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終わらない歌をうたおうさんの読書ノート

現代作家女性 マヤ
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 19

アカペラ

著者 : 山本 文緒

出版社:新潮社

発売日:2008-07

評価 :

完了日 : 2008年08月22日

ファン待望、6年ぶりの小説集です。鬱をわずらい、入退院を繰り返していた文緒さん。まったく小説の書けない状態が続いていました。
私はファンというほど、そんなに読み込んでるわけではないけれど、出たときはうれしくなった。そして読んで、さらにうれしくなった。

鬱をわずらう前に発表した「アカペラ」とあとの2編が明らかに違う。

「ソリチュード」は田舎を捨てた男が20年ぶりに帰省する話。父が死んだため、ちょっと顔見せに帰るだけ(なにしろ母に会わす顔がない)のつもりが思いのほか長く居つくことになるのは、彼がちょっとしたつもりで東京へ出てきて気づけば20年もたってしまっていたのと同じよう。ダメな男なんだよ(と自分で言っている)。

長く生活すれば、そこで関係ができてくる。人って結局ひとりで生きてるんだよとはよく言うけど、まったく誰とも関係せず生きていくことは不可能に近い。誰と、どこで関係していくかが、その人をつくると思う。それは自分では選べないし、とちゅうでおりることも難しい。誰かに生かされてるような気持ちになることもある。思わぬところで関係がダメになって、人間不信に陥るかもしれない。けど、やっぱり誰かとまた関係していくものなのだよなー。
「帰ってきなさい」と言ってくれる人がいることの幸せを感じた。

「ネロリ」は体の弱い弟と二人で暮らす姉弟の話。弟は39歳で今まで一度も働いたことがなく、姉はリストラにあいそうになっている。二人の生活はつつましく、なにかを望まないで今の生活を守ることだけを考えている。そこに、関係していこうとする少女の存在。

関係することは別れがつらくなることだと最近なにかのおりに考えていた。けど、人はどうやっても関係せずには生きていけないし、関係しないでは、どんな感情も味わうことはできないんだなー、と。
そんなことを思ったからって、なにか人に対して積極的になろうとは全然思わないけど、関係をもつ人に対しては誠実でありたいし大事にしたいと思う。

著者がこの先どんな小説を書くのかとても楽しみです。

(2008/8/13)


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 4

ひとかげ (幻冬舎文庫)

著者 : よしもと ばなな

出版社:幻冬舎

発売日:2008-08

評価 :

完了日 : 2008年08月22日

「とかげ」のリメイク。「とかげ」も併せて載っていて、「ひとかげ」を読んだあとに読むと、とかげがすごくぶっきらぼうな感じがした。前の版のほうがよかったと批判する人もいると書いてはいるが、リメイクは成功なんじゃないでしょうか。

「ほんとうはただ抱きしめたくて触りたくて、キスしたくて、少しでも近くに行きたくてたまらなくて……それが恋だった。思い出したのだ。」

読んで私もそのことを思い出したよー。忘れてたよー。

(2008/8/10)


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 14

長い終わりが始まる

著者 : 山崎 ナオコーラ

出版社:講談社

発売日:2008-06-26

評価 :

完了日 : 2008年08月12日

雑誌掲載時に読んだので単行本は買ってないんだけど、一応記録しときます。

大学のマンドリン部で、ちょっと浮いている子、小笠原。パートトップになりたい、とか、好きな人に好きだとか、ものすごく積極的な小笠原が人との関係を築こうとし、失敗し、傷をいやすものが出てくるでもなく淡々としたときが流れ、四年生が終わる。

終わりってなんだろう。変わってゆくことへの違和感?大学時代という特殊な時間を、派手な出来事を出すわけでもなく、うまく書いてるなあと思う。
楽しい話が読みたい人は、読まなくていいと思う。毎日の生活の中で、なんかちゃうなー、と思ってても言えないことがたくさんあり、そういうことを一人で考え込んでしまう人には、ビンゴな本じゃないのか。

(2008/2/3)


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 66

火車 (新潮文庫)

著者 : 宮部 みゆき

出版社:新潮社

発売日:1998-01

評価 :

完了日 : 2008年08月12日

やっぱり宮部氏、おそるべし。
クレジットの闇、自分を消し、他人になりすまして生きる女の心の闇。現代の生きづらさが、身に迫って感じられる。

「昔は夢見るだけで終わってた。さもなきゃ、なんとしても夢をかなえるぞってがんばった」
それが、誰でも手に入れられるようになった。今の自分ではない何者かになるために、人は知らずクレジット地獄に堕ちていく。

ただこれは1990年の話。今はまた変わってきていると思う。「生きたいように生きる」「夢を追う」ことが絶大な価値を持っている・・・このことを考えると、私は頭が痛いよ(夢を追うために定職に就かない人の多いことよ)。職業に貴賤は必ずある。

(2008/7/17)


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 24

人のセックスを笑うな (河出文庫)

著者 : 山崎 ナオコーラ

出版社:河出書房新社

発売日:2006-10-05

評価 :

完了日 : 2008年04月10日

あらためて読み返してみた。描写がほとんどなく、スカスカ。ですが、一行、一行、神経が張りめぐらされているかのよう。ときどき、でてくる言葉にはっとする。

「触っているから気持ち良いのではなく、触っていると考えるから気持ち良いのだ」
そんなふうに、冷静に自分を観察する自分がいるくせに、どうにもならない部分がある。
心って、なんやろね。

(2008/4/10)


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 9

論理と感性は相反しない

著者 : 山崎 ナオコーラ

出版社:講談社

発売日:2008-03

評価 :

完了日 : 2008年03月28日

この小説はすばらしいと思う。
ただ、そのすばらしさをうまく伝えられそうにない。
どうしよう。どうしたらいいのか。
読み終わったあと、そう思う。
これはいい小説だよ、と誰彼なく言いたくなる反面、そう言うのは極端に憚られる。これをいい、という自分と、もし勧められてそれを手にしたひとが抱く感想と、確実に温度差があると思うからだ。(これはライブ後に、その場にいるみんなによかったねと言いたくなるけど、そんなことをしたら絶対に気持ち悪いしのでしないという気持ちに似ている)。

話としては、大学時代の友人が4人出てきます。男、男、女、女で、男と女は少しだけ同棲します。女の一人は小説家です。女と女は旅をします。男の一人は結婚して、もう一人の男は昔の彼女である女と昔住んでたアパートを見に行きます。小説家の女は、恋をして、その恋に破れて、破れたことを自分の中の不純な動機と結びつけて、自分がなんなのか、てっていてきに考えます。そしてまた小説を書こうとします。女は地球の裏側にきて、逆に地球の裏側に行った人がいることを知るけど二人は絶対に会うことはありません。
基本はその4人の話で、その間間に、なんだかよくわからない話が挟まります。

あ、なんかウソバンドの年譜もあったよ。ところどころ笑えるのです。そう、ユーモア。私、べたべたに感傷にひたっている小説は苦手で、小説には適度にユーモアがないとと常に思っています。

あとがきで著者は自分のことを「俗物だ。私は俗物。」と書いている。それは、たんにノリで書いたのでなくて、たぶん本気で考えた結果の言葉だと思う。

前から、「小説」を書くということにこだわりを見せていると思っていたけど、この本でもガチガチに「小説」を書くぞと言っている。
うるさいぐらいなんだけど、その姿勢が好きです。

実は私、「人のセックスを笑うな」を出たばかりのころに読みましたが、あまり心に残っていません。が、著者は確実に自分の進みたい道をつきつめて、この本に到達したと思う。ので、それがちゃんと認められればいいなあー。しょーもない本ばかり売れるのは、もういいて。けど、出版社も商売やからなあー。

「私は「出版界」なんてものの中で仕事してんじゃねえ。ばか。
文章は「出版界」で生まれるんじゃない、現場で生まれるんじゃ。」

ほんまにそうなんやろう。

(2008/3/28)


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 1

巨食症の明けない夜明け (集英社文庫)

著者 : 松本 侑子

出版社:集英社

発売日:1991-01

評価 :

完了日 : 2008年03月27日

タイトル通り摂食障害の話。

「食の本能自体は、決して恥ずべきことではないはずですが、食でも、性でも睡眠でも、本能にはややもすれば卑しい印象がつきまといます」

(2005/10/30)


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 8

人質カノン (文春文庫)

著者 : 宮部 みゆき

出版社:文藝春秋

発売日:2001-09

評価 :

完了日 : 2008年03月14日

あっさり読める短編集。
「過ぎたこと」という話がよかった。
探偵のところに護身を頼みにくるいじめられている少年。電話、名前を聞いて帰すが、いじめがひどいのが気にかかり心配して探す(電話番号はうそのものだった)。
数年後、大学生ぐらいになった男の子が彼女と歩いているのを偶然見かける。

(2005/12/15)


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 1

すべての愛の1%

著者 : 前川 麻子

出版社:徳間書店

発売日:2005-12

評価 :

完了日 : 2008年02月28日

いろんなエロを書いた短編集。犬とやる話、すごかった。

(2006/1/13)


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 2

ドラゴンフライ (集英社文庫)

著者 : 室井 佑月

出版社:集英社

発売日:2004-12

評価 :

完了日 : 2008年02月15日

銀座のホステスの話。苦境に負けないでその世界でのしあがっていく・・・みたいな王道の話だったと思う。

王道が悪いとは思わない。ストーリーなんて、ほとんど書きつくされてるよ。その上で、作家の存在する意義ってなんだろうね。

(2006/5/3)


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 29

デッドエンドの思い出 (文春文庫)

著者 : よしもと ばなな

出版社:文藝春秋

発売日:2006-07

評価 :

完了日 : 2007年12月27日

毎日電車に乗って働いて、帰って寝る。その繰り返しの中に、過去のある一瞬を思い出してたまらなくなつかしくなったり、もう戻れないと思ったりすることって、みんなあるよね。
私はある。ほぼ毎日。

つらくてたまらなかったことも、幸せで何もかもが生き生きして見えたことも、過ぎてしまったら同じ過去になる。けど、その時間をともに過ごした人の記憶は、年々、なんだか鮮烈になってゆくんだよなあ。

「でも西山君はすぐに私のいた日々を忘れて、またしなやかに人生に進んでいくだろう」

この本を読みながら、この本を読んで欲しいと思う相手がいる人は幸せだなあと思った。もう、会うことのなくなってしまった人でも、思う人がいるというのはいいなあ。私はいないけどさ。けど、ばななさんがこれを書けたとき、小説家になってよかったと思った、というのが、ひしひし伝わってくる。全部読んでるわけではないけど、著者の中でいちばんすきな作品です。

(2006/7/13)


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 4

働く女 (集英社文庫)

著者 : 群 ようこ

出版社:集英社

発売日:2002-06

評価 :

完了日 : 2007年12月05日

2006年の私の読書テーマは女であるらしい。

これは小説というより、いろんな女の展示を見ているようでした。

(2006/8/11)


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 19

格闘する者に○ (新潮文庫)

著者 : 三浦 しをん

出版社:新潮社

発売日:2005-03

評価 :

完了日 : 2007年12月05日

いいねえ!
暗くなってしまうところが自虐的なネタとしてふんだんに使われてる、明るく楽しい小説。読んでていやなところがないし、なんか変なところもある。恋人がものすごい老人やったり。脇役ふくめ、全員のキャラがたってて、難しいこと考えなくてとても楽しめるエンターテイメント小説。

(2006/8/21)


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 24

ロマンス小説の七日間 (角川文庫)

著者 : 三浦 しをん

出版社:角川書店

発売日:2003-11

評価 :

完了日 : 2007年12月05日

普通の話のところはわりとおもしろい。けど、間々に挟まれてるロマンス小説の部分は全飛ばし(笑)。残念。私には分からないさ。

(2006/9/9)


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 90

名もなき毒

著者 : 宮部 みゆき

出版社:幻冬舎

発売日:2006-08

評価 :

完了日 : 2007年11月09日

毒・・・青酸カリという実際の毒物殺人事件から、シックハウス症候群という現代病を通じて、社会にひそむ「悪意」を書く。

さすがにうまいです。
登場人物がそれぞれの頭を持って行動しているというか、破綻がない。変だな、と思うところがない。やっぱり宮部さんは職人としか言いようがないっす。

(2006/12/9)


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 15

腑抜けども、悲しみの愛を見せろ (講談社文庫)

著者 : 本谷 有希子

出版社:講談社

発売日:2007-05-15

評価 :

完了日 : 2007年10月11日

非常に過剰な描写。くどいよ!過剰に自己愛の強い勘違い女。いたいよ!けど、私にも近いものはあるので、もっと突き破って欲しかったネー。

(2007/6/3)


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 14

とかげ (新潮文庫)

著者 : 吉本 ばなな

出版社:新潮社

発売日:1996-05

評価 :

完了日 : 2007年10月05日

癒し、の短編集。私にはちょっと感覚的過ぎて、わからないところもある。

「ある考え方で楽になる若い人たちがいて、その人たちを癒すためだけに書いているのである。」と著者は言う。「それは私が一生かけてしたいこと」だとも。私はあまりいい読者じゃないのかもー。

でも「キムチの夢」で書かれている偶然。
不倫の末結婚、なんとなく罪悪感を持って暮らしている女の人がいて。彼女があるときはっと、目の前がクリアーになった。その日、べつのところではダンナのもとに、元妻から電話が入っていた。結婚が決まったのだという。

こういうことって、きっと、かならず、ある。そう思う。

(2007/5/1)


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 14

長い長い殺人 (光文社文庫)

著者 : 宮部 みゆき

出版社:光文社

発売日:1999-06

評価 :

完了日 : 2007年09月13日

財布が物語るというアイデア一本勝負。
財布視点というのがすごい。今年の小説宝石新人賞が、さらし首視点で、それも見事だったけど、自分では動かないものから見えるところだけで話をすすめるというのは、よほど注意しないと書けない。
宮部みゆきは職人だね。

(2007/8/21)


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 16

秘密の花園 (新潮文庫)

著者 : 三浦 しをん

出版社:新潮社

発売日:2007-02

評価 :

完了日 : 2007年09月10日

幼稚園からあるカトリック系女子高に通う三人の少女の話。大きな事件があるわけではなく、彼女らをとりまく環境や生きにくさを三人の視点で。
ちょっと、読むのつらかった。友人との関係が純化しすぎてて、ついていけない。中学のころ読んだ少女小説を思い出す。あのころは、憧れをもって読めたけど・・・。

期待をしない。から、絶望もない。と、この話でも言っている。
パンドラの箱の最後に残った「希望」それは、いちばん手に負えない災厄だと。

(2007/9/7)


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 11

私が語りはじめた彼は (新潮文庫)

著者 : 三浦 しをん

出版社:新潮社

発売日:2007-07

評価 :

完了日 : 2007年09月04日

「変わらないものなどない。変わらないものなどないという、ただ一つの事実だけが変わらないことなのだ」

一人の大学教授をめぐる複数人の話。この大学教授というのが妻子を捨て、別の女性と家族をつくっているわけで、話はこじれ、とりあえず暗い。人との関わりかたについて、妥協しない。期待も抱かない。だから絶望もしない。このトーンでよく書ききったなあと感心する。

(2007/8/12)


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