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Pipoさんの読書ノート

たまにこぼれてくる記憶
「マイクラシックス」ライト版です。たまにぱっと脳のなかからこぼれてくるものの、ディテールを覚えていなくて(笑)。だから感想も短く…著者さんと作品のファンのみなさん、申し訳ありません。当時は面白く読んでましたので…。
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 15

日の名残り (ハヤカワepi文庫)

著者 : カズオ イシグロ

出版社:早川書房

発売日:2001-05

評価 :

完了日 : 2008年08月25日

原題が"The Remains of the Day"。そのままの邦題ですが、訳者の土屋さんの日本語のセレクトが抜群で、「これ以外ないでしょう!」と思ってしまいます。アンソニー・ホプキンズが主役の執事、エマ・トンプソンが準主役の女中頭をつとめた映画でも有名な作品です。

英国のとある、元名門貴族のお屋敷。主はすでになく、このたび新しい主となったアメリカ人のもとで働くスタッフを探すために、執事がかつての女中頭のところまで車を飛ばしながら、来し方行く末を考える「執事ロードムービー」といえる作品です。実際には、新しい主は「ちょっと暇をあげるから旅行でもしておいでよ」というノリだったのですが、長年の執事としてはそうはいかず、ちょっと仕事モードの回想旅となってしまいます。

英国でブッカー賞を取り、映画化もされ、しかも著者が「日本語を捨てた日本人(国籍は英国を選んだ)」だったため、出版当時は結構話題になりました。すごく滑らかで美しい訳に、さーっと最後まで持って行かれた感じで、微妙に印象が薄くて…。女中頭のミス・ケントンに「あること」を尋ねたかった執事スティーブンスの描写が柔らかで寂しくもあっていいです。幕切れはあっさりとしている感じですが、この落としかたでいいと思います。

ひょっとしたら、作者のルーツなども考えると英語で読むほうが「ふむふむ」感の強い本かもしれません。ので、この☆の数です。


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3.ナッツ太郎 (2008/08/27)
pipoさんこんにちは。カズオ・イシグロの作品はどれも静かで淡々としていますよね。その中で私はこの作品が結構好きで、映画も見ましたが、本と映画の記憶が混ざってしまっているので、もう一度本を読みたくなりました。
執事と女中頭がもどかしいぐらい自分を表に出さずに主人に仕える姿が印象的でした。秋が深まる頃に読みたい作品です。
4.Pipo (2008/08/27)
ナッツ太郎さん、こんにちは。お運びありがとうございます。カズオ・イシグロの作品って、設定は結構凝っているのに、物語の運びの起伏を抑えて描かれているんですよね。この作品は本当に秋の似合う作品だと思います。

私は彼の作品のタイトルが好きで、この作品や「わたしたちが孤児だったころ」「わたしを離さないで」…とちょっとメロウなところにやられてしまいます(笑)。

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 7

かもめのジョナサン

著者 : リチャード・バック,Richard Bach

出版社:新潮社

発売日:1977-05

評価 :

完了日 : 2008年08月14日

原題はそのまま"Jonathan Livingston Seagull"。ルーティンの生活を送る仲間と一線を画し、「より速く、より高く」飛ぶことを目指すカモメ、ジョナサンの物語です。初めて英語のペーパーバックと一緒に買った本。

なぜカモメがそのような極限の飛翔を目指すのか、いまひとつ理解ができないなぁ…カモメ的にはもう少し、喜びの方向が違ったりするだろうに…と当時は思いながら読み進めました。平たくいえば、より高みを目指す人間の寓話なんですが、その中でも「アスリート魂」に近いものを感じるように思います。走行中に「神が見える」とのたまったF1ドライバー、故アイルトン・セナの境地が彼の望みなんだろうか…と今なら思える本です。この作品とペアでいつも思い出すのはギリシア神話のダイダロス・イカロス父子の物語なのですが、結末はまた別です。

ある意味ハード(「痛切」というべきかもしれません)な話に、五木寛之氏のやや甘口の訳が合っているように感じて(誤訳の部分は結構あるらしいけど)、日本語訳のほうばかり読んでいました。ペーパーバックは開かずの通学の友(笑)。ラッセル・マンソンの写真もなかなかかっこよく、「あー若者の読書!」という感じの本です(赤面)。


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21.Pipo (2008/08/29)
ryoukentさん、こんばんは。業務連絡です(笑)。

>なんだかダブッテしまいました。

ダブりのコメント削除のご依頼、対応いたしましたので、よろしければまたお越しください。
22.ryoukent (2008/08/29)
早速のコメント削除業務のご対応どうもありがとうございます。

たぶんダブリの原因は、たなぞうの反応が遅いのでクリックしたかどうかを忘れていてもう一度見直してから、又クリックしたからでした(苦しいイイワケなのだ)

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 1

バンコクの妻と娘 (文春文庫 (269‐2))

著者 : 近藤 紘一

出版社:文芸春秋

発売日:1985-01

評価 :

完了日 : 2008年08月01日

mackinchanさんの「バイリンガルと言語障害」の感想を読んで思い出した本(その2)です。前巻で日本暮らしを始めた娘さん、ユンさんの進路問題がメインになります。

彼女も10代後半で、進路を考えないといけなくなっている年齢。ですが、学校(彼女の希望をいれて在日フランス人学校)の勉強に難問が生じています。彼女がベトナム語+フランス語+日本語のミックスで生活しているので、どれも高度に理解できずにフラストレーションのたまる環境に追いやられていることに、父親の近藤さん(当時バンコク赴任中)は気づいていない。そこに、フランス人の校長先生からの「どの言語も彼女の思考の道具にはなりえていない!進路以前に、どの言語かを完璧に身につけさせるように!」と厳しい叱責の長いお手紙が届きます。これが非常に本質をついていて印象的。安易なちゃんぽん言語使いに警鐘を鳴らしていることに感銘を受けるとともに、「日本の校長先生、こんなこと言えるか?」と思ってしまいます。もう、この部分だけ読んであとは無視してもいい(笑)。

この部分があまりにも素晴らしいので残りを覚えていない(笑)のですが、外国語を自分でもちょっとだけ扱うようになったいま、身にしみて感じるエッセンスがつまっていました。


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 2

サイゴンから来た妻と娘 (文春文庫 こ 8-1)

著者 : 近藤 紘一

出版社:文藝春秋

発売日:1981-01

評価 :

完了日 : 2008年08月01日

mackinchanさんの「バイリンガルと言語障害」の感想を読んで思い出した本(その1)です。

ベトナム戦争、特にサイゴン陥落時が舞台です。戦争特派員だった著者の近藤さんが、取材に協力してもらっていたベトナム人の女性と暮らすようになり、サイゴン陥落を機に、その女性の娘さんとともに日本へ帰ってきてからのあれこれです。

ベトナム戦争は私の親の世代の大事件ですので、私自身は「戦争カメラマン」と呼ばれた人びとのセンセーショナルな写真と「枯れ葉剤」といったキーワード、映画「プラトーン」「フルメタル・ジャケット」のイメージですが、これを読むと、苛烈な戦場となった地域とは別に、首都陥落だというのにサイゴンは結構悠長な雰囲気を持っていたようで、どれが本当なんだろうなぁと思いながら読んだものでした。どれも真実の1つずつの側面だと思います。

最初は日本に慣れないながらもその大胆なお母さんっぷりで日本になじもうとする奥様、見知らぬ日本に好奇心いっぱいの娘さんと、複雑ながらも光がきらきらと差すような場面の多いノンフィクションでした。


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1.mackinchan (2008/08/01)
 おうおう、懐かしい。
 わざわざベトナムから連れてくるのだから、どんなきれいな奥さんだろうと思ったけど、写真を見てびっくりしたことと、娘さんは前の旦那の子どもだったことを思い出しました。
 孵化寸前の卵をおいしそうに食べる話もこの中に出てきたような気がします。続編もあったはずで、更に作者はわりと早く亡くなったと思います。
2.Pipo (2008/08/01)
mackinchanさん、お運びありがとうございます。

戦乱という緊迫した場面のはずなのにこういう家族の出会いもあるんだなぁと、当時コドモであった私はいたく感じ入りました(笑)。

近藤さんは優れたルポをいくつかまとめられ、文芸でも活躍しようとされていた矢先の1986年に亡くなられています。近藤さん、伊丹十三さん、米原万里さんと、優れた文筆家は神様のもとへ早く行ってしまわれるようです。
 

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 2

踊る黄金像 (ミステリアス・プレス文庫)

著者 : ドナルド・E. ウェストレイク

出版社:ミステリアスプレス

発売日:1994-06

評価 :

完了日 : 2008年07月31日

ウェストレイクの中でもう1冊、好きな作品です。原題は"Dancing Aztecs"。

舞台はニューヨーク。タイトルの(アステカの)黄金像を入れた箱をめぐるチェイス劇です。このチェイスが混乱するきっかけがふるっています。あるアルファベットが箱に書いてあるのですが、これを運ぶヒスパニックの男が、英語読みとスペイン語読みを取り違えたものだから…多民族シティ、NYCならではのネタです。

こういうおバカなお話は大好きなのですが、それにもまして素晴らしいのが各章の書き出しです。「AはBを探している」という表現が2ページほど続く第1章、かわって「XはYになりたがる」の連続で幕を開ける第2章…とこの筆運びが見事で、NYCの風俗も浮かび上がります。手に入れば、ペーパーバックでもぜひ読んでいただきたい1冊です。残念ながら、私はいまだ未読ですが(泣)。


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 1

二役は大変! (ハヤカワ文庫―ミステリアス・プレス文庫)

著者 : ドナルド・E. ウェストレイク

出版社:早川書房

発売日:1995-08

評価 :

完了日 : 2008年07月31日

原題は「Two much」。英語では簡単ですが、邦訳は大変ですね(笑)。

ギフトカードの会社を秘書と2人で営む男性が、あるセレブ女性に目を留めます。彼女には双子の姉妹がいます。お金に困っている彼は…えーい、自分も双子ってことにしてどっちとも付き合ってカネを巻き上げろ!って…おバカ全開のストーリー(笑)。「無理だろ!」とツッコミを入れてしまいます(それに近いケースはありますね:笑)が、これがあれよあれよという間に結婚までこぎつけて…マジ?という展開に。ありえないシチュエーションをぐいぐい引っぱっていく筆運びに、ページをめくる手も早くなりました。まさにページターナー。

ラストは「どんがらがっしゃーん」という感じで納まるべきところに納まるのですが、楽しく読める1冊です。


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 3

エジプト十字架の謎 (創元推理文庫 (104-9))

著者 : エラリー・クイーン,井上 勇

出版社:東京創元社

発売日:1959-09

評価 :

完了日 : 2008年07月30日

初クイーン本でした。当時(小学生)から歴史もの好きだったので、ルブラン「奇岩城」と同じようなスペクタクル謎解き?と思ってタイトルで手に取った記憶がありますが、実は大いなる勘違いでした(笑)。これが事件のキーとなる形で、実に陰惨でして。

ですが、いろいろと面白く読みました。スポーツカーを駆って颯爽と探偵登場。しかも名前が「エラリー・クイーン」って…作者が出てきていいのか、赤塚不二夫のマンガかよ、ってちょっと思ったり(笑)。それに、結末の前に読者に挑戦状って…なんだか、キザのかたまりに見えて子どもごころに「芝居がかってるなー」と思うことしきりの作品でした。

とはいっても、犯人が意外なところで出てきていて、その仕掛けに気が付かなかったことに感心したり、「エラリーさん+クイーンさん」という、2人組ペンネームという製作手法があるのだということを知ったりと、いろいろ勉強になった1冊です。


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 4

愛人(ラマン) (河出文庫)

著者 : マルグリット デュラス

出版社:河出書房新社

発売日:1992-02

評価 :

完了日 : 2008年07月25日

原題も邦題もそのものずばりの題名なんですけど(笑)。映画化されたときにその内容で話題をさらった作品です。

仏領インドシナで、富裕な中国人の「愛人」となったフランス人少女(著者らしい)の物語です。内容がどうというよりも、植民地に住む宗主国の人間というのは間違いなく富裕層だと思っていましたので、貧しさを乗り越える(→お金を引き出す)ためにこの関係を受け入れるというのが意外でした(フランス人はアジア趣味を結構尊ぶのですが、実は露骨ではないにせよアジア人を嫌っている側面があるので)。まぁ、「愛人」ですからそれなりの場面はあるものの(笑)、淡々とした描写が多くを占めます。結末もすとん、という感じで、かえってキレのよさを感じたものでした。

話の運びとあわせて印象的なのは、冒頭の主人公のコスチュームです。よれよれのノースリーブのシルクのワンピースに、男物のベルトと帽子、ラメ入りのハイヒール(ファッション好きだから書いちゃいましたよ:笑)。ぼろっちいような、エキセントリックさをアピールしているような、やせてもかれてもフランス人な感じが印象的でした。映画では帽子や靴などがちょっと変わっていましたが、これはこれで「小生意気なフランス人の小娘」という感じが出ていてよかったです。

河出書房新社さんから新訳で出ていますので(しかもサガンとカップリング)、また読んでみてもいいかなと思う1冊です。


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1.ナッツ太郎 (2008/07/28)
Pipoさんこんにちは。またまた懐かしい一冊を紹介して下さいました!気だるくて、素っ気無くて、目に浮かぶ映像がフランス映画っぽい本でした。新訳の事は全く知りませんでした。そちらも気になりますね。
2.Pipo (2008/07/28)
ナッツ太郎さん、お運びありがとうございます。

デュラスの筆致というのは、自身の濃い部分を描いているはずなのに、ちょっと突き放して見ているような感触がフシギな印象を受けました。仏領インドシナの暑く、時が流れていかないような感じも非常に印象に残っている1冊です。

私が初めて読んだのは学生時代でしたので、友人に「どうだった?」と聞かれるたびに「結構普通かも」と答えて驚かれてました(笑)。
 

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 1

フレデリック―ちょっとかわったのねずみのはなし

著者 : レオ・レオニ

出版社:好学社

発売日:1969-01

評価 :

完了日 : 2008年07月23日

マイ・ベストねずみ絵本(笑)。ちょっと変わった野ねずみ、フレデリック(名前がいいなぁ:笑)。冬に向かって働く仲間たちの中で、ちょっとぼんやり見えたりします。ぼんやりしている彼を見た仲間が「何をあつめてるの?」と問われると「ひかりをあつめてるのさ」とか答えたりする、ある意味「ムーミン」のスナフキンっぽいやつですが…。

働く季節を終えた仲間たちの間で、フレデリックがあることをして活躍します。この場面が詩的に美しくて、もうたまらない(笑)。日々の一生懸命さとは別の力が描かれていて素敵な本です。だからといって、毎日グダグダさぼっちゃいいってわけではなく、そこをすすめている本でもありませんけど(笑)、ふわりとやさしい諭しかたを感じます。

描かれていることの素敵さを感じる、という点ではちょっとオトナ向けかもしれません。同じくねずみものの「アレクサンダとぜんまいねずみ」のほうが、そのあたりがストレートに伝わってくるように思いますが、やっぱりこちらで。


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 2

スイミー―ちいさなかしこいさかなのはなし

著者 : レオ・レオニ

出版社:好学社

発売日:2000

評価 :

完了日 : 2008年07月23日

夏になると何となく思い出す絵本です(笑)。真っ赤な仲間たちの中で、たった1匹だけ真っ黒の魚、スイミーのお話。小学校の教科書にも載っていました。ストーリーは言わずもがな。赤い仲間たちが大きな魚に襲われないよう、どうしようかと知恵をしぼったスイミーは…。

レオ・レオニさんの絵本はどれも、絵が絶妙にすっとぼけていてかわいい!谷川俊太郎さんのソフトな訳もすてきです。副題の「ちいさなかしこいさかなのはなし」のとおりの物語ですが、お話のともすればちょっと教訓っぽくなりそうな感じを吹っ飛ばすとぼけっぷりが見事で、やさしい1冊です。


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1.Tetchy (2008/07/23)
うわぁ、なつかし~♪
確か小学校1年生の教科書に載っていたと思います。
絵本で出てて、今でも読み継がれているんですね!
そして今日初めて作者が外人だって知りました!!
2.Pipo (2008/07/23)
Tetchyさん、お運びありがとうございます。暑いので、水関係の本の感想を…と思いまして♪

私も、子どもの頃は外人と思ってなくて、「レオ・レオニ」という名前を「ヘンな名前の人!」とだけ思っていました(笑)。当たり前ですが、絵本は教科書よりも絵が大きくて、文のレイアウトも違っており、また別の趣きがありますね。お話がいいのと、みんなの思い出でロングセラーになっている本だと思います。
 

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 1

やまなし (画本宮沢賢治)

著者 : 宮沢 賢治,小林 敏也

出版社:パロル舎

発売日:1985-07

評価 :

完了日 : 2008年07月22日

まず、タイトルで「県?」(笑)。「クラムボン」でも「何??」(笑)。でも、マイ・ベスト宮沢賢治童話です。

水の底から水面を見上げてお話をする…というシチュエーションの、父ガニと子ガニの会話劇ですね。濁りのない水のゆらゆらゆれる感じと、差し込む光のきらきらゆれる感じがただただ美しいです。クラムボンの話だったり、お魚の話だったり…とさびしげでフシギなゆらめきも素敵。タイトルの「やまなし」は「おい、そこかよ!」というタイミングでの出番ですが、存在感もなかなかあります(笑)。

私が小学校の国語の時間で習ったときには、抽象画のような挿絵がこの本とはまた違った雰囲気で印象的でした。ああいうの、ないかなと探したのですが…一番雰囲気が近いのがこれかなぁ、という感じです。


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 2

めぞん一刻 1 新装版 (1) (ビッグコミックス)

著者 : 高橋 留美子

出版社:小学館

発売日:2007-04-27

評価 :

完了日 : 2008年07月21日

ドラマの宣伝をやってて思い出したので書きます(笑)。マイ・ベスト下宿もののうち1冊(あとひとつは吉村明美さん「麒麟館グラフィティー」)。こちらは新装版ですが、小学校6年生のときに、回し読みがクラスで大ブームになって先生に怒られかけた思い出の本です。供給源はもちろん私。

クラシカルな下宿、一刻館に住むことになった青年、五代くんと大家さんの音無響子さんの2人のストーリーです。高橋さんの作品はどれも1巻目から、「これ、うまくいかないわけがないでしょう?」という展開なのですが、この作品はそのテンポが絶妙にじれったくていいです。一刻館のほかの住人さんも絶妙にヘンでいいのですが、響子さんが飼っている犬の名前を呼ぶタイミングが絶妙で、五代くんがいつもそれにひるんでしまうという、デリケートな感じが見事です。

確か、春のときのドラマの宣伝では新聞に「携帯もなかったときの…」とキャッチコピーが書かれていたのですが、「本質はそこではない!」と暴れそうになりました(キャストも微妙:笑)。時代感があってもなくても王道ラブストーリー、そんな作品です。


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1.Tetchy (2008/07/21)
これ、私も夢中で読みました!
でも今考えると音無響子さんみたいな女性って、女性の眼から見て、「こんな人、いないわよ」みたいな男性の理想のお嫁さん像だったような気がします。
でもそれを女性である高橋留美子さんが書いてあるわけだし・・・。
う~ん、どうなんでしょう?
2.Pipo (2008/07/21)
Tetchyさん、お運びいただきありがとうございます。

当時は「響子さん=大人の女の人」とコドモゴコロに単純に思ったことと、青年誌の作品だったことで、自分のデータにない世界を夢中に楽しんだんだろうと思います。今は「こんなヒト、いねーよ」と速攻で返せる(笑)。

高橋さんは男性誌でレギュラー連載を持たれる女性作家さんのはしりだと思いますが、ご指摘のとおりその男子目線の源は、私も微妙に気になりますね(笑)。
 

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 1

カナンの試練 (角川文庫―トワイライト・サーガ)

著者 : 栗本 薫

出版社:角川書店

発売日:1986-06

評価 :

完了日 : 2008年07月17日

闇王国の王位継承権第1位を持ちながらも諸国を放浪しなければならなくなった第2王子、ゼフィール王子と草原の勇者、ヴァン・カルスの物語の続巻です。こちらも基本的に1話完結。でも、前巻より異国を放浪している感触の強いストーリー運びです。

王子とカルスの関係は、あくまでも主従で、友情もなけりゃ甘美なものもほとんどない(笑)。だだっ子に文句を言いながらも秘密のことがあるもんだからついていく勇者…がちょっとこっけいです。この秘密は、今ならライトノベルの某人気シリーズなテイストでちょっとポピュラーですけど、悲痛な局面もあって、そこが栗本テイスト。

表紙は前巻に引き続き、王子の肖像を違うアングルで。美しいんですが、前巻ほどのインパクトはないかなぁ…。


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 1

カローンの蜘蛛 (角川文庫―トワイライト・サーガ)

著者 : 栗本 薫

出版社:角川書店

発売日:1986-06

評価 :

完了日 : 2008年07月17日

「グイン・サーガ」に追いつくのをあきらめた頃に読みました(笑)。闇王国の第2王子、ゼフィール王子と草原の勇者、ヴァン・カルスの物語です。

舞台は「グイン・サーガ」にかすったような地名が多いので、共通の世界観のもとに作られたシリーズ(だと思う)の印象を持っている作品です。危機に遭ってヴァン・カルスの力を借りなければならなくなった王子は、禁忌の秘密をカルスに漏らして王家を追われ、それを聞いたカルスは王子から離れられなくなり(これはキケンな方向ではない:笑)…と2人は諸国を放浪します。

基本的に1話完結。「グイン-」よりも物語がコンパクトにまとまっている印象を受け、読みやすい作品でした。何よりも表紙が王子の肖像でギクッとするほど美しく(本当ですよ)、「ゼフィール(西風)」というミステリアスな名前とともに印象に残っている本です。


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 2

セイレーン (1980年)

著者 : 栗本 薫

出版社:早川書房

発売日:1980-06

評価 :

完了日 : 2008年07月17日

おそらく、ファースト栗本作品。思い切りSFです。表題作は宇宙を舞台にした、「セイレーン」と呼ばれる存在と、それに関わった人びとの物語。3話くらいのオムニバスです。

SFで「セイレーン」や「サイレンの魔女」とか呼ばれるものは、たいてい未確認の生物か海賊団(あるいは傭兵団)なのですが、これは何とも言えない存在。見た、感じた人が運命を静かにある方向へ向けていく…といった物語で、すごく新鮮で不思議な感触でした。でも不快ではありません。こういったミステリアスな感じはほかの栗本作品でも共通しているように思いました。

もう1編収録されている、「Running with the wolf」も面白く読めました。異形の子供たちがどんどん生まれてくる未来社会。そこにただひとり取り残された「ノーマルな」男性が彼らと行動をともにせざるを得なくなり…微妙に「アイ・アム・レジェンド」な感じかもしれません。結末で主人公が思い当たることは…内容と全く関係のなさそうでありそうな響きのタイトル(誰かの曲らしいです)が印象的で、今でも疾走感のある作品を読むと「『Running with the wolf』って感じだなぁ」と思い返してしまう、インパクトのあるタイトルです。マイ・ベストタイトル賞かもしれません。


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 2

聖戦ヴァンデ〈下〉

著者 : 藤本 ひとみ

出版社:角川書店

発売日:1997-03

評価 :

完了日 : 2008年07月10日

下巻は、内乱の鎮圧がいよいよ本格的になってきます。かつての上官、アンリ子爵掃討に向かう革命軍のラザール・オッシュに「追うのはやめなよ!」と念じることしきり(任務だから仕方ないのに:笑)。アンリ子爵の側でも、盟友が負傷したりして立場がどんどん上になっていき、ついにはこちらの指揮官になってしまったりしちゃうんですよね…がんばってほしいんだけど、情勢はどんどん不利になっていきます。要衝を奪われ、領地を追われ…と敗走の度合いも増してくるのが読んでいて辛いです。

衝撃だったのは、革命軍が捕虜を処刑する方法です。大河ロワールにボロ船を浮かべ、捕虜をぎっちり詰めて撃沈させるとは!死神以下だよ?といわんばかりの革命のダークサイドを見て戦慄しました。

史実では、ヴァンデ戦争はアンリ子爵が指揮官をつとめたのちも少し続くのですが、この作品ではアンリ子爵の代で終わっています。ちょっと終盤はどうかしら…と思う点があるので減点(笑)。ですが、次にはさまれる、この内乱を生き抜いた主な登場人物について簡潔に描かれる場面にぎくっとし、なんだか「革命っていってもなぁ…」と日本人の私としては一抹のむなしさも感じます。でもこの終わりかたはよいです。

フランス革命のアナザーストーリーとしてはよい出来の作品だと思いますので、この☆の数です。


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 2

聖戦ヴァンデ〈上〉

著者 : 藤本 ひとみ

出版社:角川書店

発売日:1997-03

評価 :

完了日 : 2008年07月10日

藤本さんの「マリー・アントワネット」を読んだので、藤本作品で好きなものを(笑)。国王ルイ16世夫妻処刑後に、ロワール地方でものすごい王党派の反乱が起こります。その反乱、「ヴァンデ戦争」を扱った作品です。

2人の軍人が主人公です。1人は超名門貴族の若者、アンリ・ド・ラ・ロシュジャクラン子爵。王家のブルーの上着を着る、国王親衛隊の将校です(「ベルばら」のオスカルと同じ)。もう1人はその副官、ラザール・オッシュ。彼は平民出身の優秀な軍人。王家が崩壊した瞬間から、この2人が敵味方に分かれなければならなくなってしまいます。この別れがクールであってまた切ない!「我は王軍、友は叛軍(←講談社文庫「ダルタニャン物語」のシリーズより)」のテーマはやっぱりいいんだわー。

領地に帰ったアンリ子爵は革命をある程度認めながらも、やはり王に仕えた身として納得いくはずもなく、貴族有志とともにルイ17世擁立を目指して反乱勢力を(ややなしくずし的に)束ねることになり…と物語は進みます。

この反乱は本土でもあまり語られない傾向らしく、読んだときは衝撃でした。「それって内戦だよ!」という激烈さ。でも、よく考えたら、あんなにフランスは広いんだから、花のパリだけの問題で収まらないのは当然です。そういうことを見せてくれた点で、この☆の数です。


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 1

ドラコニア綺譚集 (河出文庫)

著者 : 渋澤 龍彦

出版社:河出書房新社

発売日:1989-06

評価 :

完了日 : 2008年07月06日

渋澤作品は学生の頃に何作か読みました。長髪にサングラス、書物ぎっちりの書斎といったビジュアル、それにサドetc.の翻訳で「キケンなモノカキ」のイメージがあるかたですが、私が読んだ限りでは、そんなイメージではなく、筆致もきわめて知的で博覧強記の作家さん(荒俣宏さんが近いと思いますが、荒俣さんよりビジュアルがセクシーな感じ:笑)という印象のまま終わっています。

この本はご自分の周りの世界を「ドラコニア」としゃれて名づけ、ちょっとフシギな語り口の話をまとめたものです。「ファンタジー」じゃなくて、「幻想譚」と漢字でいきたい1冊です。ホラーでも何でもありませんが、夜読むのにいい空気感をたたえた筆運びです。


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 1

ワイルド・スワン〈下〉

著者 : ユン チアン

出版社:講談社

発売日:1993-01

評価 :

完了日 : 2008年07月02日

下巻は主に、毛沢東による文化大革命の時期が描かれます。インテリ教育をうけた著者からみれば、無知な子供の紅衛兵が街をわがもの顔で走り回る、ブルジョア階級出身者に対する密告社会は耐えがたいものだったようで、これがことこまかに語られます。

前巻で紹介されるとおり、著者の家族はある意味「戦前のセレブ」だったため、この革命には承服しかねることも多いようです。ただ、他の資料をみるに、戦前の中国にはぎょっとするような習慣や制度があったりしますので、社会を何とかしなければいけない…という考えがああいう形で働いたこともわかります。だから、どちらの肩を持つ、ということは私はありません(笑)。

2冊揃えておくとインパクトのある本棚になります。後年の「マオ」は評価が分かれますが、この本の衝撃は年月が経ってもこの☆の数です。


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 3

ワイルド・スワン〈上〉

著者 : ユン チアン

出版社:講談社

発売日:1993-01

評価 :

完了日 : 2008年07月02日

手に取ったのは学生のギリギリ終わりか社会人になりたての頃で、鴻が「ワイルド・スワン」と訳されているセンスに即買い(笑)。ロック鳥のような怪鳥のイメージを持っていた私としては、「なんと優美なイメージだ!」とそこでまずしびれた本です。

祖母・母親・作者の3代にわたる、近~現代の中国の激動を描く作品です。冒頭のシーンはお祖母さんの纏足がとても痛そう…なぜにそこまでするかなぁと思うのですが、それが慣習というものだから逆らうのは大変なことでしょう。基本的に著者の生まれた家は河南の大金持ちの家なので、祖父母、父母の代からつきあいのある軍閥の幹部など、歴史上の人物がばんばん出てきます。著者もそういった中のお嬢さまとしてそういった人たちと付き合います。

近代の中国が著者にとってはある意味のノスタルジーとともに描かれていますので、歴史的に面白く読めます。ですが、これはおそらく、魯迅が最も嫌い、「文学の力で正さねば」と感じた中国でもあるのでしょう。インパクトのある装丁と内容に、年月が経ってもこの☆の数です。


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