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那美さんの読書ノート

その他好きな作家
もうちょっとタイトルが増えていくであろう作家さんたちの書棚。
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 2

お伽草紙・新釈諸国噺 (岩波文庫)

著者 : 太宰 治

出版社:岩波書店

発売日:2004-09

評価 :

完了日 : 2008年06月07日

「お伽草紙」目当てで読み始めたものの、
「新釈諸国噺」が自分にはストライク。
しかしB面が良いディスクというものは、1枚まるごと良く思えるものです。

宇治拾遺や今昔などの説話集がもともと好きです。
なのでこの手のエッセンスが入っているのはたいてい自分には外れない。
加えて、太宰の筆により近代的な洞察・脚色・中年男の悲哀が良い感じにミックスされているのには、痺れずにはいられない。

どんどんこういう太宰を読みたい。
今までとはまた違った側面から、彼を好きになった。


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 1

小銃 (1977年) (集英社文庫)

著者 : 小島 信夫

出版社:集英社

発売日:1977-12

評価 :

完了日 : 2008年04月25日

レビュー書こうと「小銃」で検索したら見事にミリタリー本ばっかヒットして軽く引いてみたり。
どうでも良いか。

表題作も好きだし、技巧的・試作的なものも多くて楽しめたけど、「アメリカン・スクール」が二重に面白かった。
小説それ自体の面白さと、「これが芥川賞受賞作!」という面白さ。
良い時代だったんですね。
あの時石原慎太郎じゃなく藤枝静男が受賞してたら、今現在の芥川賞はどうだったろう。
なんて考える不遜な青二才。
いつだって青二才は不遜。


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 4

抱擁家族 (講談社文芸文庫)

著者 : 小島 信夫

出版社:講談社

発売日:1988-02

評価 :

完了日 : 2008年04月23日

あるようなないようなオチ。破滅的だけど滑稽で。
人間は足掻けば足掻くほどダメになるとどこかで分かっている、分かっているけど足掻くほかにはすることがなくて、だから足掻く。
そういうのが妙に戯画的で、努めて傍観者のようなこの文体に、しびれています。


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 2

アメリカン・スクール (新潮文庫)

著者 : 小島 信夫

出版社:新潮社

発売日:2007-12

評価 :

完了日 : 2008年03月29日

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 1

墓碑銘 (講談社文芸文庫)

著者 : 小島 信夫

出版社:講談社

発売日:2007-09-10

評価 :

完了日 : 2008年03月20日

大好きな講談社文芸文庫の新刊、気になっていた小島信夫ということと、帯や背表紙の文句に引かれて読み始めたものの、読後暗澹とした気持に。

「アメリカ人の父親と日本人の母親の許に生まれたトーマス・アンダーソンこと浜仲富夫。日米開戦を機に、日本人として生きることを強いられる。坊主頭で国民服を着、剣道を習い、国策映画では悪役アメリカ人を演ずる。そして入営。青い眼の初年兵は、異父妹への想いを支えに、軍隊生活のつらさに耐える。山西省から米兵と対峙するレイテ島に転進。…(後略・背表紙より)」

ってそりゃあ明るい気持ちになりたくて読んだ本じゃないのは瞭然だけども。

単に奇を衒ったこのような設定なら、もしかしたら誰でも思いつくかもしれない。
だけどそれを投げ出さずに書ききるには相当な力量が必要になるんじゃないか。
この主人公に語らせることで、アメリカ人のものでも日本人のものでもない「人間とは何か」というストレートな命題が浮かぶのだと思う。
これは美談も主観もそぎ落とした、「人間」の見たフラットな戦争文学だ。

最後の一文が壮絶すぎて。もう。


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 2

杳子・妻隠(つまごみ) (新潮文庫)

著者 : 古井 由吉

出版社:新潮社

発売日:1979-12

評価 :

完了日 : 2006年08月24日

凪いだ水面の下で、濃密なものが脈打って動いているような文体。
淡々としているんだけどなんだかエロティックで、
温度と言うよりむしろ湿度を感じる。

主人公が谷底で唐突に出会った杳子という病んだ女性。
正直、彼女に苛々してしょうがなかった。
だけどそれは、結構共感できちゃうからなのかもしれない。

つり橋や山、街の喫茶店、海、そして彼女の家。
どこを舞台にとっても距離感がつかめなくて
何となく色褪せた風景。
喫茶店のケーキにすら瑞々しい活力を感じない。
杳子の存在も、それに負けないくらいおぼつかない。
なのにこの密度の濃い空気と静かな狂気は。


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 3

ひかりごけ (新潮文庫)

著者 : 武田 泰淳

出版社:新潮社

発売日:1992-04

評価 :

完了日 : 2006年08月21日

武田泰淳を読んでみたいとずっと思っていた。

大学のお勉強のかたわら、ちらほら名前を見ては
なんとなく気になっていたというのもあるし、
加えてことごとくあたしの周りには武田百合子を読む人が多く、
実はそれも読もうと予てより思ってたあたしは何となく興ざめして
しかもそんな折に某雑誌では文化系女子は武田百合子を読む、みたいになってて
それが流行りもん嫌いのあたしの癇に障って、

あっそう。あたしは泰淳読むからいいもん。

ていう反撥心があったというのも確かにある。

有名な「ひかりごけ」という作品については
カニバリズム(人肉食)の話である、という予備知識くらいしかなかったけれども
それに絡めたアイヌの民俗学というテーマ、ルポルタージュ的な作風、戯曲の体裁を取る後半部、など盛りだくさんで楽しめた。
戯曲部分では、井上ひさしの「薮原検校」を思い出したり。

他の収録作品も、血や潮の匂いがつよくただよう力強い作品ばかり。
濃密な読書ができた。ひさしぶりに。

いい意味で、かんじんなところを読者にゆだねてくれる作家。
武田泰淳についてのそういうことを、この一冊で知れてよかった。

2006年08月21日


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 2

手鎖心中 (文春文庫 い 3-3)

著者 : 井上 ひさし

出版社:文藝春秋

発売日:1975-01

評価 :

完了日 : 2006年06月11日

健全にくすっとし、健全にしんみりする井上ひさしワールド。
それでいて反発を覚えさせない、押し付けないまっとうさ。

時は江戸。
金持ちのくせに戯作者を目指す大店のドラ息子・栄次郎に振り回されながら
彼の生きざまによって各々の道を見出すあんなひと、こんなひとを江戸言葉を交えながら軽みのあるタッチで描く「手鎖心中」。

弥次喜多テイストな、若旦那と太鼓もちの珍道中「江戸の夕立」もなかなかの快作です。

井上ひさしは戯曲作家である自身をちょっとばかり自虐的に、ほんのちょっとばかり誇らしげに、江戸の無為な戯作者や道化に投影したのだなあ、なんて御託はどうでもいいからとりあえず星4つ☆☆☆☆
単行本が欲しくて欲しくてたまらない。

2006年06月11日


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 1

悪魔のいる天国

著者 : 星 新一

出版社:早川書房

発売日:2000

評価 :

完了日 : 2006年02月14日

氏のショートショートの何が良いって、
この、最後数行の ぞぞぞ って感じ。
気軽にどこからでも読めるから…って手に取るのに
気が付けば一冊全部読んでるんです。
読み終わったのに、
気が付けばストーリーの続きを勝手に考えて
またぞくぞくをぶり返すんです。

早川書房のこの本は、
あちこちのショートショートを寄せ集めて再版したものだそうで。
宇宙あり都市伝説あり近未来あり、バラエティ豊か。

2006年02月14日


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1.Tetchy (2008/04/03)
星新一といえば新潮文庫もしくは角川文庫なんですが、早川書房からも出ているとは知りませんでした。
新潮文庫版の方は初期の作品集で、粒ぞろいだった記憶があります(いっぱいありすぎてどれがどこに入っているのか解りませんが)。
2.那美 (2008/04/05)
コメントありがとうございます!
彼の著作、本当に厖大ですよね。
早川文庫だと言われないとわからないくらい、さりげなく早川から出てました(笑)
装画も新潮文庫でよくある雰囲気のものだった気がします。
彼のストーリーの、どぎつくなく余韻に残る仄暗さが好きです。
 

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 15

センセイの鞄

著者 : 川上 弘美

出版社:平凡社

発売日:2001-06

評価 :

完了日 : 2006年02月05日

タイトルに惹かれて手に取ったのは、
現役のセンセイを好きだった高校生の頃でした。
あたりまえに、片思いのまま終わったのだけど
あたしの「川上弘美」はここから始まりました。

華もない情熱もない年齢の二人(殊にセンセイは)が
こんなに巧みに機能する恋愛小説があるのか。
落ち着きはらっている文体もセリフも情景も
じつは刹那にあふれていて、
毎日いつもの居酒屋で普通の美味しいものを食べる二人にも
月日は流れていて、
そのうちひとり居酒屋で眠ってしまうツキコさんがいて、
センセイの鞄の中には何があったのか
それを知った時、
卑怯だと叫びたくなる程の胸苦しさにうちひしがれます。

大仰な物言いは嫌だけど、
恋する人類、もしくは恋に恋する人類全てに
読んでくださいと頭を下げたいです。

2006年02月05日


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 1

聴雨・蛍―織田作之助短篇集 (ちくま文庫)

著者 : 織田 作之助

出版社:筑摩書房

発売日:2000-04

評価 :

完了日 : 2005年12月24日

しばしば太宰治らと一括りに
「無頼派」という範疇に置かれる織田作之助。
しかし彼の持つデカダンは熱くて明るい。
破滅に向かいながら、
かなり歪曲しながらも生命力を感じる。
だめだなぁ、と思いつつも
生真面目にだめを続ける人物たちと、
笑ってだめを容認する筆者。

決して派手でなく、静かにぶっ飛んでいる文体は
とても魅力的。
かろうじて静的で、でも一触即発みたいな感じが、良い。
打ちのめされました。

2005年12月24日


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 6

外科室・海城発電 他5篇 (岩波文庫)

著者 : 泉 鏡花

出版社:岩波書店

発売日:1991-09

評価 :

完了日 : 2005年12月18日

過剰なまでに、極端なまでに、プラトニック。
作者は「美」に拘泥する余り
それを邪魔するものを全て切り捨ててしまっているかのよう。
まさに「物狂おしい」という感じ。
これまで流麗としか思わなかった鏡花文学だけど
実は腹黒いのかとか排他的なのかとか考えてしまう。

ここに収められてるのはどれも
「私情」と「義務」に押し挟まれた人ばかり。
彼のアイロニーに嫌でも気付かされるけど
そういうのは抜きとして、作品世界に酔いしれるのが吉とみた。
講談師の如き語り口調にうっとりし、
手弱女でない、はすっぱに喋るおきゃんな女性に恍惚とし、
理屈をもねじまげてしまう浪漫に酔いしれる。
そしたら読みにくいのは最初だけ!

2005年12月18日


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 1

卍 (新潮文庫)

著者 : 谷崎 潤一郎

出版社:新潮社

発売日:1951-12

評価 :

完了日 : 2005年12月06日

相変わらずえぐいなあと。
手法は確かに面白かったけど。
谷崎文学、幾つかしか読んでないけど
好きだなと感じたのは「刺青」
後にも先にもそれのみかもしれません。

2005年12月06日


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 9

ニシノユキヒコの恋と冒険

著者 : 川上 弘美

出版社:新潮社

発売日:2003-11-26

評価 :

完了日 : 2005年11月26日

「どうしてぼくは、きちんとひとを愛せないんだろう」

彼に恋した10人の女性たちが語る「ニシノユキヒコ」の人となり。
川上作品では『センセイの鞄』以来の連作短編だけれど、
これはアトランダムな時系列で
ユキヒコと女性たちとの出会いから別れまでの
可笑しみ哀しみが描かれます。
それぞれぼんやり(もしくははっきり)
だぶっていたり、いなかったり。

誰もがユキヒコを愛しはじめるけれど
愛しぬくことはできない。
ユキヒコもまた然り。
或いは、ユキヒコが愛せないゆえに愛されないのか。
だけどなのか、だからなのか、
終わってのちユキヒコを憎む人も誰もいないし
ユキヒコもそう。
楠本まきの『恋愛譚』みたいに
みんな永遠といえば永遠。
でもそれってとてもかわいそうなもので、
生真面目なのに噛み合わずにたゆたっている人物たちを
不甲斐ないなあと呆れて見つめつつ
同時にとてもいとおしいのです。

2005年11月26日


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