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小梅さんの読書ノート

ロバート・ゴダードの世界
ロバート・ゴダードの作品というのは、まあミステリとか推理小説にカテゴライズされるんでしょうけれど、独特の作品世界に敬意を表して読書ノートを一冊作ります。
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石に刻まれた時間 (創元推理文庫)

著者 : ロバート ゴダード

出版社:東京創元社

発売日:2003-01

評価 :

完了日 : 2008年06月18日


前作「一瞬の光のなかで」の感想で、主人公が例によってダメ男、と書きましたが、今作はそこまでひどいダメ男ではありません。しかし最愛の妻に先立たれたばかり、というもう精神的にも肉体的にもダメダメという状態で設定されています。

この小説はなんとゆうのでしょう。ゴダードの小説では、必ずと言ってもいいほど過去の歴史が現在を生きる登場人物たちに暗い影を投げかけているのですが、この作品ではせいぜい遡っても20世紀初頭ですから、そんなに古くはないです。

主人公は傷心の日々を癒されるべく友人と妻の妹の夫婦の家に滞在するように勧められるのですが、この家が曲者なのですね。ある天才肌の建築家によって設計された円錐状の邸宅なのですが、実は以前に住んでいた夫婦の間で殺人事件があったことがわかります。そしてこの家に住んでいたいくつかの家族には隠された悲劇が・・・。

主人公はこの家で暮らすうちに奇妙な体験を覚えるようになります。どこまでが夢でどこまでが現実なのか。こうゆうストーリィを書かせて恐怖感を募らせていくという手管をみると、ゴダードはホントに巧い作家だなと感心します。

ただどうも謎が完全に絵解きされているかというとそうでもないようで、個人的には意外な結末でした。ただまあ、謎を残したことがゴダードの意図であったようにも思えますので、なんとなくこれはこれでアリかという気もしますね。


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一瞬の光のなかで

著者 : ロバート ゴダード

出版社:扶桑社

発売日:2000-02

評価 :

完了日 : 2007年12月02日

ロバート・ゴダードの『一瞬の光のなかで』をやっと読み終えました。購入してから実に7年10か月もの間、なんで手をつけなかったのか?

ゴダードに関して言えば、処女作の『千尋の闇』から、この作品の前作に当たる『惜別の賦』まで、いちおう全部読んではいたのですが、この作品は初めての単行本で出たのね。文庫じゃなくて。もし文庫で出てたら、そのまま読んでいただろうに、扶桑社もあざといことしたなあ。そのあと文庫で出たのをみて、「これまで待ってりゃなあ・・・」と思いましたよ。でも新作をみると買いたくなる時期だったので単行本買ったのね。

例によって主人公のカメラマン。ダメ男とゆうより人としてどうなの?という気にさえさせられます。雪のウィーンに仕事(撮影)に行って、ある若い女と出逢う。その女も人妻なのだが、ふたりはたちまち恋に落ちて、あんなことやこんなことをした挙句に、帰国したらそれぞれ自分の家族と別れて一緒になろうと約束するのです。妻との仲が冷え切っている(それも彼の浮気が原因なのだが)のは判るのだが、かわいい娘もいるのに、自分の感情だけで別れようと考える自己中心的な男。

はっきり言ってこの主人公は、人としてまずダメなんですが、こうゆう主人公の設定はゴダードの作品では多い。だから嫌いな人も多いかもしれません。でもそこを敢えて我慢して読み続けると、ほらもうあなたはゴダードの世界にどっぷりはまってしまいます。

主人公がカメラマンという設定のためか、写真の歴史がひとつの大きなテーマとなっていますし、章立ても、第一部「構図」、第二部「露光」、第三部「現像」、第四部「展示」という風になっていて、読み進めるうちに謎が深まって行きます。最初はウィーンで出逢った女性が消えてしまって、その行方を執拗に捜そうとする主人公ですが、第三部の直前あたりから「オイオイ、どこ行くの?」という思いもよらぬ展開になって行きます。

ま、これがゴダードの醍醐味なんですけどね。


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