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パートママさんの読書ノート

2007年10月から読んだ本
読んだ本の評価基準
★☆☆☆☆読んだだけ時間つぶし
★★☆☆☆まあまあ
★★★☆☆そこそこ
★★★★☆面白かった、考えさせられた
★★★★★ああ面白かった、感動した、絶対読めと言いたい
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 1

性的人間 (新潮文庫)

著者 : 大江 健三郎

出版社:新潮社

発売日:1968-04

評価 :

完了日 : 2008年01月07日

図書館本がなくなり、ちょっと本切れ状態。納戸から引っ張り出したこの本が今年の締めくくりとなった。
眠い、とにかく眠くなり読み進まない。何か読んでも文章が通り過ぎていくような気がする。
性的人間 
この文庫本の後ろには「男色、乱交などあらゆる反社会的な性を描き、人間の真実に迫る問題作」と書かれている。
Jは自堕落な生活をしている。過去に妻がJがゲイであることを知り自殺して以来性的不能に近い状態になっている。乱交に近い取り巻きや不感症の新しい妻との性的生活にも満たされないものを抱えている。あるとき電車の中で痴漢行為を目撃してから異様な興奮を覚え自身も痴漢行為を働くようになる。
Jは自分がゲイであることに罪悪感があるのではない。同じベットの中で自殺した妻に対する罪悪感があるだけだ。この本が書かれた60年代初頭では今よりもゲイは市民権なく、それがあることは公然の秘密として世間では黙殺されていたことなのだろう。性的倒錯としかとらえられていない問題を文学と言う点で表現したものなのだろうが、それは痴漢行為という犯罪行為に変っていく。いつか衆人環視の中痴漢としてつかまることを予感しながら行う好意にJは興奮を感じる。電車の中で知り合った痴漢仲間の老人と「厳粛な綱渡り」と言う詩を完成させるために痴漢をしようとする少年。それぞれが痴漢と言う行為にもっともらしい理由をつけている。それが全く理解できない。反社会的なことがその人の性癖としてどうしようもないものでそれに対して60年代はこんなふうにとらえることもあるのかと思う。とにかく眠い作品。
セブンティーン
自慰行為にふけりその容姿や成績、体力、劣等感に悩む少年が友人に誘われた右翼の集会で自分の居場所を見つけ、右翼の政治少年になっていく。彼のどうしようもない劣等感は現代の少年たちも持っているものだと思う。それは劣等感と言う表現ではなくもっと別なものになっているかもしれないが。今なら宗教にはまってしまったりと形を変えているだけでいつの時代も皆不安定な中で自分を正当化し受け入れ存在感を得られる場所を探していることに変りはないのだなと思う。
共同生活
4匹の猿たちがアパートの部屋の中で青年を観察している。青年は猿たちの目を気にしながら生活している。日々青年はその疲労を深めていく。ある日職場で首切りの対象として青年が名指しされる。言われない汚名を着せられて。青年は倒れ医師の治療を受け猿たちは消える。そしてそのとき猿たちの居た生活こそが真の生活だったのではと思う。
神経衰弱という言葉がなつかしい。いまならうつとかなんだか症候群とか他の言い方に変わっているだろうが、青年は日々に自分を追い詰めていくものが自分自身の作り出した幻覚だと気づかない。幻覚の中で安穏としていたこと、現実のほうがもっと辛いことに失って気がつくというのは、この前に読んだ「鳥」の中でも同じ様に書かれている。社会に出たいと思いながら自分自身の世界に閉じこもりその中で暮らしていたいという事か。
 


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 2

日本一不運な男

著者 : 新堂 冬樹

出版社:中央公論新社

発売日:2007-05

評価 :

完了日 : 2007年12月13日

するっと読めるコメディ。むふっと笑える部分も在ってこんなのもいいかも。落ちがなかなか見抜けなかった。たまにこんなのもいいかも。


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 1

見るまえに跳べ (新潮文庫)

著者 : 大江 健三郎

出版社:新潮社

発売日:1974-05

評価 :

完了日 : 2007年12月08日

高校生の頃読んだものを思い立ち再読。収録されている10編の短編のうち5編を読む。
「奇妙な仕事」
大江健三郎の処女作。
実験用の犬の処分を大学から引き受けた男に雇われた犬殺しとアルバイトの3人の学生。何かに熱中するには若すぎるか年を取りすぎてしまった「僕」と笑い方を忘れそうな女子学生と負けず嫌いな私大生。3日間で150匹の犬を殺し皮を剥ぎその処理をする。
淡々と仕事をこなしながらも犬殺しは犬に愛情を持っていると感じる。その卑怯な殺し方にも殺されようとしている犬たちにも死んだ犬の血やその匂いにもすぐに慣れてしまう「僕」反対に嫌悪感を募らせていく私大生。処分を引き受けた男の不正が露見し男が不明になってしまう。
犬殺しの犬に対する愛情、それは養豚家や肉牛農家が愛情を持って豚や牛を育てるようにそして丹精こめ育てた動物を自慢げに食肉にするように、同じ種類の愛情を持って犬を殺していく。それに対し私大生が感じる嫌悪感は自己憐憫と欺瞞に満ちている。そんな彼らが最後に陥る境遇、何と言うのかすべてが徒労に終わっただけでなく彼らのそんな皮肉な状況、何と言えばいいんだろう。
「鳩」
少年院の少年たちが熱中した小さな遊び、それは外で暮らす院長の養子にも伝染し、ある夜「僕」はその院長の息子が鳩を盗み殺すのを見る。そして悲劇が起こり院長の息子は不具になる。しかし院長の息子は罪を糾弾するでなく弛緩する。
ここにいる少年は平均年齢14歳だが少年でありながら少年ではない。その幼い遊びのとおり危うい少年たちの世界。この世界はもう50年近く前に書かれたものであるにもかかわらずどこにも昔のものと感じさせない。
「見るまえに跳べ」
跳ぼうとしても跳べない青年の苦悩。理想と現実に悩む青年たちがいた頃の話。
読み終わると酷く疲れている自分に気がつく。青年の苦悩は疲れる。
「鳥」
鳥に取り囲まれていると感じ至福と感じていたはずなのに精神病院に入れられようとした時彼は取りなどいないことに気がつく。
結局彼は甘えていただけなのだ。だからと言って今の引きこもりと比べることは出来ないかもしれないが。
「ここより他の場所」
この若い男は結局情人の意図する罠に落ちてしまったのだ。読み終わり姫野カオルコの「ああ正妻」を思い出す。小早川が雪穂のベタな罠にいとも簡単にはまったように、この若い男もそこにある罠に気づきながら逃れることが出来なかった。表現の違いでここまで精神的に追い詰められる青年の苦悩に書かれているが、恋人とやりたいけど彼女が妊娠するのを心配をするならしないわといったのでもうやる気もなくなっちゃったんだけど、ただやりたくて付き合っていたと思われるのが嫌で優しいこと言ったら押し倒されてやっちゃったら、もう妊娠したかもしれないと婚約させられちゃって、すでに両親と合うセッティングもしてあって、彼は罠に落ちたと言う話。
それがまるで違う。うまく表現できなくてもどかしいがまるきり別な話に感じる。

これを読んだ頃のことが思い出され辛いような懐かしいような気分がよみがえる。
大江健三郎は新鮮だった。何かがひきつけて離さない魅力を持っていた。それは今も感じる。ただ、私はもう16,7ではない。その頃はわからなかった男と女のことも少しはわかる。状況も思い浮かべることも出来る。「ここより他の場所」でどこにもいけなかった青年が結婚後妊娠を心配する妻とどんなシリアスなやり取りをするのだろうと考えたりもする。
少し、疲れた。


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1.まりりん (2007/12/10)
こんにちは☆
再読なさったんですね。大江さんの作品は共通するモチーフが多く出てきますが、犬殺しもその一つですよね。
一つの経験からここまでたくさんの作品を残せて、さまざまな角度から描かれている。読むたびに、あ、またやられたなーと思いながら読んでしまいます。
2.パートママ (2007/12/10)
昔は作者のように何もかも難しく考え込み悩んでいましたが、今読むともっと単純にシンプルに考えれば良かったのにと思います。初期の少年を主人公にした作品はどれも胸に響きます。でも、疲れました。
 

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 3

午前零時

著者 : 鈴木 光司

出版社:新潮社

発売日:2007-06

評価 :

完了日 : 2007年12月04日

電子書籍配信サイトTimebook Townで連載された「シリーズ午前零時」を加筆修正したもの。
13人の作家、共通点は?掌編という事ですらすら読める。

鈴木光司   ハンター
深夜のバーで男は一人の女に声をかけるタイミングを見計らっている。午前零時女が死んだ恋人とであった時間、バーにいたのは。

坂東真砂子  冷たい手
目覚ましがなり目が覚めたのは午前零時。年老いた母の世話をするために帰ってはきたものの田舎で朽ち果てる不安。でも真実は。

朱川湊人    夜、飛ぶもの
小学校3年のとき、午前零時に空が変るか確かめようとした私が見たものは。
この人らしい作品と思う。

恩田陸     卒業
ホラー? 午前零時になればここから卒業できる。四畳半の部屋に逃げ込んだ5人の少女は次々と。
これも恩田陸だな、エンドゲーム系?

貫井徳郎    分相応
美人でお金持ちの娘で収入も良い妻を持つごく平凡なサラリーマンの吉井。
これだけ午前零時との関係が良くわからない。

高野和明    ゼロ
記憶をなくして発見された男はとある研究所でゼロと呼ばれ暮らすが、男はある実験に参加することになり。
男は永遠にゼロの時間を生きるのか。星新一系。

岩井志麻子   死神に名を送られる午前零時
深夜番組の飾りのような仕事をしている自称タレントの直子は、午前零時になると浮かび上がるもう一人に自分を感じる。
これも岩井志麻子らしい気味悪い感じ。

近藤史恵    箱の部屋
引きこもりネットショッピングにハマッた私の部屋に午前零時に届いたのは。

馳星周     午前零時のサラ
午前零時、出ていっってしまった女を犬のサラと待つ中年の男。
「不夜城」しか知らないのだが、こんな切ない感じの話も書くんだ。以外。


浅暮三文    悪魔の背中
自分を振った恋人に復讐しようと悪魔を召喚しようとした男は。

桜庭一樹    1,2,3,悠久
父親の判らない4人の娘を産んだ母親と娘たち。午前零時、スッカリ変ってしまった母親を。
いしいしんじと同じ匂いがする。一番好きな話。落ちもいい。

仁木英之    ラッキーストリング
何もかも嫌になりインドに来た男はガンジスのほとりにある祠で。

石田衣良    真夜中の1秒後
午前零時に運命の男と出会うと言う占い、その時であったのは。

という事で、「午前零時」をテーマにした13人の中で私的には桜庭一樹が一番、来年はこの人読破目指そう。


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 8

植物診断室

著者 : 星野 智幸

出版社:文藝春秋

発売日:2007-01

評価 :

完了日 : 2007年11月30日

とても惜しい作品だと思う。話の大筋はとても興味深く面白いのに、何か物足りなく中途半端な感じがする。
40歳を越え独身の男は当てもなく町を徘徊することとベランダに植えた植物が野放図に伸びていく中にいることを好む。離婚し子供に大人の男を教えて欲しいと言う女の依頼を受け子供たちの相手をするようになる。
父親と言うのではない男とは何かを教えるうちに何かが変っていく。
彼女が離婚した理由や赤ちゃんが生まれた経緯、その辺が曖昧だしかたくなな彼女の考え方が読んでも伝わらない。
彼女の夫と義弟とこの男の考え方とかその辺も良くわからない。
シチュエーションとしてはいいのになんだか残念。それに植物診断室、これではヒーリングにもならないだろうと思うし、これが何を意味してるかも良くわからなかった。


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 10

いつか陽のあたる場所で

著者 : 乃南 アサ

出版社:新潮社

発売日:2007-08

評価 :

完了日 : 2007年11月28日

刑期を終えて出所した芭子と綾香、二人は過去を隠し互いに励ましあいながら新しい人生を探している。
4編の連作の短編からなる。新しいシリーズという事で今後も楽しみ。
加害者が出所後社会復帰することは大変なことだ思う。いつも周囲に気遣いながらいつ過去の過ちが知れやっとつかんだ平穏が壊れるかと脅えながら暮らしている。それも罪を犯した事の罰だとは知りつつも少しづつ普通の生活を取り戻しつつある二人の姿。いつも明るく前向きな綾香、実は職場で大変な思いをしていた。それでも過去の事件を起こす前よりも今のほうがいいというのが悲しい。
サスペンスでもミステリーでもないけれど、女二人が自分の人生を行きなおそうと一生懸命な姿が健気でよかった。


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 30

木洩れ日に泳ぐ魚

著者 : 恩田 陸

出版社:中央公論新社

発売日:2007-07

評価 :

完了日 : 2007年11月27日

"々恩田陸。この作家も大量生産しているなあ。全く読むのが追いつかない。
出だし、これは心理サスペンスなのかと思わせるような前振り、読み進むにつれ切ない愛情の話かと思わせ終わる。
--木洩れ日の下には、深い淵があって、濃い緑色の水の底に多くの魚たちが蠢いている。--
ーー結局あなたはいつも自分の手を汚さない。決定的な一言はいつも私に言わせ、言わせておいて聞きたくないと耳を塞ぐ。--
木々が取り払われ明るい日差しに照らされたとき、神秘的で不可解だった魚たちはあっけなくその姿を露呈してしまう。そこには俗っぽい幻滅が待っている。
何か結末に物足りなさと言うか強引さを感じる。すべてが登場人物の二人の感情と記憶だけの話で推測にしか過ぎないからだろう。

ふと結婚式のスピーチだなと思う。結婚後も片目をつぶり少しフィルターをかけて相手を見ましょう。みたいな。


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 5

ゾラ・一撃・さようなら

著者 : 森 博嗣

出版社:集英社

発売日:2007-08

評価 :

完了日 : 2007年11月27日

探偵 頸城悦夫 36歳独身女性には結構もてるよう。お金も遺産があり困ってはいない。性格、優しくジョークを好む。
殺し屋ゾラに狙われた元総理から「天使の演習」と言う美術品を取り返すよう依頼された探偵。依頼人は若く謎に包まれた美女。
設定は昭和初期かと思えるほど古いパターン。平成の殺し屋は銃で必ず殺すと言う。
まあそれなりに飽きずには読めました。森博嗣と言う作家はこちらのほうが本来なのだろうと思う。これもシリーズ化するつもりなのかなあ。

登場人物の名前はあまり世間一般にないような名前が多い。これは作者なりの読者への配慮なのか。同姓同名が殺されたらやはり嫌な気がするもの。


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 22

スカイ・クロラ (中公文庫)

著者 : 森 博嗣

出版社:中央公論新社

発売日:2004-10

評価 :

完了日 : 2007年11月23日

スカイ・クロラシリーズの第1作目。
しかし、この後これ以前の物語が書かれていると言う。
キルドレのカンナミ・ユーヒチは新しい転属先に赴任する。そこには上司として草薙・スイトがいる。戦闘機のパイロットであるカンナミは成長しない子供。
読み始めてこれは最初の物語なのか、クレィドゥザスカイの続きなのか解らなくなる。
それがキルドレの秘密。
アニメ化されるというが、子供では理解できない大人のためのアニメだろう。それを見るのもある種キルドレなのかもしれない。


この感想へのコメント

1.calaf (2007/11/25)
こんにちは。コメント、ありがとうございました〜

アニメ化は、内容的には大人向けになるでしょうね。
でも、映像的には、子供でも十分楽しめるのかもしれません (^_^)
2.パートママ (2007/11/25)
ストーリー重視と言うよりも文章とか哲学的思想とか、子供にはわからないけれど、大人になれない私はこんな感じ好きです。(もうあと何年かで半世紀生きますが)以前読んだ本と比べても別人のような感じでした。
 

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 7

クレィドゥ・ザ・スカイ

著者 : 森 博嗣

出版社:中央公論新社

発売日:2007-06

評価 :

完了日 : 2007年11月23日

プロローグからエピソード1までを読むとこれは最近読んだ芥川賞作品よりももっと美しい文章だと思う。
散文的とでもいうのだろうか。逃げ出した男と女、過去から現実から逃げようとしているけれど逃げられないことも知っている。
冒頭の夢から覚めかけた部分の文章がいい。
スカイ・クロラシリーズの完結篇だとは知らずこの本から読み出す。そのために解らない部分が多かったことがかえって良かったのかもしれない。違った読み方が出来たように思う。「僕」がいったい誰なのか解らなかったが、それはそれで良かったのだと思う。「僕」が誰なのか、主人公と一緒に探していくような感じ。


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 86

名もなき毒

著者 : 宮部 みゆき

出版社:幻冬舎

発売日:2006-08

評価 :

完了日 : 2007年11月15日

先日読んだ「楽園」よりもするすると読み進む。
読後に残るのは「毒」、いつの間にか汚染されてしまったらしい。
「誰か」はもうだいぶ前に読んだのでそれほど内容は覚えていないが、特に強い個性もない主人公が頭の上がらない義父の言いつけで事件に係わり事件自体も特に強烈と言うこともなくその周りの人間たちの隠れた感情が見えてきたとき淋しいなと思ったような気がする。
今回も主人公は誰も傷つけないようにと動き回る。そうしながらも好奇心は押さえきれず、二つの事件に巻き込まれていく。物語は全体に明るい。それは主人公の家庭の愛情あふれる幸せそうな様子や、職場の人々の互いに気遣い合う人間関係から来るのだろう。そこに入り込んだ異分子、「毒」。それは予想以上の存在でどんどん大きく、そして広がっていく。怖いと思う。
この「毒」は最近ではそこここに現れている。騒音叔母さんや、近所にごみ撒き散らしおばさんや苦情マニアのような隣人、理不尽なクレイマー、新聞やテレビをにぎわせる犯罪の中にも同じ様な「毒」を感じる。
異常なように見えるのにこんなにあちこちにあるというのはやはり「普通」で彼らは自分に正直なだけなのだろうか。
本当の自分はこうであるはずなのにこんな状況になってしまったのは周りのせい、そう思い込んでしまえるのは甘えではないのだろうか。自分にも対処できない自分、沸きあがる嫉妬、ねたみ、苦しみ、淋しさ。
案外簡単に人はそんな毒に汚染されるものなのかもしれない。
「あんまり綺麗なことばかりいってる人と話をしてもつまらない。ちょっと毒もないとね」と思うが、せいぜいチクッと来る嫌味や後を引かない悪口、けなし。そんなのもないと人はどんどん自分の内側に毒を溜め込んで自分自身が汚染されてしまうような気もする。
もう一人の犯人は自分の毒にまけ犯罪を犯してしまう。結果新たに苦しみを背負い込んでしまう。
この物語が明るいのはもう一つ、「正しいこと」を全うしようとする二人の少女の存在だろう。
彼女たちは愛するものがあり痛んだものを思いやる心がある。こちらが「普通」であるはずなのに・・・。
最後が少し気になる。
主人公は心に傷を負った家族の元に帰って行った。だけど彼の心は残してきてしまった。あの明るい家庭に彼は本当に戻ることが出来るんだろうか。


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 6

旧怪談―耳袋より (幽BOOKS)

著者 : 京極 夏彦

出版社:メディアファクトリー

発売日:2007-07

評価 :

完了日 : 2007年11月13日

江戸時代の本、耳袋を京極夏彦が現代語訳したもの。一話一話は短いので暇暇にぽつぽつ読む。江戸時代の「世にも奇妙な話」と言ったところか。
怪談と呼ぶほど怖いお話はないが、やはりどんな時代もこんな話はあったのだなと思う。


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 3

赤緑黒白 (講談社ノベルス)

著者 : 森 博嗣

出版社:講談社

発売日:2002-09

評価 :

完了日 : 2007年11月11日

Ⅴシリーズというシリーズ物でこれはもう10作目になるらしい。
読んでる途中でそんなことに気がついたがもう遅い。以前からのつながりがわからないので登場人物たちになじめないし、ファンには楽しいやり取りもただつまらない。
したがって眠くなる。何度も途中で寝てしまった。
トリックはなんとなく想像できるが動機は説明を受けても良くわからない。
したがって、つまらない。
忘れてしまいそうなので記しておこう。
探偵 保呂草潤平(もう一つ裏稼業あり)
助手 香具山紫子 小鳥遊練無
科学者 瀬在丸紅子


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 3

人生カンタンリセット!夢をかなえる「そうじ力」

著者 : 舛田 光洋

出版社:総合法令出版

発売日:2005-07-23

評価 :

完了日 : 2007年11月07日

「そうじ」が人生を変える。そんなことあるかもと私も思う。
「そうじ力」で何故変るか、何が変るか、大変解りやすい。したがってあっという間に読んでしまえる。ただし、後半の宇宙の力はちょっと好きな話ではないが。
ぐうたらな人間ですからそうじは嫌いです。でも休みの日なんか「今日は休みだからそうじもお休み」なんていってるといつまでもだらだらとして一日が始まらない。そうこうしている内に昼になり夜になりあっという間に休みの日は終わってしまう。かえってパッパッとそうじしちゃったほうが一日が充実することってあるよねえ。
でも家も本ばかり読んでるうちに洗面所とかお風呂場とかいつの間にか汚くなっちゃってこの間とうとうこれではいかんと思ったばかり。一応の掃除はしたけど、やはり勤勉じゃないなあと思うんです。怠惰だなあ。
「三日坊主でいい、三日続けば対したもの」そういってくれるのは嬉しい。
出来る主婦の家はいつも何故か綺麗で、料理上手な人の台所もこんなにいっぱい作っているのにどうしてと思うくらい綺麗。綺麗を保つために段取りや手順、要領を考えて常にこまめに楽な汚れのうちにそうじするからと見ていて思うのだが、これがなかなか自分では出来ないんだよねえ。
いつから三日始めよう。とりあえず三日、とにかく三日、せめて三日やってみよう。


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4.パートママ (2007/11/10)
汚い部屋は負のエネルギーを引き寄せ人生がうまくいかなくなるというもの。勿体無いとただ怠惰なのでは違うような…。
5.船橋胡同 (2007/11/11)
ありがとう。掃除の真髄は、この意味なのですね。

<汚い部屋は負のエネルギーを引き寄せ人生がうまくいかな くなるというもの> 感じる事があります。
最近「おばあちゃんの知恵袋、パパッとお掃除塾」のワザ
シリーズありますが、この宣伝例は、私のイメージで無い。
ともかく、納得いく部屋の整理整頓したい。

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 28

東京奇譚集

著者 : 村上 春樹

出版社:新潮社

発売日:2005-09-15

評価 :

完了日 : 2007年11月04日

アンダーグラウンドは村上春樹の作品だが小説ではなかった。しかし、今までのこの作家に持っていたイメージは大きく変った。読みたいと思った。そこで図書館でこれを見つけた。
この本は前に読んだ「みずうみ」の感想をどう書いたものかと思い書く前に読みだした。それからもう一度第3章を読んだので途中からまた読み出した。たった一日か二日置いたらそれまで読んでいた部分を忘れてしまっていた。
私にはその程度の本だという事なのだろう。
しいて言うなら「偶然の恋人」は中身を覚えていた。
偶然出会った彼女、彼女から誘われるが彼はゲイだった。別れたあと彼女と同じ位置にほくろのある絶縁状態の姉に電話する。姉は彼女と同じ病気だった。
彼女の心、彼女が何故彼を誘ったか、多分今の夫との暮らしにも満足し今までもそんな経験が一度もなかった彼女が彼を誘った気持ちが切ない。彼女は清潔で健やかに暮らしていたのだと思う。
それ以外は読んだと言う記憶しか残らない。


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 19

みずうみ

著者 : いしい しんじ

出版社:河出書房新社

発売日:2007-03-16

評価 :

完了日 : 2007年10月31日

これが初めてのいしいしんじなら、途中で読むのをやめていたかもしれないと思う。
第1章はいつものようにどこでもない、いつでもない、不思議な世界。「コポリ.コポリ」という水の音、月に一度みずうみの水があふれ眠り続ける兄さんからも水があふれ、兄さんが語り始める。どこまでも不思議でどこまでも幻のような物語。
第2章、どこかが何か違うタクシー運転手、月に一度起こるからだの異変、男からあふれる水、コポリコポリ。男が恋をしたとき渇きを感じる。飲んでも飲んでものどが渇く。
この男と眠り続ける兄さんが何か繋がっているような気がする。男が妹に送る手紙に書く出来事と兄さんが語る話がそんな連想をさせるのだろうか。どちらも月に一度水をあふれさせるからだろうか。鰐の老婆は話すことが出来ない。おばあちゃんは姿が見えないが声が聞こえる。そんなふうに何かが繋がっていると感じさせる。
みずうみの水が消えてしまった後町へ下りた村人の末裔が運転手なのか、あちらの世界とこちらの世界という事か。
第3章、これが読むことが困難だった。
物語は慎二と園子とボニーとダニエル、4人が交互に物語を進めていく。だが、前の二つの話をひきずったまま読み進むと、混乱する。思いがけぬ出来事に悲しみがあふれていると感じる。しかし、それ以上は何も解らず読み進めることも困難に感じるほど。
誰かの感想に、前の二つは物語で、第3章は小説だと書いてあった。そうなのかも知れない。
第1章を書いたときからこの結末を想定していたのだろうかとも思う。
みずうみは羊水のイメージなのだろうか。そういえばもうずっと昔出産で入院していたときとなりの病室にいた人は羊水が少しづつ漏れ出てしまう症状で、安静と羊水が限界になったとき早産でも出産するために入院していた。
なんだか、辛い話だ。


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 30

楽園 下

著者 : 宮部 みゆき

出版社:文藝春秋

発売日:2007-08

評価 :

完了日 : 2007年10月26日

さすが宮部みゆき、安心して読める面白さ。
今回の前畑滋子は過去の事件からまだ立ち直れないでいる。彼女自身の再生と子どもを失った母親の再生、子どもを殺した親子の再生の物語。
模倣犯のような後半の息詰まるような展開とかはない。前半からぐいぐいと物語の中に引き込んでいき、飽きさせることなく終盤へと読ませる。
ただ、少年の絵に何故あの山荘が出てきたのか、それは事件と関係ない誰かの記憶だったのか、一つだけ身元のわからなかった遺体が16年前の遺体なのかその辺が曖昧なままだった気がする。
前畑滋子の中にあるジャーナリストの業が目の前にある謎を見過ごせない。それによって過去から立直るのだが、また新たの傷ついてしまう。暴いてしまった真相により傷つく人がいるから。彼女を支える夫の存在、頼もしい。


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 1

eの悲劇

著者 : 幸田 真音

出版社:講談社

発売日:2001-05

評価 :

完了日 : 2007年10月18日

元敏腕トレーダーの篠山と元自衛隊の今時の若者達也、二人のガードマンの連作小説。過去を持つ二人がガードマンとして出向いたビルで出会う事件と人々。
古いタイプの人間だった篠山は華やかで高収入の世界から、やがては去ることになったのだろうと思う。
何か大昔の鶴田広治と水谷豊のテレビを思い出す。「男たちの旅路」だったろうか。この続編があればまた読むだろうなと思う。


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 1

ビート

著者 : 今野 敏

出版社:幻冬舎

発売日:2000-11

評価 :

完了日 : 2007年10月16日

体育会系の家族、父は刑事、大学柔道の期待の星の兄、そんな中で家族から浮いてしまった英次、罠にかかった家族。
犯人探しと共に家族の絆の再生がテーマか。
まあそこそこかな、犯人すぐに解らなかったし。短絡的な父親の考え方、姑息だなあと思う。


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 8

アンダーグラウンド (講談社文庫)

著者 : 村上 春樹

出版社:講談社

発売日:1999-02

評価 :

完了日 : 2007年10月14日

地下鉄サリン事件で被害にあったかたがたに村上春樹がインタビューしたもの。
サリン事件後1年から2年の間にこのインタビューは行われている。
村上春樹は好きな作家ではない。と言うか、あまり読んだこともない。他の方の感想をいろいろ見て歩くうち興味がわきたまたま図書館にその本があったので読んでみた。
サリン事件は当時のテレビや新聞の報道で知っているが、やはりどこか遠くの事件で大変なことが起こったという恐怖はあるのだが、身近に感じることはない。
あの頃いろんな世間を騒がせてた宗教団体、とくにオウムは幼稚で滑稽な教義と殺人兵器の製造や実際に行ったいろいろな犯罪と言う二面性を感じていた。
テレビに写る麻原彰晃にそんなカリスマ的な魅力は微塵もなかった。権力に溺れて堕落の限りを尽くし、それでも生き延びようとあがく醜さ、そんな印象。まだ裁判は何も進んでいないと言う。
公的発表で3200人と言う被害者から探し出し許可をもらった62人の方のインタビューガ載っている。やはり何かしらその方たちには共通点があるような気がする。同じ日に事件に遭遇しながらもそのことを忘れたいと思っている方、忘れたはならないと思っている方、いろいろだがこの本の中に出ている人々はやはり何か共通のものがあってインタビューを許可された気がする。それは事件に対する考え方と言うより、その人本来の人生の生き方のようなもの。全うな人たち、うまく言えないがそんなもの。
地下鉄路線が交差するように人生に時間軸の中で同じ一つの事件に遭遇してしまった人たちはお互いに何のかかわりもなくその後の人生においても係わるという事はないだろう。だが、皆同じ様に言う。「何がおきているのかわからなかった。」なかにはこれはサリンだと気づいた方もいる。でもその方でさえ、その異常にたいし為すすべがなかった。
とくに特別な人生を歩んだと言うわけではないが、そこにはそれぞれの重い人生がある。それを奪ってしまったサリン、また奪いそうになったサリン。
事件の当事者たちは自分が当事者になってしまったことに気がつかぬままいつもどおり自分の責任を果たそうと会社を目指していた人も多い。道ばたに苦しむ多くの人を見てこれは異常だと感じながら、何かわからないから通り過ぎ会社を目指す。それはそれでその周辺にいた人たちがすべてなんだどうしたと係わったら、被害はもっと拡大したかもしれないし、周辺にパニックが広がりもっと混乱したかもしれない。解らないから会社に遅れるから、まじめな日本人なのだと思う。
また、積極的に何があったと介抱したために被害にあった方もいる。それらの人により救われた人もいる。知識や経験ではなく異常に対する人の反応はどういうふうに現れるのだろう。それもその人の人間性が影響するのか。
最後に載っていた村上春樹の文章は正直なんだか解らなかった。難しいこといってると思ったし、もうそれまでの方々の人生、多分何事もなければこんなふうに人に語ることなどなかったろう人生に圧倒されるのだ。
誰も皆誰かの判断で奪われて良いものなんてないし、その後一応の平穏に戻った人や苦しみを持ち続けている人もいるが、傷を受けていい人なんかいない。
犯人たちに3200人の人たちのそれまでの生きてきた人生を読ませてやりたい。受け止めることができるだろうか。

恩田陸の「Q&A 」を思い出す。


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