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Pipoさんの読書ノート

Lovely な本たち
ラブリー感あふれる本たちです。お話によってはほんのりビターだったりしますが…こんなのも好きです。
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 87

有頂天家族

著者 : 森見 登美彦

出版社:幻冬舎

発売日:2007-09-25

評価 :

完了日 : 2008年12月01日

とりあえず今年中には読んでおかないと、と手に取りました。森見さんのブログでは、長らくコードネーム「毛深い子」とされていた作品です。雰囲気のある装丁がいいですね。書店で何度も見ていたはずなのに、ずっと航空写真まんま使いだと思ってましたー。やるねぇ、鈴木成一デザイン室さん!

ストーリーは…いまさら言うまでもなく、洛中タヌキ人間天狗話です。筆致は意外と抑えて書かれており、ドライな感じを受けました。特に第1章の冒頭などは地の文が芥川龍之介調で、『羅生門』を思い出します。

赤玉ポートワインや偽電気ブランなど、森見さんが愛してやまない素材がてんこ盛りで、これでもか、これでもかと物語のはしばしに登場します。んー、でもちょっと凝り過ぎかも?矢三郎くんは大学生姿で登場する場面が多いし、別にタヌキでなくても…と思う場面が多々ありました(笑)。弁天様、峰不二子ちゃんみたいなワルい女のイメージなのかなぁ…ちょっと薄いけど。それに…タヌキは下ごしらえに結構な時間がかかると料理本で読んだことがあり、あの展開は微妙かも、とちょっと思いました。文学の技巧としては凝るけど、そういうところは淡泊なのね(たとえとしてはもちろんアリだけど:笑)。

全体的には、凝りに凝って広げた『夜は短し歩けよ乙女』という印象です。私の若者時代の何でも登場ギャグマンガの名作、『うる星やつら』を思い出す、はちゃめちゃっぷりが印象的ながらも、執筆に苦しんでいた跡がよくわかりますね。「策士、策に溺れる」を感じる(笑)。

意外と冷静に読めたので、この☆の数。同じ☆の数でも、『美女と竹林』のほうが明らかに上。モリミー、許せ。私はモリミーの「文学バカが埒もない『自分大好き』文章を書き散らしている」という風情が好きなんだろうな、と思いました。近刊?の『ペンギン・ハイウェイ』は脱・京都市左京区なテイストが新鮮で面白かったので、そちらの流れは結構期待してるんですけど。


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9.Pipo (2008/12/02)
「第2東京タワー計画」ですよね。今のタワーの倍ぐらいの高さで、かなりゴツいやつらしいと聞きました。

今日の夜空、月の位置が違ってて私もびっくりしました。月が満ちてきて、月の出の時間が遅くなるから、位置がずれてくるらしくて。天文サイトによれば、3つの星が昨日のような最接近ポジションで見られるのは2年後らしいです。
10.ryoukent (2008/12/02)
昨夜の天体ショーは一部マスコミでも取り上げられたそうです。
後から聞きました。
わたしは仕事終わって建物から出て夜空を見上げたときに「あっ!」と思って感動してしまったクチでした。
2年に一回のチャンスを逃さなかったわけですな。嬉しいっす。

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 2

生半可な学者―エッセイの小径 (白水Uブックス)

著者 : 柴田 元幸

出版社:白水社

発売日:1996-03

評価 :

完了日 : 2008年11月28日

柴田元幸さんの初エッセイ集です。すっきりして美しい1冊。これもアリですね。

収められた文章の大半は、雑誌に「時事英語」というテーマでつづられたものなので、英語(主にアメリカの)の口語の言い回しをひとつ紹介して、それにまつわるあれこれも紹介する、という形を取っています。知っているものや知らないものまでいろいろありますが、「お前ら、これ知らないだろ?」といった高飛車な風情はまるでなく、「こういうのがあるんだけど…」とぽそぽそ話してくださるような雰囲気が素敵です。とはいうものの文章は朴訥ではなく、丁寧で品があるので、急がず、かといってダレずのほどよいペースで読めます。アメ文の貧乏と露文の貧乏について語る、「貧乏について」には笑ってしまいましたが、その分析の明晰さには座布団1枚!それに、「ロシヤのパン」に出てくる、「やっぱりよい町にはよいパン屋が不可欠だと思います。」のくだりは、パン好きとしては全く同感です(笑)。

英語だけでなく、お好きな音楽や小説、身の回りのことこまごまと紹介されており、「柴田元幸はこれでできている」ということをまんべんなく知ることもできます。

初エッセイ集なので、とめどなく迷走するクレイジーさがまだ見られず(笑)、ちょーっときまじめに感じてしまいますが、控えめにとぼけたユーモアを漂わせる筆致に、この☆の数です。


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 2

もしもし (白水Uブックス―海外小説の誘惑)

著者 : ニコルソン ベイカー

出版社:白水社

発売日:1996-08

評価 :

完了日 : 2008年11月08日

原題は"VOX"。小説中に出てくるサービスコードとラテン語を引っかけたところがしゃれた題名で、邦題もさりげなく小じゃれた感じがよい1冊です。表紙の素敵なお姉さんが岡崎京子さんのイラストで、こちらもなかなか。

お話は…パーティ・ラインで延々と話す男女の会話で成り立っています。日本でいえば、ひと昔前のテレクラ・トーク(笑)。こういったアルバイトをしている女の子の話は映画でも取り上げられていましたが、会話だけをこれだけ連ねたものはありません。

それ目的の電話ですから(笑)、エロネタ満載なのですが、全体的にからりとしていて下品さをあまり感じませんでした。お互いがパーソナルなことを話し込んで、そこに下ネタがからんでふくらんでいく、といったほうが近いように思います。2人のバックグラウンドが会話にさりげなく織り込まれており(部屋のインテリアの描写などは実に知的)、ゲロゲロの下品ネタにならない仕掛けになっているのでしょう。実際にこれだけのセクシートークが続くのかは疑問ですが(笑)、アメリカ人の話の続けかたが細かく描かれており、「そうそう、そんな感じで会話を続けるのよねー」と面白く読めました。結末も、余計なものをつけずに切ったところが見事です。

翻訳は岸本佐知子さん。いつもながらややこしいものを手がけられる手腕に敬服です。ラジオドラマなどで聴きたいな…と思うのですが、どこの局でもどんな枠でも不可能(舞台のほうがいけるかも:笑)。オトナの会話劇として、楽しく読ませていただきましたのでこの☆です。応援いただいたヨナキウサギさん、ありがとうございました。

-----[2008.10.21 未読リストにアップ時のコメント]-----

読もう、読もうと思って書店の棚を眺めるのですが、なぜか後回しになる本です。内容は延々とお電話の話…。ビル・クリントン元米大統領(まだ前大統領ですね)と某インターン嬢のスキャンダルが華々しく取り上げられていたときに、「2人が読んでいた本」ということで全米ベストセラーになったという噂の本だということをかなり後で聞いて、でへへと笑ってしまいました。


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3.ヨナキウサギ (2008/11/26)
lovelyな本、とお感じになったのですね。会話劇として面白い、というのには賛成です。できることならやはり舞台より「声」だけで聞きたい気もします。いっそのこと実際に「誰か」と電話を通して朗読し合ってみるとか…?新たな発展があるかも。(余計なコメント失礼しました)。
4.Pipo (2008/11/26)
ヨナキウサギさん、こんにちは。たびたびのお運び、ありがとうございます。

>lovelyな本

会話の軽やかさや、会話の背後に透けて見える2人のキャラクターの清潔さ、それに下世話なネタなのに嫌みがなくて、大人のキュートさが感じられましたので、こちらのノートに入れました。電話でトライ!はどうしましょ~(^_~)。

お気に入りブックマークもありがとうございます。これからもよろしくお願いいたします。

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 1

舶来文学 柴田商店―国産品もあります

著者 : 柴田 元幸,きたむら さとし

出版社:新書館

発売日:1997-12

評価 :

完了日 : 2008年10月31日

装丁がキュートな、柴田元幸さんのお店…現代アメリカ文学を中心とした、本にまつわるエッセイ集です。

書名がなかなか人を食っているうえに、まえがきがお店のあるじの口上チックにしつらえられており、楽しんで作られた感触があちらこちらから伝わってきます。「たなぞう」の画像データでは帯が外されているのですが、この帯が「打ち身 ネンザ 文学痛によく効く…」との惹句で、悪ノリ感がなかなか楽しい(笑)。イラスト全般を手がけておられる、きたむらさんの作風が可愛いながらもちょっとシニカルでハードで、各ページではそれぞれのエッセイとの巧みなコンビネーションを楽しむことができます。

可愛らしいビジュアルに目を奪われてしまいますが、エッセイの質も高い。ご専門の現代アメリカ文学をふまえた、本とあれこれに関する考察は、ほどよい真面目さと緻密さを交えて心地よく読めます。それに、おとぼけのスパイスも効いていて、くすりと笑うことしきり。ナボコフの訳で有名な若島正さんを「小説という病がどんどん悪化していって、もはや治癒不可能となることを夢見ている」って…若島さん、いいのか(笑)。ただ取り上げた本を賞賛するだけでもなく、穏やかな皮肉でやんわりとであっても、きちんとダメ出しがされていて心地いいです。ご自身と英語との取り組みを語る『私と英語』の「僕の語学力はチャチ」というくだりには「本当?」とも思いますが、飾り気のない柴田さんのキャラが透けて見えるように思いました。

巻末に「柴田商店 在庫リスト」として、取り上げられた書籍がまとめられており、次に読む本を探すにも親切な設計です。『それは私です』のクレイジーさとは少し離れた、でも誠実で楽しい本ですのでこの☆の数です。

-----[2008.10.26 未読リストアップ時のコメント]-----

このメガネ招き猫の表紙がキュートな本はかなり前から気になっていたのですが、いつの間にやら記憶が消し飛び、このたび読んだ『それは私です(同じく柴田さん著)』の広告ページで再会しました。「舶来」という素晴らしくも微妙にアナクロな単語の響きにやられ、お取り置きです。


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 4

それは私です

著者 : 柴田 元幸

出版社:新書館

発売日:2008-04

評価 :

完了日 : 2008年10月26日

現代アメリカ文学の翻訳といえばこの人を外せない、柴田元幸さんのエッセイ集です。ポップな装丁が楽しく、私にとってはファースト柴田エッセイ。

柴田さんのエッセイがどのようなものか、全く先入観なしに臨みました。立ち読みは数ページだけにとどめ、本気モードで読み始めると、そのぶっ飛び内容には気が遠くなりそうに!妄想と明晰さの混じり混じった文章がイタい世界をかもし出しており、わけのわからないままに柴田ワールドへ引きずりこまれていきます。このニオイは森見登美彦さんに微妙に通じる(彼に翻訳をやってほしいな、と今思った:笑)のですが、彼の筆致をおバカと評するならば、柴田さんのエッセイはクレイジーとしかいいようがありません。『自動翻訳機のあけぼの』、ちょっと引っかかってしまって悔しい(笑)です。『文法の時間』、イルカになるってどうよ(困)。それに、「自分の幽霊」の話がいくつか出てきており、「柴田さん、最高学府の教員ってそんなに辛いのー?」とツッコミを入れてしまいます。

まるっきりのおバカ炸裂というだけではなく、『タバコ休けい中』などの繊細な話も読ませます。また、やはり文学畑の人だけあり、本の話もとめどなく登場します。『微熱のときに読む本』など、書評ではなくても本について書かれた章も多いので、ブックガイドとしての側面も楽しめます。

イタさスパーク、でも嫌みがなくて楽しい本なので、この☆の数です。

-----[2008.10.17 未読リストアップ時のコメント]-----

書店で<柴田元幸責任編集>と銘打たれたナゾの文芸誌、『monkey business』の隣に転がっているところを発見。開いて驚き!もう、何が何だかよくわからん中身が怪しすぎ!森見登美彦さんの『美女と竹林』を上回るスパークっぷりに、棚の前でアタマがくらくらしました(笑)。早めに読もうっと。


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 1

パンとワインとおしゃべりと (中公文庫)

著者 : 玉村 豊男

出版社:中央公論新社

発売日:2002-02

評価 :

完了日 : 2008年10月18日

もう、表紙のシャンピニオンがかわいすぎー!表題のとおり、パンとワインとおしゃべり満載の本です。玉村さんがヨーロッパで味わったお味と、日本に戻られて信州で暮らされてからのお味が、ちょっと気取った感じ(でも嫌みではない)の粋な文章で語られます。

もちろん、お酒もワインだけではありません。ヨーロッパはお酒が強くないと面白くないので、お酒の味は好きなのに量が飲めない私にはうらやましいかぎりです。グルジアの乾杯のあいさつ、「シャンパンのような元気を!」で乾杯してみたい!さまざまなお料理も紹介されており、楽しいことしきり。シュー皮にチーズを詰めたグージェールや、チーズフォンデュ代わりになる、ベルトゥーはとても美味しそう!イギリスのキュウリサンドイッチは、玉村さんいわく「渋い滋味があって病みつきになる」そうですが、どうだろう(笑)。イギリスの下宿で大家さんが作ってくれた、お世辞にも美味しいといえなかったジャガイモのサンドイッチにまつわる思い出など、味とは別に心にしみるお料理も紹介されています。あるキノコを食べる話にはちょっとびっくり、です。

1編1編がとてもコンパクトで巧みな筆致のエッセイで、本自体もとても薄い本ですが、決して物足りないとは感じません。「美味しい食べものと飲みものがあれば人生幸せだー」と思ってふふふと笑える本なので、この☆の数です。


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 2

コドモノクニ (河出文庫)

著者 : 長野 まゆみ

出版社:河出書房新社

発売日:2008-08-04

評価 :

完了日 : 2008年10月11日

書店の棚に可愛くディスプレイされていたので購入しました。清楚な感じの装画も長野さんのものと知って驚き。東京近郊に住む女の子、マボちゃんの小学校から中学校時代がメインのお話です。

年代は1970年前後のこと。私に歳の離れた姉がいれば?という時代設定です。登場するアイテムにはちょっとわからないものもありますが、感覚はジャスト。カバー裏に「連作小説集」と銘打たれているものの、このリアルに細やかな記憶の数々は、どう考えても9割以上自伝でしょう(笑)。

読んでみて、細やかな描写力に驚きます。『小鳥の時間』に出てくるセキセイインコのピッピの話は、私もたくさんセキセイインコを飼ったこともあり、「そうそう!」と激しくうなずきながらも、幼い頃の記憶を細部まで再現される力にただただ驚きます。

他の2編も含めて、博学で美意識が高く、明治屋さんのアイテムが好きな女の子であるマボちゃんの身辺が克明に描かれています。彼女は好き嫌いがはっきりしていて、その毒づきっぷりもなかなか小気味よい(笑)。年齢的には木地雅映子さんの『氷の海のガレオン』と似た世界を扱っているように思いますが、『ガレオン』のほうがやや観念的かな…と思いながら読みました。中盤以降に登場する、旅芸人の子、セイちゃんのキャラクター造形が長野作品らしいのかなと思います(ほかに1冊しか読んでいないから断言できませんが)。セイちゃんの登場で、マボちゃんの目線が子供から大人へなめらかに変わっていくような印象を受けました。

第一印象は☆3つで、もう少しひねってもいいかも?と思ったのですが、やはりこの克明でなめらかな描写力に感心することしきりで、この☆の数です。


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 1

ターシャの庭

著者 : ターシャ テューダー,リチャード・W. ブラウン

出版社:メディアファクトリー

発売日:2005-06

評価 :

完了日 : 2008年09月29日

先日ご逝去されたターシャ・テューダーさんの、米国バーモント州のご自宅の庭園を紹介した写真集です。

彼女を知ったのは吉野朔実さんのご本でした。「素敵な変わり者」と吉野さんが評されたとおり、『大草原の小さな家』とさして変わらぬような暮らしを送っていらっしゃいました。

四季折々の花や木の組み合わせが美しいのなんの!秋にたわわに実った小さなりんご、春の花の盛り…色彩の宝庫です。これが雑然と植え込まれているようで、とても計算された配置。『秘密の花園』ではなく、もっともっとオープンな感じが温かいです。個人的には、お花の配置、特にシャクヤクの使い方に驚きました。典型的な東洋の花なのに、こんなに合うんですね。イギリスの庭ともまた違った美しさ(近いとは思うけど)に見とれて、ただただページをめくってしまいます。ターシャさんファンにはおなじみ、コーギーのメギー(本名メーガン)もラブリーです!

解説も写真の妨げにならない分量で、ほどよく楽しめます。こういう暮らしを守るのは現代ではとても大変だったことは想像にかたくないのですが、それをなしとげた女性に敬意をこめて、この☆の数です。


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 2

マリコはたいへん! (小学館文庫)

著者 : 松久 淳

出版社:小学館

発売日:2008-09-05

評価 :

完了日 : 2008年09月28日

雑誌連載のときに「うまい企画だなー」と思いながら楽しんでいました。27人(+α)の「マリコさん」のお仕事と恋愛事情のインタビュー集です。インタビュアーは『天国の本屋』の松久淳さん(ただし未読)。

登場するマリコさんたちのお歳は、雑誌のターゲット年齢に近い幅(20代~30代)でのセレクト。お仕事は地味めのものもありますが、「目立つ憧れの職業」といえるものが多いように思います。このマリコさんたちに、インタビュアーの松久さんが気弱モードで立ち向かう姿がなんだか可笑しい(笑)。松久さんでなくても「はー!」と思ってしまうつわものマリコさんあり、「ちょっと考えようよ」と諭したくなる、すっとこどっこいマリコさんあり…と、マリコさんたちと松久さんのやりとりをツッコミながら、共感しながらすいすいと楽しめます。マリコさんたちが抱える、ちょっと困った事情が描かれていたりしてもいやみなく読めるのは、松久さんのお優しさと、筆致のやわらかさだろうなぁと思います。ガールズ・トーク全開で、ちょっとナマっぽくて、松久さんでなくとも男性(特に未婚の)は引くネタもあるでしょうけど、男子諸君、女子というのはそんなもんだ(笑)。

リリー・フランキーさんの装丁がキュート(帯のコピーは大泉洋さん)で、「ザ・女子本!」として気楽に楽しめる1冊です。ただ、欲をいうならば、章分けに使われているページが黒刷りなことに違和感があるのと、そこに書かれた英語が少し微妙だったので、出版社さん、ここを考えていただければなおよし、です。


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 2

本当はちがうんだ日記 (集英社文庫)

著者 : 穂村 弘

出版社:集英社

発売日:2008-09

評価 :

完了日 : 2008年09月21日

『吉野朔実劇場』で吉野さんのお友達としてレギュラー出演中の歌人、穂村弘さんのエッセイ集です。文庫の表紙もちょっとポップでダークな感じが可愛いのですが、ハードカバーの表紙(もろ小動物系)のほうがよかった(笑)。

もう、最初からへなへなと笑いがこぼれます。『エスプレッソ』で語られる、「エスプレッソが好き→でも苦くて飲めない→でも頼む→理由は○○」って…。高校生がブラックコーヒー飲むのと同じじゃん!『結果的ハチミツパン』の、ハチミツパンを食す時間とスタイルがすごく、しかもそこから考えることが…なんか迷走している。「何とかしなさい、41歳総務課長(当時)!」と思わず教育的指導をしてしまいそうです(笑)。

全編へろへろと迷走していくさまが面白いのですが、自分の持つ弱さみたいなものを見つめる視点は鋭くてちょっと温かいです。『リセットマン』で穂村さんが「怖い」とおっしゃることは、川上弘美さん『ニシノユキヒコの恋と冒険』でニシノ氏がのたまう「怖い」の中身と(おそらく)同じものだと気づいてはっとしましたし、『硝子人間の頃』ではご自分の苦手ポイントをほんの少しずつクリアしていこうとする気持ちにじんわりきてしまいます。『嘘と裏切りの宝石』の峰不二子の描写、まさにそのとおりで美しゅうございますー。

解説は三浦しをんさん。いつものしをんさんトーンよりもちょっと抑えめのテンションがくすりと可笑しくて心地いいです。へらへらと楽しめるエッセイですが、このジャンルでは森見登美彦さんが激しく追い上げているようにも思うので(笑)、激励をこめてこの☆の数です。


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 23

美女と竹林

著者 : 森見登美彦

出版社:光文社

発売日:2008-08-21

評価 :

完了日 : 2008年09月14日

森見さんご自身のブログに抜粋がちらちらと掲載されているので、それだけで済ませようかと思いましたが、3連休のお楽しみ用に買い求めました。すっきりとした装丁。しおりの紐も青竹色と、こだわりが見られます。

主な登場人物は森見登美彦氏と、盟友の明石氏。登美彦氏の職場の先輩、鍵屋さん(女性)のご自宅の竹林のお手入れ?をしながら、虚実ないまぜのとりとめもない独り言、あるいはお喋りが続きます。

森見さんがブログで「無益に楽しい文章だよ」とおっしゃるように、ほんとに無益で楽しいです(笑)。思わず「お前ら、ちゃんと大人の人生やれよ!」と2人の後ろに仁王立ちして怒鳴ってしまいそうな無駄さ。でも、このバカムダ加減も人生には必要かも!『【新釈】走れメロス 他四篇』中の芹名・芽野コンビのモデルはまぎれもなく君たちだろう!と思うことしきりです。それに、ちょっと気になっていた敵キャラ、締切次郎のビジュアルがわかってすっとしました(笑)。

このバカっぷりは好き嫌いがすっぱり分かれると思います。ひょっとしたら、『夜は短し歩けよ乙女』『有頂天家族』の路線がお好きなかたは△かと。『【新釈】走れメロス 他四篇』が好みのかたは、こちらが結構いけるかもしれません。ということで、シビアめにこの☆の数です。気分的には☆5つですが…変えない!でも、私は『夜は短し-』とこの本のどちらかを選べ、と迫られたらこっちを取ります(笑)。

森見さん、『この俺を見よ!』が執筆できることをお祈りしております♪

-----[2008.8.31の未読コメント]-----

9月のマイ目標本その②です。ちょっと中国の文人本っぽい題名なんですけど、思いっきりすちゃらかな本。

森見さんご自身のブログでも内容がちらちらと紹介されているので、買ってまで読むのもなぁ…と思うのですが、この人の真骨頂はこういう「バカだねぇ、森見くん、なーに埒もない世迷い言を!」と後ろからパーンとアタマをはたいてしまいそうなところでもある(笑)ので、まとめて読んでみようと思います。


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28.ryoukent (2008/11/29)
ここはひさしぶりだ。
やっとこの本を読んだので訪れてみました。
カバーの工夫 はTosyokanで借りたので、全くどういうことか判らなかった。だってピニールカバーが強固に掛かっているのだもの。残念。(笑)
29.Pipo (2008/11/29)
ryoukentさん、こんにちは。ごぶさたしております。感想拝見しましたよー。楽しまれたようで。

仕掛けの件ですが、竹のエンボスになっているところをこすると、いい香りがする?らしいんですね。でも、これが微妙にわからない。デマであっても森見作品らしいと思いますけど。

私はいま『有頂天家族』を開いたところです。明日は京都に行く用事があるので、小説の舞台も見て来ようと思っています♪

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 25

ニシノユキヒコの恋と冒険 (新潮文庫)

著者 : 川上 弘美

出版社:新潮社

発売日:2006-07

評価 :

完了日 : 2008年09月09日

『センセイの鞄』を書店に偵察に行き、なぜかこちらを(笑)。ファースト川上作品です。キュートな装丁に「軽やかなラブコメディーでしょう、これは!」と思って読み始めました。後で間違いに気づきますが…。

ニシノユキヒコ(漢字では「西野幸彦」)なる男性と、彼が恋愛をした女性(の一部)ごとのリレー短編集です。見た目まじめで清潔で男前、そこそこ堅い人生を送る男性。でも夕方の携帯は女性からの着信ばっかりで…と、実は軽い男?のニシノ氏。そんなオトコと付き合った女性たちの目線で、彼と、彼との恋愛が語られます。

各エピソードの並べかたが構成の妙だなぁ…と思いました。登場する女性とニシノ氏のお付き合いした時期が、微妙に他の女性とかぶったりして(笑)語られます。エピソードを機械的に時系列に並べちゃえば、ただニシノ氏を「ワルいやつだなー(笑)」と思って終わりでしょう。ですが、最初のエピソードで、それがすっと薄まっていく感じ…この構成はある意味卑怯かもしれませんが、ひとりの男性の面白哀しい、そしてちょっと切実なストーリーなんだ…と思える効果を出しています。

年齢はばらばらながら、ニシノ氏を語る女性たちがみなとても賢い印象を受けました。彼との出来事を厭うわけでもなく、懐かしさを含ませて淡々と静かに語ります。こういう女性たちを落とす彼は凄腕(笑)。それもみな、彼がときどき発する虚ろな台詞に、うわべだけではない何かを見てしまうからなのだろうと思います。もっとも、これも彼の手のひとつかもしれませんが…個人的にはバツイチ女性とニシノ氏と猫の微妙な三角関係のエピソード、「しんしん」をイチ押ししますが、年齢と恋愛観によっていろいろかと(笑)。

「こんな男性、お試しもアリ」と思うか、「即却下!」と思うかはすっぱり分かれる恋愛小説ですが、静かに熱を帯びて面白い作品だと思います。それに、こういう「主人公の出てこない」作品は私のツボ(確定:笑)なので、この☆の数です。


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 1

百年の恋 (集英社文庫)

著者 : 篠田 節子

出版社:集英社

発売日:2007-01

評価 :

完了日 : 2008年09月03日

ずいぶん前にNHKでドラマ化されていて、楽しく見られた作品だったので「原作もぜひ!」と思いながら今です(笑)。実はファースト篠田本。「才色兼備」の女性(+年上で背も高い)に惚れて結婚したはいいが…という男性のどたばたを描く作品です。

ドラマではバリバリのバンカー、梨香子に川原亜矢子さん、女性に縁のなかった低所得フリーランスライター、真一に筒井道隆さんがキャスティングされていました。川原さんのいやみのなさと、筒井さんのボンクラっぷりが最高(笑)。原作のこちらは、梨香子さんのイメージはわりあいそのままに、真一さんがもっとモテない男性に描かれています。

序盤の2人の出会いのシーンは、インタビュー中のちょっと専門的(マニアックともいう)な話題から盛り上がって…という、まるで有川浩さんの作品のようなベタ甘展開(笑)。でも、「(戦闘機に乗って)ドッグファイトなんて一度でもできたら…」の台詞はヒット!その後の展開はこれもベタ甘でスピーディーなのですが、ドラマや有川作品よりも男女の仲の考察と描写がナマっぽくて、段落が落ち着くごとに「ぎゃはーっ」と笑ってしまうことしきりです。特に未婚男性、読んだら毒ですけど(笑)。

そうこうするうちに2人はお父さんとお母さんになるのですが、ここでもともとスパーク気味だった梨香子さんのキャラがエスカレートしてくるし、真一さんがずっと持っていた「それってどうよ?」感もどうしようもなく大きくふくらんでくる。このあたりがまたドラマより苦いです。妻の「何でも話せる男友達」の存在や、「よき妻、よき母、よき夫」っていうけど?という問題がバンバン突きつけられてきてちょっと辟易…でも真実。真一さんの親分、秋山女史の説教がまた迫力があって見事です(ドラマでは高畑淳子さんがハマり役)。

文中の真一さんの育児日誌を篠田さんの仕事場シェア仲間の作家さん、青山智樹さんが担当されており、これも男性側からリアル(笑)。全体的に、雑誌連載時の「男の子育て!」のかけ声が大きかった時代を反映して、ちょっとキツい感じの物言いもありますが、コメディーとしてよくできた作品ですし、「この2人、何やかんや言って結構いいよな」と素直に思ってしまうので、甘いかもしれませんがこの☆の数です。願わくば、表紙をもっとセンス良くしてください。


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1.manu (2008/09/03)
毎回、毎回、読んでいないものについてのコメントですみません。(汗)
ちなみにドラマも見ておりません。(知ってはいましたが)
ちょっとツボに入った文章がありまして。^_^;
>筒井道隆さんの”ボンクラっぷり”
素晴らしい表現です。(爆)
というか、ボンクラを演じ?させたら筒井道隆は日本の俳優で独走だと思います。(笑)そんな訳で?小説、次回図書館リストへと加えさせて頂きます。^_^;
2.Pipo (2008/09/03)
manuさん、お運びありがとうございます。

筒井さんの演技…は、浅野忠信さんの「ジ・アンタッチャブル(誰がなんと言おうと定冠詞つき)」さの対極で、他の追随を許しませんね。彼の輝く作品を見るたびに、もうへなへなと脱力してしまって(笑)。

この作品は、他の篠田作品の流麗な愛の描きかた(あらすじだけでそう思っている)とは少し違い、ドカンと甘くて面白おかしくて…ピリッと苦みが効いていて楽しいですよ♪
 

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 1

世の中で一番おいしいのはつまみ食いである (文春文庫 ひ 20-1)

著者 : 平松 洋子

出版社:文藝春秋

発売日:2008-08-05

評価 :

完了日 : 2008年08月23日

もう、タイトルを一瞥しただけで買い(笑)。おっしゃるとおりでございますー!フードジャーナリストの平松洋子さんが、ご自身のお料理、身の回りのあれこれについて語るエッセイです。

目次で一目瞭然なのですが、料理の中でも「手」で行うしぐさでまとめられています。まず、「手でちぎる」。これが動作そのものだけではなく、「ちぎる」という言葉の響きから切り込んでみたり、もちろん、その動作を主に使ったお料理を紹介してくださったり…これが…料理が不自由な私でも料理心をそそられる簡単レシピ(巻末にはカラー写真つき)。この項でも、紹介されているちぎりキャベツの炒めものの美味しそうなこと!ビールでもご飯でもオッケーです(笑)。ひとり暮らしのかた、もう1品作り足すのが苦痛なかた(男女問いません)、特におすすめです。読んでも味わっても楽しめますし、人生が豊かになります。

エッセイのコアである食べものの話題だけではなく、時にはドキッとするオトナの色気や哀しみを感じさせる部分もあって、なんだか森まゆみさんのエッセイを思い出してしまいます。全てがみごとなのですが、素晴らしさであと1篇挙げるとすれば「手で割る」の項。散文というより、詩の美しさの見事なこと!久しぶりに文の美しさにはっとしました。

ハードカバーからの改題がばちっとはまった見事さと、もの柔らかながらも芯はストロングな本で、この☆の数です。歌人、穂村弘さんの解説も可笑しくていいですよ。


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 83

一瞬の風になれ 第三部 -ドン-

著者 : 佐藤 多佳子

出版社:講談社

発売日:2006-10-25

評価 :

完了日 : 2008年08月23日

第3巻、最終巻です。しかもページ数激増!でも、ラストスパートで読みました(笑)。北京五輪4×100mリレーの決勝と重なるとは…。

前巻の終盤でお兄ちゃんがああいうことになりながらも(兄よ、その若さでそういう原因はレッドカードだ:苦笑)、新二くんの陸上部時間は流れていきます。どんどんステージも上がっていき…すでに兄を越えてる(笑)。春高陸上部のすべてのプラス要素が神谷・一ノ瀬コンビ(あと、根岸くんを足してトリオかもしれない)を中心にまとまっていきます。ちょっとできすぎ?とも思いますが…ラストはいいところで切ったと思います。目次を見たときに、もう少し後の場面で切るんじゃないかと思ったんですが…映画「明日に向かって撃て!」のラストのストップモーションのように。

これは佐藤さんが少ししか触れておらず、ほとんど私の想像によるのですが…連くんの「待っていたもの」がいろいろ分かり、それが彼に届いたのを見られてよかったです。本当にハードボイルドな男だねぇ!個人的には、100mのテーマソングが「サンダーバード」ってところもツボ(笑)。

通してひとことで言うと、「先輩・後輩のいる、ひぐちアサさん『おおきく振りかぶって』」でしょうね。奇しくも、こちらにも「レン(漢字は『廉』)」が登場。もっとも、こちらのレンはダメテイスト漂う投手なのですが、一見ガラスのエースで実は剛毅!なところは共通しています。

新設、あるいは平凡なチームになぜかいる飛びぬけた才能の「天才(実は『おお振り』では投手ではなく三塁手がそんなプレイヤー)」を間近に見て、周りは自分の実力を高める。それを見て、天才は自分を高めながらも、チームで自分の力を生かそうとする…しかも、誰も「努力は無駄」と言わない。まだまだ言いたい年頃だろうに…見事な化学反応です。ああ美しきかな、人生って(笑)。ひとつの世界に打ち込める、人生の美しいピースををつなぎ合わせた作品だと思いました。

実はこの巻を読む前に、佐藤さんの作品で「夏から夏へ」という、リレー五輪代表を追ったノンフィクションがあるとの情報を入手してしまい、「しまった、そちらにすればよかったのか?」とノンフィクション好きとしては微妙に揺れました(笑)。

あえてチクッと言うならば、もう少し泥臭い場面や苦い場面もあってよかったかもしれません。全編、口当たりがとてもいい作品なので。ある意味、本屋大賞を取るテイストはこれか…と納得。「サクリファイス」が取らなかったのも道理(苦笑)。

いずれにせよ、楽しませていただきましたのでこの☆の数です。ありがとうございました。

[2008.7.24未読リストにアップ、2008.8.22の読中感想に追加しました]


この感想へのコメント

21.ryoukent (2008/08/25)
「折りたたみダミーコメント」に少し関係するお話です。

「100コメント」達成の時に最後の99コメ,100コメに書くとその二つのコメントは Open のままずーっと表示されます。二人だけによるコメントなら 一つづつ で決まりなのですけど、もっと沢山の人で書いてると最後は譲り合ったりしてて結構面白いものがあります。
まあ100コメ目は「感想」をUpした 家主さんが書くのが普通ですけどね。
22.Pipo (2008/08/25)
100はまだまだかなぁと思うので(笑)。それまで続いても面白いかと思いますが…未体験ゾーンですね(笑)。

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 80

一瞬の風になれ 第二部

著者 : 佐藤 多佳子

出版社:講談社

発売日:2006-09-22

評価 :

完了日 : 2008年08月20日

第1巻からの続きで、冬のオフから始まります。連くんも新二くんも脱落することなく(笑)。新二くんのお兄ちゃんはJリーグへ(そのチームは順位的に、今年ちょっと微妙かも…:笑)。そしてお兄ちゃんに買ってもらったハイエンドモデルのスパイクとともに、シーズンスタートです。

新入生も入ってきたりして、春高陸上部にもいろいろマイナーチェンジが起こってきます。連くんとのワンツーは変わらないみたいですが…「鉄人」のあだ名には吹き出しました。走り方も陸上アスリートっぽくなってきている(でも私の中での彼の走りは「GIANT KILLING」の爆走MF、椿くん:笑)。そして少しずつ季節が進み、大会のステージも上がりますが、連くんのアクシデントでチームは微妙に回らなくなる。その中で、部長である守屋先輩の男前なふるまいに今さらながらに驚く(笑)。三輪先生、ある程度予想はしていたけど、そういうことでしたか。女子部員、みんなまじめで素敵ですね。新部長、みんな君の努力と度量は認めているんだから、それは素晴らしいことではないですか!メンタル的にダメージのくることもありますが、Get a grip(しっかり行け)だ!…と美しき物語にエールを送ってしまいます。

1巻からずっと感じているのですが、連くんの痛切なほどに「何かを待っている」という雰囲気が結構気になって、読みながら探っています。新二くんにはそんなに悟られていないようですが、彼は意外とハードボイルドな野郎だと私はみている(笑)。答えのひとつはこの巻で出てくるのですが、それほど単純じゃないようにも思いますし…まぁひとりカン違いも楽しいかと、この答えは大事にして第3巻へ。ツッコミどころもまぁありますが、私はこの巻のちょっとゆるい感(高2ってそんな時期)がいちばん好きです。

[2008.7.24未読リストにアップ、2008.8.19の読中感想にプラスしました]


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 128

一瞬の風になれ 第一部 --イチニツイテ--

著者 : 佐藤 多佳子

出版社:講談社

発売日:2006-08-26

評価 :

完了日 : 2008年08月17日

少将奈胡ンさんご推薦、Aさん後押しで挑みました(笑)。あまり強豪とはいえない高校の陸上部の4×100mリレーのメンバーの成長記です。ストーリーも全く探らず(笑)、先入観ゼロで挑戦!

主人公は(第1巻時点)約2人。一ノ瀬連くんと神谷新二くん。語りは新二くん目線です。「『天賦の才』とはこのことか」と誰もが言う絶対的な短距離走のセンスを持ちつつ、とらえどころのない幼なじみの連くん、「才能+努力アーンド華がある」を地で行くサッカー選手のお兄ちゃん、と2人の「天才」が身近にいることで、自分のポジションに居心地の悪さを感じる日々が続く新二くん。サッカーを辞めることを決めて進学した高校で、「一ノ瀬連の連れ」ということで声をかけられたり、連くんのポツッとした一言が心に響いたり…ということで陸上部の門をたたきます。練習を重ねるうちに、「(連くんの)背中を見て走るのもいいな」から「(いつか)勝ってやる」という静かな闘志に変わっていくところが、かすかに甘やかな感じで美しいです。

まだスプリンターとしての駆け出し編なので、レース描写は淡白。まぁ、40秒あまりで終わってしまうので、なかなかリアルな描写は難しいでしょうが…近藤史恵さん「サクリファイス」のようなレース中の疾走感がもう少し欲しいかもしれません。それにしても、「完璧」という連くんの走りはいったいどのようなものなんだろう…。全盛時のカール・ルイスのような、スーッと伸びていく(しかも音がしない)走りかなぁ…とか、自分の脳内データを駆使していろいろ想像してしまいます。新二くんの走りはまだ短距離というより、サッカー選手の走り(元FWだけど私の中ではMF的)でOKかと。個人的には三輪先生がいい味出していて好きです(ビジュアルイメージは男前で根性の据わった大泉洋:笑)。根岸くんはよくできた人物だ(笑)。

全般的に、熱さというより透明感が目立ちます。第1印象が薄味で☆3つだったのですが、気がつけば印象的な表現のページを何度もめくっている、という感触なのでこの☆の数です。次巻も張り切って臨みますわよ(笑)。

-----[2008.7.24 の未読コメント] -----

ずっと読もうかどうしようか迷っている本です。マイ直感によれば、おおよそハズレではないような感じもするんですが…最初の10ページくらいをぱらぱらとめくって、「ん?」と思ってしまった箇所があるんですよね…。それが妙に引っかかって、タイミングを失ってしまったのかもしれません。装丁は柔らかくて美しい色調で素敵なんですけど。


この感想へのコメント

3.A (2008/07/25)
これ、私も気になってます。中学生なんかは時間も忘れてよんでましたよ~。さわやかな気分になりたい!(笑)
4.Pipo (2008/07/25)
Aさん、お運びありがとうございます。

この本はなんといっても、タイトルがいいんですよね。「一瞬の風になれ」って言われたら「うん、なるなる!」って慌てて答えてしまいそうなスピード感が素敵です(笑)。

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 1

少女レベッカ (1979年) (ポプラ社文庫)

著者 : 関 七美

出版社:ポプラ社

発売日:1979-01

評価 :

完了日 : 2008年08月12日

私の読書人生最大の失策(笑)は子ども時代に「赤毛のアン」を読まずにきてしまったことかも…と思うのですが、これは自分にとって、「-アン」にあたる本でしょう。当時、アメリカ製のドラマ(吹き替え)にいたく感動し、すぐさま手にした本。

プロットは微妙に「赤毛のアン(笑)」。「レンガ屋敷」と呼ばれるお邸に預かられることになる、そばかすでダークな目と髪の女の子、レベッカ。レンガ屋敷の主はお母さんのお姉さん2人。上の伯母、ミランダは実はレベッカの姉のハンナに来てもらいたかったので…とても厳しい。屋敷の厳格な女あるじとして、ひっつめ髪でレベッカにこまごまと注意をする毎日です。下の伯母、ジェーンはミランダとは違い、おっとりタイプ。勉強(特に詩)はできるけど、家事はてんでだめのレベッカにお裁縫などを根気よく教えてくれる、やさしい伯母さまです。

大好きなのは、レベッカがジェーンにお裁縫を習い、とびっきりのピンクのドレスを作る場面でした。汚れも目立たない茶色のギンガムをまとめて買ってきたミランダにがっかりするレベッカに、ジェーンが「1着それで作って、あとは生地を取り替えてもらって、とびっきりのドレスを作りましょう」という台詞があまりに優しくて…それでできあがったドレスとパラソルで学校の参観日に出たレベッカに「よかったね!」と素直に拍手(流行たっぷりの見事なものだけど、これがちょっと微妙な雰囲気をかもし出す:笑)してしまいます。

ダイアナのような親友(笑)、エンマ・ジェーンにも恵まれ、学業も優秀なレベッカに、ミランダ伯母の不幸が降りかかります。厳しい伯母がレベッカに託したものは…見事な温かさに、「人の厳しさには理由があるんだなぁ」と当時の私は深く感じ入り、何度も本をめくったものでした。今読んだらどうなのかなぁ…とも思うのですが、思い出プラスでこの☆の数です。


この感想へのコメント

1.manu (2008/08/12)
Pipoさんは、見事に私のツボを突いてくれますねぇ。(笑)素晴らしい読書量だから、という事もあるんでしょうが…。
家庭小説関連は、はっきり言ってツボです。(笑)子供の頃は「アン」よりもレベッカの方が好きだったんじゃないかな?
ところで「レベッカ」の海外ドラマに記憶が無いんですが…。(汗)そのテのドラマは結構見てると思ってたんですが…。見てみたいなぁ。
2.Pipo (2008/08/12)
manuさん、ありがとうございます。「クラシック」のノートは思い出すまま作っていて、狙ってるわけじゃないんですけど…こういった読書歴の一致やニアミスは嬉しいです♪

海外の古きよき家庭小説は心地よくて私も好きです。「レベッカ」はお母さんやジェーン伯母さんのサイドストーリーがちょっと切なくてまたいい!ドラマは日曜の朝8時頃からの30分放送(関西地方)で、一生懸命見てました。配役がぴったりで素敵でしたよ。
 

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 7

うろんな客

著者 : エドワード ゴーリー

出版社:河出書房新社

発売日:2000-11

評価 :

完了日 : 2008年08月10日

ファースト・ゴーリー本です。たしか出版時に「これ、何?」とすぐ手にしたのではないかと…

まず、タイトルが「ほー」という感触です。原題は"The Doubtful Guest"。doubtfulが「うろん(胡乱)」なんて、私の脳内辞書にはヒットしないし、日本語でも、生まれてこのかた人に言ったことない(笑)。

ある日、屋敷に闖入してきたくだんの「うろんな客」の行動が見事な訳でつづられます。こういう手があるのか、と。それに訳語のセレクトが見事すぎます!「白河夜船」なんか、どっから出てくるのかしら…凝りに凝った柴田訳に完敗です。ペン画と日本語のバランスもきちんと取られており、違和感なく仕上がっていると思います。薄い本ですが解説もきちんとしており、ただシュールな本だというだけでなく、その意図もきちんと汲み取れる設計になっています。

ゴーリーの他の作品よりはブラックさが薄く、ラブリーな面もあるので、絵本好きな大人のかたへの気軽なプレゼントにもできるように思います。ゴーリー作品のタイトルとしては「優雅に叱責する自転車」のほうが好きなのですが、凝りに凝った面白さを楽しめるのはこちらのほうかな、と思うのでこの☆の数です。


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 1

フレデリック―ちょっとかわったのねずみのはなし

著者 : レオ・レオニ

出版社:好学社

発売日:1969-01

評価 :

完了日 : 2008年07月23日

マイ・ベストねずみ絵本(笑)。ちょっと変わった野ねずみ、フレデリック(名前がいいなぁ:笑)。冬に向かって働く仲間たちの中で、ちょっとぼんやり見えたりします。ぼんやりしている彼を見た仲間が「何をあつめてるの?」と問われると「ひかりをあつめてるのさ」とか答えたりする、ある意味「ムーミン」のスナフキンっぽいやつですが…。

働く季節を終えた仲間たちの間で、フレデリックがあることをして活躍します。この場面が詩的に美しくて、もうたまらない(笑)。日々の一生懸命さとは別の力が描かれていて素敵な本です。だからといって、毎日グダグダさぼっちゃいいってわけではなく、そこをすすめている本でもありませんけど(笑)、ふわりとやさしい諭しかたを感じます。

描かれていることの素敵さを感じる、という点ではちょっとオトナ向けかもしれません。同じくねずみものの「アレクサンダとぜんまいねずみ」のほうが、そのあたりがストレートに伝わってくるように思いますが、やっぱりこちらで。


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