有頂天家族
著者 : 森見 登美彦
出版社:幻冬舎
発売日:2007-09-25
評価 :
完了日 : 2008年05月11日
誰もが一度は訪れたことがあるであろう古都、京都。
お寺、紅葉、おいしい甘味。
だれでも何がしか、この地に対するある一定のイメージを持っていると思います。
でもこの人の手にかかると、そこは京都であって京都ではなく、現代であって現代ではない。
けものと人間と天狗。
そんなものものが違和感なく縦横無尽に駆け回る、一大ワンダーランドに京都を変身させてしまうのです。
主人公はたぬき。
要はたぬきとその家族のお話なのですが、たっぷり笑えてドキドキできて、そのうえちょびっと泣けてしまう、とても素晴らしいお話です。
今までのへたれな主人公の頭でっかちワールド的お話とは、少々毛色が違います(たぬきだけに。上手い!!←自画自賛。)
主人公とその家族は血の通ったたぬきですから、人生ならぬ狸生には、面白いこともあれば、背負いきれない悲しいことも、やっぱり結構あるのです。
そんな今までにない奥行きを感じさせつつ、疾走感あふれる文体はそのままに、一気に読ませてしまうのだから素敵です。
現実的感情と非現実的現象の同居。
ファンタジーノベル大賞受賞でのデビューを考えれば、作者の得意技にさらに磨きがかかったといえるのかも。
京都の叡山電車、糺の森に先斗町。
実在する場所でありながら、現実を軽やかに飛び越えて、私を面白おかしい別世界へいざなってくれます。
読み終わったあと、家族に電話したくなること請け合い。
そんな、電話会社に貢献しちゃうであろう家族愛あふれた一冊。
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