を訪問しあったり、極北の星空の下で話し合ったりした時の内容に感じ取ることができた。

この本に、星野道夫のあの優しいまなざしが感じられれなかった、との感想があった。
が、僕は、真逆の答えを出す。

カムチャツカ半島で起きた事故の検証は必要なことで、遺された者にとって大切な責務だと思う。
しかし、僕には星野道夫の生きざまの方が、より重要なことであり、自己の人生に少なからず影響を与えている。

こんな思考の僕には、この著書のページが終わりに近づくに連れて、読めてよかった、との感慨が増して行った。

星野道夫の『永遠のまなざし』がどこに向かっていたかのヒントがこの著書の中に確かにあったと思う。


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5.KUMI (2007/11/06)
本当にまろさんの、おっしゃる通りだと思います。
どれだけ、環境破壊が進んでる事が騒がれていても、目先の
利益の前では、すっかり忘れてしまうのでしょうか?
大体、豊かな自然を壊し、動物達の住処を奪うような行為を
しなければ足りないほど、都市では資源が不足しているのでしょうかね?!私も、反対運動に参加したいよ。ホント!
6.フィリップ・まろ (2007/11/06)
人間ってしょうがない存在だよねえ。
頭ではそうわかっていても、行動が逆になることしばしば。
誰も「地球なんて滅べばいい」なんて思っている人はいないのに、実際には寄ってたかって地球をいじめている。地球から、さほど必要でもないものを、必要以上に搾取している。

  失くすまで大事なものがわからない
  世の中にゃ大事な不用品もある
  捨ててから「大事だった」といわれても

フィリップ・まろ 心の川柳

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アークティック・オデッセイ―遥かなる極北の記憶

著者 : 星野 道夫

出版社:新潮社

発売日:1994-06

評価 :

完了日 : 2007年10月28日

極北の神話である。
興味深い序章なので全文ここに写します。

「ずっと ずっと 大昔
人と動物がともにこの世に住んでいたとき
なりたいと思えば 人が動物になれたし 
動物が人にもなれた
だから時には人だったり 時には動物だったり 
互いに区別はなかったのだ
そしてみんながおなじことばをしゃべっていた
その時のことばは みな魔法のことばで
人の頭は 不思議な力をもっていた
ぐうぜん口をついて出たことばが
不思議な結果をおこすことがあった
ことばは急に生命をもちだし
人が望んだことがほんとにおこった
したいことを ただ口に出して言えばよかった 
なぜ そんなことができたのか  
だれにも説明できなかった
世界はただ そういうふうになっていたのだ」

全くの偶然だけど、僕は今、お風呂での読書本としてさくらももこの『そういうふうにできている』を読んでいます。

イヌイットの「魔法のことば」という詩の中に「そういうふうにできていたのだ」という言葉を見つけ、さくらももこに『そういうふうにできている』と言われちゃうと、僕は「そういうふうに読まされていたのか」と単純に思っちゃうのです。




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とんぼの本 星野道夫と見た風景 (とんぼの本)

著者 : 星野 道夫,星野 直子

出版社:新潮社

発売日:2005-01-26

評価 :

完了日 : 2007年10月13日

星野道夫とその妻、星野直子との出会いから、突然の別離まで。小さいけど妻ならではの特別なエピソード文を織り交ぜた写真集である。

星野道夫による風景や生物たちの写真がたっぷりと差し挟まれているが、コバック川でキャンプをしたときの夫婦の記念写真とアラスカの家で撮った家族3人の写真が印象的である。

星野道夫は'95にアフリカに渡り、世界的チンパンジー研究家ジェーン・グドールと出会い、自然に対する共通の思いを持ち大いに感銘を受ける。
また、クリンギットインディアンのボブ・サムとの出会いにワタリガラスの伝説のいとぐちを見出した。

そのあたりの星野道夫の感動振りを一番身近に居た妻の口から語られている。

おもしろいな、と言うか、素敵だな、と思ったのは、星野直子の感性と発想、思考、文体である。
間違いなく夫のそれが妻の表現技法の中に生きている。

「ナオコはクマを許すことができたのか?」
との問い掛けに、
「クマを許せないと思ったことがない」
と答えた星野直子。
これは瞭かに星野道夫の考え方であると思った。

見習うべき良き夫婦がここにあるのならば、僕も見習うことにやぶさかではない。


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星の物語 Alaskan Dream 1

著者 : 星野 道夫

出版社:阪急コミュニケーションズ

発売日:2002-11

評価 :

完了日 : 2007年10月07日

このゴマフアザラシの表情を見てしまうと、もう他の事なんてどうだっていいや、って気になってくる。

幼き生物の表情がこの世のものとは思われないほど愛らしく造作されているのは、捕食者が一瞬でも襲い掛かるのを躊躇わせるのが目的だ、という話しを聞いた事がある。

おそらくそれは、人間が勝手に考え出した説に過ぎないのだろうが、ホントかも、と思えるくらい幼き生き物たちは可愛い。

ホッキョクグマも。ホッキョクギツネも。

「たのむ、抱っこさせて!」
と言いたくなってくる。

また、「きみ、きみ。そんな雪の中に寝そべっていて寒くは無いのかい?」と写真のゴマフアザラシくんに話しかけている自分が居る。

テレビに話しかけてしまう老人は居ても、本の写真に話しかけるなんて、と思っている人。一度この本のページを開いて御覧なさい。きっと、あなたも話しかける人になってしまうはず。

二ヶ月くらい、いろいろあって憔悴しきっていた僕。
風景と人、読書と著述、そして体を動かすことで心身に少しずつ生きることへの活力が呼び戻されつつある。

大きな自然に抱きしめられ、小さな自然を抱きしめながら、僕は本来の自分を取り戻してゆく。


この感想へのコメント

3.KUMI (2007/10/10)
敬意を表してなんて、ありがとうございます。まろさんに読んで頂いたおかげで、私の方がたくさんの事教えて頂いたのに・・・。本当に感謝です!
ところで、まろさんの娘さん、写真のアザラシ君同様にかわいいですね♪めっちゃ、キュ~トな性格じゃないですか!!
子をみれば、親がわかるってよく言いませんか?
やっぱり、まろさん・・・、そうなのかぁ♪
4.フィリップ・まろ (2007/10/10)
我が娘のことを大変に誤解しながら「かわいい」とお褒め下さり有難う御座います。
彼女がネットをしていると気になるので覗いてしまいます。すると一切力加減の無い“お友達パンチ”の連打。それでも諦めずに覗こうとすると「ええい!正拳突きだあ!」と父が教えた通りのスルドイ中段突きを入れてきます。ダウン寸前、セコンドの妻がタオルを投げ入れます。体中にあざを作りながらその強烈な打撃の破壊力に娘の成長を感じる父です。

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 2

風の物語 Alaskan Dream 2 (Alaskan Dream 2)

著者 : 星野 道夫

出版社:阪急コミュニケーションズ

発売日:2002-12-20

評価 :

完了日 : 2007年10月07日

図書館でこの本を探し当てた。帰り道。自慢のリサイクル・チャリ『ブルー・インパルス』号を城跡の公園に停める。僕の大好きな“渚にて”の裸婦像の前の芝生の中のベンチに陣取る。

『Alaskan Dream 風の物語 Ⅱ』のページを開く。
なんとここでのっけから、僕が永らく捜し求めていた言葉と出会う。

「ぼくたちが毎日生きている同じ瞬間、もうひとつの時間が確実にゆったりと流れている。日々の暮らしの中で、心の片隅にそのことを意識できるかどうか、それは天と地の差ほど大きい」

ずっとそのことを考え続けていた僕の放浪時代だった。
今、居るここじゃない所で起きている何事かに憧れて旅を続けていた。
しかし、考えてみると、それは、何処の土地へ行っても留まることの無い、求不得苦の欲求でしかない。

ならば、自分の全身全霊を賭してイマージネーションを働かせて、もうひとつの時間の流れを探すことだ。

著者の言葉に力をもらって、僕は愛車ブルー・インパルスのペダルを力強くこいで家路についた。


この感想へのコメント

5.KUMI (2007/10/12)
そうなのだ。話し合いの道を選ぶべきなのだー!!
思わず、乗ってしまいました♪
そうですよね。私もそう、思いま~す!
人って、見た目じゃわかんない。話して初めてわかるんですよ。そして、そして、わかりあえる人とめぐり合えた時の感激ったら、ないですよね!おしゃべり好きも役にたってるのかも知れませんね。
6.フィリップ・まろ (2007/10/12)
上記の「それでも…」の一行詩は、神を唯一の存在とする異教徒の間の紛争が勃発したときに書いたものです。同時期に我が家では夫婦喧嘩が家庭内を焼き尽くすほどに炎上していました。暴力で他者をねじ伏せることの虚しさ。自分を解って欲しいのなら、話し合う努力を惜しんではいけない。説得に失敗しても何度でも試みる。一度席を外して深呼吸してもう一度。成功するまで何度でも。うまくいくことを信じて。これが僕のやり方。

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森と氷河と鯨―ワタリガラスの伝説を求めて

著者 : 星野 道夫

出版社:世界文化社

発売日:1996-12

評価 :

完了日 : 2007年09月24日

何万年前になるのだろうか。
アジアに分布していたモンゴロイドの東進がはじまる。難所ベーリンジアを越え、ある部族はアラスカに居住し、またある部族は中央アメリカまで南下。なかにはさらなる土地を目指してまだ南を志す者たちもいた。グレート・ジャーニーである。

ワタリガラス。

彼らに寄り添いながら旅を続けていたのがワタリガラスの思想、神話である。
漆黒の闇を纏い、死肉を食らう鳥、カラス。この世とあの世を結び飛び交うと言う。古代人がカラスに霊的なものを感じたのは想像に難くない。
日本にもヤタガラスの神話がある。これらの間に共通の思想性があるのかどうか、勉強不足の僕には解らない。しかし、カラスの霊性は疑いあるまい。また、この世の天地創造に何らかの関わりを持っていたことも。

『森と氷河と鯨』ページを開くといきなり、一人の不思議なインディアンが登場する。ボブ・サム。彼は寡黙である。浮浪者のような身なり。しかし10年前、西欧文明が蹂躙し荒れ果ててしまった先祖伝来の土地の整理に懸かる。そこは先祖が眠る墓地であった。彼の無償の行為は部族の人々の心を動かす。
星野道夫はボブの妻に問う。
「ボブはヒーラー(信仰的な治癒能力を持った人間)なのか」と。
「人が人を何らかの方法で癒やすことはできないと思う。そのかわりその苦しみをもった人を見つめながら共にいてあげることはできる。ボブはそういう力をもっているかもしれない」それは若い頃に地獄のような旅を続けてきたからだ、と言う。
なんていい言葉だろう。また、なんて素晴らしい夫に対する妻の洞察であろう。
ボブは自分に与えられた部族における役割を果たしつつある。それは瞭かに彼の宿命なのであろうが、それを理解し援助しているのが彼の妻なのだと思った。

星野道夫はワタリガラスの伝説を求めて旅を続ける。そしてカムチャツカ半島クルリ湖畔でヒグマに襲われてその終焉を迎える。しかし、僕にはそれがアイヌ民族の言う、住みかの移動に過ぎないように思われる。こちら側からあちら側に移動したのだ。そこで彼は今もワタリガラスの神話の真意を探求しているのではないだろうか。


この感想へのコメント

1.KUMI (2007/09/24)
まろさんの感想を読んで、この本に出会える日がさらに
待ち遠しくなりました。本当に星野さんの世界観はどこまで
広いのでしょう。そして、旅を続けながらなにをつかんだろう、と言う思いでいっぱいです。
でも、彼の死を「住処の移動に過ぎない」と、言ってくれて
ありがとう。私もそう思います。
2.フィリップ・まろ (2007/09/25)
「ワタリガラスの伝説を求めて旅を続ける星野道夫」って言った僕。待てよ。そうじゃない!星野道夫自身がワタリガラスだったのでは?と思えてきました。あの世もこの世もなく自由気ままに中空を飛び回るワタリガラス。神話の発生を今、僕らは垣間見ることになった。語り継ぐべき物語を託された者の役割を考えなければならない。
 

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LOVE in Alaska 星のような物語

著者 :

出版社:小学館

発売日:2006-08-03

評価 :

完了日 : 2007年09月23日

写真集の1ページ目を開くと、イヌイットかインディアンか解らないけれど、5人の子供たちが草原に寄り添っている写真。そのキャプションがいい。

「寒いことが、人の気持ちを暖めるんだ。離れていることが、人と人を近づけるんだ。」

ああ、もう、僕にはこの1ページを与えられただけで満足、って感じです。
しかし、写真家が力を込めて命懸けで撮影した作品集。最期までじっくり、ゆっくり、アラスカの大自然を満喫、堪能させてもらいました。

そして、気付いたこと。それは、人間であれ、ヒグマであれ、キツネもセイウチもシロクマも、親子が寄り添っている姿が最も美しくて感動的だということ。今夜、高校生の娘が帰ってきたら、「ごろにゃ~」と寄り添ってみようかな。「何だよ!オヤジ。キモイなぁ!」って言われるのは目に見えているか。

最終ページがまたいい。真の闇の中、焚き火に手をかざす著者。最期にオーロラと星と月明かり。地上には針葉樹林に囲まれた一軒の民家の明かり。

「日々生きているということは、あたりまえのことではなくて、実は奇跡的なことのような気がします。」


この感想へのコメント

8.あんこ (2007/10/03)
どうしてもまろさんのコメントに感想を入れたかったので、書きます♪ 私と父も、まろさんと娘さんと同じく仲がいいんです!しかも会話が似てますね~笑 私の父はどうしてか「アルバス・ダンブルドア」が覚えられません笑 まろさんはどうですか?^^
そういえば。。ハリポタ最終巻は名前と単語がすごいことになっていました!日本語訳が出たらぜひ娘さんのチェックを受けてくださいね!
9.フィリップ・まろ (2007/10/03)
どうしてもあんこさんのコメントに感想を入れたかったので、書きます♪
残念ですが、「アルバス・ダンブルドア」は、ただ一人、僕の得意な登場人物です!自分の言語趣味に合った言葉の並びってありますよね。昔、アレックス・ヘイリーの小説『ルーツ』に“クンタ・キンテ”という登場人物がいました。僕の友人は何べん教えても“キンタ・クンテ”って言うのです。だんだんと僕も訳が解らなくなってきたのを覚えています。

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