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mackinchanさんの読書ノート

久しぶりに再読した本
 用があって、久しぶりに読み返した本です。大した用もないのだけれど、いろいろな事情で再読することがあるものです。
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 4

仕事道楽―スタジオジブリの現場 (岩波新書 新赤版 1143)

著者 : 鈴木 敏夫

出版社:岩波書店

発売日:2008-07

評価 :

完了日 : 2008年10月27日

 娘の高校の学園祭でジブリをやるというので、再読。
 道楽というのは最初にこの仕事を押し付けてきた先輩が公私混同で『アニメージュ』を創刊したことから、自分でも道楽と変わらないように仕事をしているということだ。
 前からどうして鈴木敏夫がこんなに偉そうにしているのか分からなかったが、この本を読めば一目瞭然である。宮崎も高畑も子どもっぽいのである。高畑がこんなに変な男だとは知らなかった。
 徳間の社長も偉い。
 岩波新書で出る意味があるのかどうか分からないが、ジブリの裏話がいっぱい入っていて、ファンには興味がつきないだろう。


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 2

ひと月百冊読み、三百枚書く私の方法 2

著者 : 福田 和也

出版社:PHP研究所

発売日:2004-03-19

評価 :

完了日 : 2008年09月29日

 文章教室をどうやっていたのかと思って再読。
 しかし、4年間で既に情報機器の部分は考古学になっている。
 30ギガが必要だ、などと書いているが、USBでも4ギガが当たり前のようになっているから、おそろしいものだ。情報機器でうきうきと書くところは山根一眞とそっくりだ。
 《私は、「けもの道」を、つまり人があまり通らないところを歩いていくというのを、基本的な姿勢にしているので、》と書いているのだが、「けもの道」というのは僕にとっては誰かが通った道のようにしかみえなくて、レトリックが成立していないように見える。他の人はどうだろう。確かに人は通らないが…。
 「未来のために強要の仕込みを続ける」というのがあるが、未来のない僕らにとってはよけいな話だ。教養主義で未来を勝ち得た人など周りで見たことない。
 文章術は800字のコラムを書かせていて、雑誌まで指定するという。ここが大切で、誰が読むかを雑誌で指定するところが面白い。無名の人が偉そうに『図書』に書いても誰も読んでもらえないだろう。そのためにはどうするかということだ。
1、短いので、文章のすみずみまで神経を行き渡らせることができる。
2、人に読んでもらえる。商品たりえる。
3、書くとうい前提で、事物に接する姿勢を育てることができる。
 という。
 a構成、b姿勢、c表現、d文体だという。
 コラム成立の4つの要素は1情報、2分析、3解釈、4価値だという。確かに情報というのはいろいろなものがあって、相手が何を必要としているかをよく考えなければならない。映画ファンの雑誌に誰もが知っているようなことを書いても笑われるだけだ。かといって、映画館のポップコーンがおいしかったということもできない。
 コラムが上手になる3つの道は
 書くこと
 読んでもらうこと
 読むこと 
 とまあ、当たり前なんだけれど、基本ができないのですね。いずれにしろ、文章に対する「意識」も持ち方をしっかりしてないと、文章は書けないのですね。
 ということで、こうやって文章のレッスンをしています。


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 1

ニホン語、話せますか?

著者 : マーク・ピーターセン

出版社:新潮社

発売日:2004-04-22

評価 :

完了日 : 2008年09月26日

 誰も書いてないので書いておく。
 ご存知、ピーターセンの日本語の本である。
 英語についての著書はいっぱいあるが、日本語と日本について書いてある。
 昔、どうして読んだかというと、『ローマの休日』の謎が書かれていたからだ。
 二人はしてしまったのか、どうか、という話なのだ。
 スケベ心で読んでしまったのだけれど、読まなければよかったというのが本当だ。
 ということで、こう書くと読まずにはいられない人がいっぱいいると思う。
 ピーターセンはこんな風に解説しているが、他のアメリカ人はどう思っているのだろうか、というのが率直な気持ちである。

 なぜか鈴木孝夫先生の本が批判してある。「敢闘賞」などというものは欧米にはないという話だが、ある、というのだ。
 いずれにしろ「ない」という証明はカール・ポパーをまたなくても分かることだ。

 ということで、この本の著者が書いていることが全てではないと信じよう。


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 2

遥かなるケンブリッジ―一数学者のイギリス (新潮文庫)

著者 : 藤原 正彦

出版社:新潮社

発売日:1994-06

評価 :

完了日 : 2008年09月22日

 高1の娘の課題図書で再読した。別に読まなくてもいいのだが、娘はきっと途中で読まなくなるだろうから、担保に読んでおいてあげるのだ。やさしい父だ。高校生に読ませて文科系も理科系にも強くさせようという教師の意図は分かるが、後でいうように細かくて、少なくとも娘はついていけないだろう。
 この前の課題が『剣岳』だったから、教師はきっと新田次郎家のファンなのだろう。今度はきっと『流れる星は生きている』だろう。
 『若き数学者のアメリカ』は何だ、新田次郎の息子だから書いているのか、と思ったが、いい風に裏切られた。こちらの本もよくできている。
 英米の文化の違いがよく分かる。イギリス人と仲良くなれるなんて天才だと思うが、読んでいて、本当につきあいきれない人々だと思う。
 恩師のM先生もケンブリッジに留学していたが、やっぱり日本人に対する感情がよくないことを心配していた。同じように碁で親しくなったというが。
 文学の留学でこれだけの本が書けるなら分かるが、専門は数学で、そちらもきちんと仕事をしていて、書いているのだからやっぱり血は争えない。理科系ながら文科系の血筋なのだ。
 それにしても描写が細かい。僕らが、本人だって書いておく必要もないような人の人生の歩みが詳しく書いてあって、もちろん、それが現在を作っているのだが、このあたりが数学者らしいと思った。
 それにしても、子どもたちは今、どうなっているのだろう。誰か知っていたら教えて。
 ただの野次馬ですが…。


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 1

文人悪食 (新潮文庫)

著者 : 嵐山 光三郎

出版社:新潮社

発売日:2000-08

評価 :

完了日 : 2008年09月09日

 日本人とグルメで一番面白いのは文人との関わりかもしれない。
 『歴史のかげにグルメあり』よりも、こちらの方が面白かったので紹介しておく。
 嵐山光三郎の面目躍如の本である。いろいろな小説家の食事に対する態度が書いてある。
 もっとも有名なのは斉藤茂吉の鰻好きであるが、林芙美子も相当なものだ。
 梶井基次郎の話が一番面白いかもしれない。
 「この世に写真がなければ、梶井基次郎は、同世代の芥川龍之介にも負けないs族的人気を得ていたはずである」と書いているが、僕自身、初めて梶井の写真を見た時の衝撃を思い出した。檸檬とは無関係の醜男がそこにはいたのだった。
 「桜の樹の下には屍体が埋まっている」というモチーフは、ボードレールの「パリの憂愁」に「腐肉のため肥えふとった華麗な花々の絨毯」の記載があり、ムンクの絵に、死体が埋まる「新陳代謝」の樹があるそうだ。みんな知っていることかもしれないが。
 友人の中谷孝雄が「檸檬」に反発を覚えた,という最後の落ちもいい。


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 2

世界文学必勝法

著者 : 清水 義範

出版社:筑摩書房

発売日:2008-07

評価 :

完了日 : 2008年09月01日

 さすがに世界文学の3冊目となると重複も多くて、冒険もしてないので、面白くない。
 でも、他の本を読んでない人にはおすすめである。
 そうそう、シェイクスピアのところで、どうしてハムレットはデンマークの王子なんだと書いているが、シェイクスピアの作品はどれも元ネタがあって、どれも外国物が多いので、どうしてもこうなってしまう。ただ、外国といっても、北の国が出てくる時は暗く、南の国が出てくる時は明るい。もちろん、「タイタス」みたいな二度と読みたくないものもあるけれど。
 マンゾーニのところで、平川祐弘を「ひろすけ」とルビが振られているが、「すけひろ」である。編集者が悪い。
 面白かったのはドストエフスキーが登場人物の名前に意味を持たせているという部分だ。このこと自体はよく知られているが、赤胴鈴之助の父の敵の名前が火京物太夫だったのを思い出し、「一般的には幼稚な手法である。あんまり一流の人はやらない。/なのにドストエフスキーは平気でそういうことをして、その名を文学史に固定してしまうのだ」と書いている。
 「必勝法」というと清水義範の専売特許になってしまったみたいだ。


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 1

大人の友情 (朝日文庫 か 23-8) (朝日文庫)

著者 : 河合 隼雄

出版社:朝日新聞社

発売日:2008-02-07

評価 :

完了日 : 2008年08月27日

 「賢い人には友がない」ということわざがあるという。僕にも友達がいないので、賢いのかもしれないと思う。
 昔から、友情というのは非常に日本的で、しかも教養主義的なものだと思っていた。つまり、高田理恵子が『文学部をめぐる病』『グロテスクな教養』などで描いているような、旧制高校内でのイデオロギーだと思っていた。
 そうしたことを、別の形から河合隼雄が描いてくれた本である。文庫本になったので、書いておく。
 漱石については「坊っちゃん」と「こゝろ」が取り上げられている。日本人の「友情」を同性愛的に考える外国人が多いということを聞いたことがあるが、河合隼雄も「こゝろ」の二人は同性愛ではないかと指摘されて、その時は否定したものの、考え直したということを書いている。いろんな解釈のできる作品はやっぱり豊かだと言うことだろう。
 『深層意識への道 グーテンベルクの森』にも出てくるが、「戦場のメリークリスマス」が取り上げられていて面白い。スイスの電車の中で泣きながら読んだという。
 ハラの処刑の日に、ハラはなぜ罰を受けねばならないかを教えてほしいという。ロレンスは何とも答えられなかったが、やっと「負けて勝つという道もあるのだ。敗北の中の勝利の道を発見しようではないか」という。ハラはこれを聞いて、「ろーれんすさん、それこそ、まさしく、日本人の考えです!」と言って従容として死につくのであった。


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 1

小森陽一、ニホン語に出会う

著者 : 小森 陽一

出版社:大修館書店

発売日:2000-04

評価 :

完了日 : 2008年08月27日

 こんなにいい本に誰も感想を書いていないので書く。
 小森陽一は米原万里と同じプラハのロシア語学校に通っていた。帰ってから、日本語をみんなに笑われたことから、このタイトルがついている。
 何しろ、笑うのに対して文句を言った言葉が「ミナサン、ミナサンハ、僕ノニホン語ノ何ガオカシイノデショウカ?」だったのだ。ここから日本語は原文一致じゃないということに気づく。そして、自分が「吾輩」の猫と同じように相手の言葉は分かるが、言い返せない立場にあると分かって涙する。これが後の漱石研究家を生むきっかけになったのだから、何がいいか悪いか分からない。
 当然、「坊っちゃん」の話も出てくるのだが、坊ちゃんがいたずらされた「宿直」の意味というものを考えると、坊っちゃんの行動が近代天皇制の支配構造に違反するものだったことが分かるという。
 それにしても、いろいろな偶然が重なって国文科に進み、東大の先生になったところが感動的だ(別に東大の先生になったのが感動的な訳ではないが)。
 いずれにしろ、ことばの辞書的な意味だけで、「わかったつもり」になる危険性を指摘している。だって、この小説は「実存的な」などと言っていれば分かったような気になってきたんだもの。
 ことばに向き合うことの難しさを教えてくれるとてもいい本だ。
 ケネディ暗殺やプラハの春などでも微妙な立場になって、現代史に巻き込まれる。千野栄一先生の奥さんだったズデンカさんはこの頃、あちこちの八百屋で「あんたも大変だね」とかいって安くしてもらったというが、「祖国」がそんな状態に置かれるというのはどんな気持ちだろう。
 平和な時代の、日本に育って本当に感謝。


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 1

地球文字探険家

著者 : 浅葉 克己

出版社:二玄社

発売日:2004-06

評価 :

完了日 : 2008年08月22日

 北京五輪をみていて、絵文字が象形文字になっていて、面白いと思った。日本の時の絵文字もすばらしかったが、今回のはほのぼのとする。あの北京五輪で評価するべき唯一の点である。
 この本は文字をデザインとして考える本である。
 トンパ文字を大ヒットさせたのはこの人だ。なつかし系の象形文字である。この他にもロロ文字などが探検されている。贅沢なのは西夏文字の解読者の西田龍雄先生を同行させていることで、こんなにゴージャスな旅はない。
 ウディ・アレンの「おいしい生活」のポスターも出ていて、懐かしい本だ。
 


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 3

『こころ』大人になれなかった先生 (理想の教室)

著者 : 石原 千秋

出版社:みすず書房

発売日:2005-07-09

評価 :

完了日 : 2008年08月09日

 娘の宿題が『こころ』なので、これを読めと渡した。高校の宿題とは懐かしい。僕は『三四郎』を宿題にされたけど、最初の女性との宿の場面には驚いた。
 この本は小森陽一の『構造としての語り』を受け継ぐ形で、漱石の仕掛けを描いたものである。知らない人はあっと驚くものだから面白いと思う。
 「未来小説」だという。そして「明治45年当時、先生37歳、静29歳、青年26歳。あり得ないことではない」と述べている。
 ただし、全体が学界の中でどういう位置づけになっているかは部外者なので分からない。
 そういえば、ドラえもんの静香ちゃんにはどうして女友だちがいないのか、という議論があったような気がするが、『こころ』を読んだ時も、どうして、「先生」の奥さんはこれほどまで孤独なのだろうかと思っていた。
 全然関係ないけれど、『リア王』で“As flies to wanton boys are we to the gods;They kill us for their sport. ”というところがある。「われわれは腕白小僧の手のひらのハエみたいなものだ。気まぐれで殺される」というのがあるが、なぜか、この言葉を思い出した。


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 8

文盲 アゴタ・クリストフ自伝

著者 : アゴタ・クリストフ

出版社:白水社

発売日:2006-02-15

評価 :

完了日 : 2008年08月08日

 文盲つながりで書いておく。
 『悪童日記』のクリストフの自伝だ。こんなに苦労して文盲を克服したとは思えなかった。
 《わたしはフランス語を三十年以上前から話している。二十年前から書いている。けれども、未だにこの言語に習熟してはいない。話せば語法を間違えるし、書くためにはどうしても辞書をたびたび参照しなければならない。
 そんな理由から、わたしはフランス語もまた、敵語と呼ぶ。別の理由もある。こちらの理由のほうが深刻だ。すなわち、この言語が、わたしのなかの母語をじわじわと殺しつつあるという事実である。》
 一体、日本人はどうしてバイリンガルに憧れるのだろうか?日本語を、日本文化を破滅させようと文部科学省の官僚は考えているのだろうか?ただでさえ、日本語が英語に毒されてきているのに。


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 1

村上春樹はどう誤訳されているか―村上春樹を英語で読む (MURAKAMI Haruki TUDY BOOKS)

著者 : 塩濱 久雄

出版社:若草書房

発売日:2007-01

評価 :

完了日 : 2008年08月05日

 『ダンス、ダンス、ダンス』に出てくる冒険作家・牧村拓が“MAKIMURA HIRAKU”で“MURAKAMI HARUKI”のアナグラムになっていることを発見・確認した著者の本。アナグラムを見つけることができたのは翻訳本の著者名を眺めていたからだ。
 さて、著者は偉いと思うけれど、誰が悪いとはいえない。本気でやろうとすると春樹自身が翻訳をすればいいことだが、これも英語話者でない人が訳したら本心が届くかどうか分からない。仮に翻訳に不満があっても、言い始めたらキリがない。最初から新しい本を書くようなものだ。だったら、新作を出してほしい。誤訳なら直そうということになるのだが、ここに出てくるものは許容範囲内だと思うのは僕だけだろうか。
 個々には面白いことがいっぱいある。『国境の南』などで「正直に告白すると」というのが時々訳されていないことがあり、著者はいう。
 井上義夫『村上春樹と日本の「記憶」』は、「正直」という語は村上春樹の作品の中で重要な役割を果たしており、『ノルウェイの森』などに出てくる「直子」という名前は「正直」を表しているかもしれない、と指摘している。すると、この部分を訳さないのは村上春樹の本質的部分を見えなくしてしまっているとも考えられる。
 うーん、正直言って、難しいものですね。


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 1

赤塚不二夫1000ページ

著者 : 赤塚 不二夫,和田 誠

出版社:扶桑社

発売日:1998-12

評価 :

完了日 : 2008年08月04日

 8月2日に赤塚不二夫が亡くなった。手塚の時は別の事件の方が大きく取り上げられていて腹が立ったが、こちらはどこも大きく報道されていてうれしかった(?)。それにしても、赤塚に人生の総てを学んだ、みたいな人もいて、さすがにちょっと呆れた。
 先日、朝日新聞で「ラララの娘、レレレの娘、ゲゲゲの娘」という対談があったばかりでレレレという感じだ。3人の中ではレレレの娘が留学したり、一番がんばっているようだった。でも、有名人の子どもというのは大変だと思う。
 で、追悼の意味でこの本を誰か書評しているかと思ったのだが、誰もいなかったので書いておく。
 言わなくても分かるだろうが、赤塚不二夫のアンソロジーである。持っているのは1975年のものだが、1998年にも出ているらしい。
 自分一人で独占しているのも気分がいいが、出版社は是非、復刻してほしいのである。
 赤塚さんの御冥福をお祈り申し上げます。


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 1

華やかな食物誌 (河出文庫)

著者 : 渋澤 龍彦

出版社:河出書房新社

発売日:1989-09

評価 :

完了日 : 2008年08月04日

 漱石が『吾輩は猫である』の中で、迷亭先生にローマ時代には孔雀の舌が珍重されたというのを受けて、澁澤龍彦が紅鶴の舌というのもあったとつないでいるのを調べようとひっぱり出してきた。
 今から思えば、漱石はどこからこんな話を入手したのだろう。誰か、漱石研究者で知っている人があったら是非、教えてください。「オタンチン・パレオロガス」にしてもそうだが、どうしてローマ時代のことが詳しいんだろう。
 他に中国では猿脳が有名(『インディ・ジョーンズ』!)だが、中国人の中にもこれを反対していた人がいるという記述が面白い。そういうくらいに普及していたことになるからだ。


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 1

オドオドの頃を過ぎても (新潮文庫)

著者 : 阿川 佐和子

出版社:新潮社

発売日:2006-11

評価 :

完了日 : 2008年08月04日

 昨日、町内の夏祭りがあって、離婚した男が「DNAだ」と叫んでいた。何でも、別れた娘が国立大学に入ったそうで、二人の学歴からするとそんなことは考えられない事態だったのだが、周りの親戚を見ていて気づいたというのだ。
 佐和子もDNAだ。どんなに文学から離れていても、どんなに父親から離れていても、いつの間にか、同じ道を歩いている。
 そういえば、もう一人の離婚した女性が「DNAだ」と叫んでいた。別れた父親のことはまるで知らないはずの息子の動作や好みがまるで同じなのだという。怖いものだ。
 そうすると、うちの子どもは馬鹿な二人の親を超せないことになる。ちょっと可哀想かもしれない。
 で、この本は書評などを多く集めたものだが、なんと、いつの間にか文庫本の解説でいろいろ書いてきたものが集まってしまったものだという。それが見事な展開をしていて、やっぱり「DNAだ」と叫びたくなる。直接扱うことがなく、お店の前を手を振って通過していったような書評が多いのだが、小さい頃からつきあっていた人が半端ではない。
 自分の志望記事(別の本でも読んだ記憶があるが)はこのずうずうしさに驚くものがあるが、大したものだ。何しろ、「美人長命」という言葉の元になったと書いているのだ。
 どうか、長生きして、それを証明してください。


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 3

劒岳―点の記 (文春文庫 (に1-34))

著者 : 新田 次郎

出版社:文芸春秋

発売日:2006-01

評価 :

完了日 : 2008年08月04日

 高校生の娘の夏休みの宿題。勝手にバラバラにいっぱい出すな!
 富山なのと、今、映画撮影がクランクアップしたばかりの話題の本。
 娘が読みにくいといって、ひいこら言っているので、久しぶりに見るとやっぱり読みにくい。
 話は簡単で測量の三角点を剣岳に置こうという人と、神の山だといって反対する地元の人の話で、富山の人間がまるで「キングコング」の原住民みたいに描かれているような気がする。
 新田次郎ってどんな人というので、話してあげると、「山の作家なのね」というが、確かに反論もできないかもしれない。
 どうせ、宿題に出すなら、映画になってから読ませればもっと簡単に読めるのにと、親バカで思った。


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 1

なんたって「ショージ君」 文春文庫 (文春文庫)

著者 : 東海林 さだお

出版社:文藝春秋

発売日:2003-11-08

評価 :

完了日 : 2008年08月01日

 ショージ君のことを金井美恵子がなんて言っていたか調べようと思って引っぱりだしてきたら、誰も書評をしていないので、ボケ防止に書いておく。
 答えは「繊細なせこさ」だった。日本のエッセイストの中でもっとも文章がうまいのは伊丹十三、和田誠、そして東海林さだおだと信じて生きている。三人の中で、人間観察が一番鋭いのはショージ君である。伊丹は社会観察、和田は文化観察ということだろうか(ちょっと無理がある)。
 一番笑えるのは(昔からよくアンソロジーに出ていたが)、数学者岡潔との対談である。これほど猥雑な人だということを見事にあぶり出している。ジョンソン博士が辞書を出した時に、貴婦人が「汚い言葉が書いてなくてよかった」と誉めたら、「へえ、調べたんですね」と答えたという話が残っているが、これを思い出す。
 人間観察のエッセンスが全て入った本だ。でも、既に、この後にもいっぱいエッセイを書いているから、いつか検索機能付きのCD-ROMにしてほしい。
 この本を英訳はできるだろうか?できるだろうな。でも、このせこさが外国人には理解できるだろうか?そして、このせこさの素晴らしさが連中に納得してもらえるだろうか?
 考えると、キリがない。ショージ君と同じで、妄想が広がるだけである。


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 1

バイリンガルと言語障害 (シリーズ言語臨床事例集)

著者 : 日本聴能言語士協会

出版社:学苑社

発売日:2003-06

評価 :

完了日 : 2008年08月01日

 バイリンガル万歳!という人が多い。子どもにとってよくないよ、というと、バイリンガルじゃない者のひがみだととられて、話は終わってしまう。
 英語早期教育は大反対なのだが、その理由の一つがこれだ。言語障害になることがあるのだ。ただの障害だと思われて根本的な治療を受けていない子どもも多いのではと懸念する。
 この本を読み直して驚いたのは「セミリンガル」がすでに差別語として使いにくくなっていることだ。「セミリンガル」というのはどちらの言語も中途半端になってしまう人たちで、アイデンティティだって中途半端になってしまう。
 そうした警告の意味で興味深い本なのだが、言語の名前までがA語などと伏せられている部分があって、さすがに読みにくい。
 でも、読み終わると、バイリンガルでなくてよかったね、と思える本だ。


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1.Pipo (2008/08/01)
こんにちは。私の周りには外国語使いが結構いるのですが、みな口を揃えていうのが「第2言語以下のものが母語の能力を上回ることはありえない」です。私もそう思いますので、子供英語教室などはいかがなものかと。

言語がどっちつかずの人というのは環境の不整備というわけではなく、言語障害というアプローチになるのは寡聞にして知りませんでした。勉強になりました。
 

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 1

パリの秘密

著者 : 鹿島 茂

出版社:中央公論新社

発売日:2006-10

評価 :

完了日 : 2008年08月01日

 鹿島茂の小説『パリでひとりぼっち』のネタ本みたいなエッセイ集。うんちくだらけで、どこを読んでも楽しい。パリはいいな。明日あたりからバカンスで道路はごったがえすんだろうな。
 鹿島茂の本はどれも蘊蓄に富んでいて、読みやすく、誰かに語りやすい。つまり、これさえあれば、知ったかぶりができるというものだ。


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 1

六十代からのエッセイ教室―エッセイ力は人生力

著者 : 木村 治美

出版社:海竜社

発売日:2006-04

評価 :

完了日 : 2006年06月30日

 前に『女のエッセイ教室』というのを出していたが、今度は『60代からの』となっている。今度は『70代からの』というのが出せるし、何なら『60代女性のための』を書いてからでもいい。
 「エッセイ力は人生力」というのがサブタイトルで、僕が人生力を持たないのはどうやらエッセイ力がなかったためと分かった。自己開示できるようになりたいが、村上春樹のいうような「他人に話せるくらいの不幸」というのを持っていなくて、「とても話せない不幸」ばかりだからだろう。
 面白かったのは「マーマイト」のことで、『黄昏のロンドンから』を書いた人が今まで知らなかったと正直に答えているところだ。この変な味のペーストに惹かれるのをそのままエッセイのネタにしている。ちょっと調べれば日本でも手に入ることが分かるのに、わざわざロンドンで確かめているところが、何ともオバサンだ。
 でも、おいしさというのはその場所で決まってくるもので、日本で、ヤマザキパンなどにつけて食べてもおいしくないかもしれない。ここはやっぱりイギリスのぱさぱさのパンにつけなければならないのかもしれない。とはいえ、本当のおいしさが分かったのは日本に来てからという。この「マーマイト」のエッセイが気に入るかどうかで、この著者が好きかどうか決まってくるだろう。


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