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長老みさわさんの読書ノート

読了本2006
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 14

風の墓碑銘

著者 : 乃南 アサ

出版社:新潮社

発売日:2006-08-30

評価 :

完了日 : 2007年02月27日

正直言うと乃南アサさんの小説は「当たり外れがある」というイメージがありまして、そんな訳で全作とかは読んでないんですが、音道刑事シリーズならば安心して読めます(^^)

下町で工事現場から発見された20年以上前の白骨死体。男女と嬰児か胎児か判別できない3体。
関係者の捜査中に発生した新たな殺人事件。

捜査本部に配属された音道刑事とコンビを組むことになったのは「あの」滝沢刑事だった。

新たな死体が出る訳でもなく、刃傷・拳銃沙汰になるでもなく、ひたすら地道な捜査活動を綴った本作はある意味とても地味です。
ひたすら積み重ねるようにして見つけ出した真実は、真犯人に同情の余地も無いもの。
この時点で、原作通りでは絶対TVドラマにはならないでしょう。
最後の10行だけは余計でした。


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 7

氷壁 (新潮文庫)

著者 : 井上 靖

出版社:新潮社

発売日:1963-11

評価 :

完了日 :

日本を代表する山岳小説にして恋愛小説の古典。

しかし、さすがに文体が古い。
冒頭数ページで挫折するかと思ったが、慣れれば問題なく読めた。

魚津恭一は友人の小坂と連立って冬の穂高東壁を登攀する計画を立てていた。
登攀計画を前にして小坂には夫のある婦人に恋愛感情を持っているという問題を抱えており、魚津も期せずしてその関係に巻き込まれる。

そのような問題を抱えたまま穂高へ向かった二人は東壁で事故にあい小坂は遭難する。

表題「氷壁」が登場するのはその冒頭の登攀シーンのみ。あとは東京、遺体の捜索に向かう穂高、そして東京と舞台を展開して魚津と小坂の愛していた婦人と小坂の妹の微妙な関係を軸にした恋愛ドラマとして展開。

今の感覚だといかにも純文学。当時だと大衆小説だったのかなぁ?


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 11

水滸伝〈2〉替天の章 (集英社文庫) (集英社文庫)

著者 : 北方 謙三

出版社:集英社

発売日:2006-11-17

評価 :

完了日 :

>>旗を揚げた。『替天行道』。兵たちは一瞬静まりかえり、それから大歓声をあげた。

>>「あの旗が梁山泊のすべてだ。やがて宋江もここへ来る。ほかの者たちも。あの旗を東京開封府掲げるのが、われらの志の行き着くところだ」

ついに「梁山湖の山塞」は「梁山泊」となる。
時間をかけて準備したものがついに動き出す。


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1.杉江由次 (2006/12/20)
全巻出たら読もうと思っていたところ、天から単行本全19巻が降ってきました。うれしいけれど、置くところがなく困ってます。とりあえず年末年始に一気読みの予定です。
2.長老みさわ (2006/12/20)
うわぁ。羨ましい。天によろしくお伝え下さい(笑)
しかし、文庫本、全巻に解説つきですよ。
北上次郎・大沢在昌・逢坂剛 このあとどんな顔ぶれが並ぶのやら。

楊家将があって、血涙(未読)があって、水滸伝にまたその末裔が登場するんですよっ!
お楽しみに!
 

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 1

蛍の行方―お鳥見女房 (新潮文庫)

著者 : 諸田 玲子

出版社:新潮社

発売日:2006-10

評価 :

完了日 :

将軍家の「お鳥見役」矢島久之助の女房珠世を主人公にした「お鳥見女房」シリーズの2作目。

1作目の話を大方忘れてしまっているので、少し多い登場人物の関係が頭に入るのに一寸時間がかかったけれど、あとは問題なし。

8章からなる一話完結の「小さな物語」とお役目のため沼津に行ったまま消息を絶った夫久之助を巡る「大きな物語」それに主人公珠世の娘の恋という「中くらいの物語」がバランスよく構成された連作短編集。

「小さな物語」たる江戸、お鳥見役組屋敷周辺の物語は「武家」ながらも市井物と呼んでもいいような日常の人情と機微の物語。
8章を貫く「大きな物語」は「お鳥見役」に隠されたもう一つのお役目にまつわる話で物語が進むに従って緊迫感が増し、8章は手に汗握ろうかという展開。

続刊は5巻まで出ているんだけれど、文庫を待つか、買ってしまうか・・・


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 1

時空旅行ガイド大上海

著者 : 広岡今日子 榎本雄二

出版社:情報センター出版局

発売日:2006-10-13

評価 :

完了日 :

日々恐ろしいほどのテンポで変わっていく上海。

築80年を超える大理石建築が並ぶ「バンド=外灘」の対岸には上海再開発のシンボルとも言えるTV塔をはじめとするSF的風景の並ぶ浦東地区の風景。

「魔都」「租界」「外灘」
そんな「オールド上海」に《つまずいて》しまったのが本著の執筆陣。

再開発の波にさらされ、浦東地区以外でも古い建物はどんどん減りつつあるなか、残された遺構を訪ねオールド上海を妄想するための超時空上海ガイド。

ブックデザインも凝りに凝って4色カラーページは隅のほうが焼けているようなノイズがほどこしてありまるで古本みたいなつくり。
中の地図も余計な情報は入れないで古地図の体裁になっていて、そのままオールド上海に行けそうなイメージになりがち。本文では「今はもう残っていない」としつこく書いているのだが…。

古い上海につまずいてしまった人たちによる「上海のつまずき方」ガイド


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 4

ほたる 慶次郎縁側日記 (慶次郎縁側日記)

著者 : 北原 亞以子

出版社:新潮社

発売日:2006-10-19

評価 :

完了日 :

半年に一度定期的に刊行される《慶次郎縁側日記》シリーズの最新刊。
シリーズに「脇役」という文字通り脇役にスポットライトを当てた作品があるが、本作も慶次郎本人が登場するのは最後の数ページだったりして慶次郎本人が「脇役」となっているものが多い。

今回は慶次郎の娘婿晃之助の登場すら少なく、晃之助の同僚島中賢吾をフィーチャーした「五月雨るる」が光ってる。

すっかり好々爺となってしまった慶次郎だが、心の奥底には未だに燻る重いものがあることも忘れずに描くけれども、「罪を起こさせない」仏の慶次郎は健在で罪が罪になる前に事の解決を図る。

シリーズが長くなるんで、そろそろ半年くらい掛けてじっくりと謎を解く大きな事件に挑むとかして欲しいところだな。

蓬田やすひろの挿画カバーを外すと慶次郎の、そして全ての人々の心に潜む刃が見える


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 16

水滸伝〈1〉 曙光の章 (集英社文庫 き 3-44) (集英社文庫)

著者 : 北方 謙三

出版社:集英社

発売日:2006-10-18

評価 :

完了日 :

19巻のうちの1巻目だから序章である。梁山泊に集う好漢たちが、徐々に、徐々に集まり始めるそのとば口。物語はまだ動かない。

それなのに、この魅力。このかっこよさ。

「替天行道」この旗印のもと漢たちが集う。

1巻目のラストはこうだ
「そうか、私は医師でいられるのか」
「おまえは、医師でしかいられない」


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1.あきんたん (2006/10/26)
こんにちは。
> それなのに、この魅力。このかっこよさ。
そうですよね。
私は、魅力とかっこよさに、ぐいぐいひきつけられて、順調に読み進めています。
「くぅ、なんてかっこいいんだ!!」と思いつつ、読んでます。
2.たかこ (2006/12/01)
こんにちは。
このラストで胸がキューと苦しくなって
わーっと鳥肌の立つような、
涙が出るような、そんな思いを感じました。

どうやらはまってしまったようです…。
 

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 1

女流―林芙美子と有吉佐和子

著者 : 関川 夏央

出版社:集英社

発売日:2006-09

評価 :

完了日 :

林芙美子と有吉佐和子という「女流」の名にふさわしいと言える二人の作家の生涯を追うことによって昭和を浮き彫りにしようというのが本書。

著者のあとがきを見ると、ことさら昭和にこだわった訳ではないようだが「《女流》という歴史用語が生きていた懐かしい時代」の二人の作家を描くことは、やはり昭和を描くことだったんだろうと思う。

ま、林芙美子の章ではことさら「昭和」を感じたが、有吉佐和子の章では「昭和」はあまり強くは出ていないな。

帯にも引用されている「あとがき」の文章がこの本を
一番良く表していると思う

『才能があって過剰なまでに個性的、そして生命力にあふれすぎた「女流」、ただし後進ギアを持たず、またエンジン冷却装置に構造上の難点があった』


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 1

竹女ぼさま三味線をひく

著者 : 野澤 陽子

出版社:津軽書房

発売日:2006-07-25

評価 :

完了日 :


「おめ(前)、ぼさまのこと書いてけ(呉)ねが。ぼさまバ書くためだったら、わ(私)の、これまでのこと、全部しゃべるから、書げ。」

市川竹女は著者に突然電話でそう告げたという。

著者の夫は佐藤貞樹氏。青森県芸術鑑賞協会の設立に係わったのち、1970年代初めから高橋竹山氏の三味線を全国に紹介することに尽力し、1980年代からはその仕事に専念。1998年の竹山氏の死去まで行動を共にし「自伝津軽三味線ひとり旅」「おらの三味線いのちの音だ」「高橋竹山に聴く」などを顕した人。
その高橋竹山よりも十六歳年下で、津軽の「ぼさま」直系の系譜をひき、門づけ芸から初めて最後まで演奏を続けた最後の一人が市川竹女であるという。

その、生涯を追うことによって津軽の「ぼさま」の世界を書き留めたのが本書だ。

市川竹女-1925(大正14年)生まれ。村で一・二番の資産家の家系に生まれながら不幸が重なり「とりあえず」のつもりで「ぼさま」の家に預けられたまま年月を経て、「ぼさま」と共に門づけ芸を覚え、ついにはこの世界で師匠となり多くの弟子を抱え、正当なる津軽のぼさま三味線を伝えた文字通り波瀾万丈の人生を送った女性である。

今でこそ「津軽三味線」と言えば独奏楽器としての地位は確固としたものだが、明治・大正、そして戦前の頃までは男盲の「ぼさま」と呼ばれる人々が、家々の門前で唄をうたったり、長い口説や祭文を唱えながらジャラン・ジャランと合いの手に入れていた伴奏楽器であったという。

後に祭礼などの場で催うされる「唄会」が興行としての「唄会」に進化し、「ぼさま」の芸が目明きの素人がやる芸能へと変わって行き、元々社会から弾き出されていた「ぼさま」達は、その世界からも弾き出されてしまう。

そして津軽三味線の三羽烏「白川軍八郎・木田林松栄・福士政勝」によって津軽じょんから節の「本貫」を演奏し伴奏楽器から独奏楽器への道が開ける。

その津軽民謡の歴史を現場にいて、共に歩んで来た市川竹女が、「ぼさま」のことを書き残して置かなくてはと、著者に訴えて生まれた本著は、津軽民謡の略史として優れたノンフィクションになっている。

その余りにも波瀾万丈な生涯は誰か手練がフィクションとして描いてくれないかなと思ったり。

長部日出男「津軽よされ節」を再読したくなったー


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 3

昭和出版残侠伝

著者 : 嵐山 光三郎

出版社:筑摩書房

発売日:2006-09

評価 :

完了日 :

1980年から1982年。雑誌創刊ラッシュ前夜。
老舗出版社平凡社を辞めた著者は夜桜の咲く井の頭公園の池上に白い蒸気が立ちのぼり「仁義礼編集屋兄弟」の八字を刻した霊玉が八方に飛び散るのを見た(気がした)

経営危機に陥った平凡社が希望退職者を募り、詰腹を切らされる立場となったのが常務取締役だった馬場編集局長、通称ババボス。ババボスの下、大いに発行部数を伸ばしていた「太陽」「別冊太陽」の編集長だった著者、及びその編集部にいた多くが馬場氏と共に平凡社を去った。実に、十七名居た太陽編集部員のうち十一名が退職届を出したというのだ。

退社したババボス以下七名が結集し、学研がサポートするもとで「青人社」を立ち上げ、かくて「面白至上主義」とも言える新雑誌「ドリブ」発行へ。

時はバブル前夜。ビートたけしがブレークし、タモリがデビュー。篠原勝之・南信坊・渡辺和博が評判になり、唐十郎が、尾辻克彦が芥川賞を、そして村松友視が直木賞をとる。向田邦子が亡くなり、羽田沖に日航機が落ちた。そんな時期の疾風怒濤悪戦苦闘の日々を描いた実録風雲伝である。

疾風怒濤悪戦苦闘といいながらも本文は淡々とした語り口でその時あった事件事故と著者自身の周辺事情とそして雑誌「ドリブ」の編集企画についてが描かれる。

本来は教養路線の本を出したかったババボスの下、集まった編集者達は「金と女と上司の悪口」を基本線に据えた「面白ければ何でもいい」雑誌作りに燃えた。雑誌は時代の波に乗り、編集長が変わるたびに部数も伸ばし七人から始まった青人社は六十人を超えるまでになる。

「ババボスについて書いておかねば」という思いのこもった一冊。


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 2

野田秀樹 赤鬼の挑戦

著者 : 野田 秀樹,鴻 英良

出版社:青土社

発売日:2006-08

評価 :

完了日 :

「赤鬼」は1996年に初演され、その後、タイ人キャストによるタイ語でのタイ公演、そのプロダクションによる日本公演、ロンドンで座組みして英語によって上演されたロンドン公演、日本人ニューキャストによる再演を含む日本・タイ・ロンドンの3ヴァージョン連続の日本公演、そして韓国語による韓国公演と、文字通りのグローバルな展開をしてきた野田秀樹の代表作と言ってもいい舞台。

本著はその「赤鬼」のロンドン公演、タイ公演の苦闘を記したもの。
初出がセゾン文化財団の機関紙に野田秀樹氏が書いたもの、評論家の鴻英良氏が野田秀樹氏にインタヴューしたものを演劇専門誌に載せたもの、雑誌『ユリイカ』の野田秀樹総特集に載せた両氏の対談と色々になっているために、文章も判りやすかったり、突っ込んだりと一冊の本としては一寸バラツキがあるものの、「赤鬼」のバックストーリーとしてはとても面白かった。

「赤鬼プロジェクト」と相前後して執筆・上演されていた「オイル」「パンドラの鐘」そして「砥辰の討たれ」と言った作品群が当時の社会状況とどのようにリンクして書かれていたのか。それらが鴻氏との対談や鴻氏の評論によって明らかになっていく。

読了して「赤鬼」も野田秀樹のその他の作品も自分では半分も読み取れてなかったんだよなと実感されたのはチト悲しかったりしますが(笑)




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 4

神社の系譜 なぜそこにあるのか (光文社新書)

著者 : 宮元 健次

出版社:光文社

発売日:2006-04-14

評価 :

完了日 :

由緒のある神社の中で、その由緒故に関連のある神社や、霊山、古墳群などの配置が冬至/夏至の日没方向や東西軸/春秋分の日没方向などの自然暦に正確に配置されているという事例の紹介。

1章は「怨霊の神々」2章は「王権の神々」3章「大和朝廷と東西線」4章「氏族の守護神」5章「人をを神として祀った社」の5章建て。

1章の「怨霊の神々」が一番面白かった。何故かと言えばその関連する神社が自然暦によって配置されたとするs0おの根拠が示されているからで、他の章でも続々とそれら自然暦で配置された神社が紹介されるものの、2章以降の神社についてはその理由が全く説明されていない。せめて著者の推測でもあれば楽しめると思うんですがね。

日光東照宮以降の実在した人物を祀った神社の配置については、知らざる歴史が指摘されていてそこそこ面白かったんですが、明治神宮が「靖国神社同様神社本庁に加盟しない単立の社であり・・・」等と大間違い(執筆時点では確かに明治神宮は神社本庁から脱退しているが、元々は神社本庁の加盟神社であり、現在はたまたま脱退しているだけ)の記述があったり、本著のテーマとなっている自然暦の配置についても略図によって判りやすく顕してはいるもものの、「正確に配置されている」とか「冬至の日没方向にぴったち」とか書かれていても、現在の地図上でどの程度の精度での正確さなのかの記述が一切無いので説得力に欠けるんだなぁ。


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1.七生子 (2006/09/18)
みさわさん、こんにちは。
どういう経緯でこの本を読まれたのか気になりますが、
なんか面白そうですね。
神社仏閣めぐりが趣味と豪語する加門七海さんの作品とあわせて読むと
面白さ、倍増しそうな気がします。
2.長老みさわ (2006/09/18)
七生子さん、うんちわ。
結構、こっち方面は好きなんですよ。
始まりは高校の頃読んだ梅原猛さんの「隠された十字架」辺りかな。
政権争いで政敵を追い落として政権に付いたものの、その怨霊に悩まされて神社やお寺を建立したって話は結構多くて、それについては怨霊封じの意味も込めて方角が重要な意味を持つってのは色々あるんですよね(^^;)
 

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 15

ハナシにならん!―笑酔亭梅寿謎解噺〈2〉 (笑酔亭梅寿謎解噺 (2))

著者 : 田中 啓文

出版社:集英社

発売日:2006-08

評価 :

完了日 :

金髪で落語界のことなど全然知らずに入門させられた星祭竜二が師匠笑酔亭梅寿のもとで修行しながら日常の小さな謎を解いていく笑酔亭梅寿シリーズの2巻目。
1巻目は落語の世界に反発を感じながらも落語の面白さに気が付いていくという成長譚が根っこにあったんだけれど、2巻目では落語の世界で生きていくという気持ちに揺るぎがなくなってしまってるので、なんか軸がなくなってる感じ。
竜二の迷いは落語と漫才とか落語とTV界とか「他ジャンルに勝てるか?」という方向。
定席がないとか前座・二つ目・真打という制度がないとか上方落語特有の事情も盛り込まれて、江戸落語だったら展開の違う話になっただろうなとか。
不満点はあるものの、それは「面白い故」の不満点。
著者の落語への愛情がふつふつと感じられるのは前作同様。
次シリーズも期待です。


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 8

エンターテインメント作家ファイル108 国内編

著者 : 北上 次郎

出版社:本の雑誌社

発売日:2006-08-24

評価 :

完了日 :

この本は、よくない本です。
とりあげられている未読の本が読みたくなるのは当然として、既読の本まで再読したくなってしまうのです。
文庫で読んでいて、収録されている北上さんの文庫解説も既読だというのに、その絶妙な引用によって、読了時の興奮がまざまざとよみがえってしまうのです。

まったくこまったものです


この感想へのコメント

1.たかこ (2006/09/12)
はじめまして。

>とりあげられている未読の本が読みたくなるのは当然として、
>既読の本まで再読したくなってしまうのです。

まったく激しく同感です!!
蔵書リストが大変なことになっています。
おまけに、「今すぐ」は読まなくていいけど
「もう少し大人になったら」きっと読みたくなる本までたくさんあるのです。

けれど、こんな悩みはうれしい悩みなのです。
2.長老みさわ (2006/09/14)
takakoさん、こんにちは。
困っちゃいますよね(^^)
激しく再読したくなったのが十二国記だとか三国志だとか大長編だったりもして…。あとは浅田次郎とか「もういいよ」とか思ってる作家なのに再読したくなってしまいました。
あとは「アドバード」かな。

翻訳はあんまり読まないんで「海外編」はでても大丈夫かな?とか読んでないのが殆どだから読みたくなるのかな?

純文学編が出たらヤバイかも
 

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 8

愛のひだりがわ (新潮文庫)

著者 : 筒井 康隆

出版社:新潮社

発売日:2006-07

評価 :

完了日 :

「時をかける少女」を超えたジュブナイル
というと似たような惹句だった「わたしのグランパ」はあまり印象に残る小説ではなかったんですが、これは傑作の言葉に偽りなしです。

主人公の愛は12歳で母を失う。行方不明になった父を探す愛の旅が始まる。
舞台は近未来と思われる日本。社会は治安が悪く、強盗・殺人が跋扈し、少女が一人で旅するには危険すぎる旅だった。
そして、左手の不自由な少女のひだりがわには常に守ってくれるものがいた。

特殊な能力を持った少女のロードノベルは、「時をかける少女」よりも「火田七瀬」シリーズを彷彿とさせたなぁ。

テーマ的には別に珍しいことを書いている訳ではないんだけれど、「善意」と「悪意」について丁寧に書かれた秀作。最後の一行は予想の範囲内ではあるのだけれど、やっぱり「やられた!!!」って感じです。


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1.七生子 (2006/08/13)
わー!すんごく面白そう!みさわさんたらススメ上手ですね!
最後の1行のために読みますとも!
2.長老みさわ (2006/08/13)
ほんっとテーマはありふれたと言っていい位の話なんですよ。でも、最近のライトノベル系の作家と違ってじっくりと読後感があるんです。
最後なんか、「もう、これ以外にない」終わり方なのにね!
 

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 1

神=剣侠〈3〉襄陽城の攻防

著者 : 金 庸

出版社:徳間書店

発売日:2006-08

評価 :

完了日 :

巻<1>だけ代表で載せておけばいいかと思ったんだけれど、そごいすごいすごい。

ページを捲る毎に文字通り「必死」「必殺」の戦いが描かれるのは金庸の得意とするところだが、なにしろ5ページに一度の大ドンデン返し。話がどちらに転ぶかまるで予想がつかない。

疑惑・誤解・義侠・純愛・恋慕

果たして、史上最高の純愛は成し遂げられるのか。
親の敵の誤解は解けるのか。
乞うご期待!!!!


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 4

夏の日のぶたぶた (デュアル文庫)

著者 : 矢崎 存美

出版社:徳間書店

発売日:2006-08-09

評価 :

完了日 :

ぶたぶたシリーズ最新刊は「夏の日のぶたぶた」
「刑事ぶたぶた」ではコインランドリーの乾燥機の中を走ったぶたぶたですが、今回は金盥で行水です。本読みながら。本のタイトルは…お楽しみ。

主人公菅野一郎は中学2年生。父のコンビニの手伝いでビールの出前に行った先でビールを受け取ったのはピンクのぶたのぬいぐるみだった。

近藤文恵さんの解説がいいんだなこれが。
>>ぶたぶたが、登場人物たちの現実を変えるわけではない。ぶたぶたは、ほんの少し広い視野だとか、違う視点を登場人物たちに伝えるだけで、実際に乗り越えていくのは登場人物たちだ。
(略)
>>わたしたちは、もういやになるほど知っているのだ。現実には大きな魔法は起こらない。だけど、ほんの小さな魔法を感じられれば、世界はずいぶんと優しくなる。

★一つ分の減点は、やはり主人公が若いこと。
現実に疲れた、大人がぶたぶたに出会って、驚き、パニくりながらも、少しずつ再生していくのが醍醐味だとすれば、今回の主人公はちょっとピュアで、ぶたぶたのイリュージョンを受け入れる余地が大きかった。その分意外性に欠けてしまったかも。

あと、文体がちょっとな。主人公は中学二年で、その一人称なんだけれど、文体が幼すぎ。その割りに出てくる単語は妙に大人の言葉だったりして。


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1.ともきち (2006/09/20)
はじめまして。というか色々クロスしておりますが(笑)
これ、そうなんですよね、ぶたぶたさんで楽しいんだけど、驚きというのが少ないんです。その驚きを見るのもぶたぶたを読む読者の楽しみとすれば、そこがちょっとでした。楽しいには違いないんですが。解説が絶品の解説で!
2.長老みさわ (2006/09/20)
ともっちさん、こんばんは~。「お気に入り」登録したらいきなり★が付いて驚いちゃいましたよ(^^;)

心が疲れていたり、傷ついたりした大人が「そんなことありえない」と思う正常心と「でもかわいい」と思う癒されたい心の葛藤が楽しみなんですよね。

ネットで感想はよく読むけれど、やっぱ作家が書くとお見事って感じで言い当ててくれてますよね(=^_^=)
 

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 1

暁への疾走 (文春文庫)

著者 : ロブ ライアン

出版社:文藝春秋

発売日:2006-07

評価 :

完了日 :

さるフランスの資産家の「お抱え運転手」ふぜいがその愛人と間違いを起こし、職を失ったのち、彼はレーサーとなる。駆るのはブガッティB35.
やがて第二次大戦が始まり、彼はイギリスに帰国し諜報機関員となってフランスに戻りレジスタンス活動を始める。

冒険小説としてそこそこ面白かったんだけれどさぁ、腰巻の惹句とか表4の紹介文とかは一寸嘘多すぎなんでないかい。

「運転手ふぜい」がモンスターマシンを駆ってテールToノーズ/サイドByサイドのカーチェイスを繰り広げるったらやっぱ「虎口からの脱出/景山民夫」がベストだよなぁ


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 7

楊家将〈上〉 (PHP文庫) (PHP文庫)

著者 : 北方 謙三

出版社:PHP研究所

発売日:2006-07-04

評価 :

完了日 :

漢の物語だー

中国では「三国志」「水滸伝」と並んで人気のある物語だというが、日本では殆ど知られてなかったという。
解説を読む限りこれも「北方三国志」「北方水滸伝」と並んで「北方楊家将」と呼ぶべきらしい。

文治の国宋国に孤高の将軍楊業在り。
七人の息子を持ち、そのいずれもが将軍としの資質を備える。
この一族をもって「楊家将」と称する。

そして敵国遼にも孤高の将軍「白き狼」耶律休哥が居た。

天下国家に立ち入ろうとせず、一軍人であることをよしとする生粋の軍人。

そして、宋国と遼国の天下を駆けた戦いが始まる。

「三国志」は天下国家を獲ろうという物語なので戦略級の戦いが生じるがこちらはもっぱら戦術級の戦いなんでもう「血沸き肉踊る!!!」

年末に刊行される続篇が楽しみ!!


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1.杉江由次 (2006/08/03)
いやーこれ興奮しますよね。闘いのシーンの描き方とかもう天晴れで兄弟のキャラクターもよく出来てるし。私も続編を楽しみに待っている一人です。
2.長老みさわ (2006/08/03)
三国志では敵味方に分かれていた武将のキャラが楊家一家で武将のバリエーションを網羅してる感じですよね。
片手の動作だけで手足のように動く赤騎兵とか、すごいですよね。中国に逆輸出してもいいと思う
 

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 139

鴨川ホルモー

著者 : 万城目 学

出版社:産業編集センター

発売日:2006-04

評価 :

完了日 :

京都にある四大学のサークルが京都の町中で競い合う「ホルモー」という競技はいったい何なのか?

葵祭りのアルバイトを終えて吉田神社で休んでいた安部と高村はとあるサークるの勧誘を受けた。サークルの名は「京大青竜会」
これこそが一千年に渡って代々継がれてきた「ホルモー」の競技組織だったのだ。

相棒を務める高村、会長の菅原、憧れのマドンナ早良、そして楠木とそれぞれのキャラクターはよく立ち上がって来るんだが、主人公の安部がどうも良くない。
優柔武断とかなんとか別の呼び方もあるかと思いますが、なんというか「ぐだぐだ」なんです。
その「ぐだぐだ」が一人称で語るものだから物語の展開までもが途中「ぐだぐだ」になりかけて、飛ばし読みしようかと思っちゃいました。
ま、ここまで嫌われるってことは、よく書き込まれてるってことなのかも知れませんが。


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