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山やまさんの読書ノート

読書感想文(〜07)
2007年以前に読んだ本の感想
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 37

ダ・ヴィンチ・コード(上) (角川文庫)

著者 : ダン・ブラウン

出版社:角川書店

発売日:2006-03-10

評価 :

完了日 : 2008年02月02日

日本での売り上げが(単行本、文庫本合わせて)1000万部を突破したそうです。まさに驚異的なセールスを記録し続け、テレビでも特番が組まれる程の大人気。流行には興味を示さない捻くれ者のワタシですが、否が応にも耳に入ってきます。映画公開前に合わせた特番をちら見したらば、なかなか面白く見入ってしまった。映画を観る前にまずそのベストセラー原作を知っておこうと、翌日さっそく本屋さんへ。軽い気持ちで読みはじめたらば。

お、おもしろい!ダ・ヴィンチの絵に隠された秘密、イエスの真実といった題材もさることながら、サスペンス小説としておもしろい。次々に迫る危機と謎解きにワクワクドキドキしながら一気に読んでしまいました。


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 1

ブラック・マシン・ミュージック―ディスコ、ハウス、デトロイト・テクノ

著者 : 野田 努

出版社:河出書房新社

発売日:2001-08

評価 :

完了日 : 2008年02月02日

野田努というオトコの、デトロイト・テクノに対する造詣と愛情の深さは比類なきほどに深遠である。圧倒的なボリュームはもちろん、細部まで取材と洞察の行き届いた本書を読みそう強く思った。

デトロイト・テクノのオリジネイターといえばデリック・メイ、という程度の知識しか持ち合わせていなかった僕にとって本書で語られるデトロイトの歴史は非常に興味深く、それはデトロイト・テクノ、いや「テクノ」に対する認識を変えてくれるドキュメンタリー(記録書)であった。例えばメイの他にホアン・アトキンス、ケヴィン・サンダーソンというオリジネイターがいるという名前だけは知っていたが、その3人の生い立ちや各々の係り合いまで知る由はなかったし、デトロイトという街が持つ空気、時代背景、シカゴ・ハウスとの関わり、そういったバックグラウンドを知ると、「テクノ」という音楽が、デトロイトという土地で鳴らされるべくして鳴らされた音であることがわかる。

それは音楽にしか希望を見出せなかった者たちの怒りと反抗の表現である。と同時にインテリジェントでもあり、であるからこそ非常にロマンティックな音楽でもあるのだ。

本書を読んでから、僕が唯一所持しているデトロイト・テクノ創世記当時の音源であるデリック・メイの『イノヴェイター』を聴いてみた。「ストリングス・オブ・ライフ」くらいしか耳に残っていなかった今までとは全く違って聴こえた。なぜ今まで気が付かなかったのか。そこに込められた迸るまでの熱量に。飽くなきチャレンジ・スピリッツ、音へのこだわりに。新しいものが誕生する瞬間の煌めきに。

音だけで伝わらなければ、というのも一理あるが、受け手のほうに準備が無ければ伝わらない事もある。生の現場でなければ本当の意味では伝わらないのかもしれない。ただ、生の現場を知り想像する=イメージして聴くだけでも、こんなにも輝きに満ちた音になるとは。
これからもっと掘り下げてデトロイトの音を聴きたくなった。

デトロイト・テクノを聴こうとする者ならばこれは必読の書である。


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 11

世にも美しい数学入門 (ちくまプリマー新書)

著者 : 藤原 正彦,小川 洋子

出版社:筑摩書房

発売日:2005-04-06

評価 :

完了日 : 2008年02月02日

小川洋子さんが『博士の愛した数式』を執筆するにあたって取材された人物であり、ということは少なからず主人公のモデルにもなったであろう、藤原正彦。大ベストセラー『国家の品格』の著者としてエッセイの分野でも活躍されていますが本業は数学者。ケンブリッジ大でも教鞭を取った経歴の持ち主です。

この2人の幸福な出会いがあったからこそ、名著『博士〜』が生まれたのですね。対談集である本書を読んでそう思いました。簡素な文体で、数学の持つ奥深さについて触れるお二人。対談という形式なので非常に読みやすく、且つ数学の魅力を伝えるものになっていると思います。対談者自身が完全に数学の虜になっていますから。


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 13

小川未明童話集 (新潮文庫)

著者 : 小川 未明

出版社:新潮社

発売日:1961-11

評価 :

完了日 : 2008年02月02日

私はこの人の事を何も知らなかった。なにせ名前もはじめて聞いたのだから。

小川未明(オガワミメイ)。
戦前の日本児童文学界最大の存在だそうです。なぜ今まで知らなかったのか。珠玉の童話集である本作を読み、己の無知を嘆いたのであります。夏の文庫フェアとYonda?パンダに感謝。

「グリム、アンデルセンとも比肩する児童文学」という看板文句も大袈裟ではありませぬ。むしろ日本語の美しさを携えた小川未明の作品は、静謐で端整な輝きを持っております。これは日本の言語と文化を解する我々にしか味わえないものであり、なんと贅沢な事でしょう。


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 17

フェルマーの最終定理 (新潮文庫)

著者 : サイモン シン

出版社:新潮社

発売日:2006-05

評価 :

完了日 : 2008年02月02日

気になっていた本が文庫版になっていたのでさっそく購入。これはおもしろい!

『博士の愛した数式』以来、「数」の持つ神秘性・完全性に興味を持ち、数学というものに対する認識を改めさせられたワタシにとって、本書もまた数学のおもしろさを伝えてくれる格好の書となりました。

数学とはすなわち真理の探求、美の追求。宗教や哲学と同様に、数学もまた真実を探求しようとする人間の好奇心・執念だったのですね。そして言語を超えた「数」なるものの神秘性。数は人間が作り出した概念ではなく、世界が誕生する以前から「数」は存在していたという。この視点にわたしは目から鱗でしたよ。だから数は完全性を持つのですね。芸術や自然と同様にただただ美しいものだったのですね。すごいな〜この感性。

ピュタゴラスの時代から始まり、17世紀にフェルマ−が残した数学史上最大のなぞなぞは300年もの間、多くの数学者を悩ませてきたそうです。決して解かれる事のないその難問に、果敢に挑んでいった数学者たちの姿を追ったドキュメンタリー。

数学書というよりは歴史書ですねコレは。いたずら好きで偏屈だったというフェルマ−の人間像も興味深く描かれています。数々の数学者が挑んでいった軌跡とそこに生まれる人間ドラマ。

そう、この真理探究の道程には時代を超えた様々なドラマがあったようなのです。難しい数式を使わずに、数学者の内面にスポットを当てた著者の筆力は素晴らしいです。思わずグングン読んでしまいます。そして300年を経て遂に証明されるその瞬間。読者までもがその歴史の一部になったような感動と高揚感が迫ります。

文系理系を問わず必読の名著。


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 19

邂逅の森 (文春文庫)

著者 : 熊谷 達也

出版社:文藝春秋

発売日:2006-12

評価 :

完了日 : 2008年02月02日

04年の第17回山本周五郎賞、第131回直木賞をダブル受賞した本作。秋田の阿仁マタギとして生まれ育った主人公の、波瀾万丈の生涯を描く壮大な大河ドラマ。直線的で硬派な文体が、山に生きるストイックな男たちを魅力的に映す。主人公をはじめ、それに関わる人たちの辿る人生がどれも凄まじい。500ページを超える大作にもかかわらず、引き込まれ1日で読んでしまった。大正〜昭和初期まで、日本にはこのような世界があったのかと、現代に住む自分にとってはまるで別世界の事のように感じる。

マタギは山の神を信じ、自然の掟を乱すような事はしない。山に対する畏敬の念が厳然と存在する。それは例えばメディアから得た知識を自分の血肉だと勘違いしているような中途半端なエコ意識とはかけ離れたものだ。山と生死をともにする者だけが知る事の出来る、生きた感覚であったはずだ。
訳あってマタギの世界から去るはめになった主人公は、様々な困難や誘惑に戸惑い苦しむが、根底にあるのは毅然とした態度。それはやはり人智を超えた大いなるものを信じるマタギの世界の中で培われたものではないだろうか。

そう、日本にはこのような世界があったのだ。このように精神性を尊ぶ世界が。文化とか知性とか生活水準では現代とは比べようもないし戻る必要もないが、生きる指針すらままならない私たちにとって学ぶべき事は多いはずだ。


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 1

進化しすぎた脳 中高生と語る「大脳生理学」の最前線

著者 : 池谷 裕二

出版社:朝日出版社

発売日:2004-10-23

評価 :

完了日 : 2008年02月02日

ヒジョーにオモシロイと思う。

薬学博士の池谷裕二といえば、ほぼ日で連載された糸井重里との対談をまとめた『海馬』のベストセラーも記憶に新しい。本書は、高校生を相手に行われた脳科学の講義をまとめたもの。まず高校生が対象とあって、語り口が簡素でとても解り易い。脳の研究というものは現在も進行中であり、解明されている事なんてのはほんの一部分にすぎないのですね。そんな未知の分野に挑む脳科学者による最新の知見をふんだんに取り入れた内容は、驚くべき事実ばかり。

僕は本書で語られるような、既成概念が覆されるようなお話が大好きなんだな。そして単なる脳の仕組み的な解説のみならず、大脳生理学の見地から“コンピュータと人間の違いは”、“意識とは何か“、”心とはどこから生まれるのか。またなぜ存在するのか”などという哲学的な疑問にまで踏み込んだ講義になっている。非常に興味深く、知的好奇心を刺激される内容だ。


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 68

ナイチンゲールの沈黙

著者 : 海堂 尊

出版社:宝島社

発売日:2006-10-06

評価 :

完了日 : 2007年12月20日

衝撃のデビュー作「チーム・バチスタの栄光」に続く、田口先生と白鳥が登場するシリーズ作。なんだけど、舞台は手術室から病院全体へ。「バチスタ」のような緊迫感は望めない。登場人物もやたらと増えたことによりキャラかぶりが生じている。裾野を広げようと無理して欲張っちゃった気がするのだ。特に、「バチスタ」で抜群の存在感を示していた白鳥の存在があっけない程淡白なのが残念。


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 101

チーム・バチスタの栄光

著者 : 海堂 尊

出版社:宝島社

発売日:2006-01

評価 :

完了日 : 2007年12月10日

どきどきわくわくしながら一気に読み終えました。

こういうふうにのめり込める小説は久しぶりだったのでおもしろかった。著者は現役の医師ということで、舞台となる大学病院内の描写もリアリティがある。「白い巨塔」で描かれたような権力派閥の争いも織り交ぜながらも決して重苦しくならないのは、登場するキャラクターの魅力が非常に大きいから。特に後半になって登場するもうひとりの主人公白鳥は強烈な変人であり、次々に事件の核心にメスを入れていく様は痛快でした。細かい笑いのセンスも悪くない。医療の現場のシリアスな面と真相解明を巡る会話のやりとりにおけるコミカルな面。

エンターテイメント小説として硬軟のバランス感覚が非常にいいのですね。「このミステリーがすごい!」で史上最速の満場一致で大賞を受賞したというのも納得。


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 82

新釈 走れメロス 他四篇

著者 : 森見 登美彦

出版社:祥伝社

発売日:2007-03-13

評価 :

完了日 : 2007年12月06日

デビュー作「太陽の塔」から、この人が書く主人公は全て京大生。それもあまりパッとしない、詭弁のみに生きる妄想野郎ばかりだ。今作では日本文学の古典を大胆にリ・アレンジ。例によって四畳半の森見ワールド。おもしろいことはおもしろいのだがのめり込む程ではないかな。


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 37

センセイの鞄 (文春文庫)

著者 : 川上 弘美

出版社:文藝春秋

発売日:2004-09-03

評価 :

完了日 : 2007年11月10日

もう。この空気感。
文学に触れるよろこびを感じました。

つかず離れず、という現代的な、でも冷たいわけではなくて、ほわっとあたたかい。毎日の生活、暮らしの中の些細な事物を慈しむ視点。それこそが日本文学の美しさだと思うのです。

決して饒舌ではないのですが、“行間から空気を感じることの出来る” 文章って、とても好きです。日本人であり、日本の文化が理解できることがとても嬉しくなる瞬間ですね。好きな作家がひとり増えました。


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 101

まほろ駅前多田便利軒

著者 : 三浦 しをん

出版社:文藝春秋

発売日:2006-03

評価 :

完了日 : 2007年10月12日

本当に漫画みたいな本でした。
主人公オトコ2人のキャラに馴染めなかった。特に行天のスカした感じが鼻について魅力的には思えなかった。


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 5

くっすん大黒 (文春文庫)

著者 : 町田 康

出版社:文藝春秋

発売日:2002-05

評価 :

完了日 : 2006年02月12日

幸福なことに、本書がぼくの町田康初体験だった。もし「きれぎれ」や「告白」だったら一冊読了することも果たせずに町田ワールドに引き込まれる事も無く終わっていたかもしれない。

文壇デビュー作となる本作がシーンに与えた衝撃は大きかっただろうなと思う。ぼくにとってもこの本は衝撃だった。ぶわっは。何じゃこりゃ。このようにブっとんでいてシュールで可笑しい小説があったなんて。狭い価値観がぐらぐら揺らぐのを感じた。

ただ単に荒唐無稽でおもしろ可笑しいだけではない。文章の端々に独自の美学を見いだす事が出来る。何と言ってもパンク歌手だけあって、リズムがすばらしい。その独特の言語感覚たるや。町田さんの作品は、文学でもあって、音楽でもある。文字でビートを刻むという作風はこの後も更に追究されていく。


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 5

スティル・ライフ (中公文庫)

著者 : 池澤 夏樹

出版社:中央公論社

発売日:1991-12

評価 :

完了日 : 2004年11月15日

「僕」と佐々井にまつわる出来事を描いた物語自体は、特に大きく盛り上がるわけではなく淡々と語られます。佐々井のちょっと他の人とは異なる言動や、次第に影響を受けていく「僕」の様子、その根底にはこの冒頭のエッセンスが間違い無くあります。それはもちろん池澤さんの基盤にあるものなのでしょう。

文中に雪が降るところの描写があるのですが、ここの美しい文章を読んだ時にものすごくゾクゾクしたのを覚えてます。まるで自分が「僕」になったかのような、気持ちの良い感覚でした。ラスト、えっという感じで飄々と終わります。読後感が爽やかで、サラリとした気持ちになれます。

池澤さんの文章は、とても透明感があり、理知的で、優しい。「しなやか」という表現がぴったりくる。とても好きな作家です。


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