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穂波さんの読書ノート

2005年の読書ノート
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 26

最悪 (講談社文庫)

著者 : 奥田 英朗

出版社:講談社

発売日:2002-09

評価 :

完了日 :

これぞノンストップサスペンス群像ドラマの・・・えーとえと、この作品はとにかくいろんな修飾語をくっつけたくなるんだ何故だ。たとえ泥酔していようが電車の中で眠りこけて乗り過ごしたことは穂波さんの生涯の中で一度もありませんが、本を読んでいて乗り過ごしたことは過去1度だけあります。で、とうとう今回、人生二度目。それも帰りの電車、乗客が異様に少ないのにはたと気づいたときは2駅が通過していました。


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 9

三谷幸喜のありふれた生活 4 冷や汗の向こう側

著者 : 三谷 幸喜

出版社:朝日新聞社

発売日:2005-12-06

評価 :

完了日 :

この年も大河ドラマの脱稿後すぐに一人芝居の脚本・演出と精力的に仕事をこなす三谷さん。「新選組!」でドラマ初出演の野田秀樹との会話がほほえましい。このツーショットはぜひ見てみたい。ともに人気・実力を兼ね備えた劇作家・演出家でありながらその方向性において重なる部分は少ないと思っていたのですが、なんか野田さんは「三谷」って呼び捨てにしてるし、初めてのドラマの現場に戸惑う先輩に、あれこれ世話をする後輩・三谷みたいな感じ。


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 4

徹底抗戦!文士の森

著者 : 笙野 頼子

出版社:河出書房新社

発売日:2005-06-21

評価 :

完了日 :

「文学」についての真摯で前向きな姿勢、作品評価を数値化することへの批判など、面白く読みました。
著者は、現在、文学・出版の世界に身を置いている人間の中で、文学について真剣に考えているのは男性より女性だというようなことを(オーバーであることは承知の上で)言い切って見せている。
徒党を組まず、孤立を恐れない彼女たちに拍手。


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 17

逃亡くそたわけ

著者 : 絲山秋子

出版社:中央公論新社

発売日:2005-02-26

評価 :

完了日 :

読みながら絲山氏は博多出身なんだなと思ってました。
プロフィールによると東京出身で、転勤で名古屋、福岡での勤務経験がありだそう。逆によそ者の目から見るからここまで書けるのでしょう。
にしても、博多弁ほぼパーフェクト。ネイティブとしては、方言「しかぶる」と「まりかぶる」が出てきたところでは笑いましたねぇ。

完璧に執拗に博多弁でしゃべる女(現実にはここまで博多弁を使いこなす女の子はいないんじゃないかな。だからそれは意味を際立たせるための手段なんだと思う)と、名古屋出身であることを嫌悪し東京出身と言い張る男が、九州を縦断、鹿児島(本島の)最南端へと逃亡するロードノベル。とにかくディテールの書き込みが面白い。


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 9

チョコレート工場の秘密—ロアルド・ダールコレクション (2)

著者 : ロアルド・ダール,Roald Dahl,Quentin Blake

出版社:評論社

発売日:2005-04-30

評価 :

完了日 :

児童書だけれどもそれとなく皮肉で意地悪な視線も織り交ぜているところはさすがダール。

柳瀬尚紀の新訳は、子供たちの名前がそれぞれちゃんと日本語で解釈できるように訳してある。賛否両論あるようですが、初めて読んだ私は英語のネイティブがこの名前から受け取るイメージは、こんな感じになるのかのぉなどと思いながら読んでいました。だって、ダールだし。


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 3

誤読日記

著者 : 斎藤 美奈子

出版社:朝日新聞社

発売日:2005-07-15

評価 :

完了日 :

タレント本からトンデモ本な実用書、文学からノンフィクションまで読みに読んだ147冊。普通、書評が出ないような本までちゃんと論じているのはすごい。
「ものは言いよう」といい、私にとって今一番興味深い文章を書く評論家。

現在、出版界を跋扈している「涙・泣」本について、
"もっと涙腺鍛えようよ。そのうち壷を買わされるよ"というようなことを書いている。ぎゃはは。


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 12

本当はちがうんだ日記

著者 : 穂村 弘

出版社:集英社

発売日:2005-06

評価 :

完了日 :

ところどころすごくまじめなことをかいている。ふむ。違和感を覚えたのは私だけなんだろうか。

でも大半はやっぱり穂村弘である。

それから、身辺に変化があったようなことをさらりと流して書いていて、えっと思いました。


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 4

酩酊混乱紀行『恐怖の報酬』日記

著者 : 恩田 陸

出版社:講談社

発売日:2005-04-23

評価 :

完了日 :

飛行機が大大大嫌いな著者が、初めての海外旅行でイギリス・アイルランド取材旅行に行ったときのことを記した紀行文ということになっていますが。
え~と、とにかくお酒を飲む。どこでも飲む。出発の1週間前、劇場で芝居を観た後、ビールを飲みながら原稿を書いているところから始まり、帰国後成田で、やはり日本にはラガーが合う、と缶ビールを飲むところで終わるのです。ぶらぼー。
アイルランドで司馬遼太郎について考えてみたり、飛行機に乗っているという現状認識から恐怖について考えるうち、夜行列車を舞台にしたホラーって怖いと思いついたりと、紀行文というより、イギリス・アイルランドの旅が影響を与えた恩田陸の内面の風景が面白かった。


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1.シン (2006/10/25)
こんばんは~。最近恩田さんの『小説以外』読んだんですよ。
紹介されている本全部読みたくなって、ああ恩田さんはすごくまっとうな読書体験してきた人なんだなあ、と感じました。(読んでない本が多くてちょっとくやしい)
この本も楽しみです。
2.穂波 (2006/10/27)
最近になって読書ノートと蔵書リストの関係が理解できたダメユーザー穂波です。『小説以外』私も読みました~。恩田さんの創作のバックグラウンドにある豊富な読書体験が見えてくる一冊でしたよね。評価基準に共感できるものが多くて私も全部読みたくなりました。恩田さんのエッセイといえば、晶文社のウェブサイトにエッセイを連載されてて、それが1回のみで中断していた、と書こうとして確認したら、再開されていました。笑
 

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 11

グッドラックららばい (講談社文庫)

著者 : 平 安寿子

出版社:講談社

発売日:2005-06

評価 :

完了日 :

母親が家出をして旅回りの一座についていってしまったというのに、父親はまぁゆっくり見守りましょと落ち着いたもので趣味の節約生活を突き進み、長女も両親がそれでいいならいいんじゃないと冷静で趣味の「男」に没頭、上昇志向の強い次女は私はなんて不幸なのウチの家族はヘンだとだだをこねるも、だったら自分の力で生きてやると着々と自分の人生プランを実行する。
この長い物語を最後まで読者を飽きさせずにひきつける手腕見事です。


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 1

夢の泪

著者 : 井上 ひさし

出版社:新潮社

発売日:2004-07-17

評価 :

完了日 :

終戦のあくる年、東京裁判の被告弁護を引き受けることになった弁護士事務所の一騒動を描いた戯曲。敗戦と日本人について考えさせられる作品をエンターテイメント性を失わずに描くことのできる井上ひさしのような作家は、これからそうは出てこないのかも。


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 1

犬ぐらし (ジェッツコミックス)

著者 : 遠藤 淑子

出版社:白泉社

発売日:2005-05-27

評価 :

完了日 :

遠藤淑子の漫画はたぶんほとんど読んでいると思う。最初のころのやつは、ほんとにこの人は漫画家なんだろうかと思うほど絵がだめだめだったのですが(今も上手いとはいえないけれどさ)、ストーリー展開に不思議なパワーがあって、それに加えて説教が多いこととか、がさつで暴力的な女の子が頻繁に出てくるところとかが好き(いや、穂波さんそれは誤解を生むかも)でずっと読んでいます。
『犬ぐらし』は犬との毎日の生活をつづったエッセイ漫画で、ほんとにあーゆー漫画家のところには、こーゆー変な犬がやってくるもんだなと思ったことでした。ネタにするべくめぐり合ったとしか思えない。爆笑しながら読みました。


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 11

世にも美しい数学入門 (ちくまプリマー新書)

著者 : 藤原 正彦,小川 洋子

出版社:筑摩書房

発売日:2005-04-06

評価 :

完了日 :

『博士の愛した数式』で、文学に数学の美と善を統合させた小川洋子さんと、数学者藤原正彦氏の対談集。藤原氏のレクチャーに対し小川さんが質問をするという形式になっているのですが、インタビュアーとしての小川洋子さんの能力の高さにひかれました。本を執筆する際に相当勉強されているとは思いますが、核心を突く質問と作家らしい文学的表現が印象的です。数学入門書の類はいろいろ出ていますが、この本の成功は小川さんの力によるものが大きいのでは。


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 3

読むのが怖い! 2000年代のエンタメ本200冊徹底ガイド

著者 : 北上 次郎,大森 望

出版社:ロッキング・オン

発売日:2005-03-31

評価 :

完了日 :

大森氏にはトヨザキ氏とのメッタ斬り対談もありますが、それは読書の方向性がわりと似ている二人の対談でした。どっちかというと、同じ方向に向かって毒を吐いてたという感じです。
ところが北上氏と大森氏の場合、それぞれの読書集合の積はそれほど大きくない。ゆえに、二人の傾向がより顕著に現れている。水面下での腹のさぐりあいみたいなところを想像して面白く読みました。


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 4

ユルスナールの靴 (河出文庫)

著者 : 須賀 敦子

出版社:河出書房新社

発売日:1998-10

評価 :

完了日 :

著者はユルスナールと自分との間の距離感(それは文化的なものであったり、家庭環境であったりするのだけど)を「靴」をモチーフにして書き始めているのだが、先に読み進むに従って二人のシルエットが重なっていくような印象を強くする。
戦後すぐにヨーロッパに留学したひとらしい知性を兼ね備えた文章。海外への渡航がそう多くない時期の、留学先のイタリアまでの船旅の様子がわずか2ページほどで描かれている部分は、彼女の文章表現のすばらしさを表していると思う。


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 1

目白雑録 (ひびのあれこれ)

著者 : 金井 美恵子

出版社:朝日新聞社

発売日:2004-06-18

評価 :

完了日 :

「一冊の本」に連載されたエッセイ。
「今月の馬鹿」というタイトルの回があるんだけど「今月の馬鹿」のことを題材にしているのは別にその回だけではなくほとんど全編に渡り何かしら「今月の馬鹿」は登場します。舌鋒鋭く容赦なし。気鋭の男性評論家や作家のことを時折あしらうような感じで批評してて痛快でした。


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1.じゅん (2006/10/14)
うふふ・・。金井さんにかかっては評論家も作家も形無しですよね。金井さんの文章って女性らしい^^; 意地悪さに満ちていて、私、大好きなんですよ。あの長いセンテンスも読んでいると呼吸にぴったり合ってきてね。お姉さんの装丁も毎回素敵ですよね。
2.穂波 (2006/10/16)
女性らしい意地悪さ・・・そうですよねー(笑。文体も基本的には女性らしくて、センテンスの長さも心地よいリズムを刻んでくるんですよね。金井さんのエッセイでは他に「待つこと、忘れること?」も、料理レシピが好きでよく読んでます。
 

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 15

煙か土か食い物 (講談社文庫)

著者 : 舞城 王太郎

出版社:講談社

発売日:2004-12

評価 :

完了日 :

饒舌な文体は好きです。過剰な言葉と暴力の世界。
人間離れした外科医としての技術を持つ主人公ナツカワシロウ、頭の回転が速く、何気なくダンテやチャンドラーやカーヴァーの話を持ち出す文学臭まで漂う。リアリティのない殺人事件をリアリティのない勘と推理で次々と看破していくスピーディな展開。しかもあれだけ突っ走っておきながらラストのあの落ち着き。それでそうかこの本はザッツエンタテイメントなんだと思いました。途中どのような展開を見せても最後は犯人が見つかり謎は解けて物語は収束する、これがミステリの王道ですもん。


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 1

「エロイカより愛をこめて」の創りかた

著者 : 青池 保子

出版社:マガジンハウス

発売日:2005-02-17

評価 :

完了日 :

少佐といいジェイムズ君といいロレンスといい、あれだけぶっとんだ個性的キャラクターを排出したとは思えないくらい青池保子は真面目で落ち着いた人だと思う。まじめといっても堅いとかそういう意味ではなくあくまで創出するキャラクターとの対比においてです。好奇心旺盛で自分の作品に対して誠実で妥協を許さないプロフェッショナルでもあります。
ある作品中の1ページが出来るまで、文章で書かれたプロットからネーム、ペン入れ、完成稿も掲載されていてファンは必見。


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2.穂波 (2006/10/14)
こんにちは。お久しぶりです~。こちらこそよろしくお願いします。私もエロイカは「出たら買う速攻買う」コミックです。でも最近は新刊を買っても前の話を忘れて、つなぎが分からないという症状に見まわれておりまして。新刊出るたびに前の巻へと遡って読み直してます。いつまでも年を取らない少佐と伯爵がうらやましいです。今、ひょっとして二人の年を追い越してしまったのかも、という疑惑が頭の中をよぎりましたが、速攻却下。
3.じゅん (2006/10/14)
あぁ、嬉しいなぁ。談話室の閉鎖が急で寂しかったからまたお会いできてよかった。\(~o~)/そうなんですよ!間があいてるせいもあるんでしょうけど、新刊が出るたびに前の巻を引っ張り出して復習してから読み始める私。人物関係やそもそもの指令がなんだったか全然覚えていないんですよぉ!少佐や伯爵の年を追い越す??考えたことなかったけど、私、もしかしてかなりヤバイかも・・。

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 8

武士の家計簿 ―「加賀藩御算用者」の幕末維新 (新潮新書)

著者 : 磯田 道史

出版社:新潮社

発売日:2003-04-10

評価 :

完了日 :

御算用者とは、藩政の会計担当者ソロバン係のようなものらしい。その御算用者である猪山家の家計簿をもとにこの本が書かれました。
そもそも家計簿をつけ始めることになったのは、借金が膨れ上がり一家の財政が破綻寸前までいったため、きちんと家計を管理しようということからだった。しかし、そこは数学的才能を見出されて御算用者に登用された一家だけあって、数字に強いし、めちゃくちゃ細かい。
何に、どれくらい、何回、お金を使ったかがわかると、当時の武士のありようを実感としてかなりリアルに知ることができる。と同時にそこから、彼らを取り巻く封建制度の仕組みやゆがみも見えてくるという構成になっている。細部好きには興味が尽きない本。


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 3

翻訳文学ブックカフェ

著者 : 新元 良一

出版社:本の雑誌社

発売日:2004-09

評価 :

完了日 :

現在活躍中の翻訳家へのインタビュー集。
柴田元幸、岸本佐知子、青山南、村上春樹などなど。
翻訳する作品を決めるとき、作家や作品に対する共感を必要とする人から、依頼されたものは引き受けるという職人肌の人まで、さまざまで興味深いです。それぞれの個性が出てるんですね。岸本佐知子氏の場合は作者が自分より変かどうかが決め手という点で特殊な光を放っていますが。


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