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Tetchyさんの読書ノート

いや、もうこれは商品として売ってはいけないでしょう的な本
もうひたすら絶句・・・といった本。
何を披露したかったのか、何を主張したかったのかも判らない本たち。
単純に過去の文章の寄せ集めという場合もある。
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湯布院の奇妙な下宿屋 (光文社文庫)

著者 : 司 凍季

出版社:光文社

発売日:2004-03-12

評価 :

完了日 : 2008年08月29日

八木司郎はアパートの隣人、八追純平の代わりに一尺屋遙の手伝いのために湯布院に行く事になった。
菱形の離れが8つ、等間隔に点在する奇妙な下宿屋「狭霧荘」を訪れた一尺屋と八木はその管理人である狭霧木綿(ゆう)から、最近下宿に住む人々の間で奇妙な物が盗まれたり、壊されたりする事件が起こって困っていることを聞かされる。

狭霧荘は木綿の伯父、狭霧吉宗が芸術家を育てる目的で建てた下宿屋で、吉宗は木綿を結婚相手をそれらの住人から選ぶと決心していた。
しかし吉宗は結婚相手を記した遺言状を認めたその日に心臓麻痺で死んでしまう。

各住人に起きた瑣末な事件を解明するよう依頼された一尺屋だったが、その翌日、住人の1人、画家を目指す奈良岡晃が金鱗湖にて水死体で見つかる。
外傷も争った形跡もない事から警察は自殺だと判断して事件を処理しようとしていたが、一尺屋はこの事件そのものにきな臭い物を感じる。

一尺屋の予想を裏付けるかのごとく、1人、また1人と狭霧荘の住人が犠牲になっていく。

(本感想にはネタバレを大いに含みますので、未読の方はご注意下さい)










「嘘の上塗り」という言葉がありますが、この小説の真相が正にその言葉がぴったりだと思いました。
二重に仕掛けられた本作のトリック、作者の中では結構自信があったのでしょうが、私に云わせれば、無理を通すために道理を引っ込めさせ、強引に驚愕の真相へ持って行ったという感じしかしませんでした。

本作に用いられているトリックはクリスティの某作品がつとに有名ですが、本作ではどうも鮮やかに決まったとは云い難いです。
作中で探偵役の一尺屋が持論を確立させるために何度も真相を云い直しているのも気になります。

曰く、

「君を見た瞬間、それは叔父さんは驚いたのだろうね。弟に息子がいたなんて知らなかったんだから。そのショックで心臓が止まっても仕方が無い」
「信号音は君が叔父にナイフでも突きつけて聞きだしたのだろう。・・・殺される!という恐怖が叔父を死に至らしめたのかもしれない」

といった具合です。
この間、1ページも無いのです。

しかも逢ったことのない叔父の家の間取りやら数々の企み、そしてそれらを成功させる数々の仕掛けを遠方で母親の話を聞いただけや関連の書物を読んだだけ、はたまた何度か由布院に訪れただけで解るでしょうか?
人間なんて新しい環境に慣れるのでさえ、2ヶ月は最低必要です。

東京でフリーターをして日銭を稼いでいる若者に果たしてこれだけの事が出来るのでしょうか?
現実味の無い話です。

あと狭霧荘の住人たちの隠されたある秘密というのも半ばにして解ってしまいました。
というよりもこれは確か折原一の某作品と全く同じ真相です。

そしてこれを生業にせずに全くの趣味でやっている狭霧吉宗。
趣味で殺人やマインド・コントロールや大麻の栽培から販売までやるというのは小説という作り物のための設定でしかなく、小説を読むというより謎解きゲームの解答を読んでいるようでした。

こういった辻褄併せのような論理の積み重ねが読書の興趣をそそるどころか、ああ、無理をしているなぁという苦労が作品の裏側から透けて見え、なんとも痛々しいのです。

そして、この作家特有の類型的な人物像の乱立。
どこに小説としての面白みがあるのでしょうか?

相変わらず、島田氏の提唱する本格推理小説作法に則っていますが、なんとも味気がありません。
心動かされる何かがありません。

料理本の云うとおりに料理を作れば、確かにそれなりの物は出来、食べられる代物にもなります。
しかし、人に提供して金を取るだけの商品にはなりません。

そこに料理人としての独特の味付けをしないことには単なる素人の手遊び(てすさび)です。
毎度毎度苦言を呈して申し訳ありませんが、6作を通じて得た感想はこういった類いの痛罵しか思い浮かびませんでした。


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トワイライト・アイズ〈下〉 (角川文庫)

著者 : ディーン・R. クーンツ

出版社:角川書店

発売日:1996-08

評価 :

完了日 : 2006年11月14日

(上巻からの続きです)

下巻で登場する前の悪役ライル・ケルスコに代わって街を牛耳っているクラウス・オーケンウォルドなる新任の警察本部長が出てきますが、これがライルを上回る悪役ぶりなのに、結局スリムとの直接対決はなく、しかもゴブリンを根絶やしにするどころか、ゴブリンの人間撲滅の基地である炭鉱を壊滅するに留まるのです。
しかもあれほどゴブリンを全滅させるのにこだわった主人公がなにか吹っ切れたかのようにゴブリン退治を諦めます。

この180度転換した意趣変更は正直面食らいました。
作者は炭坑で繰り広げられる洞窟探検譚に似た襲撃場面に筆とエネルギーを費やしすぎて燃え尽きてしまったのでしょう。

しかしこのような結末を迎えるのなら、あえて2部構成にする必要はないのではありませんか。
1部のみで十二分にゴブリンとスリム含めたカーニバル一行との全面戦争を語ることに専念すれば、中途半端な物語にならなかったように思いますが。

しかし、この内容を是として出版したクーンツもすごいと思いますが、版元もすごいと思いますね。


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トワイライト・アイズ〈上〉 (角川文庫)

著者 : 汀 一弘,ディーン・R・クーンツ

出版社:角川書店

発売日:1996-08

評価 :

完了日 : 2006年11月14日

カール・スタンフェウスことスリム・マッケンジーは「薄明眼(トワイライト・アイズ)」という不思議な眼を持っていた。
彼は人間に化けたゴブリンの正体を見破る事が出来るのだ。

彼は14歳の時に村で次々と村人を殺していた伯父に化けたゴブリンを殺害し、それ以来ゴブリンを退治する旅を続けていた。
やがて彼は旅の途中で見つけたカーニバルに潜り込み、そこの従業員となる。

カーニバルの見世物のオーナーの一人である美少女ライアの許で働く事になった彼だが、カーニバルはやがて移動のときを迎える。次なる街はヨンツダウン。
そこはゴブリンが市長、警察本部長を勤めるゴブリンの巣窟だった。

ゴブリンどもがカーニバル一行の殺戮をたくらむのを肌身に感じたスリムはゴブリンを一匹、また一匹と殺し、カーニバルを守ろうとするのだが。


4年前に上巻のみ手に入れて、ずっと本棚に眠っていた本作品。
このたびようやく絶版となっていた下巻を手に入れて喜び勇んで読みましたが、4年も待った甲斐が全く無い駄作でした。

物語はゴブリンを見分ける特殊な眼を持つ主人公スリムの一人称で語られますが、これが17歳の言葉とは思えないほど、格式張っており、しかも回りくどい表現が多くて、かなり疲れました。
作者としてはイメージ喚起を促したつもりでしょうが、読み手の方としては感情移入を許さない文体だなと思うことしばしばで、なかなかのめりこめませんでした。

ゴブリンが人間に化けて人間を殺していくエピソードの数々はなかなか面白いのですが、これがやはり文体のせいでなかなかのめり込めません。
ゴブリンが戦争時代の生物兵器であるという設定はファンタジーだと思っていた矢先のSFへ転換でおっと思いましたが、しかしそれまで。

カーニバルの三つ目の巨人ジョエル・タックを始めとしたフリークスたち、カーニバルの総支配人ジェリイ・ジョーダン、ヨンツダウンに住む老人ホートン・ブルイットなど魅力的な人物が出てきますが、物語にどうも活かしきれていません。
そしてやっぱりやってくれましたよ、クーンツは。

上下巻合わせて770ページあまりを費やして最終的に物語を放り出してしまったのです。

(下巻に続きます)


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この文庫がすごい!〈2006年版〉

著者 : 『このミステリーがすごい!』編集部

出版社:宝島社

発売日:2006-07

評価 :

完了日 : 2006年08月22日

昨年、復活ののろしを挙げたこのムック。
その内容は衰えていたかつての勢いを見事に誌面で甦らせてくれました。

その余勢を駆って、本年も発刊と相成ったのですが、その内容に斬新さは見られませんでした。
昨年、『この文』の花形企画として打ち出した「文庫・オブ・ザ・イヤー」の結果からしてがっかりです。

なんせ1位は映画にもなったベストセラー『博士の愛した数式』だからです。
この失望は私が単純にミステリ・エンタテインメント系が好きだからという理由ではなく、数多く文庫を読む読書子が勧めたい文庫という結果としてはあまりにもお座なりだからです。

前年の1位、岡嶋二人氏の『99%の誘拐』は正にムーヴメントを引き起こしました。
これは恐らく普通、本を読まない人たちに知られていない本が1位になったからです。

でも今回はこれ、有名すぎるじゃないですか!!
この年の本屋さん大賞がリリー・フランキーの『東京タワー』だったと同じくらい白けました。

宝島社が放つムックなだけに、読書のプロがあまり世間に知られていない面白文庫を紹介する指南書であってほしいのです。
それを皮切りに続く企画、インタビューも有名どころばかりで、もうすでに「ダ・ヴィンチ」で読んでますって感じがして、何のために800円以上も払って買ったのか、解りません。

普通に本を読む人たちに阿るぐらいならば、もはや『この文庫がすごい!』なんて冠を掲げるのはやめて欲しいです。
もっと文庫ならではの企画があるはずです。

例えば絶版文庫の復刊希望ベスト10とか、芥川・直木賞作品で現在文庫で手に入るのは何冊か?なんて出版社サイドを突っつく企画があってほしいです。

文庫は文芸作品残存の最後の砦なのです。
売れてる文庫は黙っていても本屋の棚には並んでいます。

『この文』がやらなければならないのは、絶滅しそうな不朽の名作の保存、復刻ではないでしょうか?
今のままではムックとしての存在意義がありません。
今回は強くそう思いました。


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弓弦城殺人事件 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 6-1))

著者 : カーター・ディクスン,加島 祥造

出版社:早川書房

発売日:1976-04

評価 :

完了日 : 2006年04月13日

イングランドに点在する数少ない古城。
弓弦城もその1つだった。

その主、レイル卿が甲冑が数多く並ぶ甲冑室で殺される。
しかも出入り口には城を訪れた複数の客が見守っており、裏口は卿自らが当日釘を打ちつけ、開かないようになっていた。

さらに女中のドリスが部屋から転落死するという事件が起き、終いにはレイル卿夫人も自身の部屋で銃殺されてしまう。
偶々旅行で近くに訪れていた希代の犯罪学者ゴーント氏がこの連続殺人事件の謎に挑む。

う~ん、冗長すぎますねぇ。
まず物語がイメージとして頭に入り込みません。

これは作中でも出てくる城の見取り図がこの小説で示されないことによるところ大きく、大いに問題です。
謎解きもこの見取り図がなければ、作者が語るがままに頷くしかなく、全くカタルシスが得られません。

捜査も回り道が多く、なかなか一向に進みません。
特に狂言回しとして設定されていた城主の息子フランシスが物語を迷走させ、進行を大いに妨げ、忸怩たる思いがしました。

カー作品でもかなり初期の本作。
唯一の救いは初期の作品からして、カー独特の語り口と物語設定とオカルト趣味が垣間見えたことでしょうか。

しかし、それも単に物語を冗長にしているのに過ぎなく、切れを無くしていると思えて仕方がないのですが。
今回のカーの狙いは人間の裏面を見せたことでしょうか。

しかし、物語の引力が弱いのは否めませんね。


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思いがけないアンコール (講談社文庫)

著者 : 斎藤 肇

出版社:講談社

発売日:1995-08

評価 :

完了日 : 2006年02月23日

前回の事件の活躍で名探偵として知られるようになった学生大垣洋司の下に依頼人が訪れる。
それは政界の黒幕と云われる高槻貞一郎の秘書である新津省吾という男で、高槻氏の下に脅迫状が届いた、それは4人の人間の殺人を示唆する内容だったので未然に防いで欲しいという依頼だった。

大垣は先輩で名探偵である陣内とともに大槻邸を訪れる。
そこは直径約200メートルの芝生の真ん中にゆっくりと回転する御堂が設えられ、その四方に館が4つ点在する奇妙な場所だった。

そこで高槻の依頼を受けた1時間後、高槻が絞殺死体となって発見される。
それは奇妙な事に脅迫状の文言と一致していた。

早すぎる死。
しかしこれは連続殺人の幕開けに過ぎなかった。

う~、ダメでしたわ、これ。
あまりに素人じみた文体と本格推理小説の定型を破ろうと努力する痛々しさが行間から立ち上ってきて見苦しさを感じました。

依頼人が会って1時間後に殺される、360ページ強の内容において80ページあたりで早々と挿入される読者への挑戦状(文中では宿題)、探偵の事件放棄など目新しさを狙った努力は解りますが、それらがあまりにもぎこちなく感じて物語の腰を折っている感じがしました。
登場人物それぞれに魅力がないのも痛いし、なによりも小説を読む物語の醍醐味というものが皆無です。

先日読んだ有栖川作品と比べると雲泥の差が歴然と解ります。
あまりに登場人物を駒として動かしすぎです。
だから感情移入さえもできません。

また犯人は思ったとおりの人物でしたし、狂言殺人というのもうっすらと予想できたため、ほとんど驚きがありませんでした。
下世話なライトノベル調文体が妙に鼻につきますし、苦痛を強いられた読書でした。


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将棋殺人事件 (角川文庫)

著者 : 竹本 健治

出版社:角川書店

発売日:1994-02

評価 :

完了日 : 2006年02月16日

大脳生理学者須堂の研究室に助手、牧場典子より「恐怖の問題」という巷で話題になっている都市伝説が持ち込まれる。
それは男女もしくは隣人があまりの面白さに狂気に駈られる問題を取り合いになって墓地で取っ組み合いの殺人事件になるという話だった。

そんな中、静岡で大地震が起き、崩れた墓場の近くから男女のものと見られる白骨死体が発見される。
果たして都市伝説「恐怖の問題」は実話なのか?

またその頃、詰将棋を勉強していた須堂の元に親しい藍原教授から詰将棋の盗作の話が持ち込まれるのだった。

竹本健治の独特の云い回しにははっきりいって疲れました。
雰囲気重視の作家なだけに使用する単語にこだわりが強いのも解りますが、独り善がりが過ぎます。

この手の幻想小説風味が当方に合わないのも一因ですが、読み取りにくい上に、モジュラー型の本格推理小説の形式でありますから、なおさら理解しにくいのです。
多分二度目に読むと各章が何を指しているのか解るでしょうが、あいにくこちらはそんなに暇ではありません。

真相は大脳生理学者の須堂が解き明かすに相応しいテーマであり、発表された当時'81年の作品としては極めて斬新であった事でしょう。
しかしただその1点のみ評価が出来るだけで、それ以外は付き合いきれませんねぇ。


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恐怖の冥路 (ハヤカワ・ミステリ文庫 10-2)

著者 : コーネル・ウールリッチ

出版社:早川書房

発売日:1977-12

評価 :

完了日 : 2004年07月13日

読み手が悪いのか書き手が悪いのか、その答えはここでは解りませんが、何とも物語に吸引力がありませんでした。
この前に読んだ島田氏の『龍臥亭事件』が早く読みたくてうずうずしていたのに対し、今回は食指が伸びませんでした。

あのウールリッチの作品とは思えないほどの印象の薄い内容でした。
物語はある金持ちから逃れたカップルがキューバはハバナに着く所から始まります。

そこであるバーで写真を撮られるのですが、その瞬間、駆け落ちしてきた女性が何者かに刺され死んでしまいます。
その凶器が主人公が先ほど骨董屋で購入したナイフだということから逮捕されます。

しかし、それは主人公が買ったものとは微妙に異なる事を強調し、刑事らとその骨董屋に向かうのですが、主人はそのナイフこそ主人公が買ったものだと主張し、その証拠として領収書を見せます。
かくして殺人犯人として連行されることになる主人公は刑事たちの一瞬の隙を突き、逃亡し、復讐を誓います。

冒頭の真実が事実とマッチングせずに読者を混迷の最中に陥れる手法はウールリッチタッチですが、彼にしては珍しく最後主人公は復讐を果たし、生き長らえます。
それが果たして幸か不幸かは別にしてですが。

それは別にいいとしても途中の描写に叙情感があまり無く、また物語も起伏に富んでいるようで実は三文サスペンスに過ぎないような展開なのです。

この作品は絶版にしてもいいと思います。
代わりに『黒衣の花嫁』や『死者との結婚』とかを復刊して下さい!!


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消える上海レディ (角川文庫)

著者 : 島田 荘司

出版社:角川書店

発売日:1999-04

評価 :

完了日 : 2004年04月28日

アイリッシュ『幻の女』を髣髴とさせるファム・ファタル物かと思っていたら、さにあらず。
結末はなんともギクシャクした設定のミステリでした。

主人公の行く先々で現れては危害を加え、そして消えてしまうブルーのチャイナドレスを着た上海レディ。
その正体の強引さは無理があるとしか云いようがありません。

老婆が機敏にナイフを繰り出す、しかも最後の最後まで主人公には判らないというのはあまりにもこじつけすぎ。
整形外科に写真を渡した時点で上海レディが主人公とそっくりだというトリックは見破りましたが、内容的には2時間サスペンスドラマの域を出ていません。

上海旅行を経費で落とすために創作したとしか云えない駄作。
ちょっと云いすぎましたかね?


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1.にゃんちい (2008/02/05)
「占星術殺人事件」紹介していただきありがとうございました。これからとりかかります。同じ島田壮司さんの作品でも、これは☆一つですか。いろいろあるんですね。
2.Tetchy (2008/02/05)
いらっしゃい、にゃんちいさん♪
島田荘司氏は私をミステリの世界に引き込んだ偉大なる師であり、今後全ての作品を読むことを決意した作家なのですが、やはり中には駄作もあります。
作者自身、「生活のためにサラリーマン向けの軽めの推理小説=キオスクミステリを書かざるを得なかった」とあるところで述べてました。
でもにゃんちいさんに紹介した一連の作品はすごいですよ!
お勧めした順番に読むと、さらに面白さ倍増です!
 

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疑惑の影 (ハヤカワ・ミステリ文庫 カ 2-10)

著者 : ジョン・ディクスン・カー

出版社:早川書房

発売日:1982-03

評価 :

完了日 : 2004年04月15日

読者の復刊希望アンケートで上位にランクインし、それを期に復刊の運びとなった本書は、弁護士バトラーとフェル博士が共演する(バトラーの出演する作品を読むのは初めてなので実は常にフェル博士は出ているのかもしれませんが)事を謳い文句にしていましたが、意外だったのはバトラーが気障ながらも有能な弁護士でしかも推理力に富み、行動力もあるという美点が強調され、フェル博士が狂言回しの役割に終始していた事。
バトラーのプレイボーイ振りが際立っていることもあり、通常のカー作品とは異なり、かなりロマンティシズムが濃いです。

テーマはカー特有の毒殺物で、裕福な老婦人を毒殺した廉でその秘書が逮捕され、その法廷場面から始まります。
その裁判ではバトラーの活躍で秘書は無罪になるものの、第2の毒殺事件が起こります。

しかしこれら2件以外にもここ頻繁に毒殺事件は起こっており、フェル博士は殺人集団の仕業と見て捜査を始めるといった内容。
(ここからネタバレです)




















初めに疑われていた人物が最後になってやはり犯人だったという構成は確か同作者の『猫と鼠の殺人』でもあったように思いますが、それが悪魔崇拝集団のボスだったというのはなんとも飛躍しすぎ。
恐らくカーはこの作品を書いていた頃は過剰なまでのオカルト趣味に嵌っていたように推測します。

登場人物が少なく、事件も地味なせいもあり、真相が判明してもびっくりするような仕掛けもなく、前述にある悪魔崇拝集団という設定も妙に浮いてて、バランスが悪いと思いました。
次の『眠れるスフィンクス』に期待しましょう。


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本格推理〈6〉悪意の天使たち (光文社文庫)

著者 :

出版社:光文社

発売日:1995-05

評価 :

完了日 : 2004年02月13日

とうとうシリーズのどん底を見ました。
今回は全く印象に残りませんでした。

小説である以上、物語を読んだ時の何かが心に残っていいものですが、それがありませんでした。
13編もあって1編もそういったものがないというのも困り物。

最も全く記憶に残らないものがあったわけではありません。
「不思議と出会った夏」、「うちのかみさんの言うことには2」とかトリックが印象に残ったものもあります。

しかし今回各作品に共通するのが推理クイズの域を脱していないこと。
自分の創造したトリックに酔って、どうだ、すごいだろと云わんばかりです。

似たような設定、似たような展開の連続で辟易しました。
だいたい吹雪の山荘がそうそうあるものではありません。

あと鼻につくのが、シリーズ探偵とも云うべき人物を立てている事。
正にミステリ作家になれるもんだと高をくくっているような横暴ぶりです。

上にも書いた「うちのかみさんの言うことには2」なんて「1」が掲載されていないにもかかわらず「2」と題している辺り、片腹痛いですね。
また自分の創出した探偵をアナグラムで紹介した作品が2編ぐらいありましたが、自己満足以外何物でもありません。

鮎川哲也氏はこんな勘違いどもを排除すべきです。
もはやこれは一般に売るべき本ではなくコミケで売る同人誌に過ぎないのではないでしょうか。


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 1

ミステリーのおきて102条 (角川文庫)

著者 : 阿刀田 高

出版社:角川書店

発売日:2001-10

評価 :

完了日 : 2003年12月08日

ショートショートも書けば、普通小説も書く。
そしてミステリも書くマルチ作家の手によるミステリ・エッセイ。

と、こう書くとさぞ面白そうな印象を受けますが―実際この本を購入した動機自体がそれ―、マルチ作家であるが故の広く浅いエッセイになってしまいました。
当方が期待した瀬戸川猛資氏のようなミステリをこよなく愛する人の、また博識ある方からの通常ミステリ評論家達の手で語られる書評とは違った視点からのミステリ論ではなく、実作家のミステリ創作裏話やかの名作に対する感想といった至極一般的な話でした。

これだけならまだましだったのですが、こともあろうにこれら有名なミステリを読者が既に読んでいるものとして物語の粗筋を紹介し、それも旨味ともいえる核の部分まで露顕させていることにとても腹が立ちました!!

特に『九マイルは遠すぎる』はバラシ過ぎ!!
いつか読める時を愉しみにしていた身にしてみれば余計なおせっかい以外何物でもありませんっ!!

本書を以って、『ショートショートの広場』シリーズも含め、阿刀田作品とは訣別するつもりです!!


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 2

「銀河英雄伝説」読本

著者 :

出版社:徳間書店

発売日:1997-03

評価 :

完了日 : 2003年09月11日

はっきりいって残念。
要は『銀英伝』に纏わる各雑誌や各作品の田中芳樹氏のインタビュー、対談、エッセイを単に集めた物に『銀英伝』の最新短編を加えただけという恐ろしく独創的のない代物でした。

しかも対談やインタビューの内容は重複するものがかなりあり、デジャヴを感じる事暫し。ほとんど同人誌です。
こういう本が¥1,359(税抜)で売られていることに腹が立つし、買った自分に更に腹が立ちます!!


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 1

殺人は広告する (創元推理文庫)

著者 : ドロシー・L. セイヤーズ

出版社:東京創元社

発売日:1997-09

評価 :

完了日 : 2003年09月09日

今回のセイヤーズはつらかったです。
これはミステリというよりも殺人を織り込ませた大衆小説です。
広告業界内幕小説です。

物語の進行が破天荒で登場人物たちが広告業界人であるがために一筋縄とはいかず、台詞がとにかく多い。
それゆえ、いつもより増して引用文が多く、これは私に云わせれば小説のリズムを崩しているようにしか取れませんでした。
つまり今回は全くノレなかったのです。

前評判から評価が二分化するのは解っていましたが私が賛否の“否”になるとは思いませんでした。
元々事件に派手さはないセイヤーズですが、それでもその緻密さとあっと驚くワンアイデアで最高の悦楽を与えてくれていました。
(ここからネタバレです)



しかし、今回はそれもなく、特に当初から疑っていた人物がそのまま犯人だったのも捻りがなさ過ぎました。
しかも最後にピーター卿が犯人に自殺を要求するのはどうでしょうか?
恵まれた人物が貧者の気持ちを解さずに「なら、死ねば?」と突き放しているようにしか思えなかったのですが。

またピーター卿が広告会社で活躍するのもスーパーマン過ぎて食傷気味。
次からどうなるのでしょう、このシリーズ?


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 2

五匹の赤い鰊 (創元推理文庫)

著者 : ドロシー・L・セイヤーズ,浅羽 莢子

出版社:東京創元社

発売日:1996-06

評価 :

完了日 : 2003年06月15日

その名が示すようにこれは推理小説でいうレッド・ヘリング物、つまり疑わしき潔白者が何人もいる小説で、セイヤーズにしては珍しく、純粋本格推理小説です。
しかし、レッド・ヘリング物は誰も彼もが怪しいという趣向であり、とどのつまり、意外な犯人というものが真相になりません。
従って、途中で「もう誰が犯人でもいいや」というある種の諦観を抱くようになります。

それは本作も例外ではなく、キャンベルという嫌われ者の画家が殺されるという1つの事件だけで、460ページ弱を引っ張るのはあまりにもきついと思いました。
しかもレッド・ヘリングでは尚更です。

さらに今回は西村京太郎氏ばりの時刻表解析があったりと、好きな人は堪らないかもしれませんが、興味がない、いや寧ろ苦手な私にとってみれば、退屈以外の何物でもなく、はっきりいってこの段階で興味を失したのはまず疑いありません。
セイヤーズの小説はなかなかノレないのにもかかわらず最後は素晴らしいカタルシスを提供してくれるので今回も期待したのですが、どうも読者を置き去りにしてしまった感が強いのです。

苦言を呈して今回は1ツ星としましょう。


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 1

ショートショートの広場〈14〉 (講談社文庫)

著者 :

出版社:講談社

発売日:2003-02

評価 :

完了日 : 2003年04月16日

恐らく前巻の時も書いたと思いますが、もはやここまで来るとショートショートではなく、落語の小噺か一口コントです。
しかもオチの無い物もあるではありませんか。

「或る会話」など何が結局書きたかったのか、全く以って不明。
これなど小学生のギャグにしか過ぎないではありませんか!!

メタショートショート物も最後に膝を叩くような妙味を備えてなく、単なる悪ノリです。
衰えたんでしょうか、阿刀田高氏!!

この程度なら、私の作品でも掲載されますぞ!!
前任の星新一氏が築いてきたショートショート文化が多様化という名目で堕落していく様を見ているかのようでした。

次回、果てして私は買うのでしょうか?


この感想へのコメント

1.ダフニス (2008/09/22)
当方へのコメントありがとうございました。
阿刀田さんの『短編小説のレシピ』なんかは非常に参考になる本ですが、実作はそれほどおもしろいと思ったことないんですよね…
2.Tetchy (2008/09/23)
ダフニスさん、いらっしゃいませ♪
『ショートショートの広場』シリーズも選者が星新一氏だった頃は楽しく読めましたが、阿刀田氏に代わってからどんどん合わなくなってきて、止めてしまいました。
エッセイも読みましたが、どうも考え方に同意できない。
でもこの人、文壇では高名なんですよね?
どうしてなんだろう?
 

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 2

嘘でもいいから殺人事件 (集英社文庫)

著者 : 島田 荘司

出版社:集英社

発売日:1987-03

評価 :

完了日 : 2002年06月03日

もはや本作については島田ファンのコレクターズ・アイテムに過ぎないと断言しましょう。
作者自身、息抜きで書いた様に述べていますし。

ただ息抜きとは云え、トリックを備えた本格物であるところが島田氏らしいですね。
ただコメディを目指した本作におけるギャグの数々は御寒い限りで、センスの無さを暴露する羽目になってしまいました(ただ飛行機の「性別」欄のギャグはタモリが先か、こちらが本家かどちらかは解らないのですが)。

ま、金返せとまでは云いませんがね。


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 5

シャーロック・ホームズ最後の挨拶 (新潮文庫)

著者 : コナン・ドイル,延原 謙

出版社:新潮社

発売日:1955-04

評価 :

完了日 : 2002年05月29日

う~ん、とうとう来るべきものが来たという感じ。
今回に関しては各短編全てにおいて興趣を欠いていました。

有名な短編としては「瀕死の探偵」が挙げられますが、この話もホームズの馬鹿さ振りを髣髴させるエピソードとして色んな作家の作品中で語られるものなので実は大したことはありません(実際、この短編におけるホームズはアホです。それにまんまと引っかかるワトスンもまた斯くや)。

短編集の題名になっている「最後の挨拶」はもはや本格ですらありません。
これこそドイルがホームズ譚を執筆するのにうんざりしていた証拠になってます。

「亢龍やがて堕つべし」といいますがホームズもまた同様です。
まあ『恐怖の谷』が読めただけでもホームズ譚を読む事の収穫は大いにありました。


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探偵小説の世紀 (下) (創元推理文庫 (110‐11))

著者 : G・K・チェスタトン,乾 信一郎

出版社:東京創元社

発売日:1985-08

評価 :

完了日 : 2002年02月25日

感想は上巻を参照して下さい。


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探偵小説の世紀 (上) (創元推理文庫 (110‐10))

著者 : G・K・チェスタトン,宇野 利泰

出版社:東京創元社

発売日:1983-01

評価 :

完了日 : 2002年02月25日

この頃、交通事故に遭い、感想が八つ当たり気味になってます(笑)。


苦しい読書でした。

上下2冊で1,150ページ余り、34編もの短編が集められたアンソロジー。
しかも全てが'30年代の黄金時代物ですから文体が堅苦しいこと!

おまけに私事において交通事故に遭うというトラブルが発生し、半ばうつつの状態で読み進んだ時もあり、今収録作を目次で見返しても覚えていないものが多いのです。

下巻の最後の方に若干読みやすく、興味を覚えた作品がありましたが、果たしてこれらが本格黄金期を代表する諸作なのか疑問が残ります。
特にシリーズものの短編などは読者に予備知識があるものとして語りかける構成のものもあり、戸惑いました。

私にもう少し読書のスキルが必要なのか、それとももはや時代の奥底に葬られるべき凡作群なのかは判りませんが、十分愉しめなかったのは事実として残った次第です。


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