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小梅さんの読書ノート

奇怪の恐怖小説
日常的な恐怖と非日常的な恐怖とが交錯するそんな恐怖小説が好きな方にお薦めしたい奇怪の名作の数々をご紹介していきます。
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ハイダウェイ (文春文庫)

著者 : ディーン・R. クーンツ

出版社:文藝春秋

発売日:1994-11

評価 :

完了日 : 2008年08月27日


実に10数年ぶりのディーン・レイ・クーンツです。最後に読んだのは『バッド・プレース』だったかしらん。でもアカデミー出版以外の本はいちおう買い溜めてはいたんですよ。

私にとってのクーンツ初体験は『ファントム』なんですが、あれもまあ評価が分かれているようですけど、この作品もやはりそのようです。

「緊急蘇生プロジェクト」なるものに、いまひとつリアリティが感じられない点がちょいと弱いかな?という気もするんですが、それでもこれで甦った二人の主人公のシンクロニシティと最後の対決に至るプロセスは、なかなか読ませると思います。

ひとりは社会的にも家庭的にも評価の高いよき夫。ひとりは歪んだ人生観・世界観を抱き、「生」のエネルギーに憎悪を感じる殺人鬼。

この両者がお互いの姿を幻視で捉え、惹きつけられてゆくのですが、なぜそれが起きるのかは読んでもらうのが一番いいと思います。もちろん納得されるかどうかは別問題ですが・・・。

ラストに不満がある方が多いようですが、私はあれはあれでまた、そんなものかなという気もするし、クーンツ自身も変化をみせている時期だとも言われています。

余談ですが、確かこの作品が書かれた前年にクーンツの父(疑惑説もあり)が亡くなっており、その父が主人公のひとりハッチの父に投影されているようだとのことで、これはそうゆう意味では、クーンツ自身の父との訣別宣言だったのかもしれません。


この感想へのコメント

1.風の靴下 (2008/08/28)
ブックマークありがとうございました。僭越ながらわたしもブックマークさせていただきました。今後ともよろしくお願いいたします。
 

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スプートニクの恋人

著者 : 村上 春樹

出版社:講談社

発売日:1999-04

評価 :

完了日 : 2008年07月15日

実に不思議な小説です。

青春小説のようであり、恋愛小説のようにもなってきたかと思うと、恐怖小説のようにもなり、不条理小説であるとも言えます。

主人公はいちおう「僕」なのですが、25歳の「僕」がおそらくは愛していて性欲も感じている「すみれ」という22歳の女性。そして「すみれ」が22歳にして初めて恋に落ちた在日韓国人の「ミュウ」という美しい39歳の既婚女性が登場します。

この3人の視点を通して、物語が紡がれていくのですが、「僕」は「すみれ」を愛していると思われるのに、「すみれ」は「僕」を唯一信頼しているようですが男性=性の対象としてはみていない。

そのうち「すみれ」は従姉の結婚式で「ミュウ」に出逢い、すぐに恋に落ちます。そしてそれには同性愛的感覚も含まれています。

元々作家志望だったはずの「すみれ」は「ミュウ」のもとで働くようになり、それまで書いていた小説も書かなくなりますが、あいかわらず夜中に「僕」に電話をかけてきたりします。

そんなある日、「すみれ」と「ミュウ」は仕事でイタリアからフランスへ行くのですが、知り合った英国人紳士からギリシアのある小さな島にある別荘に滞在して欲しいと頼まれ、そこで「事件」が起こります・・・。

このあたりから話がどこへ向かうのか全く判らなくなりますが、そこで語られているのは「彼岸」であり、ピンク・フロイドの「The Dark Side Of The Moon」のような世界観でもあります。


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 1

石に刻まれた時間 (創元推理文庫)

著者 : ロバート ゴダード

出版社:東京創元社

発売日:2003-01

評価 :

完了日 : 2008年06月18日


前作「一瞬の光のなかで」の感想で、主人公が例によってダメ男、と書きましたが、今作はそこまでひどいダメ男ではありません。しかし最愛の妻に先立たれたばかり、というもう精神的にも肉体的にもダメダメという状態で設定されています。

この小説はなんとゆうのでしょう。ゴダードの小説では、必ずと言ってもいいほど過去の歴史が現在を生きる登場人物たちに暗い影を投げかけているのですが、この作品ではせいぜい遡っても20世紀初頭ですから、そんなに古くはないです。

主人公は傷心の日々を癒されるべく友人と妻の妹の夫婦の家に滞在するように勧められるのですが、この家が曲者なのですね。ある天才肌の建築家によって設計された円錐状の邸宅なのですが、実は以前に住んでいた夫婦の間で殺人事件があったことがわかります。そしてこの家に住んでいたいくつかの家族には隠された悲劇が・・・。

主人公はこの家で暮らすうちに奇妙な体験を覚えるようになります。どこまでが夢でどこまでが現実なのか。こうゆうストーリィを書かせて恐怖感を募らせていくという手管をみると、ゴダードはホントに巧い作家だなと感心します。

ただどうも謎が完全に絵解きされているかというとそうでもないようで、個人的には意外な結末でした。ただまあ、謎を残したことがゴダードの意図であったようにも思えますので、なんとなくこれはこれでアリかという気もしますね。


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 1

フリーマントルの恐怖劇場 (新潮文庫)

著者 : ブライアン フリーマントル

出版社:新潮社

発売日:1998-07

評価 :

完了日 : 2008年04月27日

ブライアン・フリーマントルは、チャーリー・マフィン・シリーズを始めとするエスピオナージュの分野で、特に日本では知られています。

そのいっぽう経済小説などにも秀作を残していますが、彼自身、作家としての枠を拡げたいという願望があり、この作品での恐怖小説の執筆ということになったようです。

もっとも原題は「Gohst Stories」ということであり(スペル合ってるかな?)、いわゆる恐怖小説ばかりでなく、ユーモラスな、あるいは悲哀に満ちた作品などもあって、それぞれに毛色の違う12篇が収められています。

フリーマントルはこの作品集自体も、日本の「小説現代」に連載を求められて執筆したようですし、以前の「第五の日に帰って行った男」なども日本の雑誌からの依頼に応えたもので、大の日本びいきの作家のようです。

それしても、新潮社は絶版にするのが早過ぎます。新潮文庫からは60冊近い作品が出されているにも関わらず、現在絶版になっていないのは10冊くらいでしょうか。

この作品も10年くらい前に購入していますが、当然のごとく絶版で、何よりチャーリー・マフィン・シリーズも最初の2作しか残されていないのが誠に残念なことです(しかもシリーズの未訳作品も2作ほど残されたまま!)。

絶版作品が多いというのは、それだけ出版点数が多いということでしょうけれど、どうしようもない本を文庫化するよりは、旧作でももっと面白い本を残しておいて欲しいものです。


この感想へのコメント

3.Tetchy (2008/04/30)
最近気になる文庫は発売された即買いしないとやばいですね。
新潮社だけでなく、角川・文春あたりはかなり絶版早いですから。

>(版権持ってる)出版社の責任は大きいと思うのですよね。

この辺が商売との兼ね合いでしょうね。
基本的に海外作品はそんなに売れていないのが現状ですから、会社としては余剰在庫をなるべく抱えたくないというのがあります。
文化的貢献と商業主義、そのバランスが難しいところです。
4.小梅 (2008/04/30)
確かに商売との兼ね合いというのは判るのですが・・・。
この作品だって講談社が、「スパイよさらば」は文藝春秋が、「第五の日に帰って行った男」や「食に神が宿る街」は阪急コミュニケーションズが、それぞれ「文庫なら新潮社さんが実績持ってるから・・・」ということで、版権を譲った訳ですよね?その辺が作家と契約さえすればどこの出版社でも文庫が出せる日本の作品と大いに違う訳で・・・。

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IT〈上〉

著者 : スティーヴン・キング,Stephen King,小尾 芙佐

出版社:文藝春秋

発売日:1991-11

評価 :

完了日 : 2007年10月30日

スティーヴン・キングの小説の面白さの秘密はなんでしょう?彼はいわゆるモダン・ホラーの小説群の中ではちょっと異質な空間に位置している気がします。

いわゆるスプラッター系とは少し違う、そんなものは出てこないけれど、もっと普通の日常の中でじわじわと恐怖感を募らせていくのが巧い、とも言われています。

ある雨の日、道路の排水溝の水は溢れそうになっていた。たまたまそこで遊んでいた少年は、排水溝の奥から「IT(それ)」が覗いているような気がして・・・。

少年が行方不明となってから20数年後、あのときの「IT」はなんだったのか?大人になった「弱虫クラブ」の仲間が再び戻ってきます。なんか『スタンド・バイ・ミー』の魅力にも通ずるものがあるような気もします。

ルース・レンデルの作品でも知られる小尾芙佐の翻訳が秀逸。現在は文春文庫で全4巻で出ているようです。


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IT〈下〉

著者 : スティーヴン・キング,Stephen King,小尾 芙佐

出版社:文藝春秋

発売日:1991-11

評価 :

完了日 : 2007年10月30日

感想は上巻をご覧ください。


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