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おくりびと (小学館文庫)

著者 : 百瀬 しのぶ

出版社:小学館

発売日:2008-07-04

評価 :

完了日 : 2008年11月05日

 忙しかったがようやく『おくりびと』を見てきた。笑った、泣いた。
 とにかく今年度の映画賞を総なめするだろう。
 原作とはなってなかったが、エピソードの多くは『納棺夫日記』である。
 ただ、さすがにうじ虫が輝いて見えたという部分は映像化できずにその手前のところ、つまり、気持ち悪いという話で終わっている。
 北日本新聞によれば次のようだ。
《 本木さんは受賞について「各パートの総合力のたまもの。滝田監督には一国の主のような包容力があった」と笑顔で話した。二十代のころから青木新門さん(富山市)の「納棺夫日記」を何度も読み返したというエピソードを披露。「出発点の一つに青木さんの力があった。深く生死を見つめ、掘り下げ、人生のバイブルとして存在している」と感謝の気持ちを述べた。》
 今日はちょうどオバマが初の黒人大統領になった日だったが、この映画で出てくる差別にも似たようなものを感じた。僕はたまたま父親の葬儀で新門さんのお弟子さんに納棺をやってもらったからよく分かるが、見事な様式美であった。納棺夫から納棺師になっているのは女性もしているからで、知人などはお父さんが女性にしてもらって「おれもあんな風に納棺されたい」などと話していた。
 小さい頃聞いた葬式の話は壮絶だった。納棺はこの映画でも出てくるように親戚縁者が行わねばならず、怖いだけでなく、固くなっていて大変だったという。この話を母親から聞いた時は恐怖で死にそうになったものだ。
 つくづく人間は一人では死ねない。そして、死者と語ることによって生を考えうる唯一の動物だと思った。
 新門さんにどうしてペンネームをそのようにしたのか聞いた時、笑って「新」に「聞」としようと思ったけど、「新聞」になってしまうから、と話していたが、この映画を見て、死が一つの「門出」の門だということを知った。そして、ペンネームの意味も少しは分かるように思えた。
 見ていない人もいるかもしれないが、是非ぜひ、見てほしいと心から願うものだ。
 少なくともこの映画は「不浄なもの」を扱っていると差別を受けかねない人々に対する光となるであろう。深い闇があるから光は輝く。死があるから生が生まれる。


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