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Pipoさんの読書ノート

詩集もおすすめ
詩集もたまに開きます。内容を楽しむのももちろんのこと、ただただ言葉の見事さを楽しむのにもいい本たちです。
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 1

アイヌ神謡集 (岩波文庫)

著者 :

出版社:岩波書店

発売日:1978-08-16

評価 :

完了日 : 2008年11月24日

知里幸惠さんというアイヌ民族の女性が、民族の間に伝わるユーカラ(神・英雄などを歌った物語歌)をまとめ、記録し、日本語の翻訳をつけた本です。10代半ばに、『銀のしずく降る降るまわりに―知里幸恵の生涯』という本の書評を見て、すぐ手に取りたいと思ったものの、なぜか記憶が…先日、こちらを書店で見かけてレジへ。左側のページに原詩がローマ字で、右側に日本語訳が書かれているため、岩波文庫には珍しく、左側から開きます。

アイヌ語が分かるかたはともかくとして(笑)、素晴らしいのはその日本語訳!非常に知的で正確なうえに、詩情あふれる言葉づかいには目を見張ります。最初の「梟の神の自ら歌った謡『銀の滴降る降るまわりに』」からして、もう見事としかいえません。原語では確かに、「降る」にあたる(と思う)単語が繰り返されているので、ほぼ直訳であることが想像できるのですが、言葉の選びかたの妙でしょうか。ものすごくファンタジックで、金子みすずの詩を思い出してしまいます。

解説は金田一京助がさらりと数ページ、知里さんの弟さん(言語学者)が学問的な解説をつけておられるだけで、現代版の解説などはありません。とても薄い本です。不親切かとも思えるものの、なんだか潔い。民俗学者の柳田國男がこの記録のあまりの素晴らしさに、岩波書店の社長に出版を持ちかけたという逸話がある(らしい)とも聞きました。

アイヌ民族の歩んだ歴史についてはいろいろな考え方もあると思いますが、ひとつの言語を記録した文献として見事で、この☆の数です。


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 3

クレーの絵本

著者 : パウル・クレー,谷川 俊太郎

出版社:講談社

発売日:1995-10

評価 :

完了日 : 2008年07月03日

画家パウル・クレーの絵画+谷川俊太郎の詩という豪華な詩画集です。

クレーは優しいタッチと色調の抽象画で知られますが、故郷で絵が描けなくなって隣国へ逃れ、病を得て絵筆を徐々に握れなくなる…という重荷を抱えた生涯を送った画家です。その哀しみが作品の根底にあって、あの色調(線描も素敵だけれど)になるのかなぁと思います。それに谷川さんの詩が見事にマッチ。というよりも、谷川さんはクレーの絵にインスパイアされて詩作を始められたということで、詩の原点に寄り添っている数々の詩が素敵です。子ども子どもせず、かといって美文調ではない、フツーにしゃべってもらえればそれで通じる言葉の調子が好きです。合唱曲にもありますが、私はこの詩画集をそのまま楽しむほうが好きかな(笑)。

自分で絵に抱いているイメージと、谷川さんの詩のイメージの違いや同じさかげんをいろいろと楽しめるので、この☆の数です。


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 1

エンジェルズ・ティアーズ

著者 : 山本 容子

出版社:講談社

発売日:2000-12

評価 :

完了日 : 2008年06月30日

「エンジェルズ・アイ」と同じく、山本容子さんの画文集です。こちらはレクイエム(鎮魂歌)集。死者の魂の平安を祈るためのものなので、その詞は美しくも哀しいです。同梱のCDの歌もとても美しいのですが、心に切実な重いものを抱える人が聴いてはちょっと辛いものがあるのでは…と思うことしきりなんですよね、レクイエムって。どちらかといえば、響きを楽しむ余裕のある人向けでしょうか。ヨーロッパの人の「死」に対する考えを知るにはわかりやすいものだと思いますが…そっと手元に置いておくにはいい本です。


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 1

エンジェルズ・アイ

著者 : 山本 容子

出版社:講談社

発売日:1998-11

評価 :

完了日 : 2008年06月30日

一時、山本容子さんの版画をよく見ていました。クリーム色の紙にエッチング+彩色の、とても大胆だけど繊細な画風。ご本人の素敵なご容貌とあいまって、非常にセンスよく感じられたものでした。

これはヨーロッパに古くから伝わる歌を集めた画文集です。イタリアやフランスの田舎の舟歌や子守歌、キャロルが各地方の方言(日本の方言とはまた違うレベル)で歌われており、不思議な響きを山本さんのイメージで描かれた画集が素敵です。付属のCDは旧ユーゴご出身の歌手、ヤドランカさんのもので、声の透明感が素敵な作品です。

当時は「癒し」がブームで、この本もそんなコピーで売られていました。古いことばと歌の響きを楽しむ本であって、そういうぬるい言葉でくくってほしくないな…と思ったんですが、ぼんやり聴いてぱらぱらめくるのにほどよいので、当たらずとも遠からずなんでしょうね(苦笑)。


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 4

新編宮沢賢治詩集 (新潮文庫)

著者 : 宮沢 賢治,天沢 退二郎

出版社:新潮社

発売日:1991-07

評価 :

完了日 : 2008年05月01日

久しぶりに読んでみようかな、と思って手に取りました。近頃水谷豊さんが映画のプロモでテレビによく出てらっしゃったのがきっかけです(笑)。水谷さんといえば私の世代には「相棒」じゃなくて「熱中時代」。これに「永訣の朝」がテーマになった回がありました。それで大変に印象に残った詩です。

賢治の詩は詩の形を取っていますが、とても物語的だと思います。それも大きな声で元気に読むより、少し小さい声で遠くから響かせる感じが心地よい。虹を扱ったわずか2行の詩「報告」もポツリ、という感じが好きです。

件の「永訣の朝」はもっと静謐できれいな印象を持っていたのですが、今読み返すと、妹を失う間際の悲痛な時間が圧倒的に迫ってきます。私の「怖くて読めない『肉親が死ぬ』物語」のツートップ、森鴎外「高瀬舟」と幸田文「おとうと」に肉薄(笑)。これは年齢を重ねて、親しい人の死に対してリアリティを感じてくるからなのでしょうが…。

賢治のいっぷう変わった物語世界にどっぷりつかることはありませんでしたが、言葉の運びの美しさ、描かれる世界の広さを楽しめる1冊だと思います。


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 3

マザー・グース 4 (4) (講談社文庫 た 5-4)

著者 :

出版社:講談社

発売日:1981-10

評価 :

完了日 : 2008年04月08日

谷川俊太郎さんと和田誠さんのマザー・グース最終巻です。

この巻の章は「ものがたりうた」だけ。子どもがどんどん大きくなって、話が展開していくのを楽しむ段階の歌(編者さんによれば)です。もちろん、理屈だてて進むものばかりではなく、とぼけたテイスト満載。クリスティでも、「パタリロ!」でも有名な(笑)、"Who killed Cock Robin?"が全部載っています。結構長くて感動しました(笑)。

最終巻なので、4巻全部をまとめた総索引と有名なものの楽譜、全巻を通じた総解説もついています。もう4巻持っていたら、どこからでもマザー・グースを語れます(笑)。ほわんとした楽しさと、解説書としての硬派な面も併せ持つ文庫ですので、この☆の数とします。


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 2

マザー・グース (3) (講談社文庫)

著者 : 谷川 俊太郎,和田 誠

出版社:講談社

発売日:1981-09

評価 :

完了日 : 2008年04月08日

谷川俊太郎さんと和田誠さんのマザー・グース第3巻です。

この巻は「うたでおぼえる」「ひろいせかいへ」「ふしぎふしぎ へんてこりん」「なぞなぞ・したもじり」とまとめられています。「うたでおぼえる」は「Aはアップルパイ…」といったように、語呂よく何かを覚える歌。ジョン・ル・カレの小説のタイトルにもじられて有名な"Tinker, Tailer, Soldier..."も入っていて驚きました。やはりマザー・グースは気が抜けない(笑)。「ひろいせかいへ」には、あちこちで引用されている"How many miles to Babylon?"が紹介され、「ふしぎ-」ではナンセンスな歌満載、「なぞなぞ-」で文字どおり子どものなぞなぞや早口ことばが紹介されます。"Peter Piper picked a peck of pickled pepper..."の続きをちゃんと知ったのもこの本です(笑)。

最初のページから読むのもよし、後ろの原詩解説から読んでいくのもよし、ぱらぱらめくるだけでも楽しい本です。


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 2

マザー・グース (2) (講談社文庫)

著者 : 谷川 俊太郎,和田 誠

出版社:講談社

発売日:1981-08

評価 :

完了日 : 2008年04月07日

谷川俊太郎さんの訳と和田誠さんのマザーグース、第2巻です。

章立ては「ちっちゃなうた」「あんなひと こんなひと」です。「ちっちゃなうた」は短い歌を集めたもの。イギリスだけではなく、「ヤンキー・ドゥードゥル」のようなアメリカ民謡と化した歌や、クリスティーの戯曲「ねずみとり」にも出てくる"Three blind mice"が紹介されています。「あんな-」では、名前のついた人が主人公の歌を集めています。たとえば、「エルシー・マーリイ」といえばうしろに何が来て、どんな人なのかイギリス人にはわかる、とかいう感じの歌。日本の民謡でいえば「小原庄助さん、朝寝朝酒朝湯が大好きで…」といったところでしょうか。マザー・グースの歌ももちろん、この章に分類されています。

後ろの原詩索引と解説も含めて、イギリス文学の好きなかた、イギリス文学を志す学生さんには必携かなぁと思います。私は本棚の整理に1度処分して、10年くらい経ってどうしても必要になって買いなおしました(笑)。


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 3

マザー・グース (1) (講談社文庫)

著者 : 谷川 俊太郎,和田 誠

出版社:講談社

発売日:1981-07

評価 :

完了日 : 2008年04月07日

シェイクスピアと並ぶイギリスの魂(笑)、マザー・グースを谷川俊太郎さんの訳と和田誠さんのイラストでまとめた本です。

まず、章立てがラブリーです。指遊びや数え歌を紹介する第1巻は「あそばせうた・こもりうた」「まわらぬしたで」と、小さな子どもに相手をするときの歌ということがほっこりとわかって楽しいです。谷川さんの訳詩はとても口調がよくてやさしさがあふれていますし、和田さんのイラストもいつものちょっととぼけっぷりがいい感じです。表紙になっているハンプティ・ダンプティの歌もこの巻で紹介されています。

使えるのが、後ろから始まる原詩索引と解説です。歌の起源や歴史をさっくりとまとめているので、資料としてもコストパフォーマンスは高く、うんちくのネタ本としても(笑)楽しめます。

マザー・グースはルイス・キャロルやアガサ・クリスティー、ベアトリクス・ポターなど、イギリス文学のあちこちに顔を出すので、なかなか油断のできないヤツらです(笑)。知らなければフシギな感じだけしてなんだか不完全燃焼で終わってしまうことも多いので、イギリス文学の好きなかた、イギリス文学を志す学生さんは必携かなぁと思います。4巻揃えてもお得ですよ。


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 1

立原道造詩集 (ハルキ文庫)

著者 : 立原 道造

出版社:角川春樹事務所

発売日:2003-12

評価 :

完了日 : 2008年04月06日

名前は知らなくても、「夢みたものは ひとつの幸福」というフレーズをご存じのかたも多いと思います。夭折の抒情詩人、立原道造の詩集です。

初期の詩集は田園に蝶がふわりと舞うようなメルヘンチックな世界がほんわりと明るく、やわらかな言葉で少し寂しげに歌われます。「のちのおもひに」などはやわらかな寂しさがただただ美しい。もともと建築を学び、そちらの才能もあった立原ですが、その前から短歌に親しみ、詩作を重ねていったようです。病を得て静養中に書きためた後期の作品では「自分の命が残り少ない」ということをはっきり意識していたようで、会えなくなったものに対する惜別とか、もう戻ることのない時間に対する思いが切実ではあるが品のある文体で歌われます。「優しき歌 Ⅱ」の「Ⅰ 爽やかな五月に」の冒頭などは、これほどに美しくて哀しみをたたえた表現があるのか?と思ったり、「Ⅴ また落葉林で」の冒頭の秋の訪れを感じるフレーズなどは、「こういう感覚、美しくて鋭すぎる!」と感嘆してしまいます。

最初に立原の詩に出会ったのがなにぶん高校生の頃ですので、がーんとその感性にやられてしまいました。きれいごとと言われても、乙女趣味と言われてもいい(笑)、宝物のような詩集です。


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 2

月下の一群―現代日本の翻訳 (講談社文芸文庫)

著者 : 堀口 大学

出版社:講談社

発売日:1996-02

評価 :

完了日 : 2008年04月06日

上田敏「海潮音」とツートップを成す現代日本の名訳詩集です。タイトルが美しいですね。「月下の一群」。もうそれだけで満足(笑)。

「海潮音」は英仏独伊各国の訳詩集ですが、こちらは出版当時、日本にはほとんど紹介されていなかったというフランスの詩に絞って訳されています。それぞれの詩が柔らかな口語で訳されており、親しみやすいながらも穏やかな気品あふれる表現を楽しむことができます。仏文学の野崎歓さんがお若い頃にコクトーの「私の耳は…」の原詩をあたったら、あまりのそっけなさに拍子抜けなさったという話もあるように、詩情豊かに訳されています。

「海潮音」と同じく、ヴェルレーヌの「Chanson d'automne」の訳が収められていますので、読み比べてみるのも面白いと思います。こちらも外国語に携わるかた、携わりたいかたには読んでいただきたいのはもちろんのこと、もう、ただぱらぱらとめくるためだけに持っているだけでもいい1冊です。


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 1

海潮音―上田敏訳詩集 (新潮文庫)

著者 :

出版社:新潮社

発売日:1952-11

評価 :

完了日 : 2008年04月06日

カール・ブッセの「山のあなたの…」の日本語訳で高名な、上田敏の訳詩集です。

大変薄い詩集ですが、英仏独伊各国の訳詩がちりばめられたさまはまさに壮観です。翻訳文学の中でも、詩歌の翻訳は最も難しいものの部類に入りますが(語句だけでなく世界観まで詩歌の形で訳さないといけないので)、それをなんと軽々とやってのけていらっしゃることか。

それぞれの詩は七音、五音を基調とした、日本人にはとても親しみやすいリズムで訳されています。しかも気品あふれる表現が粒ぞろいです。漢字の読ませ方も素敵ですね。「海潮音」というタイトルももちろんですが、「声曲」を「もののね」と読ませるとか…訳者のイマジネーションに触れられるとともに、豊かな響きを操る手腕にただただため息が出ます。

ヴェルレーヌの「Chanson d'automne」の訳が収録されていますが、これは堀口大學「月下の一群」にも訳が収められていますので、読み比べてみるのも面白いと思います。上田訳と堀口訳の技術的な違いというより、おふたりの感性の違いを楽しめると思います。外国語に携わるかた、携わりたいかたには読んでいただきたいのはもちろんのこと、言葉の響きを楽しむのにおすすめの1冊です。もちろん、ただ持っているだけでもおすすめです(笑)。


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