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終わらない歌をうたおうさんの読書ノート

現代作家男性 ラワ
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ボロボロになった人へ (幻冬舎文庫)

著者 : リリーフランキー

出版社:幻冬舎

発売日:2007-08

評価 :

完了日 : 2007年09月28日

東京タワーを読む前に、こっちを読みたかった。そしたら、いろいろ思うところも違っただろう。

6つの短編が入っている。
自分がもう恋愛物語に参加できる気はしない、と考え、田舎の農家に就職するつもりで嫁に行こうとするOL。
すべての犯罪が死刑であるという世の中。
平凡な主婦を送る女の過去のからだの記憶。
すべてがどうでもよくなった男の決断とその後。

5話目にあたる『Little baby nothing』より。
「楽しいこともあるし、ワクワクする時もある。ただそれが、平凡な気がして、もっとスゴい奴らがいるんだってことも嫌なくらい知ってる。」
「何かをつかむためには暮らしを変えなきゃいけないってことは。でも、それは面倒臭い以上に怖いことだ。そうしていくうちに社会の流れに吸収されて、ただ暮らしているだけの人になることが。」
「本当に何かに夢中になるって、なんにもない奴が想像しているよりも、すげえカッコ悪いことなんだけど、それはショボい価値観なんか超えちゃってるから、気持ちよくて。」

ファミレスで夜な夜なダベっている3人は、ある出来事をきっかけに、何か変わろうとする。でも、すぐに変われるわけではなくて、あまり変わらないような、でも変わったような、そんなところにいる。自分が自分であるのを認めるしかしょうがなくて、でもそれは言うほど簡単じゃない。どうせ私はこうだから、とか、私はこういう人、とか、決めつけて生きたほうが楽なような気がする。でもそういうのに嫌悪を感じてて・・・安易に答えがでない。

これは別の人の言葉だけど、「自己を正当化するために一生懸命になっちゃうわけじゃない。どんどん閉じてっちゃうわけじゃない。それはすごくつまんないなと思う」
私のたたかいはたぶん、ここに集約されるような気がする。

ラストは、再生の物語だ。そこには希望ではなく、あきらめの気配が漂う。けれど、それがなにかいい読後感を与えるのは、彼が楽に逃げず、現状を認めて、そこで腹をくくっているからだと思う。しっかりと一人で立っているからだと思う(その彼には実際の足が片方ない)。

読んでよかったと思う本だけど、★ひとつ減点理由は、タイトルがよくないです。すべて。
この人って誤解されやすいだろうなあ(私も誤解してた一人だけど)。

(2007/9/26)


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