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パートママさんの読書ノート

忘れん坊の読書録
本プロと言うサイトに記録していた本
読書感想文を書く楽しさと、そこでいろんな方の感想を知ることが出来た本
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 21

ダ・ヴィンチ・コード(下) (角川文庫)

著者 : ダン・ブラウン

出版社:角川書店

発売日:2006-03-10

評価 :

完了日 : 2007年10月19日

私と図書館の司書との相性は最悪らしい。貸してくれたのは良いが、単行本を頼んだら文庫が来てそのうえ上と下だけ。中がなくて中抜けでどうしろと言うんだ。早速言いにいったら上だけ読んで待っていてください。だって。なんなんだ。待ちきれなくて先に下を読んじゃたよ。なんだかなあ。
一つのなぞを解き先に進むと新たな謎が待っている。ゲームは謎を解かないと進まない。言葉も数学も歴史も宗教もわからないのでいっしょに謎を解くことは出来ないがそれでも充分面白かった。「最後の晩餐」がどんな絵だったかそう言われるとそうかなんて新たな発見のような気がする。私は簡単に導師の正体を最後までだまされていたが、映画になっても面白いだろうなと思う。DVDになったら借りてこよう。
2006・8・2


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 40

家守綺譚

著者 : 梨木 香歩

出版社:新潮社

発売日:2004-01

評価 :

完了日 : 2007年10月19日

癒される作品とでも言おうか、小説がちょっと昔の時代を感じさせる成果、浜田広助や坪田譲治の童話を読んだときのような懐かしさもある。不思議な世界がいつの間にか当然の世界のようになって行きその不思議さが心地よい。しかしそれはうつらうつらと見る明け方の夢や昼寝の夢のようなものでそれはいつまでもその中に浸っていたい気分がするのだが、やがてキッパリと捨ててああいい夢だったのにと起き上がらなくてはいけない世界のような気がする。
湖の底の世界のように自分の理想とする世界がそこにあっても自分で理想をつかまなければならない、しなければならない役目もある。
ずっと夢の世界でうつらうつらと心地よいぬくもりに包まれていることは出来ない。現実逃避したくなったときこんな本は癒される。
2006・7・30


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 2

千日紅の恋人

著者 : 帚木 蓬生

出版社:新潮社

発売日:2005-08-19

評価 :

完了日 : 2007年10月19日

「臓器農場」とか「閉鎖病棟」だったろうか、同じ作者とは思えない恋愛小説。
バツ2で40歳を間近にした時子と時子の管理する扇荘の住人たちとそこに新たに入居した有馬青年。
かなり問題ありな住人たちに腹を立てたり世話を焼いたり、けれども扇荘がある限りその住人たちも「一つの個性」と受け入れる時子。ヘルパーとして特養で働き、自分も年老いた母親を距離を置いてはいるが世話する時子は優しい。
そんな時子が心をときめかせていく有馬青年。こんな都合のいい男がいるかと思いつつ、時子の優しさへのご褒美だよなあとか思う。
作者のことはあまりよく知らないのだが、医療とか老人介護に関係のある話が多いところからするとそういう関係の仕事をしていた人なのだろうか。作者自身の老人に優しい視線を感じるが、何かちょっと甘い気もするんだよね、理想だろうとか。でも実際にそういうところで働いている看護師さんや介護の人たちは優しさだけではなく何と言うか淡々と割り切るところは割り切り、ウーンうまく言えない。
2006.7.20


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 1

蔭の棲みか (文春文庫)

著者 : 玄月

出版社:文藝春秋

発売日:2003-01

評価 :

完了日 : 2007年10月19日

「蔭の棲みか」
在日の集落に住むソバン老人、その集落とその人生はほとんど同じ長さ。集落の中で子供が生まれ、出て行った子供の死を知り、妻も先立ち、父母の言葉がわからない集落の支配者永山、息子の友人だった高本、集落で育った金本らに囲まれいまは不法就労の中国人の住む集落で近づく死を思い、日本人として戦争に借り出された過去を思う。
集落にかかわる人たち、最底辺からの脱出を図りながらも其処に住むソバン老人に対する優しさ、暖かい接し方。それは同胞としての結束なのか、そういった民族なのか、みな同じ過去の苦渋や傷を持っているからなのだろうか。
成功者である永山は、その集落を所有し集落に棲むものたちを所有し支配しているようでいて、昔その集落でもあったようなリンチであるにもかかわらず集落の中で数が増えた中国人たちのその仲間うちのリンチを止めることが出来ない。其処に住む新しい住人たちは自分たちなりの決着のつけ方をしなければならない。
うまく言えないなあ。日本の中で肩を寄せ合って生活していた在日の人々、それぞれ集落から成功したり脱出した後、その中で起こる新しい集落の住人たちは過去を反芻しているようで、そしてそれに対して無力であったりその行為を嘲笑したり、その中に何か滑稽なもの哀しいものを感じる。
ソバンの次の世代である高本は「わしらの世代以降ではつけられんこの国へのけじめを、あんたらにつけてもらいたいんや。・・・・そこそこの金と社会的地位を維持するだけで満足して、心も体も弛緩しきっとる。この国のやり方に文句をつけられる筋合いではないかもしれん・・・・」といい、
日本人の次の世代である警官は、「あんたがここに、日本に住むのは歴史的にも何とか理解できる。しかし、俺の目の届くところで、百人もの不法滞在者が自分たちだけのコミュニティーを作るのはぜったいに許せん。・・・もうこれ以上外人はいらん。・・・」という。
堅苦しい文章でもなくすっと読み進むうちに、日本の中で生きてきた在日の人たちの複雑な思いとか多国籍、多民族化する日本とか何か残るものの在る小説だった。

しかし、何故か次に載っている短編を読もうという気が起きない。
もっとこの人の書いたのを読みたいという気が起きない。何故か・・・
2006・10・11


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 3

そして殺人者は野に放たれる (新潮文庫)

著者 : 日垣 隆

出版社:新潮社

発売日:2006-10

評価 :

完了日 : 2007年10月19日

冒頭から作者の怒りを感じる。精神障害者の心神喪失による犯罪が無罪や量刑の軽減になることへのどうしようもない怒りを感じる。ネタバレしそうなので読んでない方はここまでで。
特にこの本と思って選んだわけではない。図書館でこの前の「累犯障害者」と並んでいたので2冊とも借りただけなのだが、この2冊を読んで前の本に感じた漠然とした疑問も解けたような気がする。ただしこちらは後半になると法律の条文や判決文や精神医学の定義とかが書かれていて半分も意味がわからない感じなのだが。
刑法39条によって「心神喪失」と判断されたものは責任能力がなかったとして人を何人殺しても罪に問われることはない。精神障害者として措置入院され、犯行時は心神喪失でも措置入院後正常であると判断されると1年もたたないうちに社会に復帰する。
同様にどんなに凶悪な殺人者も「心神耗弱状態」であったと精神鑑定されれば量刑は軽減される。
犯罪者の中にはこの刑法39条を悪用し何度も同じような犯罪を犯すものもいる。また罪を逃れるために心神喪失を演出するものもいる。
この精神鑑定は果たして意味のあることなのかという作者の思い。人が殺されたという事には変りはないのだ。

私が「累犯障害者」を読みすっきりしないものを感じたのは、知的障害者であれ聾者であれ殺人は殺人に変わりなく被害者の命は失われ、被害者には家族も友人もいるし、その怒りや悲しみの矛先をどこにもって行けばいいのかという思いだ。
福祉が充実していないから善悪の判断基準が曖昧な、また独特な障害者は犯罪を犯してしまう。優秀な弁護士と彼らに少しでも理解できる裁判が行われていれば量刑は他の健常者の犯罪者と同じように公正なものとなるのではないか。刑を終えても受け皿のない彼らはまた同じような犯罪やもっと重大な犯罪を犯し刑務所に戻ってくる。彼らを救済する福祉が充実していれば犯行は起きないのではないか。罪を理解することのできない彼らに更正や矯正は無理なのだから福祉を充実させて彼らを収容する場所を作らなければならない。これが山本譲司氏の言いたいことだったように思う。何か「福祉」という錦の御旗で体よく隔離してしまえとも取れる気がする。

この本のなかで様々な事件が「心神喪失」「心神耗弱」という理由で無罪になったり量刑が軽減された事例が出てくるが、私も覚えている事件も何件かあった。仕事に忠実で優秀な弁護士ならば被告人を無罪や量刑が軽くなるよう被告人の利益になるように努力しなければならない。そうなれば精神鑑定で刑法39条を適用されるように努力するのは当然のことだろう。たとえ個人的にはどのように被告に対して思っていてもだ。
覚醒剤の使用者も飲みすぎの酔っ払いも性的変質者も被害妄想も神経過敏者も、ただ演技しているものも同じ判断基準で同じような判決で病院か刑務所に行く。
今精神病院は一番利益が上がらないらしいのか、どんどん病床数を減らしたり閉鎖になっている。面倒な患者は早く退院させたいのではないかと思う。通院になったら無罪放免じゃないか。
刑務所で同じ更正プログラムを組んでそれで良いのか。
作者の怒りが良くわかる。
作者は一貫して重大な罪を犯しながら軽微な罪にしか問われないことに不条理だといっている。それも国民の税金で手厚く保護された刑に意味があるのかと。過激ともいえる。
この国の刑法はおかしい。
抑制力の乏しい精神障害者が再犯する可能性は高いだろうと思うのは精神鑑定した人も言っているのにそれでも刑法39条は罪を軽減してしまう。

作者は自分も犯罪被害者の家族であり、また家族には精神分裂症患者もいるのだからいえるのだといっているが、そこはなんとなく嫌な感じ。

まとまりがなくなってきたが、レッサーパンダ帽の男に殺されたのが私の娘なら、どんなに彼の置かれた境遇が不幸なものだったとしても死刑を望むだろうし、幼女に性的反抗をした男が心神喪失から立ち直ってもその隣に娘を座らせることなんて出来ないし、隔離してほしいと望むだろう。

戦争で人を殺すとき、それは個人だけではなくその国民全員が心神耗弱状態になっているのだろうな。
2007・3・9


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 9

累犯障害者

著者 : 山本 譲司

出版社:新潮社

発売日:2006-09-14

評価 :

完了日 : 2007年10月15日

とても考えさせられる重い内容の本だった。

「これまで生きたなかでここが一番暮らしやすかった」
刑務所が暮らしやすい場所だと感じる障害者がいるという事実。
この本のなかでは知的障害者とろうあ者が取り上げら得ている。
私たちが常識とおもっていることが彼らにとっては多少違っているのかもしれない。
思考の仕方、思考の組み立て方、判断基準が違っているのかもしれない。
そんな彼らは塀の外で生きづらかった。
福祉よりも最低限の生活を保障してくれ、彼らをケアしてくれる環境として刑務所は彼らには快適ではなくても安心出来る場所だという事か。
ろうあ者の裁判の難しさ、不条理さを感じた。何故司法の人たちはその点を言及しないのだろう。この本のなかで作者が歯がゆい思いをしていることは理解できる。
知的障害者にその罪を理解させる事の難しさ、精神障害者は責任能力がないとして罪を追求されないと聞いていたが、知的障害者は刑に服している。その辺がよくわからない。

こんな現実もあるのだと改めて知る本だった。
2007・3・7


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1.船橋胡同 (2007/10/16)
重い内容の本のようですね。今まで犯行と犯罪者および、
刑務所内での体験?などの小説は娯楽として読んできた。
が、事件当時に精神障害との判決と、知的障害者の刑の
区分すら知らなかった。「ろうあ者の裁判」も思いつかなかった。
「刑務所が暮らしやすい」も考えさせる言葉だ。
パートママさんの、真摯な考え方がこのような作品を選ぶ
事で感じられます。この本は絶対に読みます。
2.パートママ (2007/10/16)
ぜひ読んでください。このたなぞうのほかの方の感想も読んでみてください。未熟な読者の私の感想よりいいものあります。
 

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 2

うしろ姿

著者 : 志水 辰夫

出版社:文藝春秋

発売日:2005-12

評価 :

完了日 : 2007年10月14日

この一冊を読む間にワールドカップで日本は予選敗退してしまった。ブラジル戦のあとのピッチに倒れ目元を隠していた中田英寿は見ていて涙が出そうだった。
と言うことでまったく集中力の無い時期に何故本を読んだりしたのだろう。サッカーの始まる時間まで読み又次の日続きを読む。でも頭の中サッカーで一杯で内容が入ってこない。時期が悪かったこともあるだろうが、あまりどんな本と言う感想も無い。残念。ただこの本のあとがきが気にかかる。
地方の本屋の平台はおっしゃるとおり売れ筋の本とその亜流で占められている。そして棚にはいつも同じ本しか並んでいない。
どんなに面白い本でもそれが売れるためには、多くの人に読まれるためには宣伝や賞を獲る事が不可欠だろう。どなたかも書いていたが芥川賞の選考委員は私もそろそろ総入れ替えしたほうが良いんじゃないかと思う。他の賞にしたところでやはり同じだろう。
そんなこという私も賞を獲って始めて知った作家とかばかりなのだけど。
でも今本は読まれなくなったというけれど、このネット上にいったいどれくらい読書ブログがあるだろう。ブログの中で一番多いと何かで読んだ。本を読む人は決して減っていないと思う。ただ本は高すぎる。一度読んでしまうとそう何度も読み返すこともないし、評判に反してはずれだったりするものもある。新刊で売れなくてもブックオフとかで買う手もあるし・・・。そう悲観する必要も無いんじゃないかと思う。
いい本は何年たっても面白い。タイミング悪くこんな時期にこの本を読んでしまったが、あるとき「ああこの感じはあの本に書いてあったな」と思う出すことがあるかもしれない。そしてもう一度読み返したいと思うかもしれない。
2006・6・29


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 7

嫌われ松子の一生

著者 : 山田 宗樹

出版社:幻冬舎

発売日:2003-01

評価 :

完了日 : 2007年10月14日

面白かった。悪女の一生かと思ったら、薄幸な女性の一生だった。
山本周五郎の後に読んでも遜色の無い面白さ、これはこれで又一気に読んでしまう面白さ。
こちらはあまりに考えの無い行動が多いためにどんどん悪い方向に進んでしまう。バカだなと思う反面、いつ自分もそうなるかわからないとも思う。
映画みたいな。"


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 3

五弁の椿 (新潮文庫)

著者 : 山本 周五郎

出版社:新潮社

発売日:1964-09

評価 :

完了日 : 2007年10月14日

面白かった。さすが山本周五郎、一息で読んでしまった。シドニー・シェルダンを思い出す。
父親の無念を晴らすため父の残した財産とその美貌を武器に次々と復讐を遂げる娘、おしの。かなりなエディプスコンプレックスだとは思うのだが、父が最期にどうしても言いたかったこととは何だったのだろう。おしのの考えるように母への恨み言だったのだろうか。そんなに男と女、単純なものではないようにも思うのだが・・・。相手の男たちもまたおしのの色香とその財力に目が眩み簡単に罠にかかるのだが・・・。又最後まで生娘であることにこだわったおしの、それは単に相手の男に身体を許すことがイヤだったからと言うだけでなく、自分の中にある母親の血、淫蕩な女の血に怯えていたからではないかと思うのは考えすぎだろうか。
おしのの復習が完結するように応援してしまいながら読んでしまった。
以前テレビドラマか何かになってみたような気もするのだが、今このおしのさんを演じれる女優さんいないよね。復讐されるほうの役ならいっぱいいそうだけど。
2006・6・28


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 13

しゃべれども しゃべれども

著者 : 佐藤 多佳子

出版社:新潮社

発売日:1997-08

評価 :

完了日 : 2007年10月14日

だれかとコミュニケーションをとろうとしたらどうやって話をしたらよいのだろうと思う。私も自分を伝えることが苦手だ。文章にしても自分が何を思うか書くことは難しい。こんなにいっぱい人の書いた文章を読んでいるのにいざ自分のことを書こうとすると難しい。
この本の中の登場人物はみな不器用で自分を周りに表現することがうまく出来ない。「良し」と言う自信が足りなかったり多すぎたり、と言って回りにへつらうと言うか流されることも出来ない人たち。憂鬱にならずにすっきりと読めるのは作者の人柄だろうか。
最近自分をうまく伝えられずにいる。開き直ってそれなら黙っていようと思う。必要なこと意外はなさないで置こう。でもそれってある種引きこもりといっしょだなと思う。自分の心の中に引きこもり。こんなの私じゃない。
2006・6・16


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 1

新リア王 下

著者 : 高村 薫

出版社:新潮社

発売日:2005-10-26

評価 :

完了日 : 2007年10月14日

最初の出だしから進まない。こんなに大変だとは思わなかった。結局政治の話や宗教の部分は飛ばし、内容だけを追ってしまった。しかし、何かすごく損をしたような気もする。もっと丁寧に読んだらもっと感動したように思うから。
上下の厚さと前作の「晴子情歌」を読みまず思うこと、この長さは必要なのだろうか。飛ばしに飛ばして読んだくせに何を言うかだが、実際ぐじぐじとした文章に感じる。砂防会館の事務所の人間模様についても丁寧と言えばそうだが、もっと簡潔に微妙な雰囲気が書けるのではないか。そうでなければ話を誰か一人に絞ってその物語として独立させたほうがよかったのではと思う。と読み始めてすぐには思ったのだが、読み終えるとちょっと違う。この前段が合って最後の章の「死の周辺で」に繋がるのだろう。だがそれならせめて彰之の話とは分けてもよかったのではと思う。それはそれで一つの話として読んだほうが混乱もしないだろうに。構成の複雑さが読みづらさだと思う。「晴子情歌」のときは欲張りすぎ。
政治に関する部分はほとんど読んでいないのでなんとも言えないが、「福澤」と言う地方の政治家一族がどんなにあがこうと時代は地方を切り捨て中央の下達で結局踊らされているだけなのだと言う感じがした。昭和の自民党史と誰かが書いていたが、三角大福から、竹下中曽根と言った実名が生々しい。榮にしたところで勝一郎が引退したときのような潔さも無く、周囲の空気を読み取れぬほど年をとってしまったのに世代交代の時期を見誤っていたのだからこの孤独に繋がるのだろう。
彰之の禅寺の修行部分もほとんど読んでいないのだが、もっくんの映画「ファシーダンス」それを思い出し想像する。映画は明るくコミカルだったがこの彰之はひたすら真摯で重い。彰之の唱える「ぎゃーていぎゃーてい」は実家の宗教と同じなので耳に聞こえてくるようだ。でも最近はどんなときでも「般若心経」で済ませているように感じるが。そんな章之と初子や秋道と対決する章之が繋がらない。別人のように感じるのだ。「晴子情歌」で複雑な家族構成、「福澤」と言う一族の視線、そんなものから南洋や北洋そして出家へと道を求めて行く章之は繋がる。それに対しここで榮と対峙する章之は二人居るようなのだ。
初子と言う女は登場こそ少ないがそれなりに人間像が想像できる。と言うか自分なりにこんな女というイメージを持っている。ねっとりとした女。たいした才能も美貌も教養も夢も無く、自分で自分の道を切り開く意志も努力もしないのに現状から引き上げてくれる誰かを待っていたところに章之と会う。東大生で将来も有望で地方の名家の出でしかもイケメン。すべて相手が何かしてくれるものとしがみ付いている女。生活を世話することでと言うより肉欲にしがみ付いている女。愛情なんか持っていない。どうにもならなくなったときふと昔の男の弱さを思い出す。こんな自分に手を出してしまった男の弱さ、捨てるときの曖昧さの中の弱さ。そして再会した男は相変わらずの弱さを持っていた。でも若いときにもてあましていた煩悩を捨てて生きようとしていた。もう肉欲と言うしがみ付くものが無くなった男に重い荷物を引き渡し新たな男にしがみ付こうとする女。そんな女と会うために服装まで女に合わせようとする彰之はどうしても繋がらない。女の聞く演歌に女の安っぽさを感じながら、そこに自分が性欲の捌け口として抱いたお金だけの女たちを重ねながら何故女の喜ぶような行動をしようとしたのか。自分の子供を生んだことも知らず、その子が悪魔が服を着て歩いているような息子に育っていたことに対する責任感、罪の意識としてもそんな風には繋がらないのだ。榮が何故初枝の事を聞きたがったか、そこには血のつながった父親など最初から自分には居ないような顔をした章之が「血」だけが繋がっている見たこともない息子の存在に対処できない様に榮自身が息子たち、特に彰之に対して持っていた感情を見るからではないか。と突然飛躍して考えてしまったりする。
「晴子情歌」で筒井坂の口紅をさした晴子が座っていた貧農の暗い土間、雪の日の夜無口にただ仕事をし昨日と今日と明日の違いの無い土間、福澤に始めていった日の活気にあふれた台所、勝一郎が引退したあと人のいなくなった台所、それはふっと目に浮かんでくる。大体晴子を「生涯で唯一惚れた女」と言う榮、その榮に彰之の事を手紙で知らせていた晴子が良くわからない。なぜか。淳三に対し何も無いことにも疑問。淳三は榮や晴子にとってどんな存在だったのか。この「新リア王」の中では誰も淳三について語らない。第四章ぐらいしかしっかり読んでいないが、この後彰之と秋道の物語があるらしい。出来ればもう少し読みやすければと思うが私の考える初子像と彰之の本当の姿がわかるかもしれない。2006・6・12


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 2

ナイトウォッチ

著者 : セルゲイ・ルキヤネンコ

出版社:バジリコ

発売日:2005-11-29

評価 :

完了日 : 2007年10月14日

ロシアの作家、それも現在の作家のバトルファンタジー。ロシアと言えばトルストイぐらいしか思いつかない頭ではとてもこういうジャンルの作家がいる事が驚きだった。ソ連の共産主義が崩壊してもう何年になるのだろう。なのに依然としてロシアのイメージはトルストイの「アンナカレーニナ」や「罪と罰」なのだからロシア人に失礼だよね。

光と闇の戦いは今休戦状態でお互いに条約違反を取り締まる「ナイト・ウォッチ」(光の異人)と「デイ・ウォッチ」(闇の異人)がお互いを監視しあっている。
「ナイトウォッチャー」である光の異人アントンが主人公。
エピソード1は、アントンが誰かの強力な呪いの黒いじょうご(渦)が頭上にあるスヴェトラーナを見つけ、未完成の運命のオーラを持つ少年にゴールを発見することから始まる。
エピソード2で、謎の処刑人である野人と間違われたアントンは、それがスヴェトラーナやイゴールと複雑に絡み合ったものだと知る。
エピソード3で、「運命の書」の書き換えをめぐりアントンの苦悩は深まる。

光と闇が絡み合いイゴールとスヴェトラーナの運命を賭け戦いが繰り広げられるのだが、ウーンこれ以上はネタバレになっちゃう。

新しいロシアがあるのだと再認識。だが、やはりロシアはウォッカなのだなあと思った。闇の魔術師の名は「ザウロン」でヴァンパイヤはこうもりになり、悪魔は銀に弱いのは世界共通なのだなあ。
最後に元気玉のように人それぞれの幸福を集めたとき、それぞれの幸福が花の色のイメージで書かれている。力を放出したときカラフルな花びらの色の光線となるあたり映像ならきれいだろうと思う。
2006・5・25


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 11

6ステイン

著者 : 福井 晴敏

出版社:講談社

発売日:2004-11-05

評価 :

完了日 : 2007年10月14日

福井晴敏の短編集。なかなか読み応えのある本。
どれも市ヶ谷(防衛庁諜報機関)の工作員の話。
実在する機関なのか、それとも架空の機関なのか、社会の表面に出ない裏側で繰り広げられる男たち、女たちの任務。福井晴敏流の美学で書かれている。
「920を待ちながら」が一番面白かった。最後まで真実が何なのか見抜けなかった。
「畳算」は少し無理があるような気がする。
全体に少しかっこつけすぎという気もするが、この人流なのだろうと思う。
2006・5・23


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 6

バーティミアス 3 プトレマイオスの門

著者 : ジョナサン・ストラウド

出版社:理論社

発売日:2005-12-08

評価 :

完了日 : 2007年10月14日

この緊迫感、この展開、ここに来て前作2作が大きな意味を持って繋がる。
大方の方の感想のとおり結末には涙(て、出なかったけど)してしまいそうになる。
ハードボイルドなバーティミアスは主人であるナサニエルの命令に逆らえず働いているが、前作でであった少女キティに心惹かれるものを持っている。キティもまたバーティミアスに共感するものがあり悪魔や妖霊について理解しようとする。
プトレマイオス,バーティミアスにとって特別な存在のこの主人との関係もこの本で明らかになるが、プトレマイオスの門から帰ってきて顔が変わったと言うので変なほうに想像してしまった。
1作目より2作目、2作目より3作目とどんどん魅力的になった本だった。
多分バーティミアスが考えるとおり過去との繋がりを絶ちたくないから、他の魔術師に呼び出され名前を教えてしまうのではと言う疑心暗鬼から開放しないのだろうが、他の魔術師に取られたくない、自分にも心を開いてほしいとナサニエルは願っていたのでは。でもヘロヘロになるまでとは、こういうのをなんとかって言うんだよなあ、「愛しさあまって憎さ千倍」あれなんか違うなあ。
イギリスってこの手のファンタジーが豊富な国なのだなあ。
2006・5・18


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 6

第三の時効

著者 : 横山 秀夫

出版社:集英社

発売日:2003-02

評価 :

完了日 : 2007年10月14日

面白かった。やっと読みたい本を読んだからかもしれないが、読み応えあり。
笑わない男朽木、冷血楠見、人間離れしたカンの村瀬、3人3様に個性的な班長たち。そこには仲間意識や尊敬はない。確実に事件を解決することへの信頼は合っても競争と主権争い、プライドのぶつかり合い。
この本の前作とも2時間ドラマになっていて全部見ていたが、ドラマでは朽木の事件も楠見が担当していた。笑わない男と冷血には同じようなものと言うことか。男たちは必死で事件を解決し警察社会で生き残ろうとしている。そんな殺伐とした雰囲気がある捜査一課。この刑事たちが活躍する話の続編はないのだろうか。もっと読みたい。
2006・5・10


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 33

沖で待つ

著者 : 絲山 秋子

出版社:文藝春秋

発売日:2006-02-23

評価 :

完了日 : 2007年10月14日

期待していなかったが予想外に面白かった。何か後に残るものがある。
勤労感謝の日
自己都合で退職した36歳、勤労感謝の日に見合いする。女であること、でも社会人として、会社の一員として働いてきた女が会社を辞めて感じること。さばさばした文章の中に何か共感できるものと何かうまくいえないが残るものがある。
第1戦で働いたことがある人だけがかけることなのかもしれない。仕事をやめたとたん36歳の未婚の女になってしまう。

沖で待つ
これも働く女が同期の男性との友情を書いたもの。性別なんて関係ない。男も女も同じように勉強して受験して、そこには女だから男だからと言う境界はなかった。会社に入って同じように働いて生まれたものは夫婦とか恋人とは違うものがあるのだろう。残念ながら経験がないのでわからないが、同士と言った感情は性別を越えると言うのはわかる気がする。いいなと思う。

この作家は「袋小路の男」しか読んだ事はないが、こちらのほうが断然いいという気がする。
2006・5・10


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 47

チルドレン

著者 : 伊坂 幸太郎

出版社:講談社

発売日:2004-05-21

評価 :

完了日 : 2007年10月14日

"又井坂幸太郎を読んでしまった。しかもあっという間に。大好きではないけれど読むとなんかやめれなくなってあっという間に読んでしまい、又何か読もうかなという気になる。
最近何冊か読みかけ挫折した。
明日の記憶
アラビアの夜の種族
大切なことは60字でかける
あとなんだったかな、北村薫と岩井志麻子も借りてきていたがなんだか開いても開いても読む気にならずもう題名も忘れてしまった。
つまんないなあと思っていてこれにあたり読んだからよけいかもしれない。
なんだろう。
ありえない人物陣内、ありえないような事件、でも楽しい。
大学生の陣内が家裁の調査官になっていて、大学時代と32歳の陣内の物語が交互に短編として載っていて一つの物語となるのだが、永瀬や鴨居はどうしたのだろう。どんな32歳なのだろう。
今日物凄く久しぶりに近くの本屋に寄った。
この本も映画かドラマになるらしい。
本屋には東野圭吾とかといっしょに並んでいたが、やはりこの本屋はあまり小説を買う人は少ないのだなと思った。なんか一応話題になっているもの並べといたけどって感じでいかにも力はいってない。
だっていまだに一番目立つところにはヨン様なんだよ。
私の利用している図書館は、正式には分室、図書室であるらしいが、こちらも蔵書は少なく限られているのに最近なぜか頼んだ本が来ないなと思っていたらリストをなくしたかもう忘れたかしていたらしい。新刊読んでるんだからいいでしょみたいな感じでちょっと腹が立つ。
読みたいときが旬なんだよ、私には。ささやかな楽しみなんだよ、唯一の趣味なんだもの。
なぜか腹が立つ。
2006・4・26


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 11

パーク・ライフ

著者 : 吉田 修一

出版社:文藝春秋

発売日:2002-08-27

評価 :

完了日 : 2007年10月14日

私はこの手の小説は苦手です。
起承転結はあるけれど、どうという話しの展開でもなくそれで何が同だって言うのとききたくなってしまう。
帯に芥川賞の選考委員の評が載っているが、「人間が生きてあるとは、どういうことなのか。そのことがまことにのびやかに伝わってくる。」どこがなのだろう。
「隅々にまで小説のうまみが詰まっている」どの辺?
「現代に特有の居心地の悪さと、不気味なユーモアと、ほんのわずかな、あるかどうかさえはっきりしない希望のようなものを獲得することに成功している。」
性格のよさそうな青年がふとしたきっかけで出会った女性と話をするようになる。公園で何度か会ううちに公園に集まる人たちが気になりだし、彼女と公園以外で始めて会ったあと何かを決断する。
その中には周囲の人たちのいろんなあり方というか、曖昧な状態があるのだが、この曖昧さが鈍感なそして理解力に乏しい私にはだからそれがどうしたって感じで落ち着かない。

もう一遍「flowers」というのも載っているが、こちらのほうが良い。
都会の中で失っていくもの。生きていく中で失っていくもの。そんなやるせない気だるさを感じた。
2006・4・21


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31歳ガン漂流

著者 : 奥山 貴宏

出版社:ポプラ社

発売日:2003-11

評価 :

完了日 : 2007年10月14日

闘病記。若い男性がガンで余命2,3年と告知される。本人の内面の葛藤とか家族とか友人とかそういった感情の部分は本人だけのものとして、発見から治療内容入院生活についてホームページで発表されたもの。
著者はステージ3Bの肺がんで抗がん剤治療や放射線治療を受けるのだが、ガンそのものによる苦痛よりもその治療による苦痛、副作用による苦痛、又治療によって新たな症状が引き起こされその苦痛、又薬や副作用によって起きた症状の治療、免疫低下、体力低下に至る。又その副作用や治療によって引き起こされる症状は死に至ることもあるという。ガンで死ぬ前にガンの治療で死ぬかもしれないのかと驚く。
矛盾
治療の成果も確認できず治療の副作用でぼろぼろになりこれ以上病院に居ても何も出来ないからと体力が回復する一ヵ月後に再入院ということで退院するあたり、やりきれない医療の現実だよなあ。医師を誠実だとこの著者は感じていないが、それなりの訳もあるのだが、自身がこの人と見込んだ医師に巡り会うことって本当に少ないのだろうなあ。
この本は2003年に発行されているが、著者が再入院した時点で終わる。その後は調べないで置こう。
2006・4・19


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おりこうさん おばかさんのお金の使い方

著者 : 板倉 雄一郎

出版社:幻冬舎

発売日:2005-12

評価 :

完了日 : 2007年10月14日

読みやすくわかりやすい。
ポイントやプレミアムカードといった身近なものから入り、お金の価値、株式投資までおりこうさんとおばかさんの例を挙げて説明している。
でこの本風に言えば、
「この本を読んで、マネーがなんだかわかったような気がするから今ある資金でマネーゲームに参加してみようかと思う人」おばかさん
「この本を書いて、単なる危険なマネーゲームと実態経済価値の違いをキチンと理解して価値提供にあったマネーの配分を受けてほしいという本を書いた人」おりこうさん
というところか。
2006・4・17


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