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Pipoさんの読書ノート

Hitch your wagon to a star な本
「望み、志を高く」という言い回しです。人生論的な本ではありませんが、沈んだ目線をちょっと上げることができる本たちです。
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 1

女(わたし)には向かない職業

著者 : いしい ひさいち

出版社:東京創元社

発売日:1997-05

評価 :

完了日 : 2008年11月17日

P.D.ジェイムズのミステリ『女には向かない職業(原題 An Unsuitable Job for a Woman)』の題名に引っかけた作品は多々ありますが、これが最高峰ではないかと(笑)。大手新聞連載の4コママンガ『となりの山田くん』→『ののちゃん』に登場したののちゃんの担任、藤原瞳先生のスピンアウトマンガです。

藤原先生が教職のかたわら小説教室に参加しながら研鑽を積み、ミステリ作家としてデビューしてからのあれこれが描かれます。自習の多い授業、新人賞の様子、締め切りに追われる様子、凶眼で酒におぼれる様子(笑)が4コママンガで描かれ、へらへらと笑えます。男前でしかもダメっぷりが素晴らしい(笑)。リアルなのかどうなのかわからないギョーカイの様子もあのいしいひさいちタッチで描かれているので、くすくす笑えます。文学界の重鎮がなぜか広岡達朗に似ている(若者は誰も分かりませんよ:笑)、とか。

ずいぶん前、仕事を替わろう…とへこんでいたときに書店で手に取ったマンガです。ネガティブ(本当はそうじゃないけど、そのときの気分にマッチしていた)なタイトル、ポジティブ?な内容で少し元気になった覚えがあります(笑)。


この感想へのコメント

1.manu (2008/11/27)
コミカル・ミステリー・ツアーを持ってたんですが、藤原先生も出演されてました。^_^;
元ネタ「女には向かない職業」も実は大好きでございます。
2.Pipo (2008/11/27)
manuさん、こちらにもありがとうございます。もう、藤原先生はいしい作品のレギュラーと化しているようで、あちこちでお見かけいたしますね(笑)。

元ネタも、タイトルを含めて「がんばる女子!」を越えたタフさと男前加減で素晴らしい作品だと思います(^_^)。
 

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 1

新吼えろペン 11 (11) (サンデーGXコミックス)

著者 : 島本 和彦

出版社:小学館

発売日:2008-09-19

評価 :

完了日 : 2008年11月12日

『燃えよペン』『吼えろペン』に続く、島本和彦先生の自伝…マンガ完結編です(笑)。いわゆるバックステージもの。島本さんがモデルであろう主人公が、日々の締め切りやネタ切れ?と格闘しながら話は進みます。

なんといいましょうか…もう主人公の名前が昭和といいますか、『巨人の星』世代でもありえない熱血バカなネーミング(笑)。同じく島本さんの名作『逆境ナイン』の主人公、不屈闘志(実写映画版では玉山鉄二さん主演)よりすごいかもしれません。キャラ設定やストーリーテリングも昭和ノリで、毎回毎回ムダに熱血で疲れもしますけれど(笑)、苦しい毎日に悶絶しながらも、やけくそ気味の名言が随所に飛び出すので、油断しちゃおれずについつい読んでしまいます。己を削って作品につぎ込む、まさに芸人魂というか、プロのサービス精神のすごみを感じることしきり。NHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』よりもディープな世界がここにはあります(『プロ‐』で取り上げられていた浦沢直樹さんもすごかったけど:笑)。

お仕事ものマンガでは、男性なら弘兼憲史さん『○○島耕作』シリーズ、女性では安野モヨコさん『働きマン』なども読ませると思いますが、この本は誰にも応用が効かない世界なのに、何だか「私も明日から頑張ろう!」とちょっとヘンなツボを押されてエネルギーが充填できてしまうところが不思議な本です。私の☆はこの数ですが…まぁお気になさらず(笑)。島本さん、これからも熱血バカな作品をお待ちしております。


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 1

フレデリック―ちょっとかわったのねずみのはなし

著者 : レオ・レオニ

出版社:好学社

発売日:1969-01

評価 :

完了日 : 2008年07月23日

マイ・ベストねずみ絵本(笑)。ちょっと変わった野ねずみ、フレデリック(名前がいいなぁ:笑)。冬に向かって働く仲間たちの中で、ちょっとぼんやり見えたりします。ぼんやりしている彼を見た仲間が「何をあつめてるの?」と問われると「ひかりをあつめてるのさ」とか答えたりする、ある意味「ムーミン」のスナフキンっぽいやつですが…。

働く季節を終えた仲間たちの間で、フレデリックがあることをして活躍します。この場面が詩的に美しくて、もうたまらない(笑)。日々の一生懸命さとは別の力が描かれていて素敵な本です。だからといって、毎日グダグダさぼっちゃいいってわけではなく、そこをすすめている本でもありませんけど(笑)、ふわりとやさしい諭しかたを感じます。

描かれていることの素敵さを感じる、という点ではちょっとオトナ向けかもしれません。同じくねずみものの「アレクサンダとぜんまいねずみ」のほうが、そのあたりがストレートに伝わってくるように思いますが、やっぱりこちらで。


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GIANT KILLING 1 (1) (モーニングKC)

著者 : 綱本 将也

出版社:講談社

発売日:2007-04-23

評価 :

完了日 : 2008年07月16日

ちょっと重いものが続いたので、マンガです。タイトルが素晴らしくいいですね。イングランドへ姿を消した伝説のサッカー選手、達海猛が監督として古巣に戻り…導入編です。

私は「キャプテン翼」ど真ん中世代(ただし高橋洋一さんのストーリー運びは好きであっても画力は嫌い:笑)なもので、選手ベースの作品には食傷しているのですが、これは監督さんが主人公。しかもぱっと見、天然+オレ様。ですが、たぶん「思考のプロセスを見せない(「愚者と愚者」でほーっと思った表現:笑)」だけなんだろうと思います。突飛に見えて、的確。しかも、いつもドクターペッパーを飲んでるのがいい(笑)。元同僚らしきGMと元サポーターの広報さんなど、フロントも面白く描かれています。新監督に屈折した思いを抱くチームリーダーやタレントの片鱗を見せるルーキーなど、役者が揃う!という第1巻です。

コーチングの雰囲気は、絶好調の頃のジェフ千葉をデフォルメしてあるようにも思いますし、設定は東京都台東区なんだけど、サガン鳥栖+ヴィッセル神戸っぽい(あくまでもイメージ)。試合の描写もスピーディーで、読ませます。画風には好き嫌いがありますね…でも、予告編などはアメコミっぽいつくりで、作品のからっとした感じに合っており、結構好きです。

ジャイアント・キリング(大番狂わせ)は「ただ格上が崩れているだけ(だから周りが騒ぐほどのことじゃない)」というクールな台詞がひぐちアサさんの「おおきく振りかぶって」に出てくるのですが、やっぱり爽快感があります。うきうき感で、この☆の数。この週末で、残り全巻読んでしまいそうです。


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オレもサッカー「海外組」になるんだ!!!

著者 : 吉崎 エイジーニョ

出版社:PARCO出版

発売日:2007-03

評価 :

完了日 : 2008年06月28日

マイ・ベストバカスポーツノンフィクション(笑)。雑誌「Number」に連載のコラム、「突撃!!エイジーニョ」をまとめたものです。

ドイツW杯を控えたある年、三十路にかかって「金なし、仕事なし(正確にはあるけど先細り)、彼女なし」という、自称がけっぷち状態にあったエイジーニョさん。そんな中、事態を打開(?)するため、表題のとおり「海外組」となるべく、ドイツへ旅立ちます。そして、ドイツ10部リーグへ入団し…とどたばた、じたばた話が続きます。

「10部リーグ」とうたわれ、システム的にはプロっぽいのですが、基本的に「アマチュア草サッカー」な感じがすごくフシギに感じました。それに、基本的にエイジーニョさんの「ダメダメ俺レポート」なので、カッコつけて書いても中身はしょぼいです…が、サッカーのレポートというよりも、ドイツのリーグの仕組みや国民性、ルール(社会やサッカーの)ありかた、日本人のつまずきポイントなどがきちんと描かれており、「突然だけどドイツへ住む!」と決めたかたにはいいガイドになると思います(笑)。それにしてもエイジーニョさん、手続き関連ダメだよね…W杯のプレス申請落としたりするし…。

男女を問わず、30代のはじめくらいまでに仕事や生き方で大きく悩む時期が来ると思います。そのへこみっぷりや頑張りを正直に書いてらっしゃるのがいいなと思いながら読める本です。なんだか、「明日も頑張ろう!」と思ってしまいます(笑)。

今でも連載を楽しんでいる(「播戸の歌」とか「巻の歌」のバカっぷりが素晴らしい)のですが、この本は装丁もさるものながら、連載当時のしょぼさを整理してすごく洗練されているので、ちょっと☆を引きます(笑)。ごめんなさい。


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英語のたくらみ、フランス語のたわむれ

著者 : 斎藤 兆史,野崎 歓

出版社:東京大学出版会

発売日:2004-07

評価 :

完了日 : 2008年03月24日

東京大学英仏語のツートップ、斎藤兆史さんと野崎歓さんの語学・翻訳・文学論の対談集です(柴田元幸さんはとりあえず置いておきます:笑)。

米原万里さんの著書で「英語通訳は生真面目で冗談が通じず、仏語通訳はひらひらと華やかで…」といったような描写を読んだ覚えがあったのですが、お二人の言語への取り組み方はまったくその通り。「生真面目に学んできました」テイストの斎藤さんと、「何だかそんなに…」と軽やかにぼやかすテイストの野崎さん。まったくかみ合わないんじゃない?というお二人が言語観を論じる、内容は割合硬派な1冊です。でも、カンカンガクガクの言語論になるわけではなく、ヒートしそうなところで野崎さんがかわす、という感じで柔らかめにどのトピックも着地をみます。でも共通点は多く、「バイリンガリズムの盲信」ということで今の教育をめった斬りなところは、「外国語をできるようになりたい」とぼんやり考えているかたにはいい示唆になるように思います。個人的には、カズオ・イシグロのある面をボロカスに言っているところが面白かったです(彼の才能はちゃんと評価しておられますよ:笑)。

翻訳文学が好きなかたには、お二人のエッセンスを知ることができる本ですし、外国語を操る人の歩いてきた道をちょこっとのぞき見するにはいい本です。


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連戦連敗

著者 : 安藤 忠雄

出版社:東京大学出版会

発売日:2001-09-03

評価 :

完了日 : 2008年03月15日

コンクリート打ちっぱなしの建築で有名な建築家、安藤忠雄さんが東京大学の教授を務めていらっしゃったときの講義録です。

世界のANDOが「連戦連敗」ってどういうこと?という刺激的なタイトルのこの本。一般的な受注を受けた建築をつくるプロセスではなく、美術館などの国際コンペ出品の体験談をまとめたものです。国際コンペの傾向をリサーチし、現地の建築法規を調べあげてどんなに力を注ぎ込んでも必ずしも当選するわけではなく(ほかにすばらしい建築案が出たのはもちろんのこと、結構政治的に決まったりすることもある)、めでたく当選したとしても実現するわけでもない(これも政治的・財政的問題などで)という事実を初めて知って驚きました。お金の面でいえば、コンペはむしろ手間がかかってしょうがない。でもこんな悪戦苦闘をなぜ続けるのか…という問いに対し、安藤さんはコンペを「自分自身を発見し、追及する絶好の機会」ととらえて挑戦し続けていらっしゃるということです。

ただの大阪弁のおじさんではなく、非常に知的な語り口で、図版も多いので読みやすいと思います。これから社会に出られるかた、社会人デビューしたけれどちょっと立ち止まっているかたには「あとがき」だけでもぜひ読んでいただきたいです。安藤さんなりの「挑戦し続ける」精神が味わえますので。


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建築家たちの20代

著者 :

出版社:TOTO出版

発売日:1999-04

評価 :

完了日 : 2008年03月15日

建築家の安藤忠雄さんが東京大学の教授を務めていらっしゃったときの講義録です。しかもゲストスピーカーがレンゾ・ピアノ、ジャン・ヌーベルら超有名な建築家6名という豪華すぎる布陣です。東大の学生さん(当時の)、なんて贅沢な時間を味わったの!と叫んでしまう1冊です。

内容は対談形式で、ゲストスピーカーが書名のとおり、自分たちが20代のころに何をしていたか、どういうことに興味を持っていたかを語ります。建築べったりというよりも、そこにいたるまでの人生を語ってらっしゃるので、建築の知識がなくても軽く読めます。対談のスクリプト(英仏語)もついていますので、語学のテキストとしての使いかたもアリかもしれません。

20代を過ぎてから読みましたが、これも「連戦連敗」と同様に、大人としての将来に向かって走りだす直前、あるいは走り出した直後のかたに読んでいただければいい本だと思います。この本のゲスト6人に肩を並べる存在になるのは難しいけれど、沈みがちな自分の目線をちょっとでも上げる助けにはなると思います。


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