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終わらない歌をうたおうさんの読書ノート

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 1

サーカスの息子〈下〉 (新潮文庫)

著者 : ジョン アーヴィング

出版社:新潮社

発売日:2008-11-27

評価 :

完了日 : 2008年12月25日

ファルーク医師はインドで生まれ、ヨーロッパで育ち、現在カナダに住み、インドに滞在している。顔立ちはインド人の血を引いているが、インドでもカナダでも、彼は本当の故郷ではないという疎外感を味わっている。
また、国だけでなく、彼は医者であって、物書きで、また、最後にはボランティアと、自分の職業についてもつねに不安定な中にいる。

自分はどこに属するのか。

自分はこの世の中の、なんであるのか。

互いに存在すら知らされず、生き別れて暮らしていた双子、小人のタクシー運転手、サーカスの役者、まだ子供の売春婦、象に足を踏まれた少年、アメリカから渡ってきた女性、完全に性転換した殺人魔。混沌としたインドを表すようにあれこればらまかれた話の種が、結末、すべて収束し、大団円(?)を迎える。

「娘たちはみんながみんな飛べるってわけじゃない」
「みんながネットの中に落ちるわけでもない」

まだ子供の売春婦をサーカスに入れ、現状から救ってやろうとしている小人のタクシー運転手の言葉。
すべてハッピーエンドではない。けれど、最後、見ず知らずの子供がサーカスときいて目を輝かせるところは、素敵だ。

長いなあー・・・と思いながらがんばって読んでいた私は、ようやくそれから解放される喜びよりも、この、物語の中から離れなければならないことをさみしく思った。

物語は終わったけど、すべては続いている。
長いからみんなに勧められるわけじゃないけど、読んだあとこんな気持ちになったのは久々。
私はこういう小説が好きだなあ。

(2008/12/25)


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 1

サーカスの息子〈上〉 (新潮文庫)

著者 : ジョン アーヴィング

出版社:新潮社

発売日:2008-11-27

評価 :

完了日 : 2008年12月22日

何年かごとにインドに滞在し、不具のための子供の病院で働く医師と、彼にまつわる人々の話。
医師は実はインド映画の脚本も書いており、彼の創作に対する気持ちがつづられるところがおもしろい(彼の映画はヒドイ3流映画)。

殺人事件が起こったり、過去の事実が明らかになったり、ゴシップ的な展開もいろいろ用意されているが、なにより、医師を筆頭に、世間からちょっとズレタ、”変な人”の描写がおもしろい。

しかし読むのに時間かかる。まだ下巻が半分以上残っている。

(2008/12/19)


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 17

日の名残り (ハヤカワepi文庫)

著者 : カズオ イシグロ

出版社:早川書房

発売日:2001-05

評価 :

完了日 : 2008年11月22日

英国の由緒あるお屋敷で執事を務める主人公の回想。品格ある執事を心がける彼の心残りのある一点とは。

「わたしを離さないで」の解説で、一作一作まったく違ったこころみをしている・・・と書かれていたから興味を持ったのですが、淡々とした物語はそう違うふうにも思えない。些細な出来事の細かな描写や、日常のちょっとした楽しみのようなものが、自ら体験してるかのように快く楽しい。
執事としての人生をまっとうしようとする彼の生き方は・・・そういうことか? と何度もつっこみたくなることだらけ。人間、なんのために生きてるんだろうと、また考えたりもした。

(2008/10/25)


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 11

〈プラチナファンタジイ〉 奇術師 (ハヤカワ文庫 FT)

著者 : クリストファー・プリースト

出版社:早川書房

発売日:2004-02-10

評価 :

完了日 : 2008年10月21日

そんな事実はどこんもないのに、双子の片割れであると強く意識して生きる青年がある屋敷を訪れるところから、過去の二人の偉大なマジシャンの手記へ入っていく。二人の確執の要因の一つであるある奇術が、青年の記憶の謎のカギとなる・・・って、実際の話やったらおもしろかったよなー。ファンタジーだもんなー。その奇術って、ありえへん話やもん・・・。

ただ、読みやすく、けっこうはまって読めます。
「惑わしこそ、わが人生」という奇術師の手記は、いかにもほんとそうでうそだったり、実は思いもよらぬしかけがあったり・・・します。

(2008/10/7)


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 8

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)

著者 : カズオ・イシグロ

出版社:早川書房

発売日:2008-08-22

評価 :

完了日 : 2008年09月19日

「提供者」の世話をする「介護人」のわたし。
だんだん明らかになってくる彼らの出生。

どうにもならなさが、はなはだしい。よくもこんな恐ろしい話をつくったものだ・・・と、しばし圧倒され、呆然としてしまった。

とはいえ、寄宿舎生活というのに子供のころから憧れみたいなものがあって(たぶん原点はアニメで見てた赤毛のアンとか中学生のころ読んだクララ白書――氷室冴子さんの訃報を最近知りました。今また読んでみたい気がする――とか)、そこでの交換会や販売会を待ち望む感じとか、こまやかな生活情景が浮かぶのがすごく楽しくて好きです。それだけに、この話の重たいことったら・・・。

(2008/9/15)


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 18

夏への扉 (ハヤカワ文庫 SF (345))

著者 : ロバート・A・ハインライン,福島 正実

出版社:早川書房

発売日:1979-05

評価 :

完了日 : 2008年09月08日

夏になるたび平積みにされてるこの本が気になっていました。翻訳やし・・・SFやし(SF的な話は好きだけどあんまり難しいのは苦手)・・・なかなか手を出せずにいたのだけど、よかった!

ネコ好きで科学バカの主人公が、まんまと人に騙され、そこから抜け出す(もちろん科学を使って)。
30年という時間をタイムスリップした「未来」の描写はまるで現在と違うけど、違う空間にそういう「未来」があるのではと思うほど、生き生きと描写されている。

「未来は、いずれにしろ過去にまさる。誰がなんといおうと、世界は日に日に良くなりまさりつつあるのだ」

一貫してもたれている主人公の思いがすがすがしい。
そしてネコ。

久々に一気に読みたくなる小説のおもしろさを堪能した感じです。

(2008/8/29)


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 1

曲芸師のハンドブック

著者 : クレイグ クレヴェンジャー

出版社:ヴィレッジブックス

発売日:2008-04

評価 :

完了日 : 2008年06月28日

左手指が6本あるジョン・ヴィンセント。証明書を偽造し、名前、生まれ育ちを次々変えて生きる彼の生い立ちと現在。

もうちょい曲芸師的な話があるかと思ったが、彼の人生じたいが曲芸なのだった。
飲んだくれの父親が、6本指の息子に言う。
「ほかの人間の指が一本足りないのかもしれないじゃないか」

(2008/6/21)


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 1

シークレット・オブ・ベッドルーム

著者 : アーヴィン・ウェルシュ

出版社:エクスナレッジ

発売日:2008-03-27

評価 :

完了日 : 2008年05月02日

市の役員ダニー・スキナーが同僚ブライアン・キビーに悪意を抱き、とんでもないことが起こってしまう。最後に出生の秘密が明かされる・・・というようなそんな話。

格段に読みやすくなった。し、おもしろかった。この人、キャラクターによって書くとき聴く音楽を変えるそう。音楽聴きながらよく書けるなと思うが、音楽にのった勢いのある文。とりあえずクラッシュを聴きたくなった。

(2008/4/30)


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 2

存在の耐えられない軽さ (世界文学全集 1-3)

著者 : ミラン・クンデラ

出版社:河出書房新社

発売日:2008-02-09

評価 :

完了日 : 2008年04月10日

テレザが考える「あたしの体の一部がそれぞれ大きくなったり小さくなったりしてあたしとは似ても似つかないくらいになったら、それでもまだ、あたしはあたしなんだろうか」

トマーシュが考える「ひとは知らないからと言って無実だと言えるのか。ただ愚か者というだけで、あらゆる責任を免除されるのか」

作者は、「私の小説の登場人物は現実しなかった私自身の可能性」と小説の中でいう。この小説は、その登場人物を使って、徹底的に自分を、世界を考えている。実験的に、なにかをさせているようにみえることもある。
人生は一度きり。なので、「自分の選んだ選択が正しかったのか、確かめるすべはどこにもない」

小説の時間として、チェコという国の共産主義崩壊(?)の混乱という背景がある。政治的なこと、全然わからないよ。難しかった。ちと、背伸びしすぎたネー。

(2008/4/7)


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 1

回想のビュイック8〈上〉 (新潮文庫)

著者 : スティーヴン キング

出版社:新潮社

発売日:2005-08

評価 :

完了日 : 2008年03月27日

ビュイックという車にまつわる、死んだ父の思い出。なにもしてないのに、なぜか発光するビュイックの謎。

上巻で挫折したよ。下巻読んだらおもしろいのかなあ。

(2005/10/29)


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 2

死をポケットに入れて (河出文庫)

著者 : チャールズ・ブコウスキー,中川 五郎

出版社:河出書房新社

発売日:2002-01

評価 :

完了日 : 2008年03月14日

競馬してるか酒飲んでるかのおじいちゃん、怒る。矛先は、世間でうまくやっている、ような人たち。

「あの群衆が最終的には勝利を収めているのだ。思うに大きな問題は、彼らは同じ行いをひたすら繰り返しているにすぎないということだ。そこには何の斬新さもない」
「彼らは自ら硬直化してしまい、自分たち自身をだまして、生きているふりをしているだけなのだ」

(2005/12/7)


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 4

車輪の下で (光文社古典新訳文庫)

著者 : ヘッセ

出版社:光文社

発売日:2007-12-06

評価 :

完了日 : 2008年02月28日

100年以上前のドイツの話なのに、少年の心の楽しい感じ、苦しい気持ちは今と変わらない。描写がきらきらして素敵。

「その空はこれまでになかったほど高く美しく、憧れを掻き立てるような青色だった。~略~すべてが可愛らしい絵のようで、透明の新しいガラス板の向こうで新しく描かれたかのように見えた」

(2008/2/23)


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 1

グルー

著者 : アーヴィン ウェルシュ

出版社:アーティストハウスパブリッシャーズ

発売日:2006-02

評価 :

完了日 : 2008年02月20日

とくにどうということもないんだけど、カッコイイ感じになりたいという気持ちを満たしてくれます。私がこの人を読むのは完全にファッションです。

(2006/4/23)


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 7

また会う日まで 下

著者 : ジョン・アーヴィング

出版社:新潮社

発売日:2007-10-30

評価 :

完了日 : 2008年02月12日

20代、30代になり、どんどん動き出すジャックの人生。過去と現在がつながり、幼いころの記憶が間違いだったことを知る。そして、父との再会。

長い長い物語でしたが、そんなの問題ないぐらい楽しめました。ジャックが魅力的だからでしょうな。俳優になるのだけど、ほんまにジャックの出ている映画があるんじゃないかと思ってしまう。「おー」というクセもかわいい。

訳者あとがきを読んで、さらに読後感はよくなった。けど、あとがきから読むのはダメですよ。

(2008/2/10)


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 6

また会う日まで 上

著者 : ジョン・アーヴィング

出版社:新潮社

発売日:2007-10-30

評価 :

完了日 : 2008年02月07日

ジャック・バーンズ、4歳。母に連れられ、逃げた父を探す旅から始まり、幼稚園、小学校と、(女たらしの)父の血にふりまわされるジャックの成長。

えらい長い話やけど、出てくる人々の個性があれこれ影響していく。楽しい時間。ジャック・バーンズの一生を、読んでる私たちも体験することができるのですよ。

人生は長い旅だな。

(2008/2/5)


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 4

トゥルー・ストーリーズ (新潮文庫)

著者 : ポール オースター

出版社:新潮社

発売日:2007-12

評価 :

完了日 : 2008年02月01日

たとえばこんな話。ずっとある本を探していたのだけど、どこにも売ってない。数ヶ月探してて、でも見つからないある日、地下鉄に乗るため近道をした、その途中で、その本を持って立っている人を見る。
「どこで買ったのですか」と訊くと「自分はもう読み終えたので、あなたにあげる」という。
「私は今日、あなたにこの本を渡すためにここにきたのだ」と。

そんな偶然の話。あと、いかにして作家になったかというエッセイ。しみじみ、よいです。

(2008/1/25)


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 3

ジョニーは戦場へ行った (角川文庫)

著者 : ドルトン・トランボ,信太 英男

出版社:角川書店

発売日:1971-08

評価 :

完了日 : 2007年12月17日

目も鼻も耳も口もそぎとられ、手も足もなく、ただのモノと化した男の話。想像を絶します。言葉がないです。自分で命を絶つ自由さえ、奪われているのですよ。

(2006/7/17)


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 1

阿Q正伝・狂人日記 他十二篇(吶喊) (岩波文庫)

著者 : 魯 迅

出版社:岩波書店

発売日:1981-01

評価 :

完了日 : 2007年11月19日

かねてから読みたい読みたいと思っていた阿Q正伝をようやく読めました!それがうれしくって!というのも、魯迅=故郷=おもしろくない、という図式が、教科書で読まされたせいで埋め込まれていたので。だいたい、教科書で読んだ話はどれもこれも全然おもしろくなかったよ。国語、苦手だったよ、私。メロスは外国人が書いた話だと思ってたよ。

ところで阿Qはかなり魅力的な奴です。見栄っぱりのウソつき、だけどすごい愛嬌があるのです。みんな、憎めない。時代も国も違う、酒屋のシーンがすごくおもしろくて、不思議な小説。すごく、不思議な人物。ほらー、なんとなく難しそう、読みにくそう、と思っていたのは間違いだったのよ。やっぱり。

故郷も入っていて、この年になって読むと、なんとなく感じるものがありました。国語の授業って、難しいですね。

(2006/10/3)


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 9

オン・ザ・ロード (世界文学全集 1-1) (世界文学全集 1-1) (世界文学全集 1-1)

著者 : ジャック・ケルアック

出版社:河出書房新社

発売日:2007-11-09

評価 :

完了日 : 2007年11月14日

ついに出ましたね。ものすごく楽しみにしてました。全集、一括購入しようかと思いましたが、2年もかかるので止めました。けど、装丁もかっこいいし、なにしろケルアックから始まるのが素敵。全部揃えたいものです。

買っただけでしばらく読むヒマないけど、新訳というのでとても楽しみにしてます。きゃー。


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 3

ナンバー9ドリーム (CREST BOOKS)

著者 : デイヴィッド・ミッチェル

出版社:新潮社

発売日:2007-02-24

評価 :

完了日 : 2007年10月11日

屋久島から出てきた私生児が、東京のとある喫茶店でパン・オプティコンというビルを見上げ妄想を繰り広げているところから話は始まる。彼がここにいる意味は唯一つ、見たことのない父に会いにゆくこと。

イギリス人作家が書いてる日本人の話だけど、なんの違和感もなかった。訳もうまいんだろうなあ。切れのいい文。繰り返される単語もいい(パン・オプティコン、とか、ジッジ・ヒカル、とか)。彼の送る怒涛の8週間は、夢か現実か、あちこちほころびを見せ、わけのわからぬ組織に巻き込まれ、と、とにかくぐいぐいと進んでいく。最後のほうは読んでる私、ランナーズハイ状態。そしてラスト、第9章でなにかが弾けます。

いしいしんじ推薦だから読んだのだけど、間違いはなかったよ。
「この小説を読むことは、スピードを読むことに近い。
「ここ」から「あそこ」へ移る、途中でしかない、という軽さ、空虚さ、笑いが、この小説のもつ、リアリティなのだと思った。
読んでいるときはまるで十九歳のようだった」

(2007/10/10)


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