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小梅さんの読書ノート

実はこんな本も読んでいたりして
まあ、これまでの読書ノートにカテゴライズできない本とでもいうか。この「たなぞう」に参加しなかったら、一生手にとらなかったかもね的な本とゆうことで。
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 1

服従 (幻冬舎アウトロー文庫)

著者 : 神崎 京介

出版社:幻冬舎

発売日:2000-06

評価 :

完了日 : 2008年08月03日


官能小説とゆうか、SとMにテーマを絞って書かれた短編集です。

いわゆる「官能小説」みたいな「やりまくり」ではなく、サディスティックな性向、マゾヒスティックな性向について、理詰めで考えていくかんじ。

ほんとうの「マゾ」とはなにか?

他者を「支配」すること。他者に「服従」すること。単なるセックスによる快楽ではなく、そうゆう人間と人間の関係性の中に、それとは別種の快楽を探し求めて行こうとするヒトたちの、あれこれ模索する姿はけっこう真剣です。

ま、自分自身を考えると、どっちかといえばマゾヒスティックな性向を持ってるほうかなあ、と思いました。


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 3

スプートニクの恋人

著者 : 村上 春樹

出版社:講談社

発売日:1999-04

評価 :

完了日 : 2008年07月15日

実に不思議な小説です。

青春小説のようであり、恋愛小説のようにもなってきたかと思うと、恐怖小説のようにもなり、不条理小説であるとも言えます。

主人公はいちおう「僕」なのですが、25歳の「僕」がおそらくは愛していて性欲も感じている「すみれ」という22歳の女性。そして「すみれ」が22歳にして初めて恋に落ちた在日韓国人の「ミュウ」という美しい39歳の既婚女性が登場します。

この3人の視点を通して、物語が紡がれていくのですが、「僕」は「すみれ」を愛していると思われるのに、「すみれ」は「僕」を唯一信頼しているようですが男性=性の対象としてはみていない。

そのうち「すみれ」は従姉の結婚式で「ミュウ」に出逢い、すぐに恋に落ちます。そしてそれには同性愛的感覚も含まれています。

元々作家志望だったはずの「すみれ」は「ミュウ」のもとで働くようになり、それまで書いていた小説も書かなくなりますが、あいかわらず夜中に「僕」に電話をかけてきたりします。

そんなある日、「すみれ」と「ミュウ」は仕事でイタリアからフランスへ行くのですが、知り合った英国人紳士からギリシアのある小さな島にある別荘に滞在して欲しいと頼まれ、そこで「事件」が起こります・・・。

このあたりから話がどこへ向かうのか全く判らなくなりますが、そこで語られているのは「彼岸」であり、ピンク・フロイドの「The Dark Side Of The Moon」のような世界観でもあります。


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 1

別ればなし (講談社文庫)

著者 : 藤堂 志津子

出版社:講談社

発売日:2002-06

評価 :

完了日 : 2008年06月28日


山下達郎の「棚からひとつかみ」ではないけれど、こうゆう本もありました。でも藤堂さんの本はたぶんこれも含めて2冊くらいしか読んでないのですが。

「恋愛小説」とゆう読書ノートで紹介しますが、いきなりタイトルの「別ればなし」で物語は幕を開けます。

ヒロインの千奈は30歳の普通のOL。3年前から5歳年上の設計事務所に勤める高治の部屋に押しかけ同棲をしていますが、高治を人間として尊敬はしているものの、恋愛の相手としては既にトキメかなくなっており、ここ1年半ほどはほとんどセックスもしていないという状況です。

で、千奈は高治に別ればなしを切り出すのですが、実は千奈には10歳年上で同じ会社の妻と別居中の杉岡という男と新しい恋に陥っているのです。

な~んて書くと「この千奈ってのは悪い女だな」と思われそうなのですが、どうしてどうして。高治にしても、杉岡にしても、その別居中の妻の美晴にしても、それぞれに一癖も二癖もあるヒトたちで、クイクイと読ませてくれます。

一般に「別ればなし」とゆうのは、けっこうエネルギーを使うものです。私自身のことをいえば、そんなにエネルギーを使うこともなくけっこう自然消滅で終わったものが多かったのですが、それはそれで良かったといえるのかどうか、まああんまりよく判りませんが・・・。

あんまり執着心がなかったのかしらん。


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 2

情事

著者 : 志水 辰夫

出版社:新潮社

発売日:1997-10

評価 :

完了日 : 2008年06月03日

いや~シミタツ読むのも実に久しぶりです。
確か短編集を出すようになってからあまり読んでない。長編でいえば「あした蜉蝣の旅」以降ですかね。

でまあ「あした~」をすっ飛ばしてこの「情事」なんですが、なんとこの読書ノートは「官能小説」です。大丈夫でしょうか?

「抒情のシミタツが初の情痴小説」と銘打ってあり、なんと帯のコピーが「愛欲が滴ってどうにも止まらない・・・」なんです。すごいですね~。

すごいと言えば主人公の屈折ぶりがスゴイ。こんなに自分の奥さんとやりたがる男性とゆうのも私は聞いたことがない。あ、ちなみにうちはもう10年くらいセックスレスです。

一見幸せそうな夫婦と娘の3人家族。情痴小説ですから性愛の描写も微に入り細に入りですが、サイドストーリィとして展開する謎の若い女とその父親だと称する謎の老人。彼らの秘密とは?

シミタツや エロを描いても 抒情かな (お粗末)


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3.ニティ (2008/06/25)
小梅さん。やっと読み終わりました。なんとも不思議な?感じでした。たまたま、図書館に「情事」しかなくて。「飢えて狼」も「散る花もあり」も探してみます。読みしろが広がりました。ありがとうございました。
4.小梅 (2008/06/26)
ニティさん、「情事」読まれたのですね。まあこれは志水辰夫のひとつの側面でしかないと思いますから、ぜひ他の作品も読んでいただければ嬉しいです。

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 1

13のエロチカ (角川文庫)

著者 : 坂東 真砂子

出版社:角川書店

発売日:2003-02

評価 :

完了日 : 2008年05月02日

坂東眞砂子さんの「官能小説集」です。
坂東眞理子さんではありません(坂東眞理子さんの「官能小説集」ってのもあまり読みたくないですね・・・)。

なんでこんな本を読んでるのかとゆうと、出張が続いてて、ハードカヴァーより文庫本をと本棚をあれこれ浚っていたら、こんな本も買っていたということですね。

しかし「官能小説集」と書いてはあるんですが、やはり女性、しかも直木賞作家が書いているだけあって、単に男女がやりまくるという内容のものではありませんので、念のため。

しかし、収められた13篇。それぞれがヴァリエーションに富んでいて、巧いなぁ~と思わせるものもあるいっぽう、「女のヒトってホントにこんなこと考えているの?」という部分もあります。特になんとゆうのか「ペニスへの執着(?)」の強さを感じる作品が多くて、ホラー作家として出てきた坂東眞砂子さんの、別な一面を覗いてしまった思いです。


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3.似子 (2008/08/11)
私が読んだ覚えがあるのは『山姥』とあと一冊タイトルも思い出せません。忘れる事が得意なんです。興味はあっても後回しになってる作家さんですね。
似子は「にこ」です。「に」と打って適当な字を選びました(笑)
4.小梅 (2008/08/11)
そうそう、『山姥』でしたね。これはいつか読みたい。
あと最新作が『傀儡』でしたかね。
これも読んでみたいです。
「にこ」さんですね。よろしくです。

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 18

ねじまき鳥クロニクル〈第3部〉鳥刺し男編 (新潮文庫)

著者 : 村上 春樹

出版社:新潮社

発売日:1997-09

評価 :

完了日 : 2008年03月27日

「ねじまき鳥クロニクル」の第3部であり、完結篇でもあります。

といってもこの作品については、第1部と第2部が同時刊行され、それで完結と思われていたのに、その約1年後に第3部が発表されて、われわれは困惑し、いま様々な文献を読むと評論家の間でもこの点が議論の対象になったということです。

ということで、私はこの第3部を購入後、13年もの間、放置しておいたことになります。ホントは読まなくちゃならないと思いながら、数年前からはあの半透明なカヴァーを外して「次に読む本」の位置をずっと占めていたのですが。

つまり村上春樹を読むのは14年ぶりになる訳です。第2部を読むまでは、私は村上春樹のかなり「よい読者」であったと思うのです。最初期の数作品以外は、すべてハードカヴァー(ソフトカヴァーもあったけど)で読んでいたくらいですから。

でもこの第3部を読んで判ったのは、第2部までのストーリィを全く思い出せなかったことです。登場人物の名前すらもです。

でも不思議なことに、この第3部は独立した作品として読むことができました。まあ村上春樹本人は第2部までをひとつの作品、あるいは第3部までをひとつの作品として読んでもらってもいい、という考えでしたけど。

手元にはあと「スプートニクの恋人」と「海辺のカフカ」があります。ただ、この「ねじまき鳥クロニクル」という作品が、村上春樹のターニング・ポイントになったことは疑いようもなく、その後の作品は、明らかにそれまでとは異質な方向へ向かって行った(それで読まなくなった?)ような気がします。

私が読んだのはハードカヴァーですが、画像がないので、文庫本の画像を載せておきます。


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 3

あじさい日記

著者 : 渡辺 淳一

出版社:講談社

発売日:2007-10-10

評価 :

完了日 : 2008年01月30日

実は、今になって渡辺淳一を読む羽目になるとは思ってもみませんでした。

他に読みたい本が山積みなのに、読みたくもない本を無理やり貸し付けられるのほど鬱陶しいことはありません。

それでも無理して読みましたが、いったいなんで私はこんな本を読んでいるんだろうと思いましたね。

渡辺淳一の初期の医学作品は、少なからず読んではいたんだけど、近年の作品は敬遠してました。

クリニックを経営する医師である夫が、ふとしたことから妻の日記を見つけ、それを読み始める訳ですが、そこには夫が妻には隠しおおせていると思いこんでいた浮気の秘密が書かれているのです。

なんとゆうかこの小説に書かれている夫も妻もステロタイプなんですね。で、最後は予想通りの結末を迎える訳ですが、渡辺淳一が「男とは」とか「夫とは」とか「女とは」とか「妻とは」とか、語るのを聞いてもなんかもう古臭いというか。

さっさと読んでせいせいしました。


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6.ヨナキウサギ (2008/08/27)
遅ればせながら失礼します。初めまして、ヨナキウサギです。ここに登録されている感想・コメントに、あまりにも「同感!」だったもので…。『失楽園』は文庫になったのを買って、生まれて初めて「本をゴミ箱に投げ捨てる」という暴挙に出ました。ミルトンに謝れ!! 『花埋み』や『無影灯』は良かったのに……。現在私の書架には、渡辺淳一の「わ」の字もありません。
7.小梅 (2008/08/28)
ヨナキウサギさん、コメありがとうございます。
私も借りた(押しつけられた?)本でなければ、投げ捨てていたかもしれません。
でも日経新聞に連載されていた(タイトルが出てこん!)はけっこう毎日読んでたし、映画も観たなぁ。豊川悦司は好きなんですけど(寺島しのぶは・・・う~ん)。
初期の渡辺作品はよかったと思うんですけどね・・・。

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 16

クワイエットルームにようこそ (文春文庫 ま 17-3)

著者 : 松尾 スズキ

出版社:文藝春秋

発売日:2007-08

評価 :

完了日 : 2008年01月05日

この手の作品を読むのには、ぶっちゃけしんどいものがある。これを書く前に、あくまで「参考までに」現在の新刊採点員のみなさんの書評を読ませていただいたのだが、なんとまあ皆さん揃いも揃って「健康的な」対岸からのお言葉だろう。この作品はホントに「精神的に健康な」ヒトが読むべきものであって、<わたし>と同じようなクスリを、20年以上も服用し続けている私自身が読むにはやはり辛すぎるのかもしれない。

この作品は芥川賞の候補作で、舞台が精神病院の女性専用閉鎖病棟、もちろん<わたし>も女性なのだが、作者である松尾スズキはれっきとした男性だ。男性でありながら、ここまで女性の視点で作品が描けるとは、という評価もされているようだが、私自身の眼からみるならば、この閉鎖病棟の女性患者たちの姿は、いわゆる「カリカチュアライズされた精神病患者」としての存在以上のものではなかったような気がするのだ。その意味において、この作品が芥川賞候補作になったときの山田詠美の選評である「映画『17歳のカルテ』の日本版ノヴェライズとしては上出来」という言葉に込められた深い意味を感じとってしまったのは、ちとヤバイのかも。


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 8

雨恋 (新潮文庫 ま 30-2)

著者 : 松尾 由美

出版社:新潮社

発売日:2007-08

評価 :

完了日 : 2008年01月05日

切ないよね。誰かを好きになりそうな予感がしているのに、その恋心が叶えられることが万に一つの可能性もないことが判っているなんて。なぜならその相手は「自殺したとされている」女の子の「幽霊」なんだから。

<ぼく>は「三十歳になり、社会人としても個人としても、安定している」言い換えれば「一種の停滞期」にあることを客観的に自覚している人間だけど、この若者が抱く「諦念」めいた人生観は、現代社会の若者の基準に照らしても少々老成している感がある。もちろんだからこそ「自殺したとされているけど、本当は殺されたのだ」と主張する<千波>の幽霊をして、「真相を探って欲しい」と相談されてしまう所以なのだろうけれど。

ただこの作品は「事件の真相を探る」ミステリとしてではなく、ひょっとしたらもっとも上質な部類に属するかもしれない「恋愛小説」として成立している。最初はおとなしくて地味な女の子にも思えた<千波>が、次第に「やりたいんじゃないの?」と叫ぶような女を露わにしてゆくさま、そしてそのことを否定しきれずに苦しむ<ぼく>。雨上がりの朝の美しいラストシーン。久し振りに切なくてたまらない作品を読ませていただいた。


この感想へのコメント

1.たね (2008/04/09)
小梅さんはじめまして。お気に入りに登録していただきありがとうございます。
恋愛小説は苦手なのですが、この本はなぜか惹かれて購入しました。今は積読状態になっているのですが、小梅さんの★5つを参考に読んでみようと思います。
2.小梅 (2008/04/09)
たねさん、コメントありがとうございます。
プロフに恋愛小説は苦手って確かに書いておられますね。
もちろんこの作品は恋愛小説として意識する必要はないと思います。最初<千波>という幽霊の存在に、驚愕し困惑する<ぼく>が次第に<千波>に惹かれていく。そして<千波>とはどんな女の子だったのか。そうゆうドラマが徐々に視えてくる構造がよくできていると思うのです。
 

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 12

逃亡くそたわけ (講談社文庫)

著者 : 絲山 秋子

出版社:講談社

発売日:2007-08-11

評価 :

完了日 : 2008年01月05日

「ロードノベル」と呼ぶほどかっこよくはないし、「オデッセイ」と呼ぶほど大仰なものでもない。かといって「道行物」と呼ぶほど暗くて悲惨なものでもない。ただ<あたし>と<なごやん>はひたすら逃げる。目的地がある訳じゃない。とにかく南の方へ行ってみたい。精神病院からの逃亡劇なら、もう少し悲壮感に見舞われそうな気もするが、読み手にとってはなにやら『国境の南』めいたラテン的な明るさまでが伝わってきてしまう。

その理由は、必死の逃亡劇のはずが「組織からの執拗な追撃」みたいなものもないし、滑稽とも思える騒動には巻き込まれるけど、本当に追われているのか(いや探されているのかどうかすらも)判らないという微妙な彼我の温度差(あるいは錯覚)からきているのは明らかだ。

追われているから(あるいはそう思い込んでいるから)<わたし>と<なごやん>の宿は車の中も多い。久し振りに飛び込んだ旅館での夜に<わたし>が<なごやん>にふともらす「してもよかよ」という台詞。別に恋愛感情がある訳じゃない。ただ「幾晩も一緒にいて、させてあげないのは可哀想」という気持ちで男に抱かれようとするイマドキの女の子の気持ちが実にリアルな佳作だ。


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