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一花三季さんの読書ノート

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 5

NANA 17 (17) (りぼんマスコットコミックス クッキー)

著者 : 矢沢 あい

出版社:集英社

発売日:2007-03-15

評価 :

完了日 : 2007年06月18日

ブームに乗るのがなんか嫌で、今回初めて通して読んでみたけど、なんだかな~。
よくできた話だと思うし、キャラクターも多彩で、人気が出たのもよく解る。けど、ぐいぐい物語に入っていくという感じになれない。これは、過去と未来が中途半端に交錯するような描き方になっているせいかな……と思う。どこかの近未来(?)からこれからの話の展開を予感させるようなハチ(主人公の片割れで語り部)のモノローグが時おり入るのだけど、その後の話の流れがモノローグと必ずしも結びついていない。今後、主人公のNANAは(多分)失踪して、どこかのクラブで歌っているところを仲間に発見されることになるらしいのだが、最新刊の17巻では、まだその予兆さえみられない。NANAが彼氏とすれ違いになったり、生き別れになった母親のことをゴシップ誌がかぎつけたり、だんだん精神的に追い詰められていく様子が描かれているばかりだ。思わず「伏線早」と突っ込みたくなる。
もちろん、この部分が独特の切ない雰囲気を演出している面も否定できない。映画も観ていないし、NANA的世界観に最近(しかもネットカフェで)触れたばかりの僕の感想がピントはずれなのかも知れないが。
可能なら、いろんな人の意見を聞いてみたい。


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 2

ちびくろ・さんぼ

著者 : ヘレン・バンナーマン

出版社:瑞雲舎

発売日:2005-04-15

評価 :

完了日 : 2007年06月17日

 人種差別との批判から絶版になっていた岩波書店版を部分的に復刊したもの。リアルタイムではよく知らないので「懐かしい」とか「名作の復刊」という表現は封印するとして、理屈抜きに面白い。絵本の必要条件である色使いもきれい。シュールなクライマックスとアットホームなエピローグ。
 何をおいても、「とらのバター」で作ったホットケーキはなんておいしそうなんだろう!
 


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 1

アルカロイド・ラヴァーズ

著者 : 星野 智幸

出版社:新潮社

発売日:2005-01-26

評価 :

完了日 : 2007年06月17日

 かつて楽園の住人だった主人公、咲子は人間の世に追放され34歳の女性として生きる。そこで出会った恋人になぜか咲子は毒を処方し続ける。
 この小説で描かれる楽園は、人々が植物と同じように種から生まれ、思うように生き、死後再生を繰り返す。楽園を追われ、人間として一回限りの生と死を与えられた咲子が選んだ生き方とは……。人間と植物がまったく同列の存在として描かれる幻想小説(と呼んで差し支えないと思う)。好き嫌いが分かれると思われるが、理性より感性で本を読む方にはお奨めか? 初めて読んだ作家だが、筆力は凄いと思う。


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 1

アフリカの音の世界―音楽学者のおもしろフィールドワーク

著者 : 塚田 健一

出版社:新書館

発売日:2000-06

評価 :

完了日 : 2007年06月15日

 ワールドミュージックブームの頃はまったく興味がなかったのに、最近アフリカ関連本に心惹かれている。同書は、芸大出身の音楽学者がアフリカ音楽の魅力を生き生きと描くフィールドワークの記録。アカデミックな内容ではなく、筆者自らが「アフリカ音楽のお奨め本」と位置づけているように、とっつきやすい書き方になっている。
 敢えてずらして組み合わせる巧妙なリズム、圧倒的な迫力のハーモニー、中でも広大なサバンナの中を太鼓の音だけで意思疎通を図る“トーキングドラム”のエピソードには心が躍る。とりあえず「世界は広いな」と実感できることは間違いない。


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 1

赤毛のサウスポー (集英社文庫)

著者 : ロスワイラー,稲葉 明雄

出版社:集英社

発売日:1979-01

評価 :

完了日 : 2007年06月14日

突然、大リーグに18歳の女性投手が登場。主人公のレッドは男社会を固持しようとするさまざまな妨害や中傷にも負けずリーグ屈指の救援投手として活躍するが、女性の死角をついた罠が待ち構えていた。
初出は1979年。性の壁に挑む痛快な野球小説。日本では同じテーマを水島新司がマンガの世界で描いている(しかも調べたらこちらが先)が、ティーンエージャーの女の子の心情はこの小説の方が描けていると思う。ミステリーの要素を持ったスポーツ小説であると同時に、青春小説の傑作。筆者は第一線のスポーツライターで、本書が小説第一作だったそうだ。最近再読したけど、ラストのさりげない一行がかっこいい。


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 2

女王陛下のアルバイト探偵(アイ) (講談社文庫)

著者 : 大沢 在昌

出版社:講談社

発売日:1996-07

評価 :

完了日 : 2007年06月14日

作者自らが「気軽なタッチのパロディ小説」と位置づけているシリーズらしいが、なるほど深刻ぶらずに読み進めることができる。本書は政情不安定な国からやってきた王女を主人公の探偵父子がボディガードするという内容。スケールの大きさではシリーズ屈指か。通勤の友には最適。
大沢在昌は「新宿鮫」といい、キャラクターを作りこんでいくシリーズものが多い。主人公に感情移入できれば書き手と読み手の良好な関係が築き上げられる。


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 1

プラント・ハンター物語―植物を世界に求めて (1983年) (植物と文化双書)

著者 : T.ホイットル

出版社:八坂書房

発売日:1983-01

評価 :

完了日 : 2007年06月11日

植物学というものは、少なくてもその当初はかなりいかがわしいものだったのだということが本書を読むと解る。珍しい植物を求めて世界を渡り歩くというプラント・ハンターの動機の源泉は、知的探究心だったり、功名心だったり、スポンサーへの義理だったりするわけだが、この世界で多少とも名を残したハンターたちの行動はパイレーツ・オブ・カリビアン的といっても過言ではない。たとえば、他人の庭に未知の植物を植えられていて、持ち主が苗の譲渡を拒否したとき、黙って奪っていくことがハンターたちにとっての正義だった。
プラントハンターの視点で歴史を読んでいくと、学生時代に学んだ教科書の歴史に別の表情がみえてくる。たとえば、日本の鎖国政策に楔諸外国が楔を打ち込んだのも、日出づる国の未知の植物を自国に持ち帰りたいという動機が一因となっているという。そんな状況下では、「本業」を別に持つ植物愛好家がしばしばプラントハンターとして成果をあげたのも納得できる。たとえばフィリッツ・フランツ・フォン・シーボルトは、プラントハンター的世界観でみると「医師の肩書きを最大限に利用し、東インド会社をたぶらかして皇帝のように好きな植物を採集した策士」ということになる。


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 12

アジアンタムブルー (角川文庫)

著者 : 大崎 善生

出版社:角川書店

発売日:2005-06-25

評価 :

完了日 : 2007年06月01日

読み終わった後“慟哭の恋愛小説”という出版社の帯には正直違和感を覚えた。もしかして、僕の感性に問題があるのかも知れない。恋人を癌で失った主人公が前を向いて生きようとするさわやかな読後感は良かったが、泣くことはできなかった。
むしろ印象に残ったのは、心に傷を背負っていた高校の先輩女性や、主人公がデパートで出会う不倫による心中で夫を亡くした女性のエピソード。やさしく描かれている脇役の女性たちが好きだ。


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