たなぞう

WEB本の雑誌

熊猫公司さん > 読書ノート

熊猫公司さんの読書ノート

ノンフィクション
ルポ、対談、実録など小説ではないもの
<前のページ 1  2  3  次のページ>

 

みんなの感想を読む
 3

ちょっとピンぼけ

著者 : R.キャパ

出版社:文藝春秋

発売日:1979-01

評価 :

完了日 : 2008年11月09日

戦場カメラマン、R・キャパの手記。
祖国を追われ、常に異邦人の身であったキャパはどんなに過酷な状況でも楽しんでいるかのように思えてしまう。
戦地で人の血肉に塗れ、視線を潜り抜ける中決してそんなことはないはずなのだけれど。
それほどまでにキャパの文章はウィットに飛んでいる。
写真に向かう心構えとか、技術論とかそういうことは一切かかれていないが、それだけに写真に対して全身全霊で向かい合っている様が見て取れる。
なんとも不思議な本だ。
ただ、手記の中で一人の女性に執着し振られる様を書いておきながら、実際は愛人を戦場で亡くし、その傷と共に一生を生きたという姿はなんだか一ずれがあるようで違和感を感じた。
と言うか、友人でもある訳者の追悼文がなければ、とてもそんなことがあったとは思えない。
まぁ、本人の手記だけあってどこまでが本当でどこからがそうでないのかは読み手が知る由もないこと。
もしかしたらこうやって自分をごまかしていたのかなぁと。
写真家としてだけではなく、一人の人間の手記としてもあれこれ考えさせられてしまった。


この感想へのコメント


みんなの感想を読む
 1

赤塚不二夫のことを書いたのだ!!

著者 : 武居 俊樹

出版社:文藝春秋

発売日:2005-05-26

評価 :

完了日 : 2008年11月05日

伝説の赤塚番・武居記者が書いた赤塚不二夫氏との思い出。
出版されたときは赤塚氏はまだ存命だったのだけど、今や回顧録になってしまったなぁ。

全編これ、赤塚氏への愛に溢れた1冊。
文章は決して巧くはないけれど、その温かさは行間から伝わってくる。

実は出版直後にも一度読んでいて、既に病に倒れて眠り続けて久しい赤塚氏のことを何故このタイミングで書いたのか、正直不思議に思った。
しかしその後、この本が赤塚氏の治療費を捻出するために書かれたと言うことを耳にした。
武居氏が本当はとてもシャイで、このような本を書く人ではないことも。
なので、赤塚氏の逝去直後はとても頁を繰る気にはなれなくて、今ようやく再読できたのだった。

いろいろ知ってから読んでみるとまた違った感情が湧いてくるようで、序章と最終章では自然と涙が溢れた。
こんなに人に愛された人物は稀有だと思う。
作者の思いが胸に痛い。


この感想へのコメント


みんなの感想を読む
 1

金の芽―インド紅茶紀行

著者 : 磯淵 猛

出版社:角川書店

発売日:1999-01

評価 :

完了日 : 2008年09月25日

紅茶好きが嵩じて、ついにはその生産地に行ってしまった作者の旅行記。
生産地はテロリストがインド人外国人関係なく身代金目当てに誘拐を繰り返している地だったり、インドのバカンス地でそこへ行くための足が確保できなかったり。とにかく簡単には作者を迎え入れてはくれない。
それでも自分の好きな紅茶の産地を自らの目で見たいという思いに駆られて、様々な苦難を乗り越えていく姿にはある種の感動を覚える。
ある意味バカだよなぁと思うけど、ここまで突き抜けると逆にすごい。

そして自分が普段何気悪飲んでいる紅茶が様々な問題を含んでいることを、この本を読んで初めて知った。
東インド会社なんて学生時代その名前だけを教科書で学んだけど、成り立ちとか内容とかは知らなかったよ。
紅茶が好きなら読んでおいて損はない1冊かと。


この感想へのコメント


みんなの感想を読む
 1

千社札 粋・洒落・見栄の世界 (弓岡勝美コレクション)

著者 : 弓岡 勝美,野島 寿三郎,出原 速夫

出版社:ピエ・ブックス

発売日:2006-07-19

評価 :

完了日 : 2008年08月24日

千社札をその画題でカテゴリー分けして収録。
とにかくその量には圧倒される。
ところどころに千社札についての薀蓄などが挟んであって、読み物としての側面も。見れば見るほど奥が深く面白い。
惜しむらくはモノクロで収録されているものがあることと(最初から?)、やや掲載サイズが小さいこと。細かく書き込まれているものは大きなサイズで見たかった。


この感想へのコメント


みんなの感想を読む
 1

千社札―二代目銭屋又兵衛コレクション

著者 :

出版社:青幻舎

発売日:2004-07

評価 :

完了日 : 2008年08月24日

千社札のコレクション集。
説明などなく、とにかく千社札がずらりと収録されている。
フルカラーで比較的大きく掲載されているので、見応えたっぷり。
先達のセンスと洒落心に脱帽。
自分では思いもつかなかった構図やモチーフに感心することしきりなり。物凄く勉強になる。
日本古来の生粋というのは美しいなぁ。


この感想へのコメント


みんなの感想を読む
 2

わしらは怪しい雑魚釣り隊

著者 : 椎名 誠

出版社:マガジン・マガジン

発売日:2008-02

評価 :

完了日 : 2008年05月19日

第3次怪しい探検隊。
「釣り」と言うメインテーマができてしまったせいなのか、作者の文章がきちんとお約束を守るようになってしまったせいなのか、往年のはちゃめちゃさは影を潜めがち。
それでも十分面白いけれど、なんか、こう…、一抹の寂しさを感じる。
作者も自分も歳を取ったということなのか。


この感想へのコメント


みんなの感想を読む
 2

白洲正子の宿題

著者 : 白洲 信哉

出版社:世界文化社

発売日:2007-10-11

評価 :

完了日 : 2008年04月26日

「日本の神」とは何かと言う副題が示すように、白洲正子氏の孫である作者が日本の神を求めて歩いたルポルタージュ。
高千穂を皮切りに奈良春日まで、神話や祭祀を足がかりに神とは何かを紐解いていく。
日本人は信仰心が薄いと言われるが、実は古来より生活に深く進行が関わっていたこと、時代が移ろい行く現代神との絆も形を変えつつあることなどが描かれている。
他国へ行った際に、人々と神、或いは信仰との関わりの深さを羨ましくも不思議に思ったりするのだけれど、自分の中にも日本人として同じ気持ちが流れていることを改めて知らされる。
ただし、それをきちんと形にすることは難しい。作者のルポを読んでそんなことを思った。

「何事のおはしますをば知らねども
 かたじけなさの涙こぼるる」
西行法師のこの歌を実感できる自分でいたいものだ。

蛇足ながら、この本を読むと日本の地名の豊かさに感動する。


この感想へのコメント


みんなの感想を読む
 1

グレイのしっぽ (中公文庫―手のひら絵本)

著者 : 伊勢 英子

出版社:中央公論新社

発売日:2002-10

評価 :

完了日 : 2008年04月20日

絵描きとその家族が愛犬グレイを見取る様が描かれている。
ありきたりの闘病記、介護日記ではなくて、まずグレイが亡くなった事、それが自分にどんなに大きな喪失感を与えたかを提示して、そこへ至るまでの苦悩、悲しみ、道程を描くと言う手法を取っている。
こちら側は最初に絵描きの悲しみを共有してしまうので、グレイの闘病の日々を読む頃には切なくてたまらなくなってしまった。
前2作と違って、収録されているイラストも悲しげなものが多い。
特にラストの1枚には胸を打たれた。
静かに涙が流れてしまう1冊。
そして、こんなに愛するものを書くことができた絵描きを、同業異種業者として羨ましくも思う1冊。


この感想へのコメント


みんなの感想を読む
 1

グレイがまってるから (中公文庫)

著者 : 伊勢 英子

出版社:中央公論社

発売日:1996-12

評価 :

完了日 : 2008年04月20日

絵描き家族と共に暮らすことになったハスキーの子犬・グレイ。
絵描きのイラストと文章がグレイとの生活の楽しさを生き生きと描いている。
何より絵描きのイラストがいい。
この人は本当いグレイが好きなんだと分かるステキなイラストは、こちらに色々なことを考えさせる。


この感想へのコメント


みんなの感想を読む
 1

気分はおすわりの日 (中公文庫)

著者 : 伊勢 英子

出版社:中央公論新社

発売日:1999-07

評価 :

完了日 : 2008年04月17日

絵描きのお母さんとその家族と愛犬グレイの日々がシンプルでステキなイラストと共に描かれている本。
描かれているのは主に闘病の日々なのだけど、犬と家族がとても深い絆で結ばれているのが分かるので、深刻な場面でもついほのぼのしてしまう。
作者が敢えて自分を突き放していて、全体にのんき感が漂っているのだけれど、描かれていることは結構深刻。飼い猫の癲癇発作や飼い犬の介護を経験した身には胸に迫るものがあった。
こういう見方ができるようになるのにどのくらいの葛藤があったのだろう?
それを思うだけで切ない。

最初はイラストに惹かれて手に取ってみたのだけれど、文章も美しいしで拾いものの1冊だった。
早速シリーズの前後の2冊を手配してしまった。


この感想へのコメント


みんなの感想を読む
 3

僕の妻はエイリアン 「高機能自閉症」との不思議な結婚生活

著者 : 泉 流星

出版社:新潮社

発売日:2005-09-29

評価 :

完了日 : 2008年03月20日

高機能自閉症と診断された妻との生活を夫の視点で描いている。実際の作者は妻本人。
表題のエイリアンは「普通の地球人とは頭の中身が違う」という事で、作者が高機能自閉症の妻に与えた呼称。
最近になって知られるようになった高機能自閉症の特徴や内面などが割りと詳しく書かれている。
これが症状のすべてではないけれど、多分かなりの読み手が自分にも当てはまるところがあって驚くのではないかと思う。自分にもいくつかあった。
となると、エイリアンと地球人の境目どこなのだろうか?
多少苦手な文体ではあったものの、きちんとした文章で物語を書ける作者がエイリアンだと思うと、自分の正体も怪しく思えてしまう。


この感想へのコメント


みんなの感想を読む
 1

夫の宿題

著者 : 遠藤 順子

出版社:PHP研究所

発売日:1998-07

評価 :

完了日 : 2008年02月23日

遠藤周作夫人の手による、遠藤周作の回顧録。
ゆったりと丁寧な文章は読んでいて心地よい。
また、遠藤の人となり、ちょっとしたエピソードなども興味深かった。
後半の宗教に関することは自分には計り知れないことだけに、戸惑いの方が大きかったように思う。


この感想へのコメント


みんなの感想を読む
 1

トイレのない旅 (講談社文庫)

著者 : 星野 知子

出版社:講談社

発売日:1997-07

評価 :

完了日 : 2008年02月23日

世界の秘境…というより辺鄙な場所での旅行記。ペルー、シベリア、雲南が舞台。
特にトイレに固執しているわけではなく、それも含めて不便さ、大変さを楽しむ様が斯かれている。
作者の目の付け所があまりにも普通で、読んでいて楽しいし、困難な状況を楽しんでいる姿は逞しく思える。
雲南編を読んで、自分が始めて中国に行った時のことを懐かしく思い出した。
まだ兌換券があり、街角でモニターを囲んでカラオケをし、ドアのないトイレが当たり前だった。
ちょっと前の旅行記は読後がなんとなく切ない。


この感想へのコメント


みんなの感想を読む
 1

テンジン―エベレスト登頂とシェルパ英雄伝

著者 : タシ テンジン,ジュディ テンジン

出版社:晶文社

発売日:2003-04

評価 :

完了日 : 2008年02月06日

エベレストに世界初登頂したヒラリーのシェルパ、テンジンと彼の一族の伝記。
著者はテンジンの孫。
テンジンの生涯、エベレストにかける情熱、西洋人登山家たちとの友情、世界最高峰に初登頂したことで変わってしまう立ち位置など非常に面白く読んだ。
またそのほかのシェルパの活躍など、日頃当たり前のように報道されないことも知ることができた。(10回以上もエベレスト登頂に成功したシェルパがいるなんて初めて知った!)
今やエベレストは金を生む山になってしまったのが悲しくもあり。
残念なのは本文が硬くて読みにくかったことかな。


この感想へのコメント


みんなの感想を読む
 1

魔境アジアお宝探索記――骨董ハンター命がけの買い付け旅 (講談社+α文庫)

著者 : 島津 法樹

出版社:講談社

発売日:2007-02-21

評価 :

完了日 : 2007年12月24日

骨董品探しを巡るあれやこれやのエピソードが楽しい。
法の裏を掻い潜ったり、売り手や買い手と騙し騙されたり。ちょっと眉を顰めたくなるエピもあるけれど、大変なんだなぁと思いながら読んだ。


この感想へのコメント


みんなの感想を読む
 3

官能小説の奥義 (集英社新書)

著者 : 永田 守弘

出版社:集英社

発売日:2007-09

評価 :

完了日 : 2007年12月19日

官能小説の手引き書。
官能小説の楽しみ方から書き方まで、過去1万冊以上の官能小説を読んできた作者が解説する。
日頃一段以上も蔑まれ、文壇からは無視されている世界にこれほどまでの努力と苦悩が詰まっているのかと思うと、なんだか素直に頭を垂れてしまう。
その一方で読み手を興奮させると言う一点にあらん限りの情熱を燃やすその姿勢に苦笑を禁じえなかったりもする。
あまり目にしないこともあって、引用文には驚くばかり。いろんな意味で凄い。あなたの知らない世界だ。


この感想へのコメント


みんなの感想を読む
 2

生きながら火に焼かれて

著者 : スアド

出版社:ソニーマガジンズ

発売日:2004-04

評価 :

完了日 : 2007年12月15日

家族の手で「罪を犯した」とされる女性を葬る「名誉の殺人」から奇跡的に生き延びた女性の半生記。
ずっと探していて、漸く読むことができた。
女性が家畜ほどの価値もない世界で、己の意思も思考も希望も自由も、人間らしいものをすべて奪われて、ただ男性の言うがままに生きて、殺されて。
その様も痛々しいが、何とか西洋世界へ脱出した後に、それらの因習を乗り越えて新しい価値観に馴染もうと苦闘するスアドの戸惑いが胸に痛い。
180度ものの見方の違う世界で自分の人生を立て直すために息子を手放さなければならなかったり、「名誉の殺人」のフラッシュバックに家族を巻き込んで苦しんだり。読んでいると息ができなくなる。苦しい。
自分が今の日本に生まれたことをただただ感謝したくなる1冊。そしてできるだけ多くの人にこの本を読んでもらいたいと思う。


この感想へのコメント


みんなの感想を読む
 2

秘密のミャンマー (小学館文庫)

著者 : 椎名 誠

出版社:小学館

発売日:2006-09-06

評価 :

完了日 : 2007年12月11日

ミャンマー旅行を考えていたのだけれど、この本を読んでミャンマー料理が油まみれということを知って断念。
作者が旅行しているのが911事件の直後だけに、ミャンマー軍事政権の情報統制の実態が目に見えて分かるのが空恐ろしい感じ。
ミャンマー入門には手軽でよかったかな。


この感想へのコメント


みんなの感想を読む
 2

カフェ・ビエンチャン大作戦

著者 : 黒田 信一

出版社:本の雑誌社

発売日:2006-06-15

評価 :

完了日 : 2007年11月26日

ラオスにカフェを作る!しかもできるだけ手作りで!と言う情熱に浮かされた作者の奮闘記。
日本に対する愚痴や、現状に対する不安など共感できる部分も多い。
カフェを作っていく途中に当たり前のように降って沸いてくる様々な問題を持ち前のバイタリティと、あちらこちらから集まってきて巻き込まれた善意の友人たちの協力で乗り越えていく様も面白い。
ただ、なんとなく話しにのめりこめなくて作者の側に立てなかった。
エピが多すぎて印象が散漫なのかな? ビエンチャンでの日常生活の描写が少なくて表面しか見えなかったのかな?
面白い素材だっただけに残念。


この感想へのコメント


みんなの感想を読む
 4

チャーリーとの旅

著者 : ジョン スタインベック

出版社:ポプラ社

発売日:2007-03

評価 :

完了日 : 2007年10月12日

愛犬とともにピックアップトラックの改造車でアメリカを旅した作者の旅行記。作者の目で見た当時のアメリカが豊かな文章で著されている。
徹頭徹尾一人と1匹の旅ではないし、ときどきは宿にも泊まるし、お金に困るわけでもないし、そういう意味では不思議な旅だと思う。
古いアメリカに郷愁を持っているわけではないので、旅の過程を描いた本編は今更特に評価する必要はないだろう。
それよりも旅好きの読書家には序文と最後の章を是非読んで欲しい。
旅に惹かれて止まない気持ちや、そのための言い訳、旅の終わりを知る際の感覚などをあまりにも的確に表現していて、それだけで胸が一杯になってしまうだろう。


この感想へのコメント

<前のページ 1  2  3  次のページ>

Copyright c 2006 WEB本の雑誌 All rights reserved.